昨日、10月1日付で新日本製鉄と住友金属工業が合併し新日鉄住金株式会社という会社が誕生しました。

新日鉄といえば日本で最大の製鉄会社であり、日本を代表する大企業です。そんな新日鉄でも世界では、それほど大きな企業でもなく、価格競争などで苦戦を強いられています。
新日鉄はトヨタなどの自動車会社へ納入する鋼板については自動車会社のニーズにあわせた優れた製品を納入しているようですが、それでも海外の安い製品に対抗するのは難しくなってきているようです。
そんな新日鉄が住友金属と合併することにより、とりあえず粗鋼生産量はルクセンブルクというヨーロッパの国に本社があるアルセロール・ミタル社に次いで、世界第2位となります。
ただし、新日鉄住金を取り巻く環境は厳しく、韓国のポスコやインドのタタ製鉄のような大きな会社があり、特に中国の製鉄会社が需要のあるなしに関係なく粗鋼生産を行っているため、世界的に鋼板は余っているらしいとのこと。ただでさえ、価格競争力が弱いことに加え、商品市況が弱含み、また円高の影響もあって、新日鉄住金の前途は厳しいようです。
ともあれ、世界で勝負できるような巨大な企業が誕生したことは日本の製造業全体にとって喜ばしいことだと思います。
なお、新日鉄といえば、戦前は日本製鉄という大きな会社でしたが、太平洋戦争後にアメリカの意向もあって、1950年に八幡製鉄と富士製鉄に分割され、その後1970年になってようやく元の鞘に収まる形で、合併が認められ新日本製鉄となったという経緯があります。
当時の八幡製鉄と富士製鉄の合併の際には独占禁止法に抵触するとかしないとかで大モメのモメたような記憶がありますが、今回の新日鉄と住友金属工業の合併に際しても独占禁止法に関する考察があったようです。
たしかに日本の中では巨大企業でしょうが、世界を見ると、まだまだ大きな企業があるのですから、日本での国内シェアだけみて、独占禁止法の適用をするのは時代遅れの感があります。
なお、独占禁止法の適用除外制度というような規則もあるようですが、世界で勝負する企業に対しては、「原則として」独占禁止法の対象外としたほうが良いのではないかと思います。
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