2026.03.31
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カテゴリ: AI小説



3月も終わりですね。
今日は曇りがちの日でした。
最近暖かくなってきたと思ってたけど、お日様が出ないとまだちょっと寒いですね。

高校野球終ってたんだね。
大阪桐蔭か。
やっぱ名門だなぁ。

野球と言えば、ヤクルトのマスコットのつば九郎が帰ってきたらしいですね。
二代目か。
前の人と同じことはできないと思うんだよ。

知らんけど。

今日は何の日

オーケストラの日
教育基本法・学校教育法公布記念日
エッフェル塔落成記念日
サザンイエローパインの日
山菜の日
体内時計の日
経理の日
サミーの日
カワマニの日

アラ!の日
樹木葬・千年オリーブの森の日
菜の日

タイトル「フクロウ係、就任」

 パリの外れにある古いアパルトマンの五階、その小さなベランダは、近所ではちょっとした名所だった。
 名所といっても、観光ガイドに載るようなものではない。洗濯物も干していないのに、鉢植えの松があり、なぜかエッフェル塔の模型があり、壁には賞状がいくつも飾られている。そして毎朝きっかり七時になると、そこに一人の日本人女性が現れるのだ。

 近所の人々は彼女を「時間に厳しい東洋のマダム」と呼んでいた。
 フミエさんは毎朝、ベランダに出る。左手に木彫りのフクロウ、右手に古い懐中時計を持ち、無言で三分ほど街を見下ろす。雨の日も、風の日も、少し熱がある日も、必ず同じ姿勢で立っていた。
 通りのパン屋の主人は、「あれはたぶん日本の伝統的な儀式だ」と言った。
 向かいのアパルトマンの老紳士は、「いや、スパイの合図だ。フクロウは暗号装置に違いない」と言った。
 一階の花屋の娘は、「モデルさんじゃない? 静かなファッション系の」と言った。
 誰も本当のことを知らなかった。
 フミエさんはその噂を、だいたい知っていた。でも訂正しなかった。説明が面倒だったし、少しだけ、こういう誤解も悪くないと思っていた。
 実際のところ、彼女は厳密にはスパイでもモデルでもなかった。
 日本で長く経理の仕事をして、定年後に語学留学と称してパリに来た、ごく普通の女性である。賞状のうち三枚は簿記、一枚は地域の清掃活動、そして一番立派に見える額に入っているのは、地元の商店街でもらった「朝のあいさつ運動参加証」だった。
 それでも彼女には、毎朝このベランダに立たなければならない理由があった。
 半年前、パリに着いたばかりの頃、彼女は時差ぼけで毎朝とんでもなく早く目が覚めていた。することもないのでベランダでぼんやりしていたところ、下の通りで毎朝同じ男が、同じ時間に、同じパンを買い、同じ犬に吠えられ、同じ場所でコーヒーをこぼすことに気づいた。
 人間というのは、案外、時計より正確だ。
 その観察が面白くなり、彼女は懐中時計を片手に「今日も七時二分、コーヒーをこぼした」と記録するようになった。木彫りのフクロウは、日本から持ってきた置物だったが、ただ手ぶらで立つのも落ち着かないので、なんとなく抱えるようになった。
 近所の人はそれを見て、ますます彼女を謎の存在だと思った。
 やがて噂は育った。
 「あのマダムは、街の時間の乱れを見張っているらしい」
 「遅刻する人を見抜くらしい」
 「いや、フクロウに相談してから一日が始まるそうだ」
 ある日、パン屋の主人が、冗談半分でこう声をかけた。
 「マダム、今日は私、ちゃんと定時に店を開けられましたか?」
 フミエさんは少し考えてから、懐中時計を見て言った。
 「二分遅れです」
 主人は目を丸くした。
 当たっていた。
 それ以来、近所の人たちは時々、彼女に時間の判定を求めるようになった。
 「今日はいつもより早く犬の散歩に出た?」
 「この配達員さん、昨日より急いでる?」
 「うちの夫、また約束の時間をごまかしてない?」
 フミエさんは、妙に正確だった。
 もともと数字と記録に強かったし、人の癖を覚えるのも得意だった。誰が何分遅れがちか、誰が「すぐ行く」と言ってから本当に来るまで平均何分かかるか、そんなことが自然と頭に入ってしまうのだ。
 評判は広がった。
 いつのまにか彼女は、近所の子どもから「マダム・フクロウ」、大人からは「時間の番人」と呼ばれるようになった。
 フミエさん自身は少し困っていたが、内心では悪い気はしていなかった。パリで友達ができるとは思っていなかったし、まさかフクロウを抱いて立っているだけで地域に溶け込むとも思っていなかった。
 そんなある日、アパルトマンの管理人が真面目な顔で訪ねてきた。
 「お願いがあります。今度の住民総会で、ぜひ役員を引き受けていただけませんか」
 「役員?」
 「はい。住民の信頼が厚いですし、時間にも正確ですから」
 フミエさんは断ろうとした。異国の集合住宅の役員など、荷が重すぎる。
 だが管理人は続けた。
 「もう皆さん、あなたにしか任せられないと言っているんです」
 フミエさんは少しだけ胸を張った。定年後、まさかパリでそんなふうに頼られるとは思わなかった。
 総会の日、住民たちは拍手で彼女を迎えた。
 議題は、騒音問題、ゴミ出しルール、エレベーター修理、共用部の植木の管理など、実に現実的なものばかりだった。フミエさんは落ち着いてメモを取り、発言の順番を整え、時間配分まできっちり仕切った。
 会は驚くほどスムーズに進んだ。
 最後に管理人が言った。
 「では、新しい役職名を正式に確認します」
 フミエさんは一瞬、背筋を伸ばした。
 “時間管理担当理事”とか、“副会長”とか、そういう感じだろうと思った。
 管理人は紙を見ながら、はっきり読み上げた。
 「皆川フミエさん。新任の――フクロウ係です」
 会場は大きな拍手に包まれた。
 誰かが立ち上がって言った。
 「マダムには、やはりそれが一番ふさわしい!」
 別の誰かも頷いた。
 「時間のことも、ベランダの植物のことも、全部見てくれてるから!」
 フミエさんは口を開けたまま固まった。
 議事録をのぞくと、そこには確かに書いてあった。
 『ベランダにてフクロウを保持しつつ住民の生活リズムを監督する役割』
 しかも、年二回の報告義務つき。
 こうしてフミエさんは、パリの集合住宅でおそらく世界でもかなり珍しい正式役職、
 「フクロウ係」に就任した。
 今でも毎朝七時になると、彼女はベランダに立つ。
 左手に木彫りのフクロウ。
 右手に懐中時計。
 背後には、特に関係のない簿記の賞状。
 そして新しく増えた額には、住民総会から贈られた感謝状が飾られている。
 そこには達筆なフランス語で、こう書かれていた。
 『当アパルトマンの平和と時間秩序に多大な貢献をした、偉大なるフクロウ係へ』
 フミエさんはその文面を見て、毎回ちょっとだけ笑う。
 経理一筋四十年。
 まさか最後の肩書きが、
 「元会社員」ではなく
 「フクロウ係」になるとは思ってもいなかった。

おわり

あ、今日クレイジージャーニーあるのか。
これは今までに見たことないやつなのかな?
ちょっと気になるなぁ。







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最終更新日  2026.03.31 18:39:25
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