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2004年04月13日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 昔、上林暁という高知県出身、東大英文科卒の私小説作家がいた。ストイックなまでに身辺小説に拘った作家であったが、自らが苦渋30年と言うように若い頃はかなり経済的に苦労をした。たしか太宰治などより10歳ぐらい年上だった思う。

 書いた小説が売れず、それがために家計が年中苦しい。あるときかなりの出世をした友人がひょっこり訪ねてきた。自慢めいた話の数々を聞かされるにつけ、それまでどうにか相づちを打っていた妻はとうとううつむいてしまった。
 上林には貧乏だが文学という胸を張って自慢できる後ろ盾というのがある。いつか世間を驚かすような名作を発表し、友人たちを見返してやるんだという夢がある。だから友人の自慢話も別世界の話とさらりと流せるのだが、妻にはそうした後ろ盾となるものが何もない、そのことを知った上林は、今更ながら妻のことをいとおしく思い、妻のことを可哀想に思うのである。

 上林暁には「聖ヨハネ病院にて」という終戦直後の物のない時代、闘病生活の妻を介護する秀作がときに有名です。まじめな人であったらしく、何事にも逃げず、真っ向から立ち向かった人のようでした。作品のところどころに愛妻家としても言葉が散りばめられています。





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最終更新日  2004年04月13日 08時58分32秒
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