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2005年10月08日
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カテゴリ: 伝統文化
四君子苑とは、京都・北村美術館の隣にひっそりと佇む、数寄屋造の傑作と、モダンな増築部分が合わさった、非常に上品な家屋です。春と秋に一週間ずつ公開されていて、今回は案内つきで見ることができました。

この家は、林業を営んでいた施主・北村謹次郎氏が、当時の名棟梁・北村捨次郎氏(名前がよく似てますね)に依頼して、昭和15年着工、昭和19年に完成しました。「四君」とは「菊・竹・梅・蘭」のことを指しています。頭文字をとると「き・た・む・ら」になるというわけです(梅は、昔「むめ」と呼んでましたから、強引とは言えません)。なるほど、しゃれてる。

一室だけ洋間があるんですが、チークの寄せ木張りで、タイルのように10センチ角で縦横に凹凸なく貼られています。こんなしゃれたフローリング張りがあるなんて!

さらに、奥の茶室に向かって歩く土間の渡り廊下も、すばらしい景観。茶室は二畳とこぢんまりしていますが、池に向かっての見晴らしが端正で美しい!左側には手水鉢が、手前の床は市松模様状に張られています。この床でお茶を点てることもできるそうな。

茶室の奥に、6畳と8畳の広間がデーンと続いていて、ここから大文字の送り火の「大」が見える仕掛けになっているということです。、残念なことに、いま、7階建てのマンションが建設中で、来年には「大」が見えなくなるそうです。ということで、今年は大文字の日に茶会を開き、そうそうたる方々が参加して、お茶をいただいたあと、この広間から最後の大文字を楽しんだとか。ああ、こういう雅な習慣が、マンションによってなくなるというのは、どうなんでしょうね。

6畳と8畳の間に欄間があるんですが、ここに幅30センチ、厚さ3センチちかい桑が、まな板状に使われています。育ちが遅くて、材料として価値が出るまでに200年はかかるという無垢の桑を欄間に使うというのは、すんごい贅沢です。畳の目も細かくて、しっかりしていました。良い材料が、シンプルなデザインの中で何事もなかったかのように使われている。それが数寄屋建築の凄みだということを、改めて感じさせてくれました。

それにしても、こんな物資のない時代に、よくこんな立派な建築ができたものだと思ったら、国(つまり戦争)に供出する前の名木を安く手に入れて、仕事がなくてうずうずしていた60間近の棟梁が一生懸命時間をかけてつくった、というのが真相でした。名木にとっても良い使われ方だったのではないでしょうか。その証拠に、漆喰に全くヒビが入っていないんです。修理したわけではなくて、これは壁を充分に乾かしてから塗る、ということを繰り返した上で、住み始めたからなんだそうです。

ここは、建築よりも庭園内に置かれた石造美術が充実しているという説明がありました。鎌倉時代に造られた日本で最も古い燈籠など、重要文化財3点ほか、約60点が見事な配置で置かれています。石造美術はよくわからないのですが、形の力強さとか、バランスの良さなどを見ることができました。

まあとにかく、お施主さんの北村氏は、大変な数寄者であることがわかりました。昭和初期、お金と時間があって、施主の知性と作り手の技術が合致した、日本文化最後?の傑作かもしれません。年に2週間しか見ることができませんが、これは要チェックです。





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最終更新日  2005年10月09日 23時40分14秒
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