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2006年11月11日
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カテゴリ: 伝統文化
インゲン豆・明朝体・木魚・400字詰め原稿用紙…これらはすべて、萬福寺から日本に伝わったものです。萬福寺は、中国・福建省から渡来した隠元禅師が江戸時代初期に開創した寺院で、日本三大禅宗のひとつ黄檗宗(おうばくしゅう)の大本山です。鎖国の時代に中国文化の窓口として機能していたため、日本にとっての「はじめて」が、この寺に詰まっているわけです。今回は、京都非公開文化財として初めて拝観が許された場所もあって、自分にとっても初めて行くことにしました。

萬福寺は、黄檗駅から歩いて3分くらいのところにあります。目立った参道もなく、静かに、それでいて大きな伽藍にどっしり重要文化財の建造物が連なります。今まで訪れたどの寺社仏閣とも明らかに違う様式で、これは当時の中国の明朝様式をそのまま取り入れたものだということです。入山料500円を払って入れば、そこから先は、中国文化たっぷりの世界が広がります。

まず、寺の玄関として、大きな建物「天王殿」が立ちはだかります。中には恰幅のいい黄金の布袋尊が鎮座します。廊下には修行僧が朝夕に必ず打ち鳴らすという巡照板(じゅんしょうばん)がかかります。途中には水晶玉を口にくわえたような、大きな魚の木彫りがぶら下がっていました。これこそ開版(かいばん)と呼ばれるもので、木魚の原形になっています。どんな音がするか、一度聞いてみたかった…

伽藍の奥には法堂が建ち、卍崩しの手すり(=勾欄:こうらん)を見ることができます。こういう一つ一つのディテールが日本的ではなく、非常にオリエンタルな感じがします。本尊の大雄宝殿は日本最大のチーク材でできた歴史的建造物だということです。

この日はちょうど「京都非公開文化財特別公開」にあたり、特別拝観料800円東方丈と斎堂に入ることができました。が、斎堂は実際にお坊さんが食事をするところということで、質素で地味。東方丈も「特別に公開」というありがたみを特に感じられませんでした。

**
萬福寺を出て、歩いて3分ほどのところに、「宝蔵院」という塔頭があります。ここには約6万枚のお経の版木が置かれていて、原稿用紙や明朝体のルーツを見ることができます。ここは民家のようなアプローチで、蔵に行く前にインターホンを押して、簡単な説明を聞き、パンフレットをいただきます。

ガイダンスにしたがって進むと、山裾にたたずむように立つ高床式の蔵が、一切経の版木およそ6万枚を保管したところです。簡単で大きめの鉄の棚に、焦げ茶色の版木がずらっと積まれていました。蔵の静けさと版木の多さに、圧倒されます。誰もいない...と思いきや、高い棚の間にひとり静かに墨をすり、バレンを使って版木にすりこむ職人らしき男性の姿が見られました。あまりに一心不乱に作業していたので、声をかけることができませんでした。

版木は20文字×20行=400時詰めになっていて、中心に、お経のナンバリングがしてあります。まさに原稿用紙の元祖のようでした。書体は、明の時代の活版印刷を導入した明朝体が用いられています。これが日本における明朝体のルーツだと言われています。3階建てのうち3階の隅には、鉄眼法師の像がありました。活字信仰の本山と考えるにはわびしい感じがしましたが、活字文化のルーツの地として敬意を払おうと、そっと手を合わせました。






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最終更新日  2006年11月21日 05時04分57秒
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