モラレスは昨年11月10日、ボリビア軍の最高指揮官だったウィリアム・カリマンから「最後通牒」を受けて「辞任」を強いられた。事実上のクーデターだが、それにはカリマンのほか、マンフレド・レイェス・ビラ、レンベルト・シレス・バスケス、ジュリオ・セーザ・マルドナド・レオニ、オスカル・パセロ・アギレ、テオバルド・カルドソ・ゲバラといった軍幹部が参加している。
こうした軍人はアメリカが手先になる軍人を育成するために創設した治安協力西半球研究所(WHISCまたはWHINSEC)で訓練を受けた経験の持ち主。この軍事施設はかつてSOA(南北アメリカ訓練所)と呼ばれていた。ラテン・アメリカで繰り返された軍事クーデターはここで訓練を受けた軍人が中心的な役割を果たしている。
クーデターを実行した軍や警察を後ろ盾とし、ボリビア上院の副議長だったヘアニネ・アニェスが「暫定大統領」を名乗った。この人物はキリスト教系カルトの信者。「暫定政権」がイスラエルとの国交回復も打ち出したのはそのためだろう。
2013年4月14日に彼女は先住民の伝統行事を悪魔の儀式だと主張、先住民は都市から乾燥した高原地帯へ行けとツイッターに書き込んだ。しかも暫定政権はクーデターに抗議する先住民を虐殺、中央銀行から金塊や現金を持ち出したともいう。
少なからぬ人が指摘しているが、アメリカがクーデターでボリビアを再び支配しようとしたのは電池を製造するために需要が急増しているリチウムにあると見られている。その資源はボリビア、チリ、アルゼンチンにまたがる地域に存在、ボリビアだけで推定埋蔵量は世界全体の5割から7割。電池自動車の実用化が進んでいる中国がボリビアとの関係を強めていた一因はそこにある。
アメリカの支配者にとって「公正」で「民主的」な選挙とは、自分たちにとって都合の良い結果になったものだけ。今回の結果はアメリカの支配者にとって都合が良いとは思えず、何らかの介入があるだろう。モラレスを排除したクーデターの主体であるボリビアの軍や警察、そしてキリスト教系カルトは健在であり、その背後にはCIAが存在している。