時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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July 26, 2010
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「禍家」 (光文社)。ジャンルとしては、ホラーサスペンスに当たるだろう。

○「禍家」(三津田信三:光文社)



 主人公は、棟像貢太郎という12歳の少年。両親が事故で亡くなったため、祖母と一緒に東京郊外の家に引っ越してきた。ところが初めて来たはずのその場所に、貢太郎はデ・ジャ・ブ(既視感)を覚える。おまけに、初めて会うはずの近所の老人が「ぼうず、おかえり・・・・」と声をかけてくる。そして、貢太郎は、その街で、その家で、身も凍るような怪奇現象に出会う。

 三津田信三の「家もの」ホラーと言えば、先般紹介した「凶宅」もその一つだが、本作は、「凶宅」とは少し趣が異なる。「凶宅」は、最初から最後まで徹頭徹尾100%ホラーであるが、この作品は、途中までのホラーが、だんだんとサイコサスペンスに変化していく。

 もちろん、ミステリーらしく、いくつかの仕掛けが組み込まれている。怪異現象が、見かけとは全く別の意味を持っていたり、ヘンに見えた人が実は案外まともで、親切そうな人が、実はものすごくヤバい奴だったりするのだ。

 この家の秘密を、貢太郎といっしょになって探っていくのが、彼がこの町で友達になった礼奈という同級生の少女だ。そう、この物語は、小さな恋人たちの冒険物語と言う性格も多少は帯びているのだ。

 家の秘密やデ・ジャ・ブなど最終的に明らかになる謎もあるが、上総の森の怪異などは、結局謎のままである。この辺りは、若干欲求不満が残るものの、時間を忘れて、夢中になって読める作品である。

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Last updated  July 26, 2010 07:14:46 AM コメントを書く
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