時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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October 19, 2024
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 本書を読んでまず感じたのはインドのカオスぶりだ。とにかくインドの常識日本の非常識という感じなのだ。日本ならこうだという常識がまったく通用しないのである。

 語り手は山田真美さん。インド工科大学ハイデラバード校の客員准教授だという。インド工科大学といえば理系の大学としてブイブイ言わしているというイメージがある。対して山田さんは、明治大学経済学部で学士を高野山大学で修士をお茶の水女子大で博士を取ったという文系の人だ。博士論文のテーマは「カウラ事件の研究」である。カウラ事件というのは第2次大戦中にオーストラリアのカウラにあった捕虜収容所から日本軍捕虜が脱走した事件だ。なぜそんな人がインド工科大学で教鞭をとるのだろうか。実はインド工科大学は学部こそバリバリの理系なのだが、大学院レベルでは文系研究もおこなわれているそうだ。

 山田さんは、ひょんなことからインドと縁ができた。しかし、山田さんの紹介するインドはまさに異世界。例えば、サーバントを雇うように町内会長が言って来たり、フロアの半分を占める隣のテレビ番組制作会社の内装工事でアパートの壁をぶち壊されたり。この時の対応が面白い。向こうは全く悪びれずに笑いながら来週までに直すのでノープロブラムと言ったが、さすがに頭にきた山田さんが、自分が東洋武術の達人で、5分以内に直さないと実力行使に出ると言うと、先方は真っ青になりあっという間に壁が直されたらしい。実は山田さん、少林寺拳法は習ったことがあるものの、達人というのはハッタリである。日本人にありがちな謙遜も所による。異文化の人を相手にするときはハッタリも大事だということを教えてくれる。

 また、ジープを盗まれて保険金を請求したときのこと。警察の担当官からは袖の下を要求されるし、保険の担当者からは保険金が下りた例を見たことがないと言われたり。この時は、保険の担当者に新聞に載せてもらうと脅したら保険金は無事下りたという。それでも1年超かかったらしい。この保険会社の男は「ヤマダさんのところは保険が下りていいなあ」と言ったというからあきれたものだ。コンプライアンスって何?それって食べれるの?と言った感じか。

 インドと言えば悪名高いカースト制度。カーストを越えた結婚はものすごく困難だ。そもそも結婚相手を親が探すのは当たり前。インドでは家族関係は日本よりずっと濃いし、家族と見做す範囲もずっと広い。

 この他、日本ではまず考えられないような出来事がいっぱい。でもどこか憎めないインドがそこにある。最後にこれだけは言っておきたい。インドで「ノープロブレム(問題ない)」と言われたら、問題ありありということのようだ。
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Last updated  October 19, 2024 09:59:35 AM
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