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最近「カンヅメ」に憧れるようになりました。缶詰じゃありません、カンヅメです。そう、作家先生とかがホテルの一室に閉じこもって(あるいは閉じ込められて)、非日常の世界に身を置き、ひたすら創作活動に没頭するという、アレです。
実際のカンヅメがそんな生やさしい話ではないことは、小説のあとがきなどを見ると明らかで、いかにして編集者の目を盗んで脱走するかに血道を上げている作家も多いのですが(^_^;。
エンゾーごときがそんなに落ち着く場所が欲しいなら、自宅のトイレに引き篭もってればいいじゃないかという話もありますが、人間は易きに流れるものであり、手を伸ばせばテレビもジュースもiPadもあるような場所では、ちょっと思考が膠着してくるだけで、簡単に悪魔の誘惑に負けます。エンゾーの場合、はっ!と気がついたらヤフオクで買いもしないカメラやレンズを延々と検索していることが多いです。つまり、パソコンすらないような場所が一番ってこと。
実際のところ、狭い会社では図面を引く場所の確保が困難な上、あまりにもうるさすぎて、アイデアを煮詰めていく作業が全く出来ません。今まで「ホテルみたいに満足なデスクもないようなところで、よく仕事がはかどるな」と思っていましたが、今はなんとなくその気持がわかるようになりました。理想は、そういう思索に耽ることができる空間をオフィスに作ることなんですが、そんな日が来るのはいつのことやら。
ところで一説によると、カンヅメとは「缶詰」ではなく「館詰め」と表記するそうで、その昔、ホテルなどという洒落たものがなかった時代に、文筆家が旅館に何日も泊まりこんで創作活動を行ったことが語源とか。なるほどと納得出来る話ですが、あくまでも俗説ですので、常用語ではありません。
ちなみに、エンゾーが子供の頃家族と良く通っていた湯治場で、熊本は阿蘇の山懐に『山口旅館』というひなびた温泉宿があります。今でこそ立派な旅館ですが、ほんの15年ほど前までは「蘇峰館」という非常に古い木造棟が建っていました。
「蘇峰館」は、ビー玉を床に置いたらどんどん加速して転がっていくような傾き具合で、近代的な快適さとは無縁の狭い畳部屋でしたが、その一室から見える清流と山の谷間の緑は絶景で、ここに北原白秋や与謝野鉄幹といった名だたる文人たちが泊まって、せせらぎに耳を傾けながら創作活動に没頭した気持ちがよく分かる、味わい深い宿でした。残念ながら、老朽化に伴い取り壊され、すっかり新しくなってしまいましたが…。
そう言えば今月から、福岡のランドマークでもあるホテル「JALリゾート・シーホーク」が、新しく「ヒルトン福岡シーホーク」として生まれ変わりました。20億円もの改装費をつぎ込んでのリニューアルということで、(外観に変化はないのですが)中がどのようになったのか興味があり、
「いっぺんくらい頑張って泊まってみたいなあ。どお?」
と相方に水を向けたら、 段違い平行棒
みたいな眉毛で
「はあ?福岡の外に出ないなんてあり得ない」
と一瞬で却下されました。
相方にカンヅメのロマンは理解出来ないのであった…。
P.S.
福岡・東京・大阪方面で、カンヅメ向きのホテルや旅館があったら教えて下さい。泊まる財力がエンゾーにあるかどうかは、とりあえず置いときます(笑)。
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