《櫻井ジャーナル》

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2015.08.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカ軍はトルコ領内から無人機を飛ばし、シリアの北部を攻撃したという。すでに空爆は実施しているが、ここにきてシリア政府軍を攻撃すると明言するようになったのは大きな変化だ。アメリカ国務省のスポークス・パーソンは全ての邪悪な出来事の根源はバシャール・アル・アサド体制にあると主張、軍事侵略を正当化しようとしているが、アサド政権が気に入らないと言っているにすぎず、理由になっていない。

 過激な「悪い反政府軍」と穏健な「良い反政府軍」が存在していると今でも西側では宣伝されているが、それは幻影。これに「普通の反政府軍」が加わればお笑い番組のようになってしまうが、シリアでは多くの人が殺され、傷ついているわけで、笑い事では済まされない。

 現在、IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)と呼ばれている集団は2013年頃までISI(イラクのイスラム国)と呼ばれていた。シリアへ活動範囲を広げたからだというが、この説明には疑問がある。

 2012年8月にアメリカ軍の情報機関、DIAが作成した文書によると、反シリア政府軍はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQI。サラフ主義者やムスリム同胞団は戦闘員の出身母体で、戦闘員は別の組織、例えばアル・カイダ系戦闘集団のメンバーとして戦っている。このAQIはイラクでサダム・フセイン体制が崩壊した直後、2004年に組織されたアル・カイダ系の武装集団で、06年にはAQIを中心にしてISI(イラクのイスラム国)が編成された。

 アル・カイダの歴史は1970年代の後半にアメリカ政府がアフガニスタンで編成したイスラム武装勢力。その秘密プロジェクトを指揮していたのがジミー・カーター大統領の補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキー。

 CIAがムジャヒディン(戦闘員)を支援し始めたのは1980年からだとされているが、これが嘘だということは1991年から93年にかけてCIA長官、2006年から11年まで国防長官を務めたロバート・ゲーツも明らかにしている。彼によると、アメリカの秘密機関がムジャヒディンを支援し始めたのは、ソ連の機甲部隊が1979年12月にアフガニスタンへ軍事侵攻する6カ月前。

 こうした証言についてコメントを求められたブレジンスキーは否定せず、カーター大統領が秘密工作を承認したのは1979年7月3日だと明言した。こうしたプロジェクトの中からアル・カイダが生まれるのだが、ブレジンスキーは全く意に介さず、すばらしいアイデアだったと自画自賛している。

 アル・カイダという名前が知られるようになって間もない頃から、アル・カイダは統一された戦闘集団ではないことを少なからぬ人が気づいていた。ロビン・クック元英外相によると、 アル・カイダとはCIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶムジャヒディンのコンピュータ・ファイル 。アル・カイダとはアラビア語で「ベース」を意味し、「データベース」の訳にも使われているようだ。なお、この指摘をした次の月にクックは保養先のスコットランドで心臓発作に襲われ、急死した。享年59歳。

アル・カイダ系のLIFG(リビア・イスラム戦闘団) 。2011年10月にカダフィが惨殺された直後、ベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられたのは象徴的だ。( その1 その2 )その後、 戦闘員は武器と一緒にシリアなどへ移動 する。

リビアではイギリスの情報機関や特殊部隊が積極的に動いていた 。2011年2月にベンガジで反政府活動が始まるが、3月上旬には6名のSAS(イギリスの特殊部隊)メンバーと2名のMI6(イギリスの対外情報機関)オフィサーがヘリコプターでベンガジの近くに潜入している。この事実が発覚したのは、イギリス人のチームが反カダフィ軍の警備兵に一時拘束されたため。ベンガジの港からフリゲート艦「カンバーランド」で帰路につくまで、潜入チームは反カダフィ派と何らかの話し合いを行ったと考えるのが自然だろう。

 NATOによる空爆が始まるのは3月中旬。イギリスの デイリー・メール紙 によると、地上にはSASの隊員が潜入していた疑いもある。トリポリを攻撃する数週間前から、イギリスの軍や情報機関は反カダフィ軍に対する支援を活発化させていた。

 伝えられるところによると、TNC(暫定国民評議会)が作成した攻撃プランをMI6のオフィサーが添削して整え、イギリス軍は武器、通信機器、そして精鋭部隊をトリポリに送り込んでいたという。首都攻撃は始まるとすぐにイギリス軍は5発の精密誘導爆弾をリビア情報機関の基地に落とし、夜にはトルネード戦闘機がトリポリ南西部にある重要な通信施設を破壊している。

 カダフィは10月にシルトの近くでイギリスの偵察機に発見され、フランスの戦闘機が2発のレーザー誘導爆弾を車列に投下した後、アメリカ軍の無人機プレデターの攻撃も受けたという。最後は反政府武装グループからリンチを受けた上で殺された。NATOがシルトを攻撃する際、電子機器を専門とするアメリカ人が市内の動向を監視、SASは反政府軍を指揮していたとも伝えられている。

 今年8月に入り、イギリスの サンデー・エクスプレス紙

 アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟のほか、カタールなどのペルシャ湾岸産油国やNATO加盟国のトルコがシリアのアサド体制を倒すために侵略戦争を開始したのは2011年3月、その直後からトルコにある米空軍インシルリク基地では反シリア政府軍の戦闘員が軍事訓練を受けていた。ここにきてサウジアラビアはシリアとの話し合いを始めたようだが、まだISと決別したわけではないだろう。

 インシルリクにいる教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、イギリスとフランスの特殊部隊員だとされているが、訓練するだけでなく、イギリス、アメリカ、フランス、カタール、ヨルダン、トルコは特殊部隊をシリア領内へ潜入させていると疑われていた。イギリス紙による今回の報道に驚くべきではないということだ。

 ここにきてアメリカ政府がシリア軍を自らが攻撃すると言い始めたのは、傭兵を使った戦闘が思い通りに進んでいないからだろう。ウクライナでもネオコンの思惑通りになっていないようで、戦闘員を補充する必要に迫られていることもシリアにおけるアメリカの傀儡部隊の戦力を低下させているかもしれない。全面核戦争を避けたがっているロシア政府が屈服することをアメリカ政府は願いながらギャンブルを始めたとも言えるだろう。

 こうしたギャンブルを可能にしているのは、「民主化」や「人権」といった西側支配層の荒唐無稽な「おとぎ話」を西側のメディア、「リベラル派」、「革新勢力」が受け入れ、ロシアや中国に対する攻撃に参加しているからだ。西側の体制がこれからも維持されると考えるなら、「おとぎ話」を受け入れることが自分たちの利益に叶う。





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最終更新日  2015.08.08 02:33:13


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