《櫻井ジャーナル》

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2015.06.21
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 不正行為が原因で消滅したロシアの企業、ユーコスからの訴えに基づき、フランスとベルギーはロシアの銀行、メディア、そして外交部門の資産を凍結した。両国はロシアの司法に挑戦したわけだが、言うまでもなくその黒幕はアメリカ。TPP/TTIP/TISAが何をもたらすかを暗示する出来事だとも言える。アメリカの意向に従って活動している団体の犯罪行為を処罰するとその国の企業は資産を凍結される可能性があるということだ。

 ロシアが報復した場合、フランスやベルギーは大きなダメージを受ける。ロシアとEUとの関係は悪化するだろうが、それはアメリカにとって願ってもないこと。1992年にアメリカではリチャード・チェイニー国防長官の下、ポール・ウォルフォウィッツ国防次官、I・ルイス・リビー、ザルメイ・ハリルザドたちが世界支配を前面に出した DPGの草案 、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成した。同省のONAで室長を務めていたアンドリュー・マーシャルから助言を得ていたという。

 このマーシャルはシカゴ大学で経済学を学んだ後、米軍系シンクタンクのRANDに入って核戦争について研究、リチャード・ニクソンが大統領だった1973年にONAが創設されると室長に就任した好戦派で、ソ連脅威論の発信源になる。ソ連が消滅してロシアにアメリカの傀儡政権が成立してからは中国脅威論を叫び始めた。DPGに基づいてネオコン系シンクタンクPNACが2000年に公表した「米国防の再構築」でも東アジア重視を主張している。執筆したのはポール・ウォルフォウィッツを含むネオコン。

 同じ年にジョセフ・ナイ、リチャード・アーミテージ、カート・キャンベル、マイケル・グリーン、ポール・ウォルフォウィッツたち(つまり「米国防の再構築」と同じ人脈)が作成した「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」も公表されているが、ここでは「集団的自衛権」によって日本をアメリカの戦争マシーンへ組み込むことを求めている。

 今のアメリカを動かしている戦略のベースになっているウォルフォウィッツ・ドクトリンではアメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、世界支配の体制を維持するために潜在的なライバル、つまり西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアを潰すという方針を示している。ウクライナの合法政権をクーデターで倒して傀儡政権を樹立させて以来、アメリカはEUとロシアに潰し合いをさせようとしてきた。今回の資産凍結もそうしたプランに沿ったものだ。

 ユーコスを支配していたミハイル・ホドルコフスキーはボリス・エリツィン時代に巨万の富を築いたオリガルヒのひとりで、西側では「善玉」として扱われてきた。エリツィン政権はオリガルヒに従属、ロシアはアメリカの属国になっていたのだが、その次に大統領となったウラジミル・プーチンは政府が国をコントロールする体制に作り直し、ロシアを再独立させた。

 そうした流れを察知したオリガルヒのボリス・ベレゾフスキーはロンドンへ逃れたが、ホドルコフスキーはロシアに留まってプーチンと対決する道を選んだ。その結果、不正が暴露されて合計14年間を獄中で過ごすことになる。

 ホドルコフスキーは権力欲に従って生きてきたようで、ジャーナリストのマーク・エイムスによると、ソ連時代にはコムソモール(全ソ連邦レーニン共産主義青年同盟)の指導者を務めていた。その当時、彼がコミュニズムに共鳴していたということはないだろう。



 アンダーグランドの世界に生きている人びとは自分の銀行を持ちたがるものだが、彼も例外ではなく、メナテプ銀行を設立してる。ソ連消滅後の1990年代半ばになると、この銀行は「世界で最も腐敗した銀行のひとつ」という評価をCIAからも受けていた。その銀行を使い、1995年にホドルコフスキーはユーコスを買収、中小の石油会社を飲み込んでいく。

 ユーコスは西側の銀行から融資を受け、投資会社の「カーライル・グループ」からも資金を得ていた。この投資会社にはジェームズ・ベイカー元米国務長官をはじめ、フランク・カールッチ元米国防長官、ジョン・メジャー元英首相、ジョージ・H・W・ブッシュ元米大統領などが幹部として名を連ねていた。

 権力を握ろうとする人びとは、カネやエネルギーと並んでメディアを重視する。情報をコントロールするためだが、ホドルコフスキーは1996年にモスクワ・タイムズやサンクトペテルブルグ・タイムズを出している会社の大株主になった。別のオリガルヒもメディアを支配、情報戦の武器として使うことになり、当然、「報道」の内容は西側支配層の意向に沿うものになる。それらは、西側の「リベラル派」や「革新勢力」にとっても心地良いようだ。

 また、彼はジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティ基金」をモデルにした「オープン・ロシア基金」を2002年にアメリカで創設、つまりロシアを再支配するための準備を開始、ヘンリー・キッシンジャーやジェイコブ・ロスチャイルドを雇い入れている。

 ウクライナのクーデターではネオコンのビクトリア・ヌランド国務次官補が前面に出ていた。ズビグネフ・ブレジンスキーは昔からロシアを支配するためにウクライナを制圧すべきだと主張していたが、そのほかに投機家のジョージ・ソロスも蠢いている。ここにきて、経済的な支援だけでなく軍事的な支援をソロスが求めているとする情報( その1 その2 その3 )も出て来た。IMFはギリシャの場合と違い、ウクライナはデフォルトしても資金を投入するという。そうしなければ、西側支配層が甘い汁を吸えない。





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最終更新日  2015.06.22 13:59:09


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