《櫻井ジャーナル》

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2015.11.06
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 失業率が低下し、景気は上向いているかのように「解説」する「専門家」もいるようだが、アメリカ経済は破綻している。賃金が低いため仕事を掛け持ちせざるをえない人も少なくない。労働人口(16歳以上)のうち実際に働いている人の比率は低いまま、つまり求職意欲をなくした人が多い状況だ。そうした労働者をカウントすると、アメリカの失業率は23%に達するという試算もあるようだ。

 1980年代からアメリカの実態は「カジノ経済」とも表現されるようになった。生産活動を放棄し、投機でカネを動かすようになったことから考え出された用語で、ミルトン・フリードマンたちが主張する新自由主義によって正当化されている。

 しかし、アメリカの生産活動が行き詰まったのは新自由主義が持て囃される前のこと。1971年にリチャード・ニクソン大統領はドルと金の交換を停止すると発表したが、その段階でアメリカ経済は破綻していた。1973年から世界の主要国は変動相場制へ移行、アメリカは基軸通貨のドルを発行する特権を使って生きながらえてきた。

 ドルを発行して物を買うということだが、ドルを垂れ流しておくとハイパー・インフレになってしまう。そこでドルを回収する仕組みが必要になるのだが、そのひとつの仕掛けがペトロダラーだった。産油国に対して決済をドルにするように求め、集まったドルでアメリカの財務省証券や高額兵器などを購入させ、だぶついたドルを還流させようとしたのだ。

 その代償としてニクソン政権が産油国に提示したのは、国と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の売却、イスラエルを含む中東諸国からの防衛、そして支配層の地位を永久に保障するというもの。サウジアラビアはこうした協定を1974年に調印、これと基本的に同じ内容の取り決めを他のOPEC諸国も結んだという。

 現在、ドルを回収する最大の仕掛けは投機市場だ。この仕掛けを作り上げるために実行したのが「金融ビッグバン」であり、オフショア市場のネットワークも重要な役割を果たしている。この投機市場が人びとが実際に住んでいる社会を押しつぶしつつあるわけだ。

 こうした仕組みを作り上げる際に使われた呪文が「民営化(つまり私有化)」や「規制緩和」。新自由主義を信奉するカルト集団が呪術で使う文句だとも言える。いわゆる「第三世界」のほか、ソ連消滅後に「カラー革命」で西側資本に乗っ取られた国では共通して富の集中と大多数の人びとの貧困化が起こってきた。

 日本も例外ではなく、1990年代の半ばから実質賃金は下がり続け、経済活動は停滞したまま。ただ、貧困化の進み方は比較的穏やかで、犯罪の増加や売春婦の激増といった現象は見られない。現在の政策を続ければ、これからそうした状況になるということでもある。

 日本の凋落が明確になった1990年代の半ばにはさまざまな動きがあった。アメリカの対日年次改革要望書による構造改革要求は指摘されているが、それだけでなく、1996年にアメリカのメリーランド州でCIA系シンクタンクのCSISが最初の会議を開いたプロジェクト「日米21世紀委員会」も注目する必要がある。委員会のメンバーは次の通り:


名誉委員長:ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領
委 員 長:ウィリアム・ブロック元労働長官
副 委員長:ハロルド・ブラウン元国防長官
委   員:レスター・アルバーサル、ウィリアム・ブリーア、ウィリアム・クラーク、リチャード・フェアバンクス、ロバート・ホーマッツ、カレン・ハウス、フランク・ムルコースキー、ジョン・ナイスビット

【日本】
名誉委員長:宮沢喜一元首相
委 員 長:堺屋太一(後に経済企画庁長官)
副 委員長:田中直毅
委   員:土井定包(大和証券)、福川伸次(電通、元通産事務次官)、稲盛和夫(京セラ)、猪口邦子(上智大学教授、防衛問題懇談会委員)、小林陽太郎(富士ゼロックス)、中谷巌(竹中平蔵の「兄貴分」)、奥山雄材(第二電電、元郵政事務次官)、山本貞雄(京セラ・マルチメディア)、速水優(後に日銀総裁)

顧   問:小島明(日本経済新聞)

 この委員会は1998年に報告書を発表、その中に日本が目指すべきだという方向が示されている。それによると、(1) 小さく権力が集中しない政府(巨大資本に権力が集中する国)、(2) 均一タイプの税金導入(累進課税を否定、消費税の依存度を高める)、そして(3) 教育の全面的な規制緩和と自由化(公教育の破壊)などが目標だ。対日年次改革要望書と基本的に同じ主張であり、橋本龍太郎内閣が打ち出した「変革と創造」と符合する。






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最終更新日  2015.11.07 01:38:50


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