時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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August 28, 2010
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「何物でもありません。この町では、ただの新参者です」(p348)


「新参者」 (東野圭吾:講談社)。ドラマが面白かったので、原作の方も買ってみた。




 主人公は、日本橋署の赴任してきたばかりの刑事、加賀恭一郎。階級は警部補。周りの評判は、頭は切れるが、ひねくれ者で頑固だということらしい。その彼が、小伝馬町のマンションで発生した女性殺人事件の真相を追い求めていくというのがごくおおまかなストーリーだ。

 名探偵ものといえばそうなのだが、この作品は名探偵ものでも一味違う。加賀は単に事件を追い求めるだけではない。

「事件によって心が傷つけられた人がいるのなら、その人だって被害者だ。そういう被害者を救う手だてを探し出すのも、刑事の役目です」(p220)

 事件の捜査の中で関わった人々。彼らが抱えているちょっとしたトラブルの真相を彼の迷推理で解き明かしてケアしていく。こういった人情味溢れるサブストーリーを積み重ねながら、本筋の事件の真相に迫っていくというのが一番の魅力だろう。特に、ほとんど崩壊していた被害者の家族に、再び再生の糸口をつけたところは感動的だ。ちょっとした、行き違い、思い違いが不幸な結果に結びつくことはよくあるものだ。彼は、そんな絡まった糸を見事に解きほぐしていく。

 ドラマの阿部寛の好演の印象が強かったため、読んでいる最中、頭の中を彼が動き回っていた(笑)。改めてこの原作を読んでみると、まさに彼のハマり役だったことが良く分かる。


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Last updated  August 28, 2010 05:28:28 PM
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