2005/03/18
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テーマ: 社交ダンス(8436)
カテゴリ: アートのはなし
「ミュシャ展」を出て、次に向かったのは国立西洋美術館で開催中の「ラ・トゥール展」です。世界的な画家らしいのですが、日本ではあまり知られていません。

17世紀、フランスのロレーヌ地方に生まれたジョルジュ・ド・ラ・トゥールは、「夜の画家」といわれています。日本で関ケ原の戦いがあった1600年、同じロレーヌで私の大好きなクロード・ロランが生まれていますが、それとほぼ同じ時代、1593年に生まれ、ルーベンスやフェルメールとも時代がかぶっています。

生まれは、パン職人の家。修業して売れっ子画家となり、貴族の娘と結婚して、名前に「ド」が付くようになります。ルイ13世に大変気に入られ、彼の絵を飾るために、部屋にある他の絵画を全部取り払ったという逸話が残っているくらいですから、当時は素晴らしい名声を得ていたに違いありません。

それがなぜ、歴史の闇に埋もれたかというと、17世紀の30年戦争を始めとした数々の戦乱で400点近くあったとされる作品のほとんどが失われてしまったのです。20世紀になって、劇的な形で再発見されましたが、現在、世界に40点ほどしか作品が現存しません。そして、その貴重な作品の一点を、2003年、西洋美術館が買いとったのでした。この展覧会は、それを記念して開催されたものだということです。

「夜の画家」、その名にふさわしい、なんと神秘的な絵でしょう。ロウソクの光の、小さな世界の中だけに展開する物語は、さまざまな想像をかき立ててくれます。

LaTour.jpg
中でも私のお気に入りは、このチケットにも使われている「聖ヨセフの夢」です。まどろむヨセフの前に、愛らしい天使が現れます。ロウソクの光が天使の手の中で揺れています。光から、暖かさが伝わってきそうです。

もう一つのお気に入りは、「手紙を読む聖ヒエロニムス」。ロンドン、バッキンガム宮殿の王宮コレクションです。赤い衣をまとった聖ヒエロニムスは、眼鏡を使って手紙を読んでいます。光がその薄い紙を照らして、裏に文字が透けています。

不思議な余韻に包まれて、特別展を出て、常設展に向かいました。ここには、冒頭にも述べた私の大好きなクロード・ロランの 「踊るサチュロスとニンフのいる風景」 があります。国立西洋美術館に来るたびに、ちょっと奥まった、ルーベンスの壁の裏側にあるその絵に、私は一目散に向かうのです。



左側に大きく開けた理想的な空と雲、右側には木々が生い茂り、足下では妖精達がダンスに興じています。私の心はすっかり満たされて、体にエネルギーが沸いてくるのを感じました。

フランス美術 Fセット フランス美術 切手 Fセット

抽象画家ピエール・スラージュの絵画のセット





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Last updated  2005/03/18 12:02:36 AM
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