時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

PR

×

Profile

風竜胆

風竜胆

Favorite Blog

氷河期のゴミ [ 櫛木… New! じらーるぺるごーさん

今日は パインの日 New! ブラジョンさん

気まぐれんな旅行屋… 富士家のぱこさん
マークス・ストーリー マークス5406さん
パパだって見たいん… 大希・大我のパパさん

Archives

August , 2026
July , 2026
June , 2026
May , 2026

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

April 17, 2008
XML


「願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ」 (西行)

「蓮丈那智フィールドファイルシリーズ」 を読んで以来、北森鴻の小説が気になっている。冒頭に掲げた歌は、西行法師が詠んだものとして有名であるが、この歌から表題をとった北森氏の作品が 「花の下にて春死なむ」 (北森鴻:講談社) である。この作品は「香菜里屋(かなりや)」というビアバーに集まる常連客の身辺で起こった出来事を、マスターの工藤を中心に解明していくという連作短編のミステリー小説だ。1999年に第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞を受賞している。

 表題作の 「花の下にて春死なむ」 では、フリーのライター飯島七緒が参加していた自由律俳句結社の同人である片岡草魚こと片岡正がひっそりとした死を遂げた。ところが彼の名前は偽名であった。彼は故郷である山口県下関市長府を離れ、40年も本当の名前を隠して生きてきたのだ。故郷に帰りたくても帰れず、本名を隠して生きなければならない。はたしてそこには、どんな事情があったのだろうか。七緒は、草魚の魂を故郷に返そうと長府を訪れる。

 この作品では、草魚の人生の謎のほかにもう一つの謎が提示される。残された句帳に、窓際に置いた桜の小枝に花が咲いたとに記述があったが、その日付は、開花宣言よりだいぶ前であった。そこから、もう一つの別の事件の真相が導き出される。

 孤独な草魚の人生の謎と、その孤独な人生の中に、偶然にも絡んできた別の事件の謎。この作品は、うまく二つの謎を調理して非常に読み応えのある短編にしている。



 この表題作の後も、以下のような謎が提示される。

「家族写真」 :地下鉄の駅の善意の本棚の小説に挟まれていた家族写真の謎。

「終の棲み家」 :写真家の個展のため、街中に貼ったポスターがすべて盗まれる。

「殺人者の赤い手」 :「赤い手の魔人」が小学生を襲うという伝説の謎。

「七皿は多すぎる」 :回転寿司屋で鮪ばかり7皿も食べる変わった客の謎

 いずれも、面白く、決して途中で止められなくなるような傑作である。そして、最後の 「魚の交わり」 では、またしても、草魚の人生に絡んだ話となり、うまい締めくくり方になっている。

○応援クリックお願いします。 人気ブログランキング にほんブログ村 本ブログへ


「花の下にて春死なむ」(北森鴻:講談社)




風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)は こちら





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  April 17, 2008 07:25:52 AM
コメント(6) | コメントを書く
[日々の読書(ミステリー)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: