音楽雑記帳+ クラシック・ジャズ・吹奏楽

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bunakishike

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2026年09月22日
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最近はほとんど利用しなくなったMusic Store.JPのメールマガジンで知った一枚。

お気に入りのベルギー・ギデ吹奏楽団の新譜だ。

オリジナル作品が組曲を含む3曲、クラシックの編曲作品が3曲という構成。

オリジナルはいずれも大規模な作品で、出来も素晴らしく、聴き惚れてしまった。

一番良かったのは、フランスの​ アレクサンドル・コスミッキ ​(1978-)の「Contemplation」(コンテンプレーション)(2024)。

タイトル通り、「瞑想」や「静かな思索」という性格を持つ作品だ。

寄せては返す波のような音楽のうねりが感じられ、劇的な気分も横溢している。

この曲で興味深いのは、派手な技巧を前面に出すのではなく、静かなところから大きな音響空間を作り上げていくところにある。

実際、現在この作品を演奏する団体の解説でも、「静かな反省の瞬間から新しいインスピレーションが生まれる」という文脈で紹介されている。

フランス人の作品だが、ウェットな感触や日本的な情緒が感じられる部分もあり、あまり開放的なところはない。

最後は懸命に盛り上げるものの、木管主体なのでそれほど大きな盛り上がりにはならない。

フローラン・シュミットの「ディオニソスの祭り」の小型版といったところだろうか。

​ クリストファー・マーシャル ​(1956-)はフランス生まれのニュージーランド人。

「Imaginary Dances」は、Agility(敏捷性)、Nostalgia(郷愁)、Devotion(献身)、Grace(優雅さ)、Joy(喜び)、Longing(憧れ)、Intimidation(威圧)、Connection(つながり)という8つの短い楽章からなる約28分の作品で、2024年に作曲された。

世界各地の民族音楽からインスピレーションを受け、人間の基本的な感情や状態を「架空の舞曲」として描いた作品だ。

民族的なリズム感、現代的な響き、比較的分かりやすい旋律から構成されている。

さまざまな音楽が次々と現れるが、刺激的な場面が多く、大変聴きごたえがあり、傑作だと思う。

力で押し切らない軽さとウィットにも富んでいる。

「Devotion」(献身)は冷たい肌触りが感じられる、変わった曲。

「Joy」はお祭り騒ぎにはならない、控えめな喜びが描かれている。

「Longing」(憧れ)は、低音楽器とピッコロやフルートなどの高音楽器との対比が面白い。

東洋的な気分も横溢しており、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」の〈パゴダの女王レドロネット〉を思わせる童話の世界が展開される。

続く「Intimidation」(威圧)は一転して、不協和音が吹き荒れる激しいリズムの曲。

最後の「Connection」(つながり)は、レガートで木管が美しい旋律を歌う。

シンコペーションのリズムは独特だが、どこかの国のリズムをそのまま引用したものではなさそうだ。


オリジナル3曲目は、オランダ人の​ ハルディ・メルテンス ​(1960-)による「グラスマンヒェン(ガラスの男)」。

ドイツ・シュヴァルツヴァルト(黒い森)地方の伝説に登場する存在を題材にした作品のようだ。

物語性のある音楽だが、やや気真面目すぎて、個人的にはあまり面白く感じない。

ドイツの森を思わせる深々としているが多少重苦しい雰囲気の中に、小鳥の鳴き声なども聞こえる。

次の部分は一転してリズミックな曲想となる。

ガラスの男を表しているのだろうか、不規則なリズムとグラスハーモニカのサウンドという異色の組み合わせが印象的だ。

驟雨を思わせるサウンドを背景に、木管の旋律がゆったりと流れる。

後半は生き生きとしたリズミックな曲想が展開される。

楽しい作品ではあるが、曲としてのまとまりはいまひとつで、あまりピンとこない。

エンディングに向かってスピードアップするが、とってつけたような盛り上げ方で、あまり感心しない。

最後は再び静かになり、鶏の鳴き声が聞こえるという、なんともまとまりに欠けるエンディング。

ドビュッシーの2曲は、吹奏楽なので原曲のような重量感はないが、それなりに楽しめる。

「イベリア」はリズムのキレが良く、ダイナミックレンジも広い。

スペイン情緒もよく感じられ、原曲にそれほど劣らない優れた演奏だった。

この楽団の優れた機動性が表れた名演だろう。


「沈める寺」も悪くなかったが、中間部のお寺が海上に浮上することを連想させる場面は、もう少しダイナミックな動きが欲しかった。


最後のニールセンの「雄鶏たちの踊り」は、聴いたことのない曲ということもあるが、ロシア的な厚ぼったいハーモニーを持ちながら推進力のある演奏で、原曲とは異なるテイストだが悪くなかった。

編曲者の​ ジョゼ・シュインス ​(1959-)は、このバンドに所属するベルギーを代表するトロンボーン奏者。

編曲家としても、音楽の色彩を巧みに描き分ける才能で広く知られている。

HAFABRA Musicは、彼のために「José SCHYNSによる偉大な交響作品の吹奏楽編曲」という特別なシリーズを設けているほどだという。


残念なのは録音。

販促目的のCDなので、音について文句を言うのはお門違いかもしれない。

しかし、もう少し分離が良ければ、演奏の魅力がさらに際立ったと思うだけに残念だ。

機材の進歩によって、手軽に良い音で録音できるようになった時代だけに、この録音の出来にはがっかりした。

ということで、オリジナル中心の選曲だが、優れたオリジナル作品と巧みなアレンジによって、吹奏楽として聴きごたえのあるアルバムに仕上がっていた。


Royal Symphonic Band of the Belgian Guides:Imaginary Dances – Masterpieces Vol. 18
1. クロード・ドビュッシー(arr.José Schyns):イベリア(「映像」より)
2. クリストファー・マーシャル(2024):イマジナリー・ダンス
3. アレクサンドル・コスミッキ(2024):コンテンプレーション
4. クロード・ドビュッシー(arr.José Schyns):沈める寺(「前奏曲第1巻」より)
5. ハルディ・メルテンス(2021):グラスマンヒェン
6. カール・ニールセン(arr.José Schyns):雄鶏たちの踊り(歌劇「仮面舞踏会」より)

Royal Symphonic Band of the Belgian Guides
Yves Segers





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Last updated  2026年09月22日 15時04分17秒
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