ロシア軍はFAB-1500爆弾、またはFAB-3000爆弾をオデッサのチョルノモルスクに投下、8カ所の目標を破壊、その攻撃で約20名のイギリス人傭兵を殺害したと伝えられている。攻撃の強度が上がっている。ウクライナの黒海に面した港は封鎖され、黒海を回避した輸送ルートのドナウ川に面したレニ港やイズマイル港もロシア軍は破壊している。イギリス政府はウクライナがイギリスの長距離巡航ミサイルを組め立てられるように、機密技術情報をウクライナへ提供すると言われている。
攻撃の対象も変化している。 ウクライナ政府は以前から全てのショッピング・センターの地下倉庫をドローンの組み立て工場に改造、そこから民間の配送用トラックに積んで運び出し、発射してきた が、ロシア軍はそれらを攻撃してこなかった。ところがロシア軍はそれらを攻撃し始めている。破壊されたトラックがドローンを積んでいることはウクライナの救急隊員が撮影した映像に記録されている。
ドローンが戦闘の中心になったことから大規模な戦闘部隊の移動はリスクが高くなり、ドローンの操縦兵を攻撃しながらじっくり攻める戦術に変化している。ロシア軍も戦術を変更しているが、着実に進撃している。真綿で首を絞めるようにロシア軍はウクライナ/NATO軍を締め上げ、ウクライナ/NATO軍は兵器も食糧も枯渇状態だ。
ウクライナ/NATO軍のミサイル不足は深刻なようで、ウクライナのセルゲイ・コレツキーは日本政府に対し、迎撃用ミサイルの供与を求めていたが、木原稔官房長は8月24日の記者会見で、ウクライナに自衛隊法上の武器の移転を行うことは考えていないと述べた。
防弾チョッキや自衛隊車両とは違うということのようだが、ウクライナでの戦争はロシア軍が圧倒的に優勢で、ウクライナ/NATOが勝利することは難しいことを高市早苗政権も理解したのかもしれない。2014年2月のバラク・オバマ政権がキエフで仕掛けたクーデターによって始められた対ロシア戦争はロシア軍の反撃で無惨な失敗に終わりそうだ。その反撃について官房長は「国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」だとしている。彼の言う「国際秩序」とはアメリカが支配する秩序であり、日本がアメリカの属国だと公言したに等しい。そのアメリカもウクライナでNATO軍がロシア軍に負けたことを理解して戦闘から距離を置き、戦争ビジネスに徹している。
そうした中、 新たな戦場として東アジアが注目されている。現在、核戦争が勃発する可能性が最も高いのは東アジアだと語っているのはアメリカ海兵隊の元情報将校でUNSCOM(国連大量破壊兵器廃棄特別委員会)の主任査察官を務めたスコット・リッター だが、ロシアのウラジミル・プーチン大統領も東アジアの軍事的な緊張が高まっていることを理解しているはずで、択捉島への訪問は日本に対する警告だろう。
そのロシアは朝鮮との関係を強化、両国は包括的戦略パートナーシップ協定を締結、2024年12月に発効した。それに基づいて朝鮮軍は1万から1万3000人程度をロシアへ派遣し、クルスクへ軍事侵攻したウクライナ軍を撃退する作戦に参加させ、目的を達成している。ここにきて3機の朝鮮製のKN23弾道ミサイルがドニプロペトロウシク州で攻撃に利用され、ウクライナの冶金工場「アルセロールミッタル」が破壊されたともいう。
今でも数千名の朝鮮軍兵士がロシアに駐留、その中にはドローン部隊も含まれているようだ。この規模の朝鮮軍でウクライナの戦況が変化するとは思えず、部隊の派遣は実戦経験を将兵に積ませ、ミサイルやドローンのテストが目的だろう。
アメリカは朝鮮との戦争を想定した軍事作戦を作成している。1973年には朝鮮軍の侵攻に備える目的で「OPLAN5027」され、その後の見直しで、朝鮮との戦争が勃発した場合、日本の基地が使われることも明確にされた。
1998年に改定された「OPLAN5027-98」では、金正日体制を倒して国家としての朝鮮を消滅させ、韓国が主導して新たな国を建設することを目的とされている。この内容は1998年11月に外部へ漏れて問題になる。
1998年8月に朝鮮は太平洋に向かって「ロケット」を発射、日本上空を通過し、第1段目は日本海に、また第2段目は太平洋に落下。この実験に関する情報をアメリカは遅くとも2週間前につかんでいたのだが、少なくとも表面的には沈黙していた。(豊下楢彦著『集団的自衛権とは何か』岩波書店、2007年)
テポドン発射実験の3週間前、ミサイル防衛の前身であるTMD(戦域ミサイル防衛)関係予算の次年度計上を防衛庁が断念することもありえるという言われていたが、この実験で状況は一変した。そのため、アメリカ国防総省の関係者はこれを「金正日のプレゼント』だと快哉を叫んだという。(豊下楢彦著『集団的自衛権とは何か』岩波書店、2007年)
1992年2月に作成されたウォルフォウィッツ・ドクトリンでアメリカが日本を自分たちの戦争マシーンに組み込むことを決めたことは本ブログで繰り返し書いてきたが、テポドンの発射はそのドクトリンを後押ししたとも言える。
日本は1999年5月、朝鮮戦争に備えるため、アメリカ軍が日本や太平洋地域に駐留することを認めたが、この年、朝鮮の金体制が崩壊した場合に備えるとして新たな構想が検討されはじめた。CONPLAN(2005年6月にOPLANへ格上げ)5029である。この存在は同年8月に在韓米軍司令官が認めている。
ジョージ・W・ブッシュ政権がイラクを先制攻撃した直後の2003年4月には「CONPLAN8022」の草案が書き上げられ、11月に計画はできあり、翌年の6月、ラムズフェルド長官はこの計画を承認している。つまり、先制攻撃がはじめて認められた。(Hans M. Kristensen, “Global Strike”, FAS, 2006)この一方、朝鮮の軍事施設700カ所を「ピンポイント」で攻撃するというOPLAN5026が2003年7月に作成されている。(Ko Young-Dae, “Conplan 8022: Inside Bush’s Nuclear War Plan”, CounterPunch, April 18, 2008)
朝鮮は2003年1月にNPT(核拡散防止条約)から脱退すると宣言、05年2月には核兵器の保有を宣言、06年10月に朝鮮中央通信が「地下核実験に成功」と発表した。その後、アメリカが朝鮮を攻撃するという話は沈静化した。
ウクライナでロシアに敗北、西アジアでイランに敗北したアメリカは東アジアで戦争を始めるのではないかと言われているが、ロシアや中国を相手にして通常の戦争では勝てない。そこで核戦争になるのではないかと懸念する人もいる。そのアメリカの前に朝鮮もロシアや中国と共に立ちはだかっている。
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【 Sakurai’s Substack 】
【 櫻井ジャーナル(note) 】