Flatのガンプラ製作日記

Flatのガンプラ製作日記

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

flat2775

flat2775

Calendar

2021.04.14
XML
カテゴリ: 本の感想
書籍の感想です。
今回は「額を紡ぐひと」です。


額を紡ぐひと/谷瑞恵【3000円以上送料無料】

お仕事小説大好きなフラットです。
しかも職人とかチョー好き。
デパートのフェアで寄木細工の職人さんが来ていたことがあって、
ずっと見ていたら、職人さんが子供にしてくれない寄木の端切れを
私にくれました。


さて、この作品。
額装師、簡単に言うと額縁屋さんのお話です。
額装師の夏樹(女性です)はオーダーメイトで、なんでも
額装してくれます。
普通額縁と言えば絵とか平面的なものの周りを彩る存在だと
思いますが、「何でも」なので、立体的なものでも額装します。
しかも、その額装しようとしているものの本当の意味を
理解しないと、ぴったりなものが作れないので、本人の生い立ちや
抱えている悩み、額装しようとしているものの意味をとことん
掘り進めます。

例えば第一話の「宿り木」。これは本当は父親との絆を示しています。

なってしまい、その後、音信は途絶えていました。
父親は依頼主の前に顔を出すことはしないものの節目に宿り木を
置いていったのです。
その父の遺品の中にあった宿り木。しかし、依頼主と父との関係は
ある理由から秘密です。

込められたものとなったのです・・・

という感じで結構好きな展開なのですが、全体的にちょっと重いです。
主人公である夏樹自身がある理由で婚約者を亡くし、その婚約者が
額装師であったこともあり、もしかしたら婚約者のことが分かるかも
しれないというすがるような気持ちで額装師を努めているのです。
彼女の中で時は婚約者が亡くなった5年前から動いていません。
しかも、婚約者が亡くなったことに関係があるかもしれない人物に
出会ってしまい、現在はカレー店を営んでいる彼を日々観察する毎日です。

婚約者の何かが得られないかともがいてもがいて苦しむ姿が随所に
出てきて、読んでいて苦しかったです。

カレー店を営んでいる彼も悩んでいて、夏樹が気になっている純という
表具店の息子もひょうひょうとしつつも大きな悩みを抱えているのです。

額装がすべてを解決、などといった魔法のような調子の良いことはありません。
もがいた先に、「先に進んでも良いんだ」というある種の割り切り、諦観、
理解、納得、みたいなものが得られ、物語は終わります。

額装がいくつも出てくるのですが、それぞれのバックグラウンドまで
理解して作る姿はとても素敵で、「夏樹の額装は祭壇のようだ」という
表現はとても神聖なものに感じました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.04.14 20:41:13
コメント(0) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: