時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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October 1, 2012
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<そりゃ、盗むのさ> 

 のっけから、思わずおいおいと言ってしまいそうなことが書かれている、「クリエイティブの授業」(オースティン・クレオン/千葉敏生:実務教育出版)。原題の方も、”STEAL LIKE AN ARTIST”で訳すと「アーティストのように盗め」。クリエイティブになるには、どうしたらよいかを端的に示した本である。

 ちょっとびっくりしそうな書きぶりだが、その意味するところは、極めて納得性の高いものだ。著者の主張していることは、大体次のようなことだろう。

 世の中に、ゼロから自分で作り上げた真のオリジナルというようなものは存在しない。どんなものでも、先人が粛々と築き上げて来たものの延長線上にある。とにかく、パクってパクってパクリまくれ。でも、ゴミからはゴミしか生まれない。同じ真似するなら一番才能のある人の真似をしよう。パクったものは、しっかり記録しておこう等々。

 中でも面白かったのが、「いい相手と結ばれる」という項目。人間関係は複雑なので、創作に没頭するためには、よっぽどの理解者を見つけなければいけないということらしい。著者の友人が、<家の中に、アーティストがいるっているのは、刺激的だろうね>と聞いたところ、著者の妻は、<そうね、ダ・ヴィンチと暮らしているみたいなものだもの>と言ったという。しかし、こんな嫁さんめったにいないだろう。これが、一番難しいのではないかな(笑)。

 我が国には、昔から「守・破・離」と言う言葉がある。どんな名人でも、最初はまねることから始めて、自分のオリジナリティを確立していく。これは、芸術のみではなく、技術にしてもビジネスのスキルにしても基本的には同じことが当てはまるだろう。まずは先人から技を盗み、それを工夫して、新たなものを生み出していくのである。かっての日本では、そういったことが普通に行われていたからこそ、芸術にしろ、モノづくりにしろ、あれだけ洗練されたものを生み出すことができていたのだろう。だからこそ、著者の主張は、すんなりと腹に落ちる。

 最近は、教育が大切だとか、暗黙知を形式知にと言ったことがよく言われる。だが、何事にも一番重要なのは、本人の主体性だ。パクって、それを自分のものにしていくと言う過程こそ、一番大切なのだ。まずは、自分の身の周りにいる人で、一番すぐれた人のやり方をパクって見よう。それこそが、オリジナリティへ至る近道なのである。
なお、念のために言っておくが、もちろんコピペは論外である。いいところを取り入れて、そこから自分なりに工夫していくということが一番大切なのは言うまでもない。

「本の宇宙」に掲載 したものの写しです





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Last updated  October 1, 2012 07:05:10 AM
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