来年(2019年)2月一杯での辞任が公表されたジェームズ・マティス国防長官はイエメンでの虐殺を支持、朝鮮に対して殲滅すると恫喝、イラクやシリアでの爆撃を監督する立場にあった。イラクのモスルに対する攻撃では少なくとも6000名の市民が殺されたという。
この好戦的な国防長官の後任としてふたりの名前が挙がっている。トム・コットン上院議員とジョン・キーン退役大将だ。当然のことながらふたりとも「親イスラエル」で好戦派。
コットン議員は売り出し中の好戦派だが、キーンは筋金入りのネオコン。フレデリック・ケイガンとロバート・ケイガンの兄弟、フレデリックの妻であるキンベリー・ケイガン、ロバートと結婚したビクトリア・ヌランドのネオコン一族と親しいことでも知られている。
トランプはアフガニスタンからも撤退するとしているが、キーンは2017年6月にアフガニスタンへ1万名から2万名の部隊を送り込むべきだと語っていた。
キンベリーはISW(戦争研究所)の創設者で、戦争ビジネスと緊密な関係にある人物。2011年9月から12年11月までCIA長官を務めたデイビッド・ペトレイアスとも親しい。
ペトレイアスはリチャード・チェイニー、ドナルド・ラムズフェルド、あるいはヒラリー・クリントンに近く、エル・サルバドルで死の部隊に心酔した人物。そこで死の部隊を指揮していたジェームズ・スティール大佐と知り合う。当時、ペトレイアスはウエスト・ポイント(陸軍士官学校)の教官を務めていた。
ペトレイアスは2002年から04年にかけて第101空挺師団の司令官としてイラクでの戦闘に参加、08年から10年までは中央軍司令官を務め、CIA長官になる。その際、彼はスティールをイラクへ連れてきて特殊警察コマンド、つまり死の部隊の訓練を実施させた。
ビクトリア・ヌランドは言うまでもなくウクライナのクーデターで最前線にいた人物。当時は国務次官補だった。このクーデターはネオ・ナチであるステファン・バンデラ派が中核グループを形成していた。
このクーデターでバラク・オバマ政権はウクライナ東部や南部を地盤とするビクトル・ヤヌコビッチ大統領の排除には成功したが、クリミアの制圧には失敗してしまう。当然のことながらヤヌコビッチの地盤ではクーデターに反発、離脱の動きが進んだためである。
オデッサではクーデターに反対する住民が惨殺されたが、そうなる前にクリミアの住民は動いた。クーデター体制からの離脱は圧倒的な住民の意思だった。周囲を海に囲まれているということもあり、オデッサのような事態は避けられたのである。思考回路をアメリカ支配層に支配されている人々はこれを「併合」と呼ぶ。現在、クリミアの住民は平穏な生活を送っているが、反ロシア、嫌ロシアの人々はオデッサの住民のようになるべきだったと考えているのだろうか?
ウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)でもクーデターに反発する住民は多いが、戦乱で多くの難民が出た。逃げ込んだ先はロシアだ。そのドンバスに対する軍事的な圧力をキエフ軍は強めている。
ウクライナにはアメリカの空挺部隊やイギリスの特殊部隊が入り、クーデター政権を支えているが、ここにきてウクライナの軍事力増強に力を入れているのはイギリス。オバマ政権が終わりに近づいた2015年には軍事訓練のプログラムをスタートさせ、イギリス軍から派遣された教官は9500名のウクライナ軍兵士を訓練している。ドンバス側によると、イギリス軍は化学兵器を使おうとしているという。
そうした中、11月25日にウクライナ軍のガンボート(砲艦)2隻とタグボート1隻が手続きを無視して無断でロシアが領海と定めているケルチ海峡へ入った。撃沈されても不思議ではない状況だったが、ロシア軍は拿捕することに成功する。
その事件が引き起こされる前日、NATOは大規模な軍事演習、トライデント・ジャンクチャーを実施している。ちなみに、ウクライナの紋章は三つ叉の矛(トライデント)だ。ケルチ海峡での展開次第では軍事衝突に発展した可能性がある。
ロシアはウクライナ/NATO軍の攻撃に備え、クリミアの防衛力を強化している。シオニストのうちヒラリー・クリントンを担いでいたグループが主導権を握り、キーンが次期国防長官になった場合、ウクライナの情勢が緊迫化する可能性がある。