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April 27, 2010
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企業ドメインの戦略論 」(榊原清則:中央公論社)は、この「企業ドメイン」の重要性について、様々な事例を示しながら解説したものだ。

 「企業ドメイン」について、分かりやすいように、本書からひとつ事例を紹介してみよう。有名な例で、よく経営学関係の本に出てくるものだが、アメリカの鉄道会社の例である。かっては繁栄を誇ったアメリカの鉄道会社だが、今は見る影もない。セオドア・レビットというハーバードのマーケティング学者によれば、その原因は、鉄道会社が自らの事業を「輸送事業」と考えるのではなく、「鉄道事業」と考えてしまったからだそうだ。「企業ドメイン」の定義の仕方に「機能的定義」と「物理的定義」の二通りがある。上の例で言えばそれぞれ、「輸送事業」、「鉄道事業」に該当する。一般に「物理的定義」は「機能的定義」に比べ、広がりが小さく、変化の方向性や発展の方向を示唆することが困難である。アメリカの鉄道会社は、自らのドメインを物理的に定義してしまったがために、顧客より鉄道自体を愛すようになったのだということだ。

 企業の経営資源は有限なものである。だからこそ、その資源をどの分野に集中するのかというのが、戦略の基本となることであろう。そのためには、企業の活動領域が明確でないといけない。だからドメインは、総花的なものではいけない。企業のドメインをうまく定めるということは、企業がどの方向で成長していくかを明確にするということでもあるのだ。

 「企業ドメイン」を定める際に重要なことは「ドメイン・コンセンサス」である。ドメインは、経営者が唯決めればいいというものではない。経営者とメンバーの間の内的コンセンサスと企業と外部との間の外的コンセンサスが重要なのである。企業活動とは、経営者とメンバーの相互作用の結果であり、また企業と外部との相互作用の結果であるということを考えれば、明らかなことであろう。

 非常に興味深かったのは、「停泊点」(アンカレッジ・ポイント)という考え方。「停泊点」とは、物事を判断する際に基準として参照される事物のことである。新しい製品を出す際に、メーカーはその商品の「停泊点」をどこに誘導するかということは、その商品の市場浸透に大きく影響するのだ。本書には、「写るんです」と「電子手帳」が成功事例として示されていたが、失敗例としては、PHSが「簡易型」携帯電話として「停泊点」を定めたために、失敗してしまったことをあげれば、「停泊点」の重要さが分かるだろう。

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(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)








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Last updated  April 27, 2010 07:13:17 AM コメントを書く
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