ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が9月13日に中国を訪問、翌日には習近平国家主席と会談した。ベネズエラはドナルド・トランプ政権から経済戦争を仕掛けられて苦境にあり、対抗して中国やロシアとの関係を深めようとしてきた。中国はベネズエラに多額の融資をする一方、石油を輸入している。
ニューヨーク・タイムズ紙 は9月8日付けの紙面でトランプ政権が昨年(2017年)からベネズエラの反体制派の将校と秘密裏に会い、マドゥロ政権の転覆について話し合っていると伝えている。
5月22日にベネズエラ政府はトッド・ロビンソン米大使と上級外交官のブライアン・ナランジョに対し、「軍事的な陰謀」を理由に、48時間以内に国外へ出るように命じていた。アメリカ国務省はベネズエラ政府の主張を否定していた。
トランプ政権はベネズエラ政権を転覆させようとしていることを隠していなかった。例えば、2017年7月にCIA長官だったマイク・ポンペオはベネズエラの「移行」が期待できるとアスペン治安フォーラムで語っている。8月にトランプ大統領はベネズエラへの軍事侵攻を口にし、 ニッキー・ヘイリー国連大使 はベネズエラに対して「独裁制」を許さないと語った。
勿論、ベネズエラは民主的な体制であり、ヘイリーの主張は嘘だ。民主的な体制を破壊して独裁体制を築いてきたのがアメリカであり、ラテン・アメリカを舞台にした第2次世界大戦後の有名なケースには1954年のグアテマラや1973年のチリがあるが、それ以外にもアルゼンチン、ボリビア、ホンジュラスを含む国々でも軍事クーデターが実行されている。
現在まで続くベネズエラに対するアメリカ政府のクーデター計画は1999年から始まる。この年に大統領となったウーゴ・チャベスがアメリカから自立した体制を築こうと考えたからだ。2001年に始まるジョージ・W・ブッシュ政権は02年にクーデター計画を始動させた。
ネグロポンテは1981年から85年にかけてホンジュラス駐在大使を務めていたが、そのときにニカラグアの革命政権に対するCIAの秘密工作に協力、死の部隊にも関係している。2001年から04年までは国連大使、そして04年から05年にかけてはイラク大使を務めた。
2002年のクーデター計画は失敗に終わる。事前にOPECの事務局長を務めていたベネズエラ人のアリ・ロドリゲスからウーゴ・チャベス大統領へ知らされたためだが、それでアメリカ支配層があきらめることはなかった。
例えば、 ウィキリークスが公表したアメリカの外交文書 によると、2006年にもベネズエラではクーデターが計画されている。「民主的機関」、つまりアメリカの支配システムに操られている機関を強化し、チャベスの政治的な拠点に潜入、チャベス派を分裂させ、それによってアメリカの重要なビジネスを保護し、チャベスを国際的に孤立させるとしている。
この計画も成功しなかったが、チャベスは2013年3月、癌のため、58歳の若さで死亡した。アメリカは発癌性のウィルスを開発、実際に使っていると言われているが、チャベスのケースがそれに該当するかどうかは不明だ。
チャベスの後継者として大統領になったのがマドゥロ。アメリカの経済攻撃に対抗するため、ドル離れを決断、石油取引の決済に人民元を主とする通貨バスケット制を採用する方向へ動き出した。アメリカへ預けていた金塊も引き揚げている。
今年、ベネズエラの国家警備隊は創設81周年にあたる。そこで首都カラカスでは軍事パレードが催されたが、その最中、暗殺未遂事件が引き起こされた。爆弾を搭載した数機のUAV(無人機)による攻撃で、いずれも撃墜されたようだ。マドゥロ大統領が狙われたと見られている。
ベネズエラやイランなどアメリカが体制転覆を目論んでいる国と中国はロシアと同様、手を組んできた。その中国は一帯一路(陸のシルクロードと海のシルクロード)という交易を促進するプログラムを打ち出しているが、それをラテン・アメリカへも伸ばすようにマドゥロは求めているようだ。
海のシルクロードの東端は南シナ海から東シナ海にかけてだが、一帯一路に脅威を感じているアメリカ支配層はその海域における軍事的な支配を強めようとしている。日本政府は属国としてアメリカの戦略に従っている。この戦略が日本の利益に反していることは本ブログで書いてきた通り。