中国の習近平国家主席が9月23日にアメリカのメリーランド州にあるアンドルーズ空軍基地に到着、ドナルド・トランプ大統領とメラニア夫人の出迎えを受けた。タラップからレッド・カーペットが敷かれ、そのカーペットの両側には儀仗兵が整列するという厚遇だった。その後に行われた両首脳の会談は中身がなかったが、トランプ大統領は習主席の歓心を買おうとしていたことは確かだ。
トランプ大統領は中国に対して関税攻撃を仕掛け、屈服させさせようとしたが、報復されて失敗に終わった。2024年12月に中国政府はアメリカに対するガリウム、ゲルマニウム、アンチモンの輸出を禁止、アメリカ軍はこうした重要原料を入手できなくなった。アメリカはレア・アースを中国に依存しているのだ。そこでトランプ大統領は2025年11月、習主席と貿易分野の休戦で合意した。アメリカ政府は中国政府と全面衝突することはできない。
アメリカのバラク・オバマ政権は2014年2月にキエフでネオ・ナチを利用してクーデターを実施、ロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスのパイプラインを断ち切った。 さらにロシアからドイツへ天然ガスをバルト海経由で輸送する「ノードストリーム(NS1)」と「ノードストリーム2(NS2)」は2022年9月26日から27日にかけての間に爆破された。
これでヨーロッパは安価なエネルギー資源の供給源を奪われたが、ロシアは中国を新たなマーケットにする。リスクの高い西アジアからの輸送を少なくしたい中国としては、隣国のロシアからエネルギー資源を入手できることは大きい。ロシアから中国への天然ガスや石油の輸送はパイプラインが利用され、アメリカ軍による妨害を受けにくい。
アメリカが中国と経済戦争を本格化させた場合、レア・アースを入手できないだけでなく、中国人エンジニアがアメリカからいなくなるという問題もある。公教育が崩壊しているアメリカでは生産現場の技術者を中国に頼っている。
アメリカをはじめ西側では1970年代からメディアやアカデミーの支配が推進され、言論統制の強化、洗脳も進められてきた。新自由主義も導入され、そのひとつの結果として庶民が学ぶ公教育のシステムが崩壊して知的レベルが低下したのだ。
その実態をアップルのスティーブ・ジョブスは2010年の秋にバラク・オバマ大統領に語っている。オバマから工場をアメリカで建設してほしいと頼まれたジョブスは拒否したのだ。
ジョブスによると、アップルは中国の工場で70万人の労働者を雇っているが、その工場を機能させるためには3万人のエンジニア必要。アメリカでそれだけのエンジニアを集めることはできないというのだ。アメリカで工場を作って欲しいなら、それだけのエンジニアを育てる教育システムが必要だというのだ。生産力が貧弱なら戦争にも勝てない。関税の操作だけで製造業を復活させることはできない。教育システムを立て直さねばならず、そのためには社会のあり方を変えねばならない。富を集中させる新自由主義を放棄しなければならないのだ。
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【 Sakurai’s Substack 】
【 櫻井ジャーナル(note) 】