時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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October 2, 2010
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「災園」 (光文社)。




 主人公の奈津江は6歳の少女である。近くの森で変質者に襲われたが、お稲荷さまの祠から出て来た何かに助けられた。その時以来、お狐さまのお告げを聞くことができるようになるのだが、蕎麦屋を経営していた両親が亡くなり、「祭園」という施設に引き取られることになる。その祭園の経営者である祭隆利こそ、奈津江の実の父で、奈津江を探していた深咲という美少女は彼女の姉であった。

 実は祭家は狐使いの家系であり、狐使いの女が初産で産んだ子供の肩口には狐火のような痣が現れ、優れた狐使いになると言われていたのだ。右肩なら陽、左肩なら陰。陰の狐火を印す者は、闇に魅入られる恐れがあるという。しかし、奈津江は2番目の子でありながら左肩に狐火の痣があった。そして死産だったもう一人の子の左肩にも狐火の印が。

 祭園で暮らすようになった奈津江だが、彼女の部屋に狐面をかぶった不気味な灰色の女が現れる。更に新入りが受ける恒例の肝試しで訪れた廻り屋という建物でも、灰色の女に襲われたのだ。そして、祭園の子供たちが一人一人いなくなっていく。

 ここで言う狐とは「管狐」のことだろう。「地獄先生ぬ~べ~」の登場人物でイタコ見習のいずなが使っている妖怪ということで知っている方も多いだろう。そういえば、いずなが活躍するスピンオフ作品「現代都市妖鬼考 霊媒師いずな」で、なかなかセクシーな女子高生霊媒師姿を見せているので、こちらも美少女という設定の深咲の姿が、つい重なってしまったのは余談(笑)。しかし、最初の頃は、奈津江がお狐さまの声を聞いたりして、それらしい力の片鱗は見せていたものの、祭園に行ってからは、狐使いの才能を持った者らしい場面が無かったのは少し残念であった。

 最初は、不思議な力を持った少女が恐怖体験を通して成長していく話かというような想像をしていたが、読んでみると、だいぶ予想が外れた。 [イヤミス」という言葉がある。イヤな気持ちになるミステリーという意味で、最近では大人気の「告白」などがその代表であるが、この作品も十分「イヤミス」の資格があるだろう。なにしろ、最初はホラーサスペンスと思っていたものが、最後の方で一転して、どろどろとした背徳と狂気の物語に様変わりしてしまう。ホラー的な部分は、大部分証明されてしまうのだが、それでも、最後は、寒々とした恐怖の余韻を残した終わり方だった。


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