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申し訳ありません。しばらくお休みをいただきます。今後とも宜しくお願い申し上げます。
2008年07月30日
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北京五輪の開幕まであと10日に迫りました。夏の風物,高校野球の甲子園大会も8月2日から始まります。うだるような暑さにはうんざりですが,スポーツのわきでる熱さは心身に栄養を与えてくれそうです。 東京,ソウルに続き,アジアで3度目となる夏季五輪。古都北京を縦横にめぐる地下鉄ができ,真新しい競技場が集まる五輪公園内には選手村も開村しました。期間中,約50万ともいわれる外国人の受け入れ準備も最後の追い込みです。 急激な再開発がすすむ一方で,昔の風情を残す町並みが失われています。 「胡同」(フートン)と呼ばれる細い路地もそのひとつ。ここには伝統的な家屋があり,季節を感じさせる物売りの声が響き,素朴な庶民の生活が息づいています。 50万年前,すでに人類が生存していた北京。 戦国時代に燕(紀元前11世紀-13世紀)が都城を置き,1200年代公判には元のフビライが大都を築きました。明や清王朝,戦争を経て1949年,中華人民共和国の建国が宣言されます。 悠久の歩みを刻みながら,近代都市へと変貌していく地,北京。ここはまた,平和と安定の勢力がつづく北東アジアの中心地でもあります。そこで平和の祭典を成功させることは,大きな意義があるでしょう。 世界中から集う人々が,ひずみを抱えながら変わりゆく北京の風をどう受けとめ,感じるのか。五輪の話題といえばメダルの行方だけ,では淋しい。 スポーツの醍醐味を楽しみつつ,歴史と現代に思いをめぐらせたいものです。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月29日
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連日,ニューヨーク原油先物市場,WTI価格が最高値圏で推移しています。国内のガソリン価格は7月から1リットルあたり180円台に,年末には200円台になるだろうという有り難くない予想もあります。 日本の原油輸入価格は,2002年平均の1バレル24.63ドル(運賃込み)でした。2003年3月,アメリカがイラクに攻め込んで以降,うなぎのぼり,現在135ドル前後です。わずか6年間で5.5倍です。底値時(1998年平均13.93ドル)に比べてほぼ10倍です。 その要因には,投機マネーとともに,戦争があります。 2001年ノーベル経済学賞受賞のJ・E・スティグリッツ氏は,近著『世界を不幸にする戦争経済』(徳間書店)で,「イラク戦争が原油高を引き起こした」と指摘しています。 「だいたい原油高の半分はイラク戦争によるもの」として,アメリカだけでも2015年までに1兆6,000億ドル,日本も3,700億ドルの負担増になると試算しています。 いずれも1バレル100ドル前提の試算ですから,現時点では4割増以上です。 同書では,イラク戦費はアフガニスタン侵攻費用を含めて総額3兆5,000億ドルに達するとされています。一方では,その分収益をあげている勢力(軍産複合体,石油産出国等)があるわけで,天文学的な巨費がファンドに還流しているのが実態でしょう。 石油目当ての戦争は,アメリカの財政と経済を破綻させ,世界市民を物価高騰で苦しめるもとになっています。 一刻も早く終結させなくてはなりません。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月28日
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「この10年,自衛隊の激動の時期に,大きく貢献してきたのが守屋(武昌・前防衛事務次官)さんだった」(元幹部自衛官)。 東京地裁であった防衛省汚職事件の公判(7月18日)では,情状証人として元自衛官や防衛族議員ら4人が出廷しました。収賄などの罪に問われた守屋武昌被告の「国益への貢献」を口々に強調しました。 「寛大な判決を」というわけです。 最終的に3,700億円を費やした新型支援戦闘機の日米共同開発。当初,日本の負担は1,600億円と見られていましたが,アメリカがその倍以上の負担を求めてきたといいます。そこで守屋武昌被告が交渉し,約1,000億円を減額したという話を紹介し,「これだけ国に利益を与えた」と。 他にも「PKO活動など,自衛隊の海外活動を実現した。守屋(武昌)さんの時代に自衛隊の性質が変わった」(北朝鮮の工作船事件で)海上警備行動を円滑に発動できるよう,守屋(武昌)さんが官邸との連絡役を務め,立派に国益を守る職責を果たした」…。 刑事裁判の構図は,検察官が公の利益を代表し,被告人の処罰を求めて裁判所に訴えるものです。 ところがこの日は,被告人側が「国益」を連発。両方が公益を主張しあっているような錯覚にも襲われました。 海外派兵や防衛「省」昇格など,この間自衛隊が大きく姿を変えてきたことは,証人らが語る通りです。しかしながら,守屋武昌氏らが実現したという「国益」は誰の利益なのか。 少なくとも「民の利益」ではなさそうです。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月27日
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東京・永田町界隈の怪しい話…。 「本来,罰せられるべき人は,もらった人ですよね。そして使った人」。 日歯連ヤミ献金事件で,有罪が確定した村岡兼造元官房長官(76)の言葉です。 日本歯科医師会の政治団体である日歯連側から,2001年7月,東京都内の料亭で,橋本龍太郎元首相らが1億円の小切手を受け取りながら,政治資金収支報告書に記載せず,政治資金規正法違反の罪に問われていた事件です。 料亭には,橋本龍太郎元首相のほか,旧橋本派(現島津派)幹部の青木幹雄・前自民党参議院会長,野中広務・元自民党幹事長らが同席していました。 しかし,口をそろえて「小切手なんか見ていない」。 結局,政治家で起訴されたのは村岡兼造氏だけ。「なんで,おれだけ」とぼやく村岡兼造氏。1億円の小切手は幻だったとでもいうのでしょうか。 この事件では,自民党の政治資金団体「国民政治協会」に献金したように装い,特定の政治家に裏献金する「迂回献金」疑惑も浮上しました。 日歯連の元会計責任者は,迂回献金の事実を認め,その仕組みについて,「会長から指示があり,国民政治協会に持っていく。窓口は,自民党の事務局長」と詳しく説明しました。 …が,検察当局は,自民党有力政治家らの迂回献金疑惑には,メスを入れませんでした。その後も事務所費問題などが噴出して後が絶ちません。 自民党の,「世にも不思議な政治とカネの物語」には「おわり」がないようです。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月26日
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テレビで自転車競技「ツール・ド・フランス」の中継放送を見ていました。選手たちは峠をめざして登って行きます。あたりは,アルプスの麓ののどかな風景です。と,急に揺れが来て現実に引き戻されました。 震源は,東京から遠い岩手県沿岸の北部。またも東北地方の地震です。6月の岩手・宮城内陸地震のつめ跡はまだ生々しい。 先週末には,福島県沖の地震で津波注意報がでたばかりです。 「こんな大きな揺れは初めて」,「なにかにしがみつこうと必死だった」…。 恐怖の覚めやらない表情で振り返る人。転んだり階段から落ちたりして負傷する人が相次ぎました。反面,住宅の被害は少ない。震度6強は,約6,500戸があ全・半壊した昨年7月の中越沖地震と同じです。今のところ,住宅の全・半壊はないようです。揺れ方の違いといいます。 筑波大学の地震防災・構造動力学研究室が,インターネット上でこんな模型実験をしています。 震度6弱ほどで,まずは周期0.5秒以下のごく短い揺れ。人間は倒れますが,家は平気です。次に周期1秒-2秒の揺れ。家だけが,あっという間に倒れます。高層ビルが弓なりに反る,周期2秒-5秒の揺れの実験もあります。 岩手中部地震の場合,人がとりわけ激しく感じるごく短い揺れが強く,家屋を倒すやや短い揺れが弱かったそうです。 もし逆だったら,家に押し潰される犠牲者が多かったかもしれません。 先の実験は,まず住宅の備えを固めるよう全国に警告します。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月25日
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大阪・船場に生まれ地唄で人間国宝になった菊原初子氏によって「古典を勉強する会」と言う古典の地歌を聞かせてくれる会があります。 菊原初子氏が102歳で亡くなってからも後継者によって続けられ今年は第49回であった。 数々の地歌の古典を聞くと,元禄の頃に花開いた上方文化の中で,舞台ではなく,浪速の商人が築き上げた文化の奥深さを感じます。琴と三味線と胡弓そして尺八で奏でられる音楽の中に,歴史を経て今に残る大阪の文化を実感できるのだが,今年はひとしお上方文化を考えながら聞き入ることになった。 この会に出演している演奏家たちは,数人のグループでリサイタルを開くことがあります。そんな時にワッハホールを使います。このホールは大阪府立上方演芸資料館にあります。大阪府の橋下新知事の「大阪維新プログラム案」で,この資料館を移転縮小するという。さらに関係者に「世界の図書館」と言われている国際児童文学館は,図書を中央図書館に移して廃止される。 上方の芸能は民営の「吉本」でと考えているのだろうか。 橋下氏は,道州制が目的であり,そのために大阪府をつぶすのだと公言し始めています。大阪の暮らしと文化に直接関わる府議会が1日より始まっています。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月24日
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「家計でも旦那のパチンコ代を奥さんは無駄だという。奥さんが通信販売で高い化粧品を買っても旦那は無駄だと…。」 自民党の与謝野馨氏(党税制調査会小委員長)の話です。 与謝野馨氏は,次のように唱えます。ことほどさように,なにが無駄なのかは「人の価値観による」ので,予算の無駄をゼロにすると言わない方がいい…。しかし,与党の政治家の言葉にはご用心を。 人の「価値観」の自由を重んじるような口ぶりですが,下心がみてとれます。 日頃“増税派”の考えを隠さない与謝野馨氏です。“同じ財政再建でも,予算のどこを削るか論争するひまがあるなら消費税の増税を急げ”が本音でしょう。 実は,福祉や医療はさんざん削ってきたのですが。 与謝野馨氏のたとえを借りると,大阪の橋下知事はひとつの「価値観」に凝り固まった人らしい。予算を切り詰める「大阪維新」案を打ち出しましたが,削るのは福祉・医療や教育で,温存するのは大型開発です。 とてもはっきりしています。 仮に,妻か夫か,どちらかが重病にかかったとしましょう。夫はパチンコ好きだからと,妻は化粧品が欲しいからと,連れあいの医療費を削るでしょうか。 同様に,福祉や医療は住民の命綱です。 しかし,橋下知事は,いちだんと「価値観」をみがきます。大阪府はもっぱら産業政策をうけもち,住民サービスは市町村へ,と。 なんのことはない,大阪府はまるで経済産業省や国土交通省の下請けのようです。政治家や大企業の利権と癒着がはびこる,無駄な行政の。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月23日
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プロ野球も前半戦の大詰めに。セ・リーグは,大方の予想に反して阪神タイガースがぶっちぎりの首位を独走し,7月22日現在11.5ゲームの大差をつけています。 一方,パ・リーグは首位から6位までが相変わらず混戦模様。 ところで,タイガースの好調ぶりから,球団としても“グッズ”の営業に力を入れています。しかし,業者の反応が鈍くてなかなか思惑通りにいかないといいます。 これまで阪神球団は人件費の安い中国で製造していましたが,人件費の上昇で生産拠点を東南アジアに移行してきました。 ところが,「原油高で生産コストが大幅にアップした。しかも,商品を船で運ぶ輸送コストがここにきて猛烈に上がってきた。ウン百円単位のグッズを売っても儲けにならない,という業者さんが増えている」(夕刊フジ-7月8日付電子版) 同紙によると,2003年の18年ぶりの優勝のときは,タイガースグッズを作らせて欲しいという業者が球団事務所に殺到しました。優勝と同時に完売し,30億円の売り上げを記録したといいます。 投機マネーの暴走による原油高騰は世界中の怨嗟の的になっているのに,先の洞爺湖サミットでは,アメリカの強い反対もあって,有効な規制策に踏み込めませんでした。このまま投機マネーの横暴を放置したら,その悪影響は計り知れません。 “六甲おろし”のような怒涛の怒りの声を世界中で高め,原油高騰にストップをかける必要があります。 ↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月22日
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福田康夫首相の好きな言葉は「目線」です。 総理就任直後の所信表明以来の決まり文句になり,通常国会終了後の記者会見ではわずか15分間の冒頭発言で8回も乱発,7月4日の閣僚懇談会でも「国民目線で無駄の根絶」と述べました。 「目線」で悪評がたったのは前任者の安倍晋三氏です。 総理記者会見で見せたのは,テレビカメラをじっと見つめる「カメラ目線」。「国民への強いメッセージを発する姿勢を示す」という側近の言で実行したものの,「気持ちが悪い」と言われて早々に撤退に追い込まれました。 福田首相が「国民目線」を強調するのは“国民の声など眼中になし”で「KY(空気読めない)内閣」と呼ばれた前政権との違いをアピールするためでした。 「国民の視点に立って」という言い回しを避け,「目線」としたところに戦略が伺えます。 ただ,実際の福田政権は,海上自衛隊のインド洋での給油活動再開やガソリン値上げの道路公団特措法で「はじめに2/3ありき」と衆議院での数の力を頼む,前政権も顔負けの問答無用ぶりです。 後期高齢者医療制度でどんなに批判されても,国民の声に耳を傾けず,いまや消費税大増税まで虎視眈々です。 洞爺湖サミットでも,地球環境や食料問題など,深刻で,国民の関心も高い問題が話し合われました。ここで福田首相はみせる「目線」は,国民から大きくかけ離れたものでしたので,やはり「口先」だけと言わざるを得ません。 一体,どこの国の「国民目線」だったのか私にはさっぱり分かりませんでした。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月21日
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洞爺湖サミットは,文書の山をきずいて終わりました。洞爺湖サミットの折に公にされた宣言や報告書は,しめて19本におよびます。 環境・エネルギー,食料,ジンバブエ情勢,テロ,保健・エイズ,原子力の安全,・・・。 サミット8ヶ国は,世界のさまざまな事柄にかかわろうとします。文書の多さとともに,会議の積み重ねも目立ちます。 洞爺湖サミットの場合,まずアフリカ諸国を交えた拡大会合。ついで本番の8ヶ国会合。さらに,経済力をつけた中国やインド,ブラジルが加わる16ヶ国の主要排出国会議。首脳の参加国は,3日間で22を数えます。 いっそ国連の場で話し合えば二重手間を省けるだろう,と言いたくなります。サミットの会合の多さは,世界の現実を物語るのですから。 いくらサミットと取り仕切ろうとしても,ひとにぎりの大国が他国を指導す資格も力も失いつつある現実を。 けれど,もはやサミットは無用とも言い切れません。 地球温暖化にしろ,招いたのは先進国。投機マネーを操り原油や食料の価格をつりあげているのも,先進国の会社や集団です。サミットには,みずからすすんで正す,世界への責任があります。 しかし洞爺湖サミットは,対温暖化で曖昧な合意にとどめ,投機マネー規制も打ち出せませんでした。 イギリスの新聞が,食料危機について話し合うサミットで贅沢な食事を楽しむ首脳を,「偽善」とやり玉にあげました。 皮肉と言うより,責任感の薄さを見透かした痛烈な告発でした。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月20日
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ものは試し,家の電灯を消してろうそくで暮らしてみました。 環境・文化NGO(非政府組織)ナマケモノ倶楽部の「100万人キャンドルナイト」の呼びかけに応じて我が家でも試してみました。といっても,わずか2時間半ばかりの体験ですから,“暮らしてみた”は大袈裟ですが…。 ゆらゆら揺れるろうそくの火をたよりに,お茶を飲んだり,新聞や本を読んだり。テレビも消しました。 改めて分かった事柄は多い。 窓からしのびこんできる微風の肌をなでる気配が強く感じられます。涼しい。外を見ると,夜の街の明るさが余計に気になります。 暗い部屋で想像していました。洞爺湖サミットはずいぶんエネルギーを消費するだろうなと思い,調べてみました。 会場だけでなく,各国代表や報道陣の乗る飛行機の燃料,ホテルの電気などで,4,700世帯1年分と同じ量の二酸化炭素を出すほど使うそうです。 逆に,まだ電灯のつかない土地も想像しました。例えばインド。人口の30%,4億人が電気のない生活をおくっています。 しかし,人口が11億人を超え,経済も発展していて,二酸化炭素排出量は日本に次いで世界5番目に多いインド。 インドを,アメリカや日本と同列に論じられません。先進国は,自分の責任でわれ先に排出を減らし,途上国に対しては二酸化炭素の出ない太陽光や風力による発電が行き届くよう援助・協力を。 ろうそくの火の向こうに見えてきたのは,そんな世界です。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月19日
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1999年12月2日。日本プロ野球選手会は,その日を「事件」として記憶しています。 当時,ダイエーの工藤公康投手の話題でもちきりでした。同年パ・リーグの最優秀選手。チームを優勝に導いたエースに,球団は本人が衝撃を受けるほど低い評価を示しました。不信感を募らせた工藤投手は退団を決意しますが,球団との交渉に疲れ,体調を壊し入院するほどでした。 選手会が「プロ野球の明日を考える会」を催したのは,渦中の12月2日でした。 会で,力強い発言がありました。 「工藤さんのケースですけど…大きな企業であるダイエー相手に,口の立つ人を相手に,周りから一人で責められるって,本当に辛いと思う」 すでにアメリカ大リーグ選手だった,野茂英雄投手です。 「そのために選手会があるわけですから,そういうときこそ助けてあげなきゃいけないんですよ。何か打破するには,みんなが団結して行動しなければいけないと思うんです」(選手会『プロ野球の明日のために』) 野茂発言は,「選手会の活動に決定的な変化をもたらした」といいます。 そんな野茂選手が,ついにプロ生活に7月17日別れを告げました。トルネード(竜巻)投法は,偉業とともに人々の心にいつまでも残ります。 ひじを痛め思うように投げられなくなった悔しさを隠しませんが,「中途半端にしていても周りに迷惑をかける」というプロのけじめに未練がましさは感じません。 野球のあるかぎり,野茂さんの生きるフィールド(場)は無限です。18年間のプロ生活お疲れ様でした。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月18日
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偽装事件が後を絶ちません。耐震強度,請負,食品,食肉,うなぎ…。 もっとも許せないのは自民党政権の「偽装」です。 小泉政権以後の自民党政治はまさに「偽装」のオンパレードです。 「百年安心」年金プランは,年金記録漏れで「不安と絶望」の年金プランに。「今年の3月までに」照会作業を終え,「最後の1人まで支払う」という安倍政権の公約も「偽装」でした。 「無駄な道路はつくらない」と公約しておきながら,公団民営化後も税金を投入して不採算どうとの建設を続けています。 「地方分権」も,その実態は「地方切り捨て」。 地方交付税の削減で行政サービスが低下。その結果,人も企業もバブル期並みの東京への「一極集中」が続いています。東京都の人口は昨年,28年ぶりに総人口の10%を占めました。「分権」とは正反対です。 福田政権も負けてはいません。 「生活第一」と言いながら,「二酸化炭素削減のため」ガソリン税を引き上げても,道路をつくって車が走れば,二酸化炭素は減りません。 福田首相がまとめるという「五つの安心プラン」は「高齢者の方々が,活力を持って安心して暮らせる社会の構築」を謳っています。 しかし,高齢者切り捨ての後期高齢者医療制度は温存,「だれもが医療を受けられる社会」,「医師不足を解消」と言いますが,地方の病院はどんどん統合・閉鎖されています。社会保障費抑制も継続方針です。 偽装料亭は廃業に追い込まれました。偽装政権は…。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月17日
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トリニダード・トバゴ。南米ベネズエラの東,カリブ海に浮かぶ島国です。首都はポート・オブ・スペイン。しかし,インド系とアフリカ系が住人の約40%ずつを占めます。 15世紀末,コロンブスがやってきてスペイン領とされました。19世紀初めごろ,今度はイギリス領に。独立を果たしたのは,1962年です。 インド系はイギリス支配下のインドから連れてこられた人々の子孫でしょう。おもにトリニダード島とトバゴ島からなり,トバゴは先住民の言葉で「煙の出る草」,つまりタバコです。コロンブスはここからヨーロッパにタバコを伝えた,と言われます。 以来500年が過ぎ,世界は禁煙へ,禁煙へと流れています。 2004年,ブータンは国内でのタバコ販売を禁じました。翌2005年,世界保健機関(WHO)の「たばこの規制に関する枠組み条約」が発効しました。 健康を害するだけでなく,火災をおこし,ポイ捨ての清掃費もかかるタバコ。 いま,日本では,タバコ税の大幅引き上げで1箱の値段をほぼ3倍の1,000円に,という案をめぐってかまびすしい。自民党も,来年度からの増税を検討中です。ただ,自民党のなによりの関心は,健康被害の防止より予算の財源探しにあるようです。 「トリニダード・トバゴ」の「トリニダード」はコロンブスの命名で,キリスト教の「三位一体」を意味します。 どうやら,自民党流の財政も三位一体らしい。 1.消費税など庶民増税 2.社会保障費や教育費を削り,けちる 3.大企業減税や軍事費は聖域 国民の皆さん,こんなことで良いのでしょうか?↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月16日
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アメリカで日本銀行総裁にあたる人が,連邦準備制度理事会(FRB)の議長です。超大国の金融のかじとりの大元締めといえます。 そのバーナキンFRB議長が,「第二次世界大戦後でもっとも深刻な事態」と語ったのは,さる4月です。低所得者向け(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きに始まる金融不安について述べました。 戦前は?1929年の株暴落に端を発した大恐慌が浮かびます。 アメリカで1,200万人が失業し世界へ飛び火した大恐慌です。 いま,「第三次石油危機」という言葉もあちこちで聞きます。1970年代,1980年代につぐ「危機」です。いま,原油価格は2年前の倍に達しています。投機が煽り,押し上げる原油高です。投機マネーの暴走。 サブプライムローンや穀物高と,根っこは同じです。が,アメリカ政府の言い分がおかしい。投機のせいと認めず,投機の規制も渋ります。 原油や原材料の高値は,日本の景気にも飛び火してきました。食料や光熱費の値上げで,ただでさえやりくり難の家計は大変になってきています。 日本銀行の調べでは,中小企業ばかりか大企業の景気判断も悪化の一途です 1929年当時のアメリカのフーバー大統領は,市場任せの自由放任を尊びました。大恐慌の退治に失敗します。そこでのちの政権は,政府の役割をつよめるニューディール政策を編み出しました。 当時と事情は違いますが,いま,アメリカもそしてアメリカに追随する日本も政策の変えどきでしょう。 果たして,洞爺湖サミットでは,どんな話をしていたのでしょうか?↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月15日
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友人の結婚式に出席するため,韓国を訪れました。日本とは違った韓国文化の一端に触れ,感動もひとしおでした。 挙式は,新郎新婦の2人のお母さんが,手をつないで入場するところから始まりました。壇上のろうそくに火をともした後,向かい合って礼をします。新郎新婦も誓いの言葉を述べたあと,両方の親族に深々とお辞儀しました。 先祖や年長者を敬う儒教の国らしい。 西洋スタイルの式の後は,新郎新婦が華やかな民族衣装で親族に挨拶する結婚式に。新婦の衣装にかけてある白い布を2人で広げて,両親が投げるナツメの実を受け取る儀式がありました。 たくさん取れるほど,子宝に恵まれると言われているそうです。 友人が集まる二次会では,新郎への“過激な”祝福が韓国流とのこと。この日は「妻の元から逃げないように」と,新郎の足を布で縛って,棒でたたいていました。 逃げる夫も困りますが,同じ「逃げる」でも断じて許せないのは,「大企業にこれ以上の負担を求めると海外に逃げてしまう」などとして,いっそうの負担減と庶民増税を求める財界です。 日本の大企業の税と社会保険料を合わせた負担水準は,今でもヨーロッパ諸国より低いのですから。 政府は「骨太の方針」で,消費税増税宣言をしました。自民党の税制調査会は7月1日から,増税に向けた議論を始めました。 国民生活に深刻な打撃を与える消費税増税。 今こそ,反対世論を政府につきつけ,その思惑をたたきつぶしたいものです。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月14日
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美術史家の若桑みどりさんが昨年10月3日急逝しました。 その専門的業績や教育者としての功績はもちろんだが,教育基本法改悪反対運動や九条の会などに参加,あまりに早い「不意打ち」の死が惜しまれます。 若桑みどりさんは,石原都知事が東京都男女平等参画審議会委員に「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーを任命したことにも厳しい批判を展開,そのため右翼勢力から「過激フェミニスト」と攻撃されました。 それは悪意の宣伝に過ぎないが,一方で平和勢力の間でも彼女の平和論はかならずしも十分に理解されてこなかったように思われます。 遺書のひとつとなった『戦争とジェンダー』(大月出版)を読んでみると,若桑みどりさんが絶対に戦争と差別を許さなかったことがよくわかります。 彼女は,現代の戦争の原因はアメリカも日本も含めた「家父長的男性支配型国家」にあるとし,それは「人間性」,「他者への愛」,「生命の尊重」といった本来普遍的な理解を「女性的」とみなして「私的領域」に周縁化し,国家利益や戦争による生命の殺戮を「男性的」なるがゆえに「公的領域」に主流化するシステムだという。 その関係を逆転させ,男女が共有する価値観-ジェンダー平等と非暴力にもとづく平和世界構築のために女性の連帯を,と若桑みどりさんは訴えていました。 細部には異論もあろうが,性役割を超えて「女性」がつくる平和とはなにか,改めて考えさせられる提言だといえます。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月13日
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“『君とは10年間付き合うよ~』といったのに『でも来年の彼女は別に決まっているんだ』っていってるみたいで,とーっても変ですねぇ” 女性パーソナリティーの言葉に思わず吹き出し枚した。民放FM局が5月16日朝放送した番組の1コマ。「道路特定財源って何?」と題して記者に聞いたコーナーなのですが,パーソナリティーは最後まで腑に落ちない様子でした。 それほど自民党・公明党連立政府のやっていることは分かりにくい。 自民党・公明党連立与党が5月13日,衆議院での2/3以上の多数で再可決・成立させた道路特定財源特別措置法は,道路特定財源を復活させ,今後10年間維持する法律です。 福田内閣は同じ日に,道路特定財源を来年度から廃止し一般財源化するという方針を閣議決定しました。 1日の間に,まったく正反対の方向を向いたことを決めるというやり方を決めるというやり方に,国民は開いた口がふさがりません。世論に押されて「一般財源化」を公約した福田康夫首相。 しかし,無駄遣いを温存したい自民党道路族や冬柴鉄三国土交通相(公明党)の主張をいれて,この閣議決定には際限のない高速道路づくりの“証文”となる「必要な道路は着実に整備」という文言も入れ込みました。 冒頭のたとえのような矛盾したことを言えば,この女性にふられることはまず,間違いありません。 福田内閣支持率は軒並み20%前後。国民は確実に,自民党政治を見限り始めています。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月12日
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核兵器をめぐる昨年のアメリカの国民的議論で目立ったのは,核兵器はアメリカの「安全」に役立つのか,それとも世界の核拡散の引き金になるのか,という点であった。 昨年アメリカ議会調査局が出した報告書「アメリカの安全保障政策における核兵器」の分析によるものである。 要するに,ブッシュ政権がやっているように,アメリカ自身は核戦力の新鋭化を実行し,核・通常両戦力で世界中どこでも先制攻撃できる態勢を取りながら,他国に「核兵器を持つな」と迫る『二重基準』の押し付けで,果たしてアメリカの安全は保たれるかという論点です。 『二重基準』への国際的批判はいまに始まったものではないが,それがアメリカ社会の内在的議論へと移転しつつあることを裏書きしたものだろう。 報告書は,「本年醸成された核兵器問題のこの国民的議論は,来年,大統領選挙が近づくにつれて,さらに声高になりそうである」と指摘します。 ホワイトハウスは最近,核弾頭数削減を発表した。だが「減らす」分はそっくり予備貯蓄として温存される(ハンス・クリステンセン氏分析)。アメリカ政府は「核戦力は出現しつつある安全保障上の挑戦に対応するカギ」と強調し,使える核兵器への執着を露骨に示しました。 これは『二重基準』への国際的反発を気にするアメリカ世論への回答となりうるだろうか。むしろアメリカ国民からも遊離する本質的矛盾を秘めているのではないだろうか。 ところが,日本でも連日話題になっておるアメリカ大統領選挙ではこの話題が一向に聞こえてこないことが気になります。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月11日
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詩人の清岡卓行が一昨年の6月3日,84歳で亡くなってから,2年が経ちます。3冊目の遺稿集『偶然のめぐみ』(日本経済出版社)が出ています。1990年代から10年余の間に書かれた随想を収めたものである。 中国・大連に生まれ育ち,合計22年も暮らした著者にとって,その文学と詩心を磨いてゆく上で,大連がどのような位置をもつものであったかが,本書の中心的な作品「私の履歴書」や「大連をなぜ書くか-一つの自由」によく出ています。 また芥川賞受賞が48歳の時であり,その受賞作が『アカシアの大連』であったことからも,著者の大連への深い愛着を知ることができます。 作家の右遠俊郎は,清岡卓行より4歳下であるが,生まれて間もなく大連で育ちました。 『風青き思惟の峠に』や『アカシアの街に』の作品には,清岡卓行とはまた異なる感性で,青春の大連を描いていたことを思い出します。 『偶然のめぐみ』の中には,間断なくクラッシュ音楽が流れ,さまざまな色彩-近代絵画への関心に色どられています。それらとは異質のような野球の創案の話などもあって楽しい。 本書の中に,竹中郁の詩「伝言板」を引いている所がありました。その最後の3行,「いま 広大無辺な大空を書く 白い白い雲の羽根ペンで書く 先にゆく と」は,死の予感を重ねていると思えてしまいます。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月10日
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芥川賞作家又吉栄喜の『呼び寄せる島』(光文社)が出ています。 この作品は,2005年4月から翌年10月まで,1年半にわたって,琉球新報夕刊に連載された,「脚本家の民宿」を改題したものである。 26歳の主人諒太郎は脚本家を目指し,「曙脚本賞」に応募するが,4回目の落選するところからこの物語は始まる。祖父の遺産で母がマンション経営する那覇から,ライフワークの「支配者のテーマ」のモデル探しに,生まれ育った人口320人の小島,かつて琉球王国時代の流刑地であった湧田島にわたる。 そこでの民宿経営をめぐって,ストーリーが展開していくのである。作品に登場する人物はユニークで活力がある。 島伝来の秘薬で,人の病気は癒せるが,自分の病気は癒せない「秘薬おばあ」や,鶏を使いあの世の人の声を聞く「ナべおばあ」,魚の目玉を主食にし「食べると魂が光る」という「キジナムー(木の妖怪)男」,島の黒幕の支配者「長老」などなど,会話が主軸になった作品世界はユーモアをはらみながら,600ページを飽きさせない。 しかし,この作品の底には,意外に硬質で重い問題がひそんでいる。文学とは,権力支配とは,戦争の問題,人間の生と死についてである。 「人生百年はあっという間だ。退屈で戦争がしたくなったらピッケルを持って山に登れ」 これは痛烈であった。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月09日
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夏目漱石が誤字,脱字,癖字の名人であることはよく知られています。 「胡魔化す(誤魔化す)」,「商買(商売)」,「何でも蚊んでも(何でもかんでも)」,「誤楽(娯楽)」等々なんとも編集者泣かせであろう。 『直筆で読む「坊っちやん」』(集英社新書)は,生原稿で「坊ちゃん」を読むことができる,異色の本です。「漱石先生『漢字検定』不合格ぞなもし!」と本の帯に書いていますが,もちろん漱石の癖字もありますが,漱石の意図もあったこともわかります。 秋山豊さんの解説では,興味深い事実が浮かびあがります。 漱石は「子供」を「小供」と書いています。ですから本では「子供」に直されていますが,原稿を見ると「子供」という使い方もあります。漱石は「大人」に対する反対概念として「小供」を使い,「子供」は親に対する“こども”として使っていることがわかります。 漱石ブランドの力で,ずいぶん売れています。 「続け字で書く時代に植字工が拾いやすいように原稿用紙の升目にきちっと字を入れたのは漱石が初めてでは」と担当編集者の忍穂井純二さんはいいます。 今後の直筆原稿本の予定はないそうですが,出版されると困る作家もいるかもしれない,などというのは余計なお世話でしょうか。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月08日
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北原白秋著『フレップ・トリップ』(岩波文庫)は,目眩を起こすような本である。 表題はツンドラ地帯に生える潅木で,「フレップの実は赤く,トリップの実は黒い。…採りて酒を製する。所謂樺太葡萄酒である」と最初に説明しています。 本書は北原白秋が1925年8月,樺太を観光団に参考してまわった紀行文である。それが意表をついた文体で続くのである。 「心は安く,気はかろし, 揺れ揺れ,帆綱よ,空高く…」 このフレーズで本書は始まるが,最初の60ページ余りに10回以上もさしはさまれる。船客が雑談している様子を「ぽつり,ぽつり」と9行も書く。 「海豹島」の「ロッペン鳥」のすさまじい棲息状況は「鳥」の漢字を34字も連ねる。飛ぶ様子は「飛ぶ」を行頭をちがえ,活字の大きさを変えて5行にも6行にも書く。 最後の「ハーレムの王」では「膃肭獣(オットセイ)の成牡(ブル)」が海から島へ押し寄せてくる様子を「来る」を16行も連ねる。これは1頁分の行数である。 こんな表記を見ると呆れるほかはない。 山本太郎が巻末で,本書の「文体」を中心に解説している。「おびただしい名詞の羅列。形容詞の抹殺。同士の連弾発射」は,読み終わって改めて実感する。 大正という時代の中で生まれた感覚である。北原白秋は本書の中で言葉の狩猟者として踊っています。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月07日
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明治時代に出た日本初のお札の顔は,神功皇后です。 といっても彼女は実在しない架空の人でした。三世紀ごろ朝鮮の新羅を「征伐」しにいった,と伝えられます。ときの家来が,二百数十年にわたって何代もの天皇に仕えたという,これまた伝説上の武内宿禰です。 1910年に日本が韓国を併合すると,朝鮮銀行券の図案に武内宿禰が登場した,といいます。 江戸時代の末期から明治時代にかけて,神功皇后の朝鮮侵攻の絵が盛んに描かれました。書き手には,浮世絵師の広重や国芳もいます。色鮮やかな錦絵です。たくさん刷れる木版画の錦絵は,新聞のような役割も果たしていました。 昨年,東京・港区の韓国中央会館で,「錦絵から見た幕末,明治の東アジア観」が開かれていました。90点あまりを展示していました。 勝って凱旋する神功皇后。彼女にひれ伏し,金や銀を貢ぐ新羅の役人。さらに当時,豊臣秀吉の朝鮮「征伐」の絵が相次いで描かれています。 加藤清正のトラ退治や,豊臣秀吉の前で作戦を練る大名たちの評定です。やがて錦絵は,神話と歴史物から時事画へと移っていきます。 現実に,西洋式の軍服を着た日本軍が民族衣装の韓国人を撃ち殺す時代がきたのです。明治の高官や軍人が,神功皇后や加藤清正にかわって雄姿をみせつけます。 隣国を「征伐」する相手と見下していた日本のお札や錦絵は,そんな思想を煽ったのでしょう。お札・錦絵からも過去の思想教育の一端が垣間見ることができます。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月06日
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ニューヨーク。夜。女性がごみをあさる。しかし,しかし貧しい身なりではない。はて? 女性は,高校の教師です。スーパーのごみ袋から,野菜や果物が出るわ出るわ。彼女は,食べ物を買いません。ほとんど,レストランやスーパーが捨てた食品でまかないます。 NHKで再放送されました「ニューヨーク街物語」の一話です。彼女たちはフリーガンと呼ばれています。無料を意味する「フリー」と,菜食主義をさす「ビーガン」を,かけ合わせた言葉です。 拾った食材で,仲間たちとパーティーを開く。“フリーガンツアー”を催す。ツアー参加者が,興奮気味で語ります。「買いたくても手が出なかった高級で新鮮な食材が,こんなにたくさんあるなんて」。 賞味期限がきていないパンも,有機栽培の野菜もあります。 ニューヨークほどの酷さでないにしろ,わが国でも,捨てられる食品は多い。農林水産省の調べによると,工場や卸・小売店。外食店から出た食品の廃棄物は,年間で1,135万トンあまりに達します(2006年度)。うち,11%の125万トン近くが,売れ残りや返品によって生まれました。 家庭で食べる場合に日本人1人がつかう食品の量はは,平均で年間410キロほどです。食材によって重さがまちまちなので,ごく大まかな計算になりますが,125万トンは300万人分にあたります。 自給率が39%しかないというのに,これも日本のひとつの現実です。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月05日
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数年前のこと。インドを旅してきた友人から,「インドには“ありがとう”にぴったりあう言葉がない」ときました。 調べてみたら,近い言葉はありました。ヒンディー語の「ダニャワード」。しかし,かしこまっていて初めて会った人や友だちが気楽に交わす言葉ではないそうです。上司が部下をねぎらう「ご苦労」のような意味も含む,といいます。 日常用語の“ありがとう”がないのは,インドの身分制度カーストのせいともいわれます。 たとえば,階級が上の金持ちが下の貧しい人に恵んだとします。一方はお金を得て,他方は功徳を施す機会を得る。利益の交換だから,お金をもらった人も「ありがとう」と言わない,との考え方です。 そんな話を思い出したのは,自分の辞書に“ありがとう”ならぬ“すみません”と載せていないと見受けられる人がいたからです。東京都の石原慎太郎知事です。 新銀行東京の経営破たんについて,初めて謝りました。「都民に心配をかけたことは大変申し訳ない。深くお詫び申し上げる」。 インドにカースト制度があるように日本にも人に上下があると思っているのか,日ごろ,庶民を見下すふるまいや物言いが目立つ石原慎太郎知事。 ようやく謝ったものの,自分がつくった「石原銀行」への400億円のさらなる出資は最後まであきらめませんでした。破たんが避けられない銀行に税金をつぎこみました。税金をあずかる知事の仕事を,なんと心得ているのでしょう。 “ありがとう”も“すみません”も,口先だけではむなしい…。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月04日
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『イカの哲学』(集英社新書)という変なタイトルの本がベストセラーリストにあがっています。 在野の哲学者・波多野一郎(1922年-1969年)の遺稿「イカの哲学」と,中沢新一氏の「イカの哲学から平和学の土台をつくる」の二部構成です。 波多野一郎氏は学徒召集され陸軍航空隊に入隊。戦争末期,「満州」で沖縄行きの特攻隊に氏名されました。出撃の前日,死ぬ前の望みは「子どもを残すこと」と思い至り,本人もあまりに本能的結論に驚きます。 ソ連軍の侵攻で出撃は中止になり,シベリアに拘留されます。復員後,アメリカに留学。漁港のアルバイトで毎日,数万のイカを箱詰めし,イカの存在理由を考え始めます。 肉食を禁じた仏教をヒントに,「われわれは,彼等動物たちが生きているときの実存をすぐ忘れるので,われわれは平気で動物を食べ得るのだ。われわれの世界の戦争というのもお互い同士の実存についての相互理解の欠如から起るのにちがいないのだ」と,互いの実存を認め合うことが世界平和のカギだと考えます。 中沢新一氏は,実存が戦争を抑止し(例えば大量殺戮は乱獲と同じ),憲法九条を支えること,自然に対する停戦であるエコロジーにつながることを論じています。 皆さんはどう思いますか?↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月03日
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小林多喜二の没後75年の今年,各地の記念の催しがかつてない盛り上がりを見せた。『民主文学』の6月号は,民主主義文学会が主催した「多喜二の文学を語る集い」の講演を収録しているが,その中で「蟹工船」のエッセーコンテストの入賞者が登場した「青年トーク」に注目しました。 「もっといい船に乗せろ」という出演者の叫びにもあらわれているように,そこでは多喜二の作品が今日の状況と重ねて語られている。それを読んでいて,逆に多喜二が虐殺された1933年の状況が,今と似かよっていることを考えた。 「ノンキナトウサン」を描いた麻生豊が,東京朝日新聞で,大学を卒業して就職口のない青年を主人公にした「人生勉強」という漫画の連載を始めるのが1933年の5月である。 小津安二郎監督の「大学をでたけれど」の上演が1929年だから,インテリ層の就職の困難が長期に続いていたことがわかる。またこの年の2月の女学生の三原山火口への投身自殺をきっかけに,同署での自殺は1年間で未遂も含めて944人を数えた。 最近の硫化水素自殺の続発を連想させる。 当時は,失業,凶作,戦争への不安の中で,若者の閉塞感がつのっていた。歴史は繰り返すなどと言いたいわけではない。 侵略戦争へと進んだ歴史を繰り返さないために,多喜二の作品を貫く団結のメッセージの若者への広がりを期待したい。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月02日
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詩人の金子光晴が戦時下に親子三人で書きためた詩をまとめた『詩集「三人」』(講談社)が刊行されました。あの時代に,「ごまかされないことは悲劇だ。」と書いています。 「人間も考へたり,味つたり,生活することをやめて一つの型につくり直す。戦力として送り出すため。」 親子三人の,かけがいのない家族。詩集にみなぎるのは,適齢期の一人息子を兵隊にとられる恐怖と怒りです。 「この運命的なつながりを世俗よ。ふみあらすな。戦争よ。破砕くな。」 死を前にすると,言葉が研ぎ澄まされるといいます。では,同時代の「戦争詩」はどうか。高村光太郎や三好達治が有名ですが,勇猛で荘重な彼らの戦争詩は,表現の鋭さとは無縁です。 それは戦争詩が「個」の視点でリアルに死を見据えず,戦争熱にうかれた「われら」や国家といった曖昧な主体を主語にうたったことが一因でしょう。 戦争詩とは対照的に真情のこめられた金子光晴の詩のように,戦時下の詩でも,現代人の心に響くものは「個」の視座が明確です。 例えば「ぼくもいくさに征くのだけれど」と戦争への等身大の疑問符を遺した竹内浩三もそのひとり。詩やマンガを収めた『竹内浩三集』(藤原書店)からは,明るく「弱虫」な詩人の面影が浮かびます。 同時に,こんな若者を戦死させた残酷さも。再びあんな時代にならなければいいのだけれど。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年07月01日
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「まんだら」は仏教用語で,「曼荼羅」あるいは「曼陀羅」などと書かれる。「諸尊の悟りの世界を象徴するもの」(『広辞苑』)を言う。奈良の中宮寺の「天寿国曼荼羅繍帳」は有名である。 しかし,瀬戸内寂聴の『奇縁まんだら』(日本経済新聞出版社)は色あざやかな人間絵図である。島崎藤村にはじまり水上勉に終わる21人の作家・評論家についての交友を述べたものである。 これらの「人たちのふとした表情や無防禦なことばの端々」を「いきいきとよみがえ」らせていき,なんとも面白い。横尾忠則の,登場作家の個性や表情をとらえた色彩感のある絵が,一人について3枚くらいずつはさまっていて,文章とうまく呼応しており,まさに人間絵図である。 『奇縁まんだら』は言ってみれば,表通りの話ではなく,横丁や裏通りの話である。そこに人間の真実がきらめいていて,まさに「まんだら」なのである。 一番面白かったのは,宇野千代が寂聴を訪れた時の話である。 著者が書き出した男性作家の名簿に,宇野千代が「寝た」とか「雑魚寝」だとかこたえていくのである。 著者は書く。「宇野さんとこの世で縁あって関わった男のすべては,千代田観音の捨身の広大な慈悲を受けて,有難い恩寵をいただいた」のだと。 この書き方が面白い。読み終わっても笑いがあとをひいてくる。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月30日
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文芸家協会編の短編集『文学(2008)』(講談社)が出ています。「解説」を島田雅彦氏が担当しているが,嘆きに近く心情を吐露している。 昨年のベストセラーのフィクション部門の半分まではケータイ小説が占めた。本が売れないと言われながら多くの人が文字情報を消費している。このギャップをどう考えればいいか。 出版点数はこの10年で倍増しているが,書店の売り場面積は広がったわけではない。いきおい,単行本の流通速度を速める以外ないが,平積みされる期間が短いと,年に1冊書くのがやっとという作家には逆風で,彼らの本は書店で見つけるのは難しくなっている。 実際,高名なベテラン作家の本でさえ,絶版が相次ぎ,文庫でも手に入れるのが困難になっている。と,島田雅彦氏の嘆きは深い。 一時の流行病だったのか,このところケータイ小説は話題にのぼらなくなった。が,他方で,「KY用語」なる辞典が出,洋画の字幕の文字数を,読めないし意味の分からない人が増えたので減らそうという動きがある。 漫画の吹き出しをそのまま並べたような小説が100万部を超えて売れるというのも,現代日本を語るだろうが,言葉が失われるのは,その背後の人間の関係と生活が壊されていることだということに,もっと注意を払った方がよくないだろうか。 この人間の危機はやはり言葉で表現するほかあるまい。心に届く表現で。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月29日
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演説するアドルフ・ヒトラーの写真や映像を見た人ならば,顔をつけるようにして写っているマイクロフォンにも,気がついているはずだ。未来社の広報誌『未来』に「声に潜勢するもの」を連載中の山川冬樹は,5月号の「ヒトラーのマイク」で,このマイクロフォンについて書いていました。 CMV3と名づけられたこのマイクロフォンは,当時のドイツの「技術の粋を集め」たもので,アメリカとの「熾烈な技術競争」に勝った製品であった。このマイクロフォンの「音の空気感,エネルギー感には,聴く者を圧倒する特別な力」があると言われたという。 レニー・リーフェンシューターが監督した「意志の勝利」は,1934年のナチス全国党大会を記録したものだが,そのなかで「ヒトラーの声がCMV3を通して,増幅され」る効果を山川冬樹は指摘する。 ヒトラーの「あの激越な演説パフォーマンス」はこのマイクロフォンを使い,みずからの「声を,電気によって爆発的に巨大化させること」で「大衆の心を圧倒」し,「目に見える効果として煽動」したのである。 そこではもはや,ことばの細かいニュアンスや論理は,重要ではなくなる。マイクロフォンの「声の力」が,聞く「人間を支配」する。まさしくCMV3は,兵器だったのである。 示唆に富む意見として,受けとめたい。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月28日
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「少子化」を日本社会全体の問題としてとらえば,社会の存立にかかわる大問題であることはいうまでもありません。自民党の政治家であろうといろいろ言うのは自由です。 しかし,この人の場合は根本的に勘違いしているのではないか。 福田内閣の官房長官である町村信孝氏です。母校・東京大学の学園祭に招かれ,学生たちを前にしての講演で,「早くいい相手を見つけて結婚して,次の世代を作る。これは皆さん方の義務だと思う」「私はちゃんと義務を果たして2人の子どもを作った」と説教したとか(「読売」5月26日付)。 この発言が妙に聞く人の心をざらつかせるのは,自分は常に正しいという高慢さが鼻につくだけでなく,子作りを「義務」と言い切る無神経さからでしょうか。 結婚さえままならない若者の貧困,貧弱な支援で仕事と子育ての両立に悩む女性,不妊に悩むカップル…。 そんな微妙な問題が,町村氏の眼中には入らないのです。 戦前,戦中の国策であった「産めよ,増やせよ」の発想そのまま今日まで引きずっているという点で,昨年1月に「女性は産む機械」と発言した柳沢伯夫元厚生労働相と大差ありません。 福田内閣は特命大臣まで置いて「少子化対策」に取り組んでいるはずです。子どもを安心して産み育てることもできない社会の歪みを正すこともせずに,「私は義務を果たした」などと無責任にいってもらっては困ります。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月27日
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今年はショージ・ブッシュ大統領が,大統領出馬を本格的に準備し始めて満10年目の年だ。父の元大統領の勧めをいれ,軍事・安全保障問題の少人数の側近グループをつくった年でもある。 側近の筆頭にはライス現国務長官がすわって,「ウルカヌス・グループ」の名で呼ばれることになる。その中に,日本への露骨な軍事路線強化をそそのかす報告書を,その後2度も公表した対日政策集団の中心人物のアーミテージもいた。 昨年の第二次アーミテージ報告書は,日本の軍事費増額などのほか,とくに自衛隊がいつでも海外派兵を行うための“恒常的海外派兵法”立法へのむきだしの声援が送ったことで知られる。 そのアーミテージについて,アメリカで今年出版されたフレッド・カプラン著『Daydream Believers: How a Few Grand Ideas Wrecked American Power』が重要な指摘をしている。 それは,大統領選挙準備の過程でブッシュがおこなった最も重要な軍事演説-軍事大学シタデルでのもの(1999年9月)は,アーミテージの書き下ろしによるものであったという事実だ。 あの演説は,アメリカの圧倒的軍事力による世界の永続的支配を標榜し,そのための世界的な米軍再編着手を公言した。 なるほど,そのようなむきだしの軍事支配拡大を志向するアーミテージだからこそ,きなくさいアメリカの戦争戦略のために日本の軍事化路線を公然と呼びかけたのだと,改めて思い知らされた。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月26日
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少し長生きをしたせいか,「昔は良かった」と感じるようになりました。近ごろは酷い世の中になったものだ,物価は上がるし,何か物騒だし,少年犯罪も凶悪化するばかり。 ところが昨年,そんな「常識」を覆す本が出ました。この問題に興味をもつ人は多いようで,管賀江留郎著『戦前の少年犯罪』(築地書館)が売れています。 「戦前は小学生が人を殺す時代」,「幼女レイプ殺人事件の時代」と目次だけでも衝撃的。 戦前は「貧困ゆえの犯罪などはほとんどなく,むしろ金持ちの子どもが異様な動機から快楽殺人を犯したり,ささいなことでキレて頭が真っ白になってめった突きにするような事件が多かったり」する実態を伝えます。 少年による一家皆殺し,親殺し,同級生殺しなどなど。 実は昔も酷かった。具体的な事例の数々を要約して紹介。「国立国会図書館にこもって,古井新聞と雑誌をひたすら読み続ける」という著者の労作です。 ただし,昔も今も変わらないのは報道の扇情的な要素です。「貧困ゆえの犯罪」は,戦前は意図的に無視されたり,当たり前すぎて報道に値しないと見なされた可能性もあります。 活字化されたものだから真実とは言い切れない時代性への批判的検証にもう少し踏み込むとさらに興味深いのですが…。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月25日
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オーストリアの首都,ウィーン。かつて,ハプスブルク帝国の首都として「太陽の沈まない王国」と称されました。 つい14年前までは東欧圏の“奥座敷”という気配でした。当時,ニューイヤーコンサートで有名なウィーン楽友協会ホールの正面に,大戦後4ヶ国統治のなごりのレーニン像が立っていました。 現在は,同じところには,しゃれたオブジェが置かれてあり,街は往時の輝きを取り戻しているようです。空港近くでは,駐車場やオフィスビルが新築されていますし,市の中心でもクレーンをよく見かけます。 平日でも,ケルントナー通りなど中心部は人通りが多く,土曜日の午後,有名ケーキ店の混みようはラッシュアワー並みです。 リンク通りの両側は国立歌劇場をはじめ,王宮,国会議事堂,市役所など,壮麗な建物群が並び,夜はライトアップされます。すべて1880年代末の建築で,帝国の威容を誇示するという狙いがあったのでしょう。 リンク通りには,ドイツ・ポルシェ社製の最新トラムが颯爽と走っています。 世界の主な首都でLRT(次世代路面電車)が主役で活躍しているのは,ウィーンだけのようです。14年前に比べて地下鉄路線も増えました。また,いたるところに自転車が十数台置かれ自由に使えるようで,専用道もあり,「環境都市」として最先端をいっています。 ただ,繁華街に物乞いの人が増えているのが気にかかります。欧州連合(EU)統合には,旧ハプスブルク系元貴族の力があったという説がありますが,旧王朝の再生では,歴史の逆流です。 貧窮追放へ向けて,次代の扉が開かれるべきでしょう。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月24日
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アメリカの右翼タカ派の言論を広めて,ブッシュ政権やネオコン(新保守派)勢力に影響を及ぼしたウィリアム・バックリー氏が死去しました。 十数年前『ナショナル・レビュー』が毎週無料で配布されていましたので,その名を知った人も多いのではないのでしょうか。読んでみると強烈な反共,反リベラル記事のオンパレード。 これがアメリカの思想界なのかと驚かされます。ソ連が崩壊した直後だったので,「今こそチャンスだ。比類ない軍事力で,混乱する世界を制覇せよ」と「新しい帝国主義」が公然と唱えられていました。 こんな主張や勢力とどうたたかうか。 そんな気持ちから彼らの主張の背景に興味を持ちました。おかげで彼らがよりどころにしているフリードマンやハイエクのほか,18世紀イギリス人保守主義者エドマンド・バーク(Edmund Burke)の主張の一端の勉強する機会がもてました。 威勢のよい言説に煽られてブッシュ政権の中枢を握ったネオコンたちはイラク戦争に暴走。いま手痛いシッペ返しをうけています。 盛り上がる大統領選挙は,戦争からいかに抜け出すかが争点になり,候補者たちは「ビジネス優先から国民の生命優先の政治に転換せよ」との国民の声に包囲されています。 代表的な右翼タカ派言論人の退場は,変化するアメリカの思想潮流を暗示しているようにも思えるのですが…。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月23日
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日本で引用のための文例集といえば結婚式のスピーチ用でしょうか。しかし欧米(特にイギリス)にはすぐれた引用句辞典が数多くあり,古典から現代まで人類の知恵のことばが集められ出番を待っています。 池澤夏樹著『叡智の断片』(集英社インターナショナル)は,そんな古今の名文句をひきながら人生と社会を考えるエッセー集です。 日本について「引用というのは,自分の意見を飾るために叡智の断片を借りることだから,意見を言わない国では使い道がない」と言い,とくに政治家の言葉の貧困さを嘆きます。 別の章では「今の日本でぼくは日本共産党に肩入れしている」と書いてあり,少し驚きました。 続きは「それはこの党が社会主義の政党だからだ。共産の理想は人間には手の届かないものだった」とありますが…,反共意識の強い日本で「日本共産党に肩入れしている」と宣言する著者の勇気は評価したい。 「恋は戦争に似ている。始めるのは簡単だが,終わらせるのはとてもむずかしい」(メンケン)などブッシュ大統領に聞かせたい。そして「良い戦争というものはないし,悪い平和というものもない」(アメリカ建国の偉人・フランクリン)と。 人類の叡智をもってしても戦争はなくならないものだろうか,と思う今日この頃です↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月22日
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昨年11月10日,津田塾大学でおこなわれた公開講演会「はじめての太平洋」の内容が,スタジオジブリの『熱風』2月号に掲載されていました。 アーサー・ビナードと「火垂るの墓」などの映画監督高畑勲との対話であり,「日本語」と「翻訳」のふたつの軸を中心にして,多面的に論じています。そのなかでも,劇作家木下順二が翻訳の際に重視していた「言葉のエネルギー」にふれた高畑勲監督の指摘は興味深い。 例としてあがっているのは,「ジュリアス・シーザー」で,陰謀者の一人キャスカがシーサーを暗殺する場面である。キャスカは“Speak, hand, for me! ”と斬りかかるのだが,これを福田恒存は,「話す」を「聞く」に逆転させて,「この手に聞け!」と訳している。 従来の「こうなったら手に物を言わせるだけだ」という類の訳では「歌舞伎ならともかく,新劇の素早い一瞬の動作には合わない」というのが,福田恒存の主張であった。 これに対して木下順二は,福田恒存の訳ではシェークスピアの「言葉のエネルギー」は全然は全然伝わらない。まだしも「語れ,手よ,わがために」と直訳した方がましだ,と批判した。 この批判のあとに刊行された講談社版の木下順二訳では「ならばこの手に言わせてやる!」となっている。 高畑勲が木下順二の役に共感したのは,言うまでもない。「言葉のエネルギー」が,せりふの生命力と深く関わっているからである。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月21日
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かつて学校で教わった。日本最古の貨幣は「和同開珎」でした。しかし9年前,奈良県明日香村でもっと古い「富本銭」が見つかり,人々を驚かせました。 和同開珎の登場は708年。1,300年前です。埼玉県秩父市には和同開珎に用いたという銅の採掘場の遺跡が残っています。1,300年を記念し,日本銀行の貨幣博物館も,「貨幣誕生-和同開珎の時代とくらし」展を催しています。 朝廷は,和同開珎以来,約250年の間に12種類の銅貨を発行しました。軍事費や都の建設にたくさんのお金がいったらしい,といわれます。 ところが,銅貨の質は落ちていきました。だいたい,原材料の銅が足りません。形も次第に小さくなっていく。目方が和同開珎の半分もありません。色も変わります。そんな銅貨が多かったそうです。 最後には,ほとんど鉛のかたまりで「銅貨」といえないような悪貨もあらわれました。富本銭と鋳棹(飛鳥池遺跡出土) 日本銀行金融研究所の解説によると,和同開珎のことは銭一文で約2キロの米が買えた,といいます。しかし,9世紀半ばには1/100以下の10ないし20グラムしか買えなかったというのですから,持っている値打ちがありません。 人は使おうとしなくなり,朝廷も頼りない存在となってついに銅貨づくりをやめました。 時代も事情も違うものの教訓めいています。アメリカ・ドルはいま,ヨーロッパのユーロなどに対し下がる一方です。「ドル支配の終わり」を予想する人もいます。 国の信頼の落ち込みが通貨の信用低下とともなう場合が多いものです。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月20日
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この春話題となったオペラ公演に,P・コンヴィチュラー演出「アイーダ」と,W・デッカー演出「軍人たち」があります。どちらもヨーロッパの歌劇場で高い評価を得た演出です。 前者は,第二幕の凱旋シーンで行列が登場せず,神官と王とアムネリスが小さな部屋でパーティーの二次会のように大騒ぎしている。ところが彼らは心臓発作を起こし,痙攣し始める。帰還したラダメスは傷を負い,心も病んだように呆然としている。 P・コンヴィチュラーは公演パンフレットで“「アイーダ」は反戦作品です”と断言しています。“戦傷者の愚かさと倒錯性を演出しました。…人を殺して狂喜しているのですから,彼らは病気なのです”と演出意図を語っています。 第四幕のフィナーレではアムネリスがアイーダとラダメスに和解を求めます。壁が壊れ,年の夜景が静かに映されます。 後者は18世紀の作家レンツの戯曲をもとに,ドイツの現代作曲家B・A・ツィンマーマンが1965年に発表した問題作で,新国立劇場が日本初演。デッカーは軍人と貴族と市民の位置を衣装の色で表現しています。 軍人は赤い血の色,帰属は富の象徴の黄色,市民は白。 主人公マリーの白いワンピースは軍人たちに陵辱され,赤く染まる。軍隊が市民とくに女性を抑圧した状況を可視化しています。 双方とも戦争や軍隊の暴力性を照らし出し,見ごたえのある作品です。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月19日
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群馬県の福田康夫首相の生家上空は,アメリカ軍機の戦闘訓練が繰り返される軍事空域に入っていると春原毅著『在日米軍指令部』(新潮社)がアメリカ軍の話をもとに書いています。 東京の北部を経由し,埼玉県,群馬県へとひろがる自衛隊管理下の軍事訓練空域,通称「ホテル・エアー・スペース」がアメリカ軍機の戦闘訓練用空域になっているのです。 元朝日新聞記者の石川巌さんが,県都前橋市など群馬県各地への,神奈川県厚木基地の米空母艦載機の来襲と異様な訓練ぶりについて,しっかりと実地を訪問し,ルポを書いています(『軍事研究』誌6月号)。 それを読んで唖然とさせられた。 1月中旬に前橋市に対して行われたアメリカ軍機来襲では,5日間に延べ133機が集中飛来し,その「攻撃」目標は32階建ての県庁であった。これは後の調べで,県庁近くの室内競輪場の大円型ドームが目標であったことが分かっている。 「もし私が編集長だったら,1月の県都への異常な集中飛来は全国版の一面トップに据える」と石川さんは憤慨する。 小田暁夫群馬県平和委員会事務局長によると,同県内でのアメリカ軍機の戦闘訓練は,昨年10月以来,急に活発になったとのことである。 この話を聞いて二度びっくりした。アメリカ軍はイラクでごく最近,「空からの秘密戦争」をにわかに激しくしており,「テロ退治」の名で多数の住民を殺戮しているからです。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月18日
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高度に発達した現在の金融システムについて,ある研究者は「巨大な迷宮だ」といいます。アメリカのサブプライム問題を調べれば調べるほど,分からないことが増えてしまい,「迷宮」を実感しました。 その一方で,関係者の話を聞けば聞くほどに,問題の深刻さに驚いています。アメリカでも日本でも,当局者たちが口を開くたびに,経済の状況悪化への認識の度合いが増していることに端的に表れています。 第一線で活躍する証券マンは,この問題の核心部分である「証券化」について次のように語ってくれました。 「証券化によってリスクを分散しようとしたが,いざリスクを抱えてみると,リスクの所在が分からなくなり,リスク量を測ることができなくなった。そして誰も証券化商品の安全性を信じられなくなり,金融機関同士の相互不信を引き起こしている」 「迷宮」の住人たちに「不信感」が広がったのでは,大混乱に陥るのは当然の帰結でしょう。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月17日
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イギリスのヒース元首相や旧西ドイツのシュミット元首相はクラシック音楽の演奏でもプロ級でした。 小泉純一郎元首相も少年時代,バイオリンを懸命に練習したとか。ベートーヴェンの「ロマンス」を弾けるようになったころ,ハイフェッツの録音を聴き,自分の下手さにがっくり。以後聴き手専門になったそうです。 『音楽遍歴』(日本経済新聞出版社)は音楽好きの小泉元首相の語りおろし。オペラへの傾倒は有名ですが,バイオリン曲も詳しい。相当なマニアしか知らない音楽家の名前が登場します。 「音楽はその人の感性の領域。自民党だろうが共産党だろうが,好きな曲は好き。それでいいはずだ」 こんな小泉節で「オペラは愛」の持論を語り,バイロイトで「タンホイザー」を鑑賞した逸話を紹介。プレスリーやモリコーネの音楽のうんちくを傾けます。 タイトルはミュージカル「ラ・マンチャの男」の主人公である「遍歴の騎士」ドン・キホーテに由来します。だが,「敵はあまたなりとも…」などと,郵政改革論議の時にいつもその主題歌「見果てぬ夢」を口ずさんだという話は笑って済ませられません。 郵政民営化などの「構造改革」路線や靖国参拝,イラク派兵にどんな批判の声があっても,小泉氏はついに聴く耳をもたなかったのですから。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月16日
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硫化水素による自殺が相次ぎ,家族や近隣の住民にも二次被害が出ています。漂白剤に使われる次亜塩素酸ナトリウムと硫酸,硫黄を含む清掃用洗剤に酸を加えても硫化水素が発生するので,今回の事件となった。 無職の気体で腐食卵に似た刺激臭があり空気より重い硫化水素は,マンションでは配管などから階下へ伝わり,巻き添えが発生します。 硫化水素(H2S)は150 ppm 以上では頭痛,吐き気,意識混濁などの症状が現れ,鼻が麻痺して臭いを感じなくなる。600 ppm 前後では1時間以内に意識喪失し呼吸停止,1,000ppm を超えると呼吸しただけで昏睡し即死します。 助かっても後遺症を残すことがあります。 硫化水素の事故は死亡率が高く,助けに行った人が死亡する二次災害も多い。口移し人口呼吸した人が硫化水素中毒で倒れた例もあります。 異なる物質を混ぜ合わせると新しい物質が生成することが多い。新しい気体であれば,空気と交じり合って広がる。その物質が有害であれば,発生させた本人以外の人にも害を与え死に至ることもあります。 その物質が,空気より重ければ下にたまり有害でなくても窒息するし,空気よりも軽ければ上部で爆発することもあります。 化学物質の基本的知識は,入試のためではなく生活に必要な知識として義務教育に組み込んで欲しいという思いを,改めて強く感じました。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月15日
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「ねじれ国会」という言葉。いまやマスコミの慣用語と化している。誰が言い出したかは知らぬが,ひずんだ異常な状態を連想させる。 これに異を唱えたのがコロンビア大学教授で政治学者のジェラルド・カーティス氏だ。4月23日のNHK教育「視点・論点」で,負のニュアンスをもつねじれが無定義のまま慣用化していることを批判。思わずテレビの前で快哉!叫んだ。 欧州議会ではねじれは日常茶飯事とのこと。 しかも多数派の衆参逆転を望んだのは有権者自身ではないか。この新事実を直視して,従来の何でも強行採決方式を廃止,非効率でも時間をかけて論議をつくす熟議デモクラシーを育てる基盤をつくるべきだ,ねじれを使うのはやめよう,との提案だった。 言葉の問題に関連して気になったのが,5月11日のNHKスペシャル「セーフティーネット・クライシス」という題名だ。新聞の番組欄には「緊急報告・社会保障が危ない」とあるが,放送された番組タイトルはカタカナ語表記だった。 一概にカタカナ語を排するつもりはないが,昨今,NHKスペシャルの佳作,話題作に共通するカタカナ語の氾濫にいささか疑問をもつ。 たとえば問題提起作「ワーキングプア」。 世論をうごかす力になり,キャッチフレーズ効果はあったが,副題の「働いても働いても豊かになれない」の方が構造的問題の矛盾を突いて,貧困と雇用の不安定化,二極化の実相を直截に理解させたのではあるまいか。 米語では,ワーキングプアとは働かず扶助をもらうほうがマシという意味にも使われるとあってはなおさらである。 今春1月の「パンデミック・フルー」はそもそも言葉の意味がわかりにくく,これも副題の「感染爆発」がいい。今回の「セーフティーネット・クライシス」を含めて,一見カッコよさそうだが意味が曖昧で,言葉のすり替えにも利用されやすいカタカナ語の乱用は,内容が重く,深いほど一考を要する。 報道の言葉の的確な使用と定義は,視聴者の認識を促す鍵でもあるからだ。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月14日
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自民党・公明党連立政権は,民意を無視して,道路特定財源特例法改定案を衆議院での再可決を強行しました。なぜ,こんなにも際限なく高速道路を建設する政策に固執するのでしょう。 1980年代初め,「第二次石油危機」のあと,全世界的に景気が後退。折から登場したイギリスのサッチャー首相やアメリカのレーガン大統領らが,盛んに民間活力の活用(国営企業の民営化)を唱えました。 市場万能論の台頭です。 これに呼応し,中曽根内閣も国鉄や電電公社など国有企業の民営化を強行。また,内需不振から輸出拡大に走って対米貿易摩擦が深刻化。輸出抑制と円高対策を兼ねて,内需や輸入拡大策をあれこれ推進しました。 前川リポート(1986年)などは,対米誓約書のようなものでした。 一方,鉄鋼・建設など巨大企業が中心となって,大規模プロジェクトの推進を働きかけました。その中核団体が「日本プロジェクト産業協議会」(1979年11月設立)です。 瀬戸内海の三架橋,東京湾横断橋や国際空港,高速道路の建設など,大規模計画には構想段階かた参画しています。その会長企業は,代々新日本製鉄のトップが就任。金融機関も加わる財界総ぐるみの裏司令部です。 政府は1990年代初めには,対米公約として10年間630兆円の建設内需構想をまとめました。 一般道路ではあまり意味がなく,鉄鋼材やセメントを大量に使う高速道路(トンネルや橋梁を多く含む)でなくてはならないのです。 福田内閣は,アメリカと大企業に奉仕し続ける仕組みを残すことに政治生命を賭けているようです。民意にそむく自民党・公明党連立政権の早期退陣,政治の転換が強く望まれます。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月13日
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先日,旧知のエコノミスト?たちと食事をしました。一人はアメリカ人,もう一人はイギリス人で,ともに大手の金融機関に勤務しています。 話題はサブプライム(低信用者向け高金利型)住宅ローン問題の行方に集中しました。二人とも「これまではまだ序章にすぎない。問題が深刻化するのはこれからだ」と話しています。 世界最大の保険会社AIGが,昨年第4四半期の損失額が89年の歴史のなかで最大の101億ドル(約1兆1,600億円)に達したと発表した。今後さらに損失がふくらむ可能性を認めました。 一方,アメリカ証券大手ゴールドマン・サックスは,金融機関のサブプライム関連の損失が4,000億ドル(約42兆円)にのぼるとの見通しを明らかにしています。欧州最大の金融グループUBSは,これよりさらに大きい6,000億ドル(約63兆円)以上と推計しています。 すでに公表された損失処理額は1,800億ドルですから,まだ道なかばにも達していないことになります。 日本も経済指数の一部にすでに影響が現れはじめていますが,顕在化してくるのはこれからです。しかし,福田康夫政権にはまったく打つ手がありません。「改革派」(成長派)は市場の反乱で沈黙し,「増税派」も景気減速では動けないからです。 ところが,その間隙を突いて,公共事業のバラマキを得意とする「復古派」が台頭してきました。 福田康夫首相の実父,福田赳夫元首相は,道路やダムなどの公共事業の大盤振る舞いで大量の国債を発行し,今日の財政危機の原因をつくりました。現首相も無駄な道路をつくり続けるしか能がないようです。 「結局,小泉改革は『偽』改革だった。自民党は日本が破綻するまで変わらない」 これが,二人のエコノミストの結論です。↑更新が遅れておりますが,宜しければ「応援クリック」をお願いします
2008年06月12日
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『乳と卵』(文芸春秋)で芥川賞を受賞した川上未映子さんは,売れないシンガーソングライターであったことや,はきはきとした語り口など,従来の作家と違う雰囲気で話題の作家です。 芥川賞選評をみると,「仕掛けとたくらみに満ちたよい小説だった」(池澤夏樹),「滑稽にして哀切。受賞作にと,即決した」(山本詠美)と評価する声がある一方,「この作品をひょうかしなかったということで私が将来慚愧することは恐らくある得まい」(石原慎太郎)という,いささか意固地な打撃的評価など,毎回のことながら全会一致というわけにはいかなかったようです。 作品は,母に対する言葉を失った小学生の娘と,場末のスナックで働き娘を育てている母親の関係を描いています。 母の苦労を認めつつ素直になれない思春期の娘の思いがいい。「お母さんは,ほんまのことゆてよ」という娘の叫びに胸をつかれます。 家が裕福でなかったために,昼間は書店員,夜はホステスの仕事をこなしたといいます。弟のために学資を稼いだ経験も。似た境遇の樋口一葉の文学に「ぐっときました」というだけあって,句点(。)の少ない文体は,樋口一葉を思わせます。 受賞してCDも売れるようになったという作者の今後を見守りたい。↑お手数ですが,宜しければ『応援クリック』をお願いします。
2008年06月11日
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