時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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September 7, 2010
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「狐化粧」 (和久田正明:角川春樹事務所)。




 この作品は連作短編となっており、収録されているのは、以下の4話だ。

1.怒らない
2.乙女の仕事
3.箱根の変
4.狐化粧

 陣内はとにかく乱暴者である。小悪人に対しても、性根が気に食わなければ、相手にトラウマや後遺症が残るくらいボコボコに痛めつけてしまう。田宮流抜刀術の達人だから腕の方も相当に立つ。しかし、なかなかツッコミどころの多い性格をしている。

 一応、弱いものには優しいところを見せるという設定になっているが、どうも家庭内暴力で妻子に逃げられた過去があるようだ。そのため、今は「姫」と名付けた猫と侘しく暮らしている。しかし、DV男が実は優しいと言われても、なんだかなあ。



「御定法のおよばねえ相手とかさ、どうしようもねえ奴っているだろう。そういう時、面倒臭えからやっちまうの」

と、悪い奴らをばっさりとやってしまうこともよくあるのに、金をもらって悪い奴を始末するという「仕事人」のような一味の女に対しては、

「人間御定法を破ったら、それでおしめえなんだよ・・・」

と言っている。どの口でそんなことを言うんだと、口の当たりをつねってやりたくなるが、表紙のイラストに描かれているように、相当に凶悪な面構えである。とても恐ろしくてできない(笑)。 

 この陣内のよく使う、「~なの」、「~だもん」という口調、奥田英朗の作品に出てくるドクター伊良部を連想してしまう。腕っ節の方はだいぶ違いそうだが、型破りな方法で、人間の病理の原因を除いたり、社会の病理を除いたり、意外に共通点がありそうだと思うのは、少し考えすぎか(笑)。ツッコミどころは多いながら、江戸を舞台にした痛快で楽しめる娯楽時代小説だ。

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Last updated  September 7, 2010 07:48:40 AM コメントを書く
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