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3月も終わりですね。今日は曇りがちの日でした。最近暖かくなってきたと思ってたけど、お日様が出ないとまだちょっと寒いですね。高校野球終ってたんだね。大阪桐蔭か。やっぱ名門だなぁ。野球と言えば、ヤクルトのマスコットのつば九郎が帰ってきたらしいですね。二代目か。前の人と同じことはできないと思うんだよ。自分なりの二代目をやればいいんじゃないのかな?知らんけど。今日は何の日オーケストラの日教育基本法・学校教育法公布記念日エッフェル塔落成記念日サザンイエローパインの日山菜の日体内時計の日経理の日サミーの日カワマニの日サンミーの日アラ!の日樹木葬・千年オリーブの森の日菜の日タイトル「フクロウ係、就任」 パリの外れにある古いアパルトマンの五階、その小さなベランダは、近所ではちょっとした名所だった。 名所といっても、観光ガイドに載るようなものではない。洗濯物も干していないのに、鉢植えの松があり、なぜかエッフェル塔の模型があり、壁には賞状がいくつも飾られている。そして毎朝きっかり七時になると、そこに一人の日本人女性が現れるのだ。 その人の名は、皆川フミエ。 近所の人々は彼女を「時間に厳しい東洋のマダム」と呼んでいた。 フミエさんは毎朝、ベランダに出る。左手に木彫りのフクロウ、右手に古い懐中時計を持ち、無言で三分ほど街を見下ろす。雨の日も、風の日も、少し熱がある日も、必ず同じ姿勢で立っていた。 通りのパン屋の主人は、「あれはたぶん日本の伝統的な儀式だ」と言った。 向かいのアパルトマンの老紳士は、「いや、スパイの合図だ。フクロウは暗号装置に違いない」と言った。 一階の花屋の娘は、「モデルさんじゃない? 静かなファッション系の」と言った。 誰も本当のことを知らなかった。 フミエさんはその噂を、だいたい知っていた。でも訂正しなかった。説明が面倒だったし、少しだけ、こういう誤解も悪くないと思っていた。 実際のところ、彼女は厳密にはスパイでもモデルでもなかった。 日本で長く経理の仕事をして、定年後に語学留学と称してパリに来た、ごく普通の女性である。賞状のうち三枚は簿記、一枚は地域の清掃活動、そして一番立派に見える額に入っているのは、地元の商店街でもらった「朝のあいさつ運動参加証」だった。 それでも彼女には、毎朝このベランダに立たなければならない理由があった。 半年前、パリに着いたばかりの頃、彼女は時差ぼけで毎朝とんでもなく早く目が覚めていた。することもないのでベランダでぼんやりしていたところ、下の通りで毎朝同じ男が、同じ時間に、同じパンを買い、同じ犬に吠えられ、同じ場所でコーヒーをこぼすことに気づいた。 人間というのは、案外、時計より正確だ。 その観察が面白くなり、彼女は懐中時計を片手に「今日も七時二分、コーヒーをこぼした」と記録するようになった。木彫りのフクロウは、日本から持ってきた置物だったが、ただ手ぶらで立つのも落ち着かないので、なんとなく抱えるようになった。 近所の人はそれを見て、ますます彼女を謎の存在だと思った。 やがて噂は育った。 「あのマダムは、街の時間の乱れを見張っているらしい」 「遅刻する人を見抜くらしい」 「いや、フクロウに相談してから一日が始まるそうだ」 ある日、パン屋の主人が、冗談半分でこう声をかけた。 「マダム、今日は私、ちゃんと定時に店を開けられましたか?」 フミエさんは少し考えてから、懐中時計を見て言った。 「二分遅れです」 主人は目を丸くした。 当たっていた。 それ以来、近所の人たちは時々、彼女に時間の判定を求めるようになった。 「今日はいつもより早く犬の散歩に出た?」 「この配達員さん、昨日より急いでる?」 「うちの夫、また約束の時間をごまかしてない?」 フミエさんは、妙に正確だった。 もともと数字と記録に強かったし、人の癖を覚えるのも得意だった。誰が何分遅れがちか、誰が「すぐ行く」と言ってから本当に来るまで平均何分かかるか、そんなことが自然と頭に入ってしまうのだ。 評判は広がった。 いつのまにか彼女は、近所の子どもから「マダム・フクロウ」、大人からは「時間の番人」と呼ばれるようになった。 フミエさん自身は少し困っていたが、内心では悪い気はしていなかった。パリで友達ができるとは思っていなかったし、まさかフクロウを抱いて立っているだけで地域に溶け込むとも思っていなかった。 そんなある日、アパルトマンの管理人が真面目な顔で訪ねてきた。 「お願いがあります。今度の住民総会で、ぜひ役員を引き受けていただけませんか」 「役員?」 「はい。住民の信頼が厚いですし、時間にも正確ですから」 フミエさんは断ろうとした。異国の集合住宅の役員など、荷が重すぎる。 だが管理人は続けた。 「もう皆さん、あなたにしか任せられないと言っているんです」 フミエさんは少しだけ胸を張った。定年後、まさかパリでそんなふうに頼られるとは思わなかった。 総会の日、住民たちは拍手で彼女を迎えた。 議題は、騒音問題、ゴミ出しルール、エレベーター修理、共用部の植木の管理など、実に現実的なものばかりだった。フミエさんは落ち着いてメモを取り、発言の順番を整え、時間配分まできっちり仕切った。 会は驚くほどスムーズに進んだ。 最後に管理人が言った。 「では、新しい役職名を正式に確認します」 フミエさんは一瞬、背筋を伸ばした。 “時間管理担当理事”とか、“副会長”とか、そういう感じだろうと思った。 管理人は紙を見ながら、はっきり読み上げた。 「皆川フミエさん。新任の――フクロウ係です」 会場は大きな拍手に包まれた。 誰かが立ち上がって言った。 「マダムには、やはりそれが一番ふさわしい!」 別の誰かも頷いた。 「時間のことも、ベランダの植物のことも、全部見てくれてるから!」 フミエさんは口を開けたまま固まった。 議事録をのぞくと、そこには確かに書いてあった。 『ベランダにてフクロウを保持しつつ住民の生活リズムを監督する役割』 しかも、年二回の報告義務つき。 こうしてフミエさんは、パリの集合住宅でおそらく世界でもかなり珍しい正式役職、 「フクロウ係」に就任した。 今でも毎朝七時になると、彼女はベランダに立つ。 左手に木彫りのフクロウ。 右手に懐中時計。 背後には、特に関係のない簿記の賞状。 そして新しく増えた額には、住民総会から贈られた感謝状が飾られている。 そこには達筆なフランス語で、こう書かれていた。 『当アパルトマンの平和と時間秩序に多大な貢献をした、偉大なるフクロウ係へ』 フミエさんはその文面を見て、毎回ちょっとだけ笑う。 経理一筋四十年。 まさか最後の肩書きが、 「元会社員」ではなく 「フクロウ係」になるとは思ってもいなかった。おわりあ、今日クレイジージャーニーあるのか。これは今までに見たことないやつなのかな?ちょっと気になるなぁ。
2026.03.31
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今日は朝一から銀行に行ってきた。朝一からなんでこんなに混んでるのってくらい人がいた。なんでだ?月末だから?年度末だから?月曜日だから?知らんけど。んでそのあと会社に行って仕事してました。と言いつつ、Xで流れてきてた中川郁子さんの話について書いてあるのをいろいろ読んでました。中川さんはずっと言いたかったことだったと思うんだよね。でも言えなかった。内容はYouTubeなんかで誰かが検証されていたのとほぼ同じ内容だった。そんなことを言うと、陰謀論とか、暗殺とか、おかしなこと言ってると思われるからね。それを今言った。そこに何か意味があると思うんだ。どんな意味かは知らないけど。今日は何の日国立競技場落成記念日マフィアの日信長の野望の日妻がうるおう日スポーツ栄養の日サラサーティの日+Style・スマート家電の日白黒猫さんの日見えない・見えにくい人と共生社会を考える3日間みその日EPAの日サワーの日キャッシュレスの日タイトル:『十三路盤の名人』古い町のはずれに、「サカキ囲碁店」という小さな店があった。店の奥には年季の入った碁盤が置かれ、壁には少し色あせた日本地図と、「サカキ塾」と書かれた看板がかかっている。昼は子ども相手の囲碁教室、夜は大人たちのたまり場。静かな店だったが、ひとつだけ、やたらに騒がしい噂があった。「あそこの白黒の猫、めちゃくちゃ強いらしい」猫の名はハチワレ。店主の榊老人が拾ってきた猫で、毎日決まって碁盤の横に座っていた。対局が始まると、ハチワレはじっと盤面を見つめる。誰かが変な手を打つと耳がぴくりと動き、勝負どころになると、なぜか前のめりになる。たまたまだろう、と最初は誰も気にしていなかった。だが、何度も見ているうちに常連たちは確信しはじめた。「今の場面、あの猫、先にわかってたぞ」「さっきもだ。あいつがしっぽ振った直後、形勢がひっくり返った」「前世が本因坊なんじゃないか?」噂は町中に広がり、ついには隣町から“県大会ベスト8”を三回も自称する、やたら肩書きの細かい男がやってきた。男は店に入るなり、鼻で笑った。「猫が囲碁を読む? 結構。今日はその迷信を、盤の上で終わらせましょう」榊老人は「はいはい」とだけ言い、いつもの席に座った。ハチワレもまた、いつものように盤の横に座った。対局が始まった。序盤から男は鋭かった。石を置く音まで自信満々で、常連たちも「これはさすがに強いぞ」と顔を見合わせる。中盤に入るころには、榊老人の形勢がやや悪いようにも見えた。店の空気が重くなる。そのときだった。ハチワレが、すっと立ち上がった。ざわっ、と店内が揺れた。猫は盤のまわりを半周し、男の背後へ回り込む。そして男の肩越しに盤面をのぞき込み、そのまま、じっと動かなくなった。「出た……」「読んでる……」「完全に勝負手の顔だ……」男のこめかみに汗がにじんだ。常連たちは息をのむ。榊老人だけが湯飲みを持ったまま、ぼんやりしている。男は平静を装って石を置いた。その瞬間、ハチワレは静かに盤の右上へ前足を伸ばした。「そこか!」と常連の一人が叫んだ。「右上が急所だ!」「やっぱり先生は読んでる!」榊老人は「ああ、なるほど」と言って、その近くに一手打った。すると、その一手をきっかけに流れが変わった。男の攻めは空振りし、榊老人の石がみるみるつながっていく。やがて形勢は逆転。最後は榊老人の中押し勝ちとなった。店は騒然となった。「見たか!」「やっぱり猫が決めた!」「右上を示したんだ!」「ハチワレ先生だ!」男は青ざめた顔で盤を見つめ、それからハチワレに向かって深々と頭を下げた。「……完敗です。私は、猫に負けました」常連たちは大拍手。誰かはもう「先生の写真をポスターにしよう」と言い出し、別の誰かは「サイン会は無理でも肉球判なら」と本気で相談し始めていた。そのとき、榊老人がぽつりと言った。「いや、たぶん違うな」みんなが振り向く。榊老人は男の背後の壁を指さした。そこには、店のガラス戸があった。夜の店内がうっすら映り込むそのガラスに、男の頭頂部がきれいに反射していた。そしてその真ん中に、丸く、くっきりと——ハチワレの大好物の、ちゅ〜るのシールが貼ってあった。沈黙。常連一同が、壁と、男の頭と、猫を順に見た。ハチワレは囲碁の急所を見抜いていたのではない。男の頭がちょうどガラスに映って、ちゅ〜るのシールが頭頂部に貼られているように見えたので、「食べ物が乗ってる」と思って狙っていただけだった。男が、震える声で言った。「……じゃあ、あの“勝負手の視線”は」榊老人は湯飲みを置いて答えた。「腹減ってただけだろ」その瞬間、店の奥で見ていた小学生が、最悪のひと言を放った。「でも結果的に、おじさんの頭をエサ扱いした猫のほうが強かったってことだよね」店内、大爆笑。町内会長は机を叩いて笑い、元教師は涙を流し、常連の一人は「それは棋力じゃなくて嗅覚だ!」と意味不明の反論をした。男は真っ赤になって立ち上がったが、出口へ向かう途中で、ハチワレがちょんと前足を出したので、思わずぴたりと止まってしまった。すると小学生が追い打ちをかけた。「ほら! 次の一手も読まれてる!」その日以来、町での噂はこうなった。「サカキ囲碁店には、名人の猫がいる」ではなく、「サカキ囲碁店には、相手の弱点が“頭”だとすぐ見抜く猫がいる」そして県大会ベスト8を三回も自称した男は、それ以来一度も来なかった。ただし半年後、町内の回覧板に載ったチェス教室の生徒募集広告に、見覚えのある顔写真が出ていた。写真はしっかり帽子姿だった。おわり月曜日から眠いよ。この時間特に眠いわ。
2026.03.30
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今日は朝から天気が良かったけど、気がついたら曇りになってた。でも日中は暖かかったね。昨日のサッカーはよく勝ったなぁ。たまたまかもしれないけど。やっぱ日本強いわ。今日はアッコにおまかせの最終回をちらっと見てた。なんでこんなに続いたのかなぁ。事務所の力かなぁ。今日は何の日マリモの日八百屋お七の日作業服の日サニクリーンの日みんつくの日ヴァイスシュヴァルツの日「ラヴィット!」の日見えない・見えにくい人と共生社会を考える3日間肉の日クレープの日Piknikの日ふくの日風信子忌タイトル:苔玉鑑定士、現る町の小さな八百屋「やの星おいし店」には、午後三時を過ぎると、なぜか少しだけ空気が変わる時間があった。野菜の補充がひと段落し、テレビでは微妙に盛り上がりきらない情報番組が流れ、店先のりんごも白菜も、どことなく昼の役目を終えた顔になる。そんな時間になると、店の隅の丸椅子に腰かけるのが、配達担当の桑原さんだった。桑原さんは無口ではない。むしろ聞かれればよく話す。ただ、自分から話し出す内容が毎回少しだけおかしかった。「これね」その日、彼が得意げに取り出したのは、小さな透明ケースに入った緑色の球体だった。ピンポン玉より少し小さい。ふわっと丸く、光を吸い込むような深い緑。どう見ても、苔玉にしか見えない。レジ打ちの真理子さんが、にんじんの値札を貼りながら言った。「また始まった。今度は何なんですか、それ」桑原さんは口元に薄く笑みを浮かべた。「これはね、“持ち歩ける落ち着き”です」「落ち着き」「人はみんな、心の中に乾いた場所を持ってるんですよ」急に話が大きくなった。真理子さんは、ああ今日もそういう日か、という顔でうなずいた。桑原さんによると、その球体はただの苔玉ではなく、「一日に三分見つめるだけで気持ちが整う携帯用観賞苔」らしかった。朝の忙しい時間、昼のイライラする時間、夜のよく分からない不安の時間。そのどれにも効くのだという。「なんか薬機法に引っかかりそうな言い方してません?」「効くとは言ってません。整うんです」「もっと危ないです」しかし不思議なことに、桑原さんがそう言って緑の玉を見つめていると、たしかに妙な説得力があった。彼は仕事ぶりは真面目で、野菜の扱いは丁寧で、お年寄りの家に配達へ行けばついでに電球まで替えてくるような人だった。だからこそ、たまに飛び出す妙な発言にも、店の人たちは完全には笑いきれない。そのうち、店長まで興味を示した。「それ、売れるかな」「たぶん売れません」桑原さんはきっぱり言った。「じゃあ何で持ってきたんだよ」「見せたかったからです」その潔さに、店長はちょっと感心した。夕方になると、常連の小学生たちまで集まってきた。「それなに」「食べれるの」「スライム?」と口々に言う子どもたちに、桑原さんはケースを掲げて静かに答えた。「これは大人の心を守るための緑です」子どもたちは一秒で飽きて、りんご箱の陰にいたカナブンを追いかけ始めた。だが、その日の店内には少しだけ変な一体感が生まれていた。真理子さんはレジの合間にちらっとその球体を見て、「たしかにちょっと落ち着くかも」と思ったし、店長も「事務作業の机に一個あってもいいな」と言い出した。配達帰りの高校生バイトなどは、「なんか高そうっすね」と、よく分からない感想を残した。桑原さんは満足そうだった。自分の信じる小さな緑の丸を、世界が少しだけ認め始めた気がしたのだろう。そして閉店後。片付けを終えた真理子さんは、ふと思い出して尋ねた。「で、結局それ、どこで買ったんですか?」桑原さんは、少しだけ困ったように笑った。「買ってないです」「え?」「昼休みに、向かいの用水路の石に生えてたやつを丸めて詰めました」真理子さんは手を止めた。「……はい?」「最初はもっと大きかったんですけど、ケースに入るサイズに調整して」「調整って何」「ちぎって」店長が奥から顔を出した。「お前、それ商品じゃないの?」「商品じゃないです。作品です」「もっとダメだろ!」さらに桑原さんは、胸を張ってこう続けた。「ちなみに名前も決めてます。“流域一号”です」その瞬間、真理子さんは笑いをこらえきれず、レジ台に突っ伏した。店長は頭を抱え、高校生バイトは腹を抱えて笑い、当の桑原さんだけが最後まで真顔だった。翌週、店の入口には小さな手書きの張り紙が出た。『店内への用水路由来の芸術作品の持ち込みは禁止します』そしてその紙の横には、なぜか新しい透明ケースが一つ置かれていた。中には、前より少し大きく、少し形の整った緑の玉。張り紙の下に、桑原さんが小さく追記していた。『二号はかなり整います』おわり
2026.03.29
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今週は色々忙しくって、夜も眠いし朝はもう少し寝坊したいと思ってるんだけど、いつもくらいの時間に目が覚めてしまう。今日もそんな感じ。んで、日中眠くなる。よくないねえ。このサイクル。今日は何の日シルクロードの日スリーマイル島の日三つ葉の日三ツ矢の日・三ツ矢サイダーの日グリーンツーリズムの日八幡浜ちゃんぽん記念日酵水素328選の日ナッツのミツヤの日刀剣乱舞・審神者の日焼肉開きの日見えない・見えにくい人と共生社会を考える3日間にわとりの日宗因忌鑑三忌邂逅忌タイトル:酢と刀のあいだ 町はずれの古道具屋の二階に、「鑑定処・三ツ矢堂」はあった。 看板も小さく、宣伝らしい宣伝もしていないのに、なぜか妙な品物ばかり持ち込まれる。欠けた茶碗、古い帳簿、誰のものかわからない軍帽、そしてたまに、明らかに普通ではないもの。 この日、店主の娘である真琴は、一本の古い刀を前にしていた。 藍色の着物に袖を通し、虫眼鏡を片手に、真剣そのものの顔で刀身を見つめる。机の上には見かけによらず生活感のあるものが並んでいた。豆、芹、そしてなぜか三ツ矢サイダーの空き瓶ではなく、三ツ矢サイダーそのもの。「どうだい、真琴」 階下から父が声をかけた。「本物か、贋作か、わかりそうか」 真琴はすぐには答えなかった。刀の茎に刻まれた銘を見て、ふっと眉を寄せる。「銘はある。でも妙です」「ほう」「時代が合わない。研ぎも不自然。なのに、変に丁寧」「ますます面白いな」 持ち主は、商店街で乾物屋を営む熊田という男だった。朝いちばんに店へ飛び込んできて、「うちの蔵から出た家宝です! 先祖はきっとすごい武士だったんです!」と息巻いていたが、話を聞くうちに、「いや、たぶん曽祖父が景品でもらった気もします」などと言い出し、信用していいのかよくわからない人物だった。 真琴は刀を傾け、光に透かした。 刃文は美しい。だが、どこか妙に整いすぎている。古刀の気配も、新刀の力強さも、中途半端に混ざっていた。 彼女は机の上の瓶をちらりと見た。「……お父さん」「なんだ」「これ、もしかしたら“あの系統”かもしれません」「あの系統って、どの系統だ」「見た目だけ立派で、出自が情けない系統」 父は階下でしばらく黙ったあと、「うちで一番多いな」とだけ言った。 真琴は刀の根元に残ったごく薄い汚れを見つけた。赤茶色の染みでも、油でもない。指先でこすり、匂いを確かめる。さらに机の上の豆をひとつ拾って、鼻先へ寄せた。「……なるほど」 彼女は静かに階下へ降り、熊田を呼んだ。 熊田は落ち着きなく正座しながら待っていた。「で、どうでした!? 国宝級!?」「そこまではいきません」「重要文化財!?」「もっと違います」「じゃあ、名のある武士の佩刀とか」「たぶん違います」「たぶん!?」 真琴は刀を布の上に置いた。「結論から言います。この刀は、古刀ではありません」「な、なんだって……」「ですが、ただの模造刀でもない」「おおっ!」 熊田の目が輝いた。「おそらく昭和の終わり頃に作られた、特注品です」「特注品?」「はい。かなりしっかり作ってあります。観賞用というより、見せるための道具です」「見せる?」「ええ。たぶん“切れること”を証明する必要があった」 熊田はごくりと唾をのんだ。「……試し斬り用?」「いえ」「剣術道場の演武用?」「いえ」「まさか闇の――」「違います」 真琴は机の上の瓶を持ち上げた。「炭酸飲料の販促用です」「は?」 部屋がしんとした。「刀身の根元に残っていた成分、砂糖と香料でした。しかも今のものではなく、昔の三ツ矢サイダーに近い配合です。さらに銘に見えた刻印、よく見ると銘ではなく『一刀両断キャンペーン』の“断”の一部です」「は?」 熊田はさっきより深い“は?”を出した。 真琴は淡々と続けた。「昭和の地方商店街では、開店記念や売り出しで、妙に力の入った催しをやることがありました。これはたぶん、そのとき使われた“瓶を斬る演出用の大刀”です。実際には斬るというより、あらかじめ仕込みの入った飴細工か薄い氷柱を斬って、観客に『うおーっ』と言わせる類の」「じゃ、じゃあ家宝じゃないのか……?」「家宝ではありません」「先祖は武士じゃないのか……?」「むしろ販促に全力の酒屋か雑貨屋だった可能性が高いです」「そっちかぁ……!」 熊田は天を仰いだ。 父はその様子を見て、腕を組んだ。「しかし、よくそこまでわかったな」「ポスターです」「ポスター?」「壁の、あれ」 真琴が指した先には、店の奥に貼られた古い三ツ矢サイダーのポスターがあった。何十年も前に貼られたまま色褪せていたが、下のほうに小さく書かれている。“夏の特別実演 一刀両断! 三ツ矢サイダーの涼味演武” 熊田は目を細めた。「……あれ、うちの蔵にあった古いチラシにも、似た文句が……」「おそらく同じ催しです」「じゃあ曽祖父は」「武士ではなく、たぶん司会です」「司会!?」 しかも、と真琴は付け加えた。「刀の鞘の内側に紙片が詰まっていました」「なんて書いてあった!? 秘伝書か!?」「台本です」「台本」「『ここで一拍おいて、子どもを前に集めること』『サイダーはぬるいと不評が出るので氷を多めに』と書いてありました」「生活感が強い!」 熊田はしばらく黙っていたが、やがて肩を震わせ、笑い出した。「いやあ……うちの先祖、思ってたよりずっと庶民だな……」「でも、悪くありません」 真琴は少しだけ笑った。「人を驚かせて、喜ばせようとしていたんでしょう。立派な仕事です」「たしかに……武士ではないけど、商店街のエンターテイナーではあったわけか」 熊田は満足したように刀を抱えた。「よし、店に飾ります。“熊田家伝来”じゃなくて、“曽祖父のサイダーショー使用刀”って書いて」「正しい表記です」「ついでに乾物屋の前で実演でも――」「やめたほうがいいです」「だよな」 熊田が帰ったあと、父は真琴に尋ねた。「ところで、机の上の豆と芹はなんだったんだ」「あれですか」「鑑定に必要だったのか?」「いえ」「じゃあなぜ置いてあった」「今夜、豆ごはんです」「芹は」「お吸い物です」「サイダーは」「気分です」 父はうなずいた。「なるほど。全部に意味があるわけではないんだな」「そうです」 真琴は真顔で言った。「でも、虫眼鏡だけは意味があります」「うむ」「さっき床に落とした一円玉を探すのに使いました」 名鑑定士らしい顔のまま、真琴は懐から一円玉を取り出した。「あと、お父さん」「なんだ」「熊田さんの刀より大事なことが一つあります」「なんだ」「うちの壁のポスター、“ミツ矢サイダー”じゃなくて“三ツ矢サイダー”です」「……それが?」「さっきまでずっと、私、読み間違えてました」「鑑定士として致命的じゃないか」 真琴は少しだけ考えてから言った。「だから今日は、鑑定料を半額にします」「良心的だな」「その代わり、サイダー一本いただきます」「結局そこか」 こうして三ツ矢堂は、その日もまた、刀よりサイダーのほうが記憶に残る鑑定を終えたのだった。おわり昨日の昼に食べたジンギスカンが美味しかったので、すでにまた食べたくなってる。
2026.03.28
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今日は朝からお出かけ。今週は色々忙しかったけど、これで予定は最後だ。昼くらいに終わって、焼肉を食べて帰ってきた。サガリより、ジンギスカンがうまかった。ただ、切り方がケチ臭い。網の目の大きさを考えたらもっと肉も大きめに切るべきだ。と思った。あと、お水はセルフサービスで。っていうから、お水と一緒に並んでるお茶を注いだらお茶はドリンクバーを注文しないといけないらしい。そんなの先に言ってくれよ。言われてたらお茶は注がなかった。今日は何の日世界演劇の日さくらの日祈りの日オンライン花見の日京鼎樓の小籠包の日プレミアムフライデー仏壇の日ツナの日赤彦忌タイトル:プレミアムフライデーに賭けすぎた女 その店は、春になると少しだけ有名になる。 窓の外の桜が見事だから――というのが表向きの理由だが、本当は「なんとなく人生の重大な話が行われそうな雰囲気」があるからだ。告白、別れ話、和解、退職報告、あるいは親族会議。そういうものが、やけに似合う店だった。 だから真理子は、その席に座った瞬間、覚悟を決めた。 来る。 今日は、あの人が来る。 昨夜届いたメッセージは、たった一文だった。「明日、あの店で」 余計な説明はない。 絵文字もない。 句点すらない。 逆に重い。 三年前、真理子はこの店で恋人の健吾と別れていた。 正確には、健吾が「今は自分を見つめ直したい」と言い、真理子が「じゃあ見つかったら返しに来て」と言って終わった。 以来、健吾は見つかったのか迷子のままなのか、一切不明だった。 なのに昨夜、急に「あの店で」だ。 これはもう、再会である。 やり直しかもしれない。 少なくとも、重要な話ではある。 真理子は朝から大変だった。 服を三回着替え、髪型を二回やり直し、鏡の前で「久しぶり」と「え、急にどうしたの」を七種類練習した。 最終的には、あまり気合いを入れた感じを出さず、それでいて「ちゃんと生きてました」感もある絶妙な服装に着地した。 店に着いてからも抜かりはない。 姿勢よく座り、注文は上品にお茶と小籠包。 指先には、窓から舞い込んできた桜の花びらをそっと持つ。 我ながら、絵になる。 これで相手が来て、「変わってないな」 なんて言ったら、だいぶ困る。 でも困ってもいい。 今日はそういう日なのだ。 約束の時間が来た。 来ない。 五分過ぎた。 来ない。 十分過ぎた。 真理子は窓の外を見た。 桜はきれいだった。 とてもきれいだった。 きれいすぎて腹が立ってきた。 二十分過ぎた。 小籠包が来た。 湯気が立っている。 今が食べごろだ。 だがここで先に食べると、なんだか待ち合わせに負けた気がする。 三十分過ぎた。 真理子は一個だけ食べた。 思った以上に熱くて、上品に待つ女の顔のまま「ッッッッッ!」となった。 四十分過ぎた。 もう一個食べた。 今度は慎重に食べたので熱くなかった。 おいしかった。 腹が立った。 五十分過ぎた。 真理子は、「もしかしてこれはドッキリ番組で、どこかからカメラが撮っているのでは」と思い始めた。 もしそうなら、今のところ絵面は「桜を見ながら一人で小籠包を追加注文した女」である。 弱い。 一時間過ぎた。 ついに真理子はスマホを取り出した。 そして、昨夜のメッセージをもう一度開いた。「明日、あの店で」 送信者名を見て、真理子は静かにすべてを理解した。 母「……うそでしょ」 そのタイミングで、店の引き戸がガラッと開いた。「ごめんごめん! 町内会の人つかまっちゃって!」 入ってきたのは健吾ではなく、母だった。 しかも妙に元気だった。 春の陽気を全部吸ってきたみたいな顔をしていた。「え、あんたなんでそんなちゃんとしてんの?」「……」「その髪どうしたの?」「……」「えっ、泣いた?」「小籠包でやけどしただけ」 母は向かいにどかっと座ると、窓際の立て札を指さした。「見て見て。“プレミアムフライデー特別企画”で小籠包一個サービスなんだって! 二人で来たほうが得じゃない?」 真理子は、人生のいろいろな場面を思い出した。 受験の失敗。 失恋。 前髪を自分で切って終わった朝。 でも、今この瞬間ほど「私は何に本気を出していたんだろう」と思ったことはなかった。「お母さん」「なに」「メッセージ、もっと書けたよね?」「書けたけど、短いほうが大人っぽいかなと思って」「私の心の中では、元彼との再会か復縁か謝罪会見まで始まってた」「えっ、そんなに?」「しかも小籠包二個先に食べた」「じゃあちょうどよかったじゃない」「どこが!」「一人で二個食べる娘を見るより、四個食べる娘を見るほうが母として安心する」 母は店員を呼んで、にこにこしながら言った。「すみませーん、追加で小籠包ふたせいろ!」「なんで!?」「だってあんた、さっきから顔が失恋した人じゃなくて、完全に食べ直したい人の顔だもの」「見抜かないで」 結局、真理子はその日、母と並んで合計六個の小籠包を食べた。 さらに母は食後に言った。「で、本題なんだけど」「まだ本題あったの?」「お花見の場所取り、若い人のほうが足速いでしょ。朝六時お願い」「最悪だ!」 店中が少しだけ静かになった。 奥の席の老夫婦がこちらを見た。 店員がせいろを置きながら笑いをこらえた。 窓の外では桜が、まるで全部わかっているみたいに、はらはら散っていた。 真理子は湯のみを持ち上げ、深く息をついた。「……ちなみに、その“あの店で”って、私以外にも送った?」「送ったわよ。お父さんと、おばさんと、自治会の佐々木さん」「グループ招集じゃん!」 その瞬間、引き戸がまた開いた。「遅れてごめーん!」 父とおばさんと佐々木さんが、ほぼ同時に入ってきた。 真理子は思った。 復縁じゃなかった。 運命の再会でもなかった。 ただの町内会プレミアムフライデー小籠包会議だった。 しかも母は最後に、真理子へにっこり笑って言った。「でも、あんた今日すごくきれいよ。健吾くん呼べばよかったわね」 真理子は桜の花びらをそっと置き、静かに言った。「今からでも遅くないから、お母さんだけ外で待ち合わせしてきて」おわりてか、帰り道も眠かったが、帰って来てからも眠い。
2026.03.27
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今日はいい天気でだいぶ暖かかかった。昼間出かけるときは上着に悩むね。暗くなってからはさすがにちょっと寒いから何か必要だけど、昼間、車でちょっとちょっとくらいなら上着なくてもいいかもしれない。今日は何の日カチューシャの唄の日サク山チョコ次郎の日食品サンプルの日風呂の日プルーンの日ツローの日楽聖忌鉄幹忌犀星忌誓子忌タイトル:ミニパフェの決断商店街のはずれにある喫茶店「月曜の三時」は、少しだけ時間の流れが遅い店だった。木枠の窓。やわらかい電球。少しくたびれたメニュー板。そしてガラスケースの中には、季節を無視して一年中ならぶ色とりどりのパフェたち。結城しおりは、その店のいつもの席に座っていた。窓際の、午後の光がいちばんやさしく当たる席だ。しおりは考えごとをするとき、必ず甘いものを頼む。子どものころからそうだった。進路に迷ったときはプリン。就職で悩んだときはチョコレートパフェ。失恋した夜は、なぜかクリームソーダを二杯飲んだ。そして今日、彼女は人生でもかなり大きな選択を前にしていた。東京の出版社から、編集者として来ないかという誘いを受けていたのだ。いまの街を離れるか。このままここに残るか。友だちはみんな「行ったほうがいい」と言った。母は「若いうちは動いたほうがいい」と言った。父は「ただし家賃は高いぞ」と、やけに現実的なことを言った。しおりは三日前からずっと迷っていて、ついに自分のなかで結論が出せないまま、「月曜の三時」へ来たのだった。注文したのは、普通のパフェではなかった。店の名物、“試食用ミニミニパフェ”。親指ほどのグラスに、アイス、クリーム、ソース、クッキーまで全部のっている。見た目は本格的なのに、サイズだけがやけに小さい。しおりはそれを指先でつまみ、じっと見つめた。「人生って、こういうものかもしれないな」思わず、そんな言葉が口をついた。大きいと思っていた選択肢も、少し距離を置けば、指で持てるくらいの大きさになる。苦いことも甘いことも、案外きれいに一つのグラスに収まってしまう。大事なのは、量じゃなくて、自分で味わう覚悟なんじゃないか――。「ずいぶん深い顔してるねえ」声をかけたのは、店主の沢村だった。七十を過ぎているのに背筋がしゃんとしていて、蝶ネクタイが妙に似合う老人だ。「東京へ行くか迷ってるんです」と、しおりは正直に話した。「やりたい仕事ではあるんです。でも、この街も好きで。決めきれなくて」沢村はふんふんとうなずき、カウンターを拭きながら言った。「人はね、迷うときはだいたい、どっちを選んでもちゃんと生きていけるときなんだよ」しおりは、ほう、と小さく息を漏らした。「ほんとですか」「ほんとほんと。ほんとにダメな道は、だいたい迷う前に周りが止める」それは妙に説得力があった。しおりは少し笑い、ミニミニパフェを一口で食べた。甘かった。驚くほどちゃんとしたパフェの味がした。小さいくせに、妙に満足感がある。その瞬間、しおりのなかで何かがすとんと落ちた。――行こう。だめなら戻ってくればいい。この店だって、この街だって、なくなるわけじゃない。少し大きな場所で、自分がどこまでやれるか試してみよう。しおりは顔を上げた。窓の外の光が、さっきより明るく見えた。「決めました」「おお」「東京、行きます」沢村はにっこり笑った。「そうか。じゃあ、お祝いにこれをあげよう」差し出されたのは、小さな紙袋だった。中には、店のロゴ入りの焼き菓子が入っていた。しおりは思わず顔をほころばせる。「ありがとうございます。あの、今日の代金も――」すると沢村は手をひらひらさせた。「いいよいいよ。今日は相談料だけで十分」「相談料?」「うん。五千円」しおりは固まった。「……え?」「人生相談コース。うちの裏メニュー」「そんなのメニューに書いてないですよ!?」「書いてない。常連限定だから」「聞いてないです!」「でも、きみ、さっき“人生ってこういうものかもしれないな”って言っただろう。あれで相談開始」しおりは目を丸くしたまま、しばらく沢村を見つめた。沢村はまじめな顔でレジを打っている。カシャ、と乾いた音が店内に響く。ミニミニパフェ 280円人生相談コース 5,000円伝票には、きっちりそう印字されていた。しおりはしばらく黙っていたが、やがて吹き出した。笑いが止まらなくなって、窓際の席で肩を震わせた。「……東京でもやっていける気がしてきました」涙をぬぐいながらそう言うと、沢村はうなずいた。「そうだろう。五千円分の自信はつけて帰ってもらわないと困る」しおりはその日、人生でいちばん高いミニパフェを食べた。そして一か月後、東京へ引っ越した彼女が最初に企画した本のタイトルは――『悩んだら、とりあえず甘いもの』 だった。おわり今日は夜更かししたのにいつもの時間に起きたので眠いはずなんだけど、眠くもならず、昼寝もせずに過ごしていた。明日は眠くなるかもしれない。
2026.03.26
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今日は母を病院に連れて行った。んで、待ってる間、スタバでコーヒーを買ってメガドンキの駐車場で時間をつぶしていた。天気がいいので日高山脈がきれいに見えたのでついつい写真を撮ってしまった。スマホの写真ってなんかしょぼく写るなぁ。実際見たらもうちょっと迫力あるように見えるんだけどなぁ。って思ってたら、どっかのおばさんも同じように写真を撮ってた。俺よりだいぶ長めに撮ってた。 よっぽど気に行ったのかなぁ。でも今日はそんな気になるくらい山がきれいに見えた。今日は何の日拘留中または行方不明のスタッフと連帯する国際デー奴隷及び大西洋間奴隷貿易犠牲者追悼国際デー電気記念日散歩にゴーの日ドラマチック・デーサガミのみそ煮込の日ご自愛の日みんなでニッコリみんなで健康長寿の日EGSスリースマイルの日笑顔表情筋の日みつこの日ぷろぽりす幸子の日とちぎのいちごの日プリンの日いたわり肌の日蓮如忌天神の縁日タイトル:みつこの窓口商店街のはずれに、その窓口はあった。古いビルの一階、ガラス戸の向こうに、小さな木の机と、真鍮のランプがひとつ。夕方になると、街の灯りがにじみ始めるころ、そのランプだけが先に夜を引き受けるように灯された。窓口に立つのは、名札に「みつこ」と書かれた女性だった。年齢は七十前後だろうか。背筋はすっと伸び、話し方は静かで、相手の言葉を最後まで遮らずに聞く。そのせいか、この場所には不思議と、急いでいた人まで立ち止まってしまう空気があった。壁には、難しそうな掲示や、やさしい言葉の書かれた紙が並んでいる。「ご自愛」「拘留中または行方不明のスタッフと連帯」どれも少し重たくて、少しあたたかい。「ここは、何の窓口なんですか」初めて訪ねてきた高校生の真央が聞くと、みつこはランプの火を見ながら言った。「困ってる人が、自分で困ってるって言えないときに来る場所だよ」真央は、その答えが妙に胸に残った。学校でも家でも、誰も乱暴ではないのに、なんとなく息がつまる日がある。泣くほどではない。助けを呼ぶほどでもない。でも、少しだけ、自分がどこかに置き忘れられた気がする。そんな日だ。みつこは真央に、湯のみをひとつ差し出した。「ここではね、相談の前に、まず座るの」「相談の前に?」「立ったままだと、人は強がるから」真央は、ちょっと笑ってしまった。それから真央は、学校帰りに何度かそこへ寄るようになった。進路の話をした日もあった。友達に既読無視された話をした日もあった。特に話すことがなくて、ただ黙ってランプの火を眺めた日もあった。みつこは、いつも同じ調子だった。大げさに励まさない。かわいそうとも言わない。でも、話し終えるころには、少しだけ自分の輪郭が戻ってくる。ある日、真央は思いきって聞いた。「みつこさんって、前は何をしてた人なんですか」みつこは少し考えてから、机の上の冊子を整えた。「長いこと、人の顔を見てきたよ」「カウンセラー?」「まあ、似たようなものかねえ」その言い方が引っかかって、真央はますます気になった。数日後、商店街の福引き大会の日、真央はくじ引きの手伝いで早めに会場へ行った。すると、商店街の会長が拡声器を持って叫んでいた。「続きまして、特別企画! 今年もやります、“笑顔査定”! 審査員はもちろん、伝説のこの方! 元・全国百貨店お客様相談室主任、現・笑顔表情筋協会顧問、みつこ先生です!」ざわっと人が湧いた。真央は、思わず声が出た。「えっ」会場の端から、いつもの千鳥格子の上着で、みつこが現れた。だが、いつものみつこではなかった。片手にはクリッカー、首からは笛、胸には金色のバッジ。背後には「第一回・商店街笑顔持久選手権」の横断幕。みつこは壇上に立つと、驚くほど通る声で言った。「はい、口角二ミリ足りません! 次! あなた、目が笑ってない! でも素質はある! 次! その笑顔は作りすぎ、接客三年目のクセが出てる!」人々は次々に査定され、「自然な笑顔部門」「無理してないけど感じがいい部門」「雨の日でも返品対応できる顔部門」など、聞いたことのない部門で表彰されていった。真央は呆然としながら見ていた。相談者の話をじっと聞いていた、あの静かな人が。ランプの火を見つめていた、あの穏やかな人が。いまや商店街の真ん中で、町内会長の笑顔に向かって、「それは“愛想”です。“微笑”ではありません!」と、真顔でダメ出しをしている。競技が終わったあと、真央はみつこに駆け寄った。「みつこさん、何してるんですか……」「見ての通りだよ」「見ての通りが強すぎる」「困ってる人が、自分で困ってるって言えないときがあるだろう」「うん」「笑顔も同じなんだよ」「同じかなあ!?」みつこは少しだけ笑った。「だから私はね、長いこと、人の相談にも乗ってきたし、笑顔の矯正もしてきたの」「矯正」「口角は裏切らないからね」そして真央の顔をじっと見て、すっと指をさした。「真央ちゃん、最近ちょっと考えすぎ」「え」「右だけ半ミリ下がってる」「そんなのわかるんですか」「わかるよ。私はね」みつこは胸を張って言った。「元・百貨店クレーム対応主任で、現・商店街公認スマイル監査官だから」その瞬間、背後から会長が叫んだ。「みつこ先生! 次は“会釈の深さ選手権”お願いします!」みつこは真央に向かって、いつもの静かな声で言った。「また困ったらおいで。相談でも、笑顔でも」「その二択なんですか」「人生、だいたいその二つで何とかなるから」そう言って、みつこは笛をくわえ、壇上へ戻っていった。真央はしばらく立ち尽くしたあと、たまらず吹き出した。あの窓口がいつも妙に安心できた理由が、少しわかった気がした。たぶん、みつこは人の悩みを聞いていたんじゃない。顔つきを見ていたのだ。しかも、ものすごく本気で。おわり昼は回転寿司を食べて帰ってきました。釧路産の本マグロの中トロが美味しかった。隣の席のお兄さんがメバチマグロが準備中だからということで、メバチマグロの値段で出すので本マグロどうですか。って職人さんに言われていた。ちょっとずるいなぁ。って思った。
2026.03.25
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今朝、会社に行くときの気温は6℃だった。だいぶ暖かくなった気がするけど、家にいるとちょっと寒い気もする。そして今日も眠い。今週は色々忙しいなあ。毎日なんか予定がる。今日は何の日世界結核デー著しい人権侵害に関する真実に対する権利と犠牲者の尊厳のための国際人権デーホスピタリティ・デーマネキン記念日壇ノ浦の戦いの日連子鯛の日人力車発祥の日(日本橋人力車の日)恩師の日(「仰げば尊し」の日)未来を強くする日削り節の日ブルボン・プチの日檸檬忌マキノ忌地蔵の縁日愛宕の縁日タイトル:未来が見える男商店街のはずれに、変わった店があった。店の名前は「人力未来」。店の主人は、いつも静かな顔をした男だった。店の中には、難しそうな本や、木の札や、なぜか鯛の置物まで置いてある。町の人はみんな言っていた。「あの人は未来が見えるらしい」ある日、八百屋の佐藤さんが店に来た。最近、野菜が売れなくて困っていたのだ。「先生、うちの店、これからどうなりますかね」男は少し考えてから言った。「明日、店の前を掃除してください」「え?」「それから、にんじんを一番前に並べてください。あと、大きな声であいさつを」佐藤さんはがっかりした。未来を言ってくれるのかと思ったのに、ただのアドバイスだったからだ。でも、せっかくだからやってみた。すると次の日、前より少しだけ客が来た。その次の日もやってみたら、また少し売れた。一週間後には、店に前より人が集まるようになっていた。「すごい……本当に未来が見えてるのかもしれない」そのうわさは、あっという間に町中に広がった。受験を控えた学生も来た。「合格できますか?」男は言った。「今日から三時間、毎日勉強してください」ダイエットしたい人も来た。「やせられますか?」男は言った。「夜のおやつをやめて、毎日二十分歩いてください」仲直りしたい夫婦も来た。「元に戻れますか?」男は言った。「まず、相手の話を最後まで聞いてください」みんな最初は「それ、未来じゃなくて努力の話では?」と思った。でも、言われた通りにやると、本当に少しずつうまくいくのだった。そのうち、町の新聞記者が取材に来た。「あなたは本当に未来が見えるんですか?」男は静かに答えた。「見えません」記者はびっくりした。「えっ、見えないんですか?」「はい」「じゃあ、どうしてみんな当たるんです?」男はまじめな顔で言った。「みんな、やればよくなることを、やってないだけです」記者はぽかんとした。男は続けた。「私は未来を見ているんじゃありません。その人に足りないことを言ってるだけです」次の日、新聞には大きくこう載った。『未来が見える男の正体、ただの“正しいことを言う人”だった』町の人はその記事を読んで笑った。でも、そのあと少し考えた。たしかにそうだった。未来屋の男は、魔法みたいなことは何もしていない。ただ、面倒でみんなが後回しにしていることを、はっきり言っていただけだった。その日も新しいお客さんが来た。「先生、私の未来はどうなりますか?」男は落ち着いて答えた。「まず、朝ちゃんと起きてください」客はいやそうな顔をした。男はうなずいて言った。「はい。そこが一番の分かれ道です」結局この店で一番当たる“未来予言”は、いつも同じだった。『ちゃんとやれば、たぶん良くなる』そして町の人は、ようやく気づいた。この店は未来を売っているんじゃない。やる気を無理やり出させる店だったのだ。店の前の看板には、今日も大きくこう書いてある。人力未来つまり――この店の意味は「未来は人に頼るな、自分で動け」だった。おわり
2026.03.24
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今日もこの時間になると眠い。今日は朝から片道1時間のところに母を送ってきて、そのあと帰ってきて仕事して、また母を迎えに行ってきた。疲れた。眠いよ。途中の道端の畑に白鳥の群れがいた。年前に来たやつらが、越冬して帰る途中なのかな。白鳥たちのいる畑の道路を挟んだ向かい側には鶴のカップルもいた。いつもこの辺にいる鶴だろう。白鳥たちに、自分たちの縄張りだと静かに訴えてるようだった。今日は何の日世界気象デー彼岸ホットサンドを楽しむ日スジャータの日裏旬ぶどうの日国産小ねぎ消費拡大の日天ぷらの日乳酸菌の日不眠の日タイトル:『気球の見張り番と、三角サンドの午後』 山あいの小さな喫茶店「窓辺測候所」には、少し変わった決まりがあった。 それは、雨の日の夕方にだけ、窓際の席へ座った客は「外に浮かぶものをひとつ報告すること」。 鳥でもいい。雲でもいい。洗濯物でもいい。 とにかく何かを見つけて、店主に伝えなければならない。 その日、彼女は湯気の立つコーヒーと、焼き目のきれいなホットサンドを前に、静かに窓の外を眺めていた。 雨粒がガラスを細く流れ、夕焼けは雲のすき間でやわらかく燃えている。遠くの山にはまだ少しだけ冬の気配が残り、村の屋根はしんとしていた。「今日は、何が見えますかねえ」 カウンターの奥から、店主が言った。 彼女はサンドイッチを持ったまま、少し目を細めた。「……気球、ですね」 窓の外、夕空の下に、丸い影がいくつか浮かんでいる。 ひとつ、ふたつ、みっつ。 どれも静かで、妙に遠慮がちに、村の上に浮いていた。「やっぱり見えましたか」 店主は満足そうにうなずいた。「このあたりでは、年に一度だけ“気球の会議”があるんですよ」「気球の会議?」「ええ。風向き、雨上がりの匂い、山の雪の残り具合、あと人間がちゃんと冬物をしまう気になっているかを確認して、春を本格的に始めていいか決めるんです」 彼女は笑いそうになったが、店主の顔があまりに真剣だったので、いったん飲み込んだ。 この店はそういう店なのだ。冗談みたいな話を、冗談でなく語る。「じゃあ、あの気球たちは今、会議中なんですか」「そうです。議題はだいたい毎年同じです。“桜は少し急ぎすぎではないか”“上着は何枚で許されるか”“人はこたつを片づける覚悟ができているか”」「ずいぶん大事な会議ですね」「特に最後が揉めるんです」 彼女はつい笑った。 たしかに、こたつをしまう決心は、春の中でもかなり難しい部類に入る。 そのとき、店主がテーブルの隅にある古いはかりを指さした。 銀色の丸い文字盤が、雨の光を鈍く返している。「それ、気になります?」「ちょっとだけ」「昔はね、あれで“気持ちの重さ”を量ってたんです」「またすごいこと言いますね」「本当ですよ。落ち込んでる人が来たら二百グラムくらい増えるし、恋してる人は三百グラム軽くなる。春先は特に誤差が大きくて、なんとなく浮かれてる人が多いですから」「便利すぎませんか、そのはかり」「でも正確じゃないんです。見栄っ張りには弱い」 窓の外では、気球がまだ浮かんでいた。 灰色の雲、やわらかい夕焼け、そのあわいにぽつりぽつりと丸い影。 彼女はサンドイッチをひとくちかじり、ふうっと息をついた。「いいですね、こういうの」「何がです?」「ちゃんと説明できないけど、外に何かが浮かんでいて、自分はここであったかいものを食べてる感じ」 店主はうれしそうにうなずいた。「それが、この店のいちばん高いメニューです」「えっ」「景色代、空気代、安心代。合わせて千二百円です」「高っ」「冗談です」 店主はにやりとした。「会計は普通です」 彼女は笑って、コーヒーを飲んだ。 そのときだった。 店の奥から、がたん、と大きな音がした。 続いて、ばたばたと慌ただしい足音。 店主の顔色が変わる。「あっ、しまった」「どうしたんですか?」 店主は厨房の奥を見て、心底まずそうな声で言った。「気球、回収するの忘れてた」「……回収?」 彼女が立ち上がって奥をのぞくと、勝手口の向こう、裏庭に置かれた大きな送風機のそばで、数本の長い棒が風に揺れていた。 その先に結ばれていたのは―― さっきまで窓の外に浮かんで見えていた、丸い影。 白や茶色の、ただの巨大な風船だった。 しかも一本には、マジックでこう書かれていた。「春、始めていい?」 彼女はしばらく無言で店主を見た。 店主は観念したように肩をすくめた。「村の人に季節感を出すための、毎年の演出でして」「気球の会議じゃなかったんですか」「会議はしてます。私がひとりで」「議題は?」 店主は真顔で答えた。「今年もホットサンドを、三角のまま続行してよいかどうかです」 彼女はとうとう吹き出し、食べかけのサンドイッチを見た。 きつね色の焼き目のついた、完璧な三角形。「で、結論は?」 店主はうやうやしく一礼した。「満場一致で可決です」 窓の外では、回収しそびれた一個だけが、まだ夕空にふわふわ浮いていた。 春はたぶん、ああいう少し雑なやり方で始まるのだろうと、彼女は思った。おわり最初に出てきた話の時期が秋だったので、季節を変えてもらった。
2026.03.23
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今日はずっとネトフリのワンピースを見ていた。面白かったよ。この続きが見たいけど、いつ見れるようになるんだろうね。今日の気になったニュースは、女子サッカー日本代表がアジアチャンピオンになったこと。やっぱ強いな。長谷川が澤的な存在なのかな。みんな海外リーグでやってるんだなぁ。そりゃあ強いわ。と、ロコソラーレが準決勝で敗退。3位決定戦へ。ってことかな。ロコソラーレ調子いいなぁ。負け試合でも楽しそうにやってるのがいいね。今日は何の日世界水の日彼岸放送記念日感動接客の日さくらねこの日面発光レーザーの日工場扇の日「Heart FM」の日夫婦の日ショートケーキの日禁煙の日デルちゃん誕生の日ラブラブサンドの日カニカマの日なないろSMSの日貝殻忌タイトル:『感動接客の日の午後四時』午後四時を少し回ったころ、地方FM局「Heart FM」の第2スタジオには、妙に静かな緊張感が漂っていた。ミキサー卓の前に座る男の名は、真壁慎一。この局で十七年、音楽番組も災害情報も交通速報も担当してきたベテランのラジオパーソナリティだ。声は落ち着いていて、言葉を急がない。そのせいか、リスナーからは「夜道でいちばん信じられる声」と呼ばれていた。だがその日の真壁には、いつもの余裕がなかった。スタジオの窓の外、満開の桜の下に、三匹の猫が並んで座っていたからである。一匹だけならいい。二匹でも、春だな、で済む。しかし三匹が、まるで何かを待つように一定の間隔で座り、しかもときどきこちらを見てくるとなると、話は少し変わってくる。「……来てますね」ディレクターの大塚が、ガラス越しに小声で言った。真壁は小さくうなずいた。「来てるね」何が来ているのかは誰も説明しなかったが、スタジオにいる全員が、なんとなく同じものを感じていた。今日は特別番組の日だった。局内のドアプレートにも貼られている通り、テーマは「感動接客の日」。商店街の店員、タクシー運転手、病院の受付、喫茶店のマスター――リスナーから寄せられた「忘れられない親切」のエピソードを読み上げる二時間生放送である。真壁は本番前、手元のメモにこう書いていた。・泣かせにいかない・静かに届く話を選ぶ・でも今日は猫がいる最後の一行は、自分でもなぜ書いたのかわからなかった。赤く光る「ON AIR」のサインが灯る。「こんにちは。Heart FM、午後の特別番組『まちのやさしさ通信』、お相手は真壁慎一です。今日は“感動接客の日”ということで、皆さんから届いた、胸に残る小さな親切のお話をお届けしていきます」いつもの低く澄んだ声がスタジオに満ちる。スタッフたちは少し安心した。やはり真壁は本番に強い。最初の便りは、七十代の女性からだった。雨の日、スーパーで転びそうになったとき、見知らぬ高校生の店員が、何も言わずにそっとカゴを持ってくれた話。二通目は、夜のコンビニで、疲れ切った看護師に「おつかれさまです」と言った新人アルバイトの話。三通目は、昔ながらの喫茶店で、注文を間違えた客に「今日はそういう気分の日ですよ」と笑ってナポリタンを出してくれたマスターの話。読まれるたび、真壁は少し間を置いて、言葉を添えた。「親切って、立派なことじゃなくていいんですね」「覚えているのは、してもらった内容より、そのときの顔だったりします」「人は、雑に扱われたことも忘れませんが、丁寧に扱われたことは、もっと忘れません」その声音に、メッセージは次々と届いた。メール、FAX、局のアプリ経由の投稿。スタッフが追いつかないほどだった。番組後半に入るころには、局内の空気も変わっていた。さっきまで“猫がいる”とざわついていた若いADまで、鼻をすすりながら投稿を仕分けている。「真壁さん、これ読んでください」ディレクターが差し出した一枚の紙には、短い投稿が印刷されていた。ラジオでいつも落ち着いた声を届けてくれる真壁さんへ。実は三年前、病院の待合室で、あなたにそっくりな人に声をかけられました。“大丈夫ですよ、今日はたぶん、ちゃんといい日になります”そう言われただけで救われました。あれがご本人なら、ありがとうございました。違う人でも、ありがとうございました。真壁はそれを読んだあと、しばらく黙った。生放送での沈黙は、本来なら事故に近い。だがその数秒は、不思議と誰にも長く感じられなかった。「……似てる人、いますからね」そう言って、真壁は少しだけ笑った。その笑い方が妙に誠実で、スタジオの外にいた営業部の課長まで、廊下でハンカチを出した。そして番組は終盤へ向かった。「それでは最後の一通です」真壁が選んだのは、差出人の名前のない、たった一行の投稿だった。いつも窓の外から聞いています。今日は魚の話がなくて残念です。スタジオ内が静まり返った。大塚が眉をひそめる。ADが原稿を見直す。放送作家が小声で言った。「……何これ?」真壁だけが、窓の外を見た。桜の木の下にいた三匹の猫が、きれいに一列に並んで、こちらを見ていた。真壁はゆっくりマイクに向き直り、落ち着いた声で言った。「えー、匿名希望の方、ありがとうございます。魚の話はまた次回、たっぷりお送りします」その瞬間だった。窓の外の三匹が、ぴたりと同時に立ち上がり、満足したように去っていったのである。放送終了後、スタジオは騒然となった。「怖い怖い怖い!」「誰が送ったんですかそのメール!」「外にいた猫、見ました! 絶対タイミング合わせてましたよね!?」だが真壁は、ヘッドホンを外しながら、いつもの調子で言った。「別に珍しいことじゃないよ」「珍しいです!」とスタッフ全員が言った。真壁は机の脇の小さな引き出しを開けた。そこには、きれいに小分けされた煮干しの袋が、ぎっしり詰まっていた。「この番組の前、毎回ちょっとだけ“放送内容の打ち合わせ”をしてるから」「誰とですか?」真壁は当然のように答えた。「地域猫の聴取モニターと」スタッフが固まる。さらに真壁は、卓上のメモ帳をひらりと見せた。そこには、今日の進行メモの下に、びっしりとこう書かれていた。・一匹目:トークは静かめ希望・二匹目:BGM長いと寝る・三匹目:魚トークは必須「三匹目、今日は不満だったみたいだね」真壁はそう言って、真面目な顔で煮干しを一本取り出した。そのとき、ずっと気になっていた若手ADが、ドアのプレートを見上げてぽつりと言った。「……“感動接客の日”じゃなくて、あれ“感動接客の口”って読めません?」全員で見た。プレートにはたしかに、やや達筆な書体で感動接客の日と書いてある……ように見えたが、言われてみれば最後の字は妙に縦長で、たしかに「口」にも見えなくはない。真壁は少し考えてから、静かにうなずいた。「なるほど。じゃあ今日のテーマ、最初から“感動接客の口”だったのかもしれないね」「どういう意味ですか」真壁は窓の外を見た。桜の木の下で、三匹の猫がまたこちらを見ていた。そして、いつもの“夜道でいちばん信じられる声”で、こう言った。「要するに――この局、本当のスポンサーは猫なんだよ」翌週から番組名はひっそり変わった。『真壁慎一の さかなとやさしさ通信』局内で反対した者は、一人もいなかった。なぜなら編成会議の席に、いつの間にか三匹、座っていたからである。おわり
2026.03.22
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昨日の夜また雪降ったのかな、今日、また少し白いものがあったなぁ。なかなか春にならないねえ。今日はちらっと高校野球を見たら北海道代表の北照が0-4で負けていた。昨日ちょうどキャプテン2を読んでたんで、マンガみたいな逆転劇はなかなかないなぁ。って思った。その裏で高木美保の最後のレースもちらっと見た。最後まで頑張ってたね。いい選手だったよ。お疲れさまでした。今日は何の日国際人種差別撤廃デー世界詩歌記念日世界ダウン症の日国際ノウルーズ・デー国際森林デー彼岸ランドセルの日催眠術の日カラー映画の日ツイッター誕生日日本手ぬぐいの日プリの日はじめようの日アジフライの日ベイブレードの日日南一本釣りかつおの日バルブの日自動販売機の日マリルージュの日myDIYの日ゼクシオの日(XXIOの日)漬物の日木挽BLUEの日オコパー・タコパーの日同窓会の日九山忌タイトル:ランドセル探偵、午後三時の張り込み商店街のはずれにある古い喫茶店「風待ち」には、午後三時を過ぎると、不思議と人が集まってくる。散歩の途中でひと休みする老人。買い物帰りの主婦。なぜか毎回同じ席で将棋の本を読む高校生。そして、窓際の席にきちんと座る、ひとりの若い女性。彼女の名は、真白さやか。年齢不詳。職業不詳。だが、この町ではちょっとした有名人だった。「見た目は穏やか、中身は執念」そんな勝手な標語を近所の文具店の店主につくられたほど、彼女は観察が得意だった。今日もさやかは、缶コーヒーを机の端に置き、古いカメラを手元に据え、店の外を静かに見ていた。背中には、つやつやした黒いランドセル。年齢にまったく似合っていないのに、なぜか異様に板についている。店主のマスターが、小声で言った。「今日は何を追ってるんです?」さやかは穏やかに笑った。「この町の“なくなりもの”です」「なくなりもの?」「今月に入ってから、商店街でいろんな物が消えてるんです。たい焼き屋の木札、薬局の招き猫、八百屋の値札、クリーニング店のハンガーまで」「ハンガー盗む人います?」「いるんです。少なくとも、なくなってます」マスターは腕を組んだ。「それは……地味ですねえ」「派手な事件は、だいたい最初から派手です。でも地味な事件は、最後に変な顔をします」名言のようでいて、よく考えると意味はあまりわからなかった。だが、さやかは本気だった。彼女は毎日この席に座り、通りを行き交う人々を眺めていた。カメラで撮るわけではない。ただ置いてあるだけだ。「カメラがあると、こちらが観察されているように見えないでしょう」と本人は言う。理屈はわかるような、わからないような。その日、店の前を、白い手ぬぐいを首に巻いた豆腐屋の主人が通った。続いて、自転車に乗った郵便配達員。それから、風に飛ばされそうな帽子を押さえながら歩く観光客の夫婦。さやかの目が、すっと細くなった。「来ました」「犯人ですか?」「いえ、“二番目に怪しくない人”です」「いちばん怪しくない人じゃなくて?」「いちばん怪しくない人は、たいてい本当に怪しくないので」そう言って立ち上がると、さやかはランドセルを背負い直し、店を出た。マスターは、気になって窓からのぞいた。さやかが追っていたのは、和菓子屋の前を掃いていたごく普通のおばあさんだった。町内でも評判の、腰の低い、やさしい人だ。人のものを盗むようには、とても見えない。さやかは声をかけ、しばらく穏やかに話し込んでいた。やがて、おばあさんが「あらあら」と笑いながら、買い物袋の中を見せる。すると、さやかは深くうなずいて何かを受け取り、喫茶店へ戻ってきた。「どうだったんです?」マスターが身を乗り出すと、さやかは机の上にそれを置いた。クリーニング店のハンガーだった。「当たりです」「えっ」「でも、犯人ではありません」「どういうことです?」「拾い物です。風で飛んできたハンガーを、親切に預かっていただけでした」「じゃあ、事件じゃなかった?」「いいえ」さやかは人差し指を立てた。「ハンガーが風で飛んだなら、ほかの“なくなりもの”も、持ち去られたとは限らない」マスターは、はっとした。その日の夕方、さやかは商店街じゅうを歩き回った。たい焼き屋の木札は、排水溝の脇で見つかった。薬局の招き猫は、向かいの雑貨屋の棚の陰から出てきた。八百屋の値札は、なぜか金物屋の風鈴にひっかかっていた。そして翌日、ついに真相が明らかになる。原因は、商店街の新名物として吊り下げられた大量の短冊飾りだった。見た目は風情があったが、風の通り道を微妙に変えてしまい、通りに局地的な強風を発生させていたのである。町内会長は頭を抱えた。「つまり犯人は……風?」「正確には、善意の飾りつけによる空力のいたずらです」さやかはそう言って、店先の短冊をひとつ指でつまんだ。みんなが感心した。「すごいなあ、真白さん」「名探偵だ」「やっぱり違うねえ」だが、マスターはひとつだけ気になっていた。「ところで真白さん」「はい」「そのランドセル、ずっと気になってたんですけど……何なんです?」さやかは少しだけきょとんとして、それから当然のことのように答えた。「探偵七つ道具が入ってます」「たとえば?」彼女はランドセルを開けた。中から出てきたのは、虫眼鏡、方位磁針、メジャー、付箋、折りたたみ傘、小型双眼鏡、どら焼き、替えの靴下、町内地図、絆創膏、割り箸、そして——ぴかぴかの小学校の連絡帳だった。マスターが固まる。「……連絡帳?」さやかは微笑んだ。「はい。今朝、母に“夕方までに帰ること”って書かれました」「お母さんに?」「ええ」「真白さん、おいくつでしたっけ」さやかは缶コーヒーをひとくち飲み、窓の外を見ながら静かに言った。「三十二です」その瞬間、店内にいた全員が同じことを思った。この町でいちばんの謎、まだ解決してないな。おわり三連休だけど特に出かける予定はない。が、来週はもしかしたら忙しかもしれない。そっか、年度末だもんな。
2026.03.21
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今日は春分の日で会社行かないかなぁ。って思ってたけど、朝歯磨きをして、いつものトレーニングをし終った後にメールが入って、あー、やることあったの忘れてた。ってなって、昼前にちょっとだけ会社に行って仕事してきた。んで帰ってきたときにクロネコの人が来て、この前はすいませんでした。なんて言われたけど、俺は別に何とも思ってない。もう扉は直ってるし、だから別にいいよ。と言っておいた。それより、同じ日に、別件でクロネコの人から電話があって、ガラスの件かと思ったら、荷物の方のガラスの瓶が割れて、返品するからアマゾンと話してってことだった。その件を忘れてたので、配達の人が帰った後アマゾンとチャットして返金してもらうことにした。ふと思い出した全く関係ない話なんだけど。ちょっと前にビジホに泊ったんだよね。朝ごはん付きだったんだけど、朝は食べずに帰ってきたんだよね。で、チェックアウトするときに1階の食堂から朝ごはんの匂いがするんだよ。実家に住んでた頃を思い出したよ。朝から煮魚の匂いとかするのがなんか嫌だったけど、それを懐かしく感じるようになってたんだよね。匂いってのは記憶に関係が深いなぁ。って思った。今日は何の日春分春分の日国際幸福デー彼岸電卓の日上野動物園開園記念日LPレコードの日サブレの日日やけ止めの日未病の日さつま揚げ(つけあげ)の日ミニオンの日はぴ活の日はらぺこあおむしの日理化学研究所創立の日アクションスポーツの日昔ピュアな乙女達の同窓会の日酒風呂の日ワインの日発芽野菜の日シチューライスの日信州ワインブレッドの日キャッシュレスの日竹冷忌あー春分か。お墓参り行かないといけないのか。タイトル:幸福係の午後町はずれの古い家では、毎週木曜日の午後になると、近所の人たちが自然と集まってきた。誰が呼ぶわけでもない。回覧板に書いてあるわけでもない。ただ、二時を少し過ぎるころになると、誰かが引き戸を開けて「こんにちは」と言い、誰かが湯のみを並べ、誰かが漬物の皿を置く。そんなふうにして、静かに会が始まるのだった。その家の主は、みよ子さんという。穏やかな笑顔をたやさず、話すときは相手の目を見て、うなずくのが上手い。誰かが孫の話をすれば「それは楽しみだねえ」と言い、畑の不作をこぼせば「今年の天気じゃ無理もないよ」と受け止める。言葉を返すたび、相手の肩から少しだけ力が抜けていくような、不思議な人だった。みよ子さんの家には、昔のレコードプレーヤーがある。木の箱に収まった立派なもので、透明なふたには細かい傷がいくつもついていた。木曜の会が始まると、みよ子さんはそこから一枚選び、針をそっと落とす。流れるのは古い歌謡曲だったり、軽快なジャズだったり、時には童謡だったりした。「音楽があると、みんな少しだけ昔に戻れるからね」それが、みよ子さんの口ぐせだった。その日の卓上には、皿に盛られた揚げ菓子、包み紙のまま積まれたバターサブレ、読み込まれた絵本、それから大きな電卓が置かれていた。初めて来た人は、だいたいそこで首をかしげる。お茶会に電卓。しかも業務用みたいにごつい。けれど常連たちは誰も気にしない。誰かが「最近、病院代がさあ」と言えば、みよ子さんは電卓を引き寄せ、ぴっ、ぴっ、と叩く。年金と食費と灯油代をざっと計算し、「大丈夫、今月あと三回は堂々とサブレが買える」と宣言する。すると部屋のあちこちで笑いが起きる。近所の人たちは、みよ子さんのことを陰でこう呼んでいた。“幸福係”悩みを聞いて、お茶を出して、甘いものをすすめて、だいたい最後にはなんとか笑わせる。胸元につけた丸いブローチには、赤い糸で少し不格好に「Hapiness」と刺繍されていた。本当は “Happiness” だろう、と何人かが指摘したこともある。けれど、みよ子さんは毎回こう言うのだ。「一個足りないくらいが、ちょうどいいの。幸せって、完璧すぎると落ち着かないから」それを聞くたび、みんなはなるほどと感心した。深い。じつに深い。さすが幸福係だ、と。その日も、六人ほどの近所の女性たちが卓を囲み、窓から入るやわらかい光のなかで、思い思いに喋っていた。息子夫婦の引っ越しのこと。最近読んだ本のこと。膝の痛みのこと。スーパーの値上がりのこと。みよ子さんは、揚げ菓子の皿をそっと前に寄せながら、一人ひとりの話を丁寧に受け止めていた。ときどき笑い、ときどき眉を寄せ、ときどき電卓を叩き、ときどきレコードの針を上げる。部屋の隅では、絵本の『はらぺこあおむし』が開かれたまま、鮮やかな緑をのぞかせていた。孫が置いていったものらしい。床には小さなぬいぐるみも転がっている。時間がそこで少しだけ溶けているような、やわらかな空間だった。やがて、誰かがぽつりと言った。「みよ子さんは、どうしてそんなに人を元気にできるの」部屋が少し静かになった。みよ子さんは窓の外を見た。遠くに見える洗濯物が、春の風にわずかに揺れている。「うーん」と彼女は言った。「若いころ、いろいろ失敗したからかもしれないねえ」誰も口を挟まない。みよ子さんは続けた。「怒ったり、焦ったり、見栄を張ったり。そういうのを一通りやるとね、最後は、お茶とお菓子と相づちが一番強いってわかるのよ」みんなはしみじみとうなずいた。ああ、そうだ。人生の答えって、案外そういうことかもしれない。窓の光、レコードのかすかなノイズ、湯のみの湯気。その場にいる全員が、木曜日のこの時間を少し神聖なもののように感じていた。すると、玄関のほうでガラリと戸が開いた。「すみませーん!」元気な声とともに、宅配便の若い配達員が顔をのぞかせた。「あ、みよ子さん。注文の品、届きました!」「はーい、そこ置いといて」配達員は慣れた様子で、細長い段ボール箱を二本、居間の隅に立てかけた。箱の側面には大きく品名が書いてある。『業務用 電卓 特大サイズ』『パーティー向け揚げ物盛付け皿 10枚セット』部屋の空気が、一瞬だけ止まった。常連の一人が、そっと聞いた。「……みよ子さん、これ何に使うの?」みよ子さんは、まるで隠す必要もないことのように答えた。「何にって、来月から本格的に始めるのよ」「何を?」みよ子さんは胸を張り、例の刺繍ブローチをちょんとつまんだ。「町内会公認・おやつ会計係。このバッジ、そのユニフォームなの」沈黙ののち、誰かが絞り出すように言った。「……幸福係じゃなかったの?」みよ子さんはきょとんとして、「違う違う。“Hapiness”でしょ?」と言った。「“ハピネス”じゃなくて、“ハイ・ピーナッツ”の略。落花生おやつ普及委員会。去年わたしが勝手につくったの」その瞬間、部屋じゅうに爆笑が起きた。深い話だと思っていた言い間違いも、人生訓も、幸せの哲学も、まさかの全部あとづけだったのである。みよ子さんは笑いながら、揚げ菓子の皿を差し出した。「ほら、笑ったらお腹すくでしょ。まず食べて。それで、会費は一人百五十円ね」そして脇の大きな電卓を引き寄せると、得意げにキーを叩いた。ぴっ。ぴっ。ぴぴっ。レコードの向こうで針が小さく跳ね、古い歌がまた流れ出す。その日から町の人たちは、木曜の集まりをこう呼ぶようになった。“しあわせの会”ではなく、“会計のしっかりしたお茶会”と。おわりロコソラーレの話題がXで流れてくるんだよね。絶好調なんだよ。でさ、この前のオリンピックの代表はロコソラーレじゃなかったんだけど、やっぱロコソラーレが出たほうがよかったんじゃねーの。って言ってる人がいるとかいないとか。いや、それは違うんだよ、ロコソラーレは、オリンピックで代表を争った仲間たちの戦いぶりを見て燃えてるんだよ。だから調子もいい。って、そういうことだと思ってるんだけど。どうでしょう?ちがうか。
2026.03.20
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WBCも、パラリンピックも、終わってしまったと思ったら、春の高校野球が始まったよ。見てないけどさ。あれ、ということは、もう春休みか。春休みって短いイメージだけど、大学の時は長かったなぁ。どっか旅行でも行っとけば行っとけばよかった。と今更ながらに思う。桜が咲いたニュースもやってたし春の話したけど、今朝は雪がちらついてました。今日はお日様も出ないからなんか寒いし。この辺は桜も春ももう少し先だね今日は何の日ミュージックの日彼岸カメラ発明記念日立庁記念日(神奈川県)ミックの日ウィッグ(Wig)の日眠育の日銀座コージーコーナー・ミルクレープの日目覚めスッキリの日クレープの日シュークリームの日熟カレーの日松阪牛の日共育の日いいきゅうりの日イクラの日食育の日熟成烏龍茶の日「森のたまご」の日タイトル:『午後二時十分の記録』 男は、毎週木曜日の午後二時十分に同じ路面電車に乗る。 港の脇を走るその車両の、進行方向に向かって左側、二人掛けの窓際。晴れの日も曇りの日も、雪まじりの風がガラスを鳴らす日も、ほとんど同じ席に腰を下ろす。灰色のジャケットに細い眼鏡、膝には古い文庫本が二冊ほど。手には使い込まれた小型のカメラ。足元には白い紙箱がひとつある。箱の中には、その日買った菓子が入っている。 何かの調査をしている人らしい、と最初に教えてくれたのは、停留所前の喫茶店の店主だった。「店ではあまり多くを話しません。ただ、窓際の席に座って、湯気の立ち方をよく見ておられます。飲み終える前に、必ず一度メモを取るんです」 古書店の主人も、その男のことを覚えていた。「時刻表や旅行記をよく買っていかれます。線の引き方が丁寧でね。どこを読んでいるのか見えることがあるんですが、土地の名所というより、乗り継ぎや待ち時間の記述を追っているようでした」 菓子店の店員は、白い箱を包みながらこう話した。「同じものを頼まれることが多いですね。持ち歩きに向いているものを、ずっと考えておられるみたいでした」 私は地元の小さな冊子で人物記事を担当しており、その男への同行をお願いした。電話口の声は静かで、拍子抜けするほど事務的だった。「結構です。いつもの便にお乗りください。話せることは話します」 当日、男はすでに席についていた。車窓の向こうには赤レンガの建物が見え、そのさらに向こうに、淡く光る水面が続いていた。電車が動き出すと、彼は窓枠、吊り革の影、座席の端に落ちる午後の光、そうしたものを順番に写真に収めていった。どれも派手な被写体ではない。だが、視線にためらいがない。「何を記録されているんですか」 私がそう尋ねると、男は手元のノートを閉じて言った。「ある条件がそろった移動時間について調べています」「ある条件?」「車窓、光、揺れ、読書、甘味。この五つです」 車輪の音が一度大きく響いて、また遠のいた。男は続けた。「特別な日でなくても、移動の途中にだけ生まれる感触があります。目的地に着く前、何かになる前の時間です。そういう時間が、人の記憶にどう残るのかを見ています」 言葉は穏やかで、説明はよく整理されていた。ノートを見せてもらうと、そこには日付、天候、乗車区間、座席位置、菓子の種類、頁数、読書開始時刻、最初に窓の外を見た時刻などが整然と並んでいた。書き込みには迷いがなく、何年も同じ形式で続けてきたことが分かる。「いつから続けているんですか」「三年半になります」「ずいぶん長いですね」「一度では見えてこないので」 男はそう言って、しおりの挟まった文庫本を開いた。古い随筆だった。海辺の町を走る乗り物の中で、菓子の匂いと本の紙の匂いが混じり合い、理由もなく昔を思い出した、という一節に線が引かれている。「最初のきっかけは、こういう文章でしたか」「文章でもあり、経験でもあります」 男は窓の外に目を向けたまま答えた。「以前、何でもない午後の移動中に、不意に気持ちが整ったことがあったんです。景色がよかったのか、本の内容がよかったのか、たまたま甘いものを持っていたからなのか、自分でも分からなかった。ただ、その時間だけは、妙に正確に残ったんです」 路面電車は海沿いのカーブに差しかかっていた。窓ガラスに斜めの光が入り、男の指先とカメラの金属部分が一瞬だけ明るくなる。彼はその光を見て、時計を確認し、ノートに数字を書いた。「再現しようと?」「再現というより、条件を確かめるためです。個人的な感覚でも、繰り返し観察すると輪郭が出てきます」 車内には地元の高齢客が何人かいて、男に軽く会釈する人もいた。そのうちのひとりが、通路越しに声をかけた。「先月の集まり、面白かったですよ」「ありがとうございます」「今度は秋にもやるんですか」「比較対象がそろえば」 そのやり取りのあとで事情を聞くと、男は町内会館で折々に小さな話をしているのだという。移動時間と読書、菓子と車窓について。誰に頼まれたでもなく始めたが、聞きに来る人が少しずつ増えたらしい。「地域の記憶にも関係があると思っています」と男は言った。「町の印象は名所だけでできるわけではありません。移動中の眺め、待ち時間の匂い、そこで手に持っていたもの。そういう細部で、その土地が残ることがあります」 終点が近づくころ、男は足元の白い箱を膝に載せた。中には、丸く切られたバウムクーヘンがひとつ入っていた。箱の蓋を開け、まず断面を撮影し、それから窓際に少し寄せて光の入り方を見た。ノートに時刻を書き込み、本を閉じ、ようやく一口だけ食べる。 私は黙ってその手順を見ていた。動きに無駄がない。長く続けてきた人の所作だった。 しばらくして男は言った。「今日は湿度のせいか、甘さの輪郭が遅れてきます」「それも記録するんですか」「はい。舌に届く印象と、景色に意識が向く順序には関係があるようなので」 車窓の向こうに、海が少しだけ近づいて見えた。光はやわらかく、港の倉庫の壁は古い写真のような色をしていた。男は視線を外へ向けたまま、静かに続けた。「大きな出来事は、なくてもいいと思うんです。人によっては、こういう途中の時間のほうが、あとになって役に立つことがあります」 その言葉には実感があった。私は取材者として質問を重ねながら、同時に、何か筋の通った営みに立ち会っている気持ちにもなっていた。華やかな仕事ではない。だが、ひとつの感覚を長く観察し、土地と結びつけ、人に共有できるところまで整理していくのは、立派な記録の仕事に見えた。 終点に着き、乗客が一人ずつ降りていく。私も立ち上がり、最後に聞いた。「この記録は、最終的に何になるんですか」 男は紙箱を閉じ、カメラをしまい、ノートを鞄に入れた。すべての動作を終えてから、一枚の印刷物を取り出して私に渡した。 上質紙に、整った書体でこう書かれていた。『第一回 車窓と読書に最も適した携帯菓子選定会 審査員募集』 下には部門名が並んでいた。「層の美しさ部門」「ページを汚しにくい部門」「郷愁の立ち上がり部門」「揺れへの耐性部門」 私は顔を上げた。男はいつもの調子で説明した。「記録が十分に蓄積されたので、今年から公開選定に入ります。個人研究の段階は終わりました」「公開選定」「はい。できれば将来的には、この町の新しい指標にしたいと思っています」「指標」「移動時間における最適携帯菓子の」 電車の扉が閉まりかける合図音が鳴った。 海の匂いがうっすらと風に混じる。 男はきわめて真面目な顔のまま、続けた。「現在の暫定首位はバウムクーヘンです。ただ、羊羹が非常に強い」 その瞬間、三年半にわたる車窓、読書、光、湿度、揺れ、沈黙、すべての記録が、ひとつの方向に向かっていたことを私は知った。 この人は、土地の記憶を調べていたのだと思う。 移動中の感情の輪郭を、丁寧に集めていたのだと思う。 それはたしかに本当だった。 ただ、その先にあったのが、「車内でいちばん情緒が出るお菓子の公式ランキング」だっただけである。おわり画像はミルクレープに見えるのだが、AIはミルクレープを知らなかったのかなぁ。
2026.03.19
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会社の玄関のガラスはもう直っていた。早いな。今日はWBCの試合速報をチェックしながら先週やったはずの仕事をもう一度やってた。なぜか保存していなかったみたい。なんでだ?試合は日本を破ったベネズエラがアメリカも破って初優勝した。強かったもんなぁ。今日は何の日精霊の日彼岸明治村開村記念日点字ブロックの日春の睡眠の日高校生パーラメンタリーディベートの日米食の日防犯の日人麻呂忌小町忌タイトル:『春休みの最終講義』桜が咲く頃になると、町の古い通りの軒先に、ひとりの老人が現れる。名前は誰も知らない。けれど近所の高校生たちは、勝手に「先生」と呼んでいた。先生は、紺色の着物をきちんと着て、古びた杖を持ち、毎年同じ石の腰掛けに座る。そして膝の上には、表紙の擦り切れた一冊の和綴じ本。表紙には達筆で、何やら難しそうな字が並んでいる。「見ろよ、今年もいる」「たぶん昔の偉い学者だよ」「いや、絶対ただ者じゃない。オーラがすごいもん」通学路の高校生たちは、最初こそ遠巻きに見ていたが、春休みで暇を持て余すうちに、だんだん先生の前に集まるようになった。ある日、ひとりの男子が勇気を出して聞いた。「先生、それ何の本なんですか?」先生は少し目を細めて、本の表紙を見下ろし、静かに答えた。「人生に必要なことが、だいたい書いてある」その瞬間、全員の目の色が変わった。人生に必要なこと。そんなの、進路に悩み、恋愛に敗れ、SNSで意味もなく他人と比べている高校生たちにとって、あまりにも強い言葉だった。翌日から、先生のまわりには放課後のたびに人だかりができた。「将来、何になればいいですか」「好きな人に告白したほうがいいですか」「友達って、無理して作るもんですか」「勉強って、何の意味があるんですか」先生は毎回、少し間を置いてから答えた。「急がんでよい」「言わねば伝わらん」「無理した縁は、たいてい肩がこる」「意味はあとからついてくる」短いのに妙に沁みる。説教くさくないのに、なぜか胸に残る。生徒たちは感動した。「すげえ……」「名言メーカーじゃん……」「TikTokやってたら絶対バズる」やがて噂は広がり、先生は“桜坂の賢人”と呼ばれるようになった。中には、ノートに先生の言葉を書き留める者まで現れた。女子生徒のひとりは、そのノートに『先生語録』というタイトルまでつけていた。そんなある日、クラスでもっとも疑い深い女子、真希が言った。「でもさ、あの本、ちゃんと中身見た人いないよね?」たしかにそうだった。先生は本をいつも閉じたまま持っているだけで、一度も開いたことがない。「……ハッタリじゃない?」「いやいや、あの貫禄で?」「でも気になる」そして数日後、事件は起きた。春風が少し強く吹いた午後、先生が立ち上がろうとした拍子に、本を膝から取り落としたのだ。「あっ」真希が反射的に駆け寄り、本を拾い上げる。その拍子に、ぱらりと表紙が開いた。生徒たちは息をのんだ。そこには、びっしりと……何も書いてなかった。白紙だった。正確には、最初の数ページだけに、震える字でこう書いてあった。『聞かれたら、いったん間を置いてから答えること』『難しい顔をすると、だいたい納得してもらえる』『最後は短く言い切ると深そうに聞こえる』そして最後のページに、ひとことだけ。『困ったら “それもまた春じゃ” と言え』沈黙。完全な沈黙。真希は本を持ったまま、先生を見た。他の生徒たちも、先生を見た。先生は観念したように、ふっと笑った。「……いやあ」「若い人は、意外と真面目に聞いてくれるもんでな」「え、ウソだったの!?」「じゃあ人生に必要なことって!?」「ていうか賢人じゃないの!?」先生は杖を握り直し、少しだけ申し訳なさそうに肩をすくめた。「最初は、孫を待つあいだ手持ち無沙汰で座っておっただけなんじゃ」「そしたら、最初の子が“先生、どう生きたらいいですか”なんて聞くから……」「つい、それっぽく答えてしもうた」「つい、で済む!?」生徒たちは大騒ぎになったが、しばらくすると、ひとり、またひとりと笑い出した。たしかに本は白紙だった。先生も別に、山にこもって悟りを開いた仙人ではなかった。ただの、しゃべるのがうまいおじいさんだった。でも、不思議なことに、誰も腹は立てなかった。なぜなら、先生の言葉で少し元気が出たのも、少し気が楽になったのも、それ自体は本当だったからだ。真希があきれ顔で言った。「じゃあ先生、今までの名言、全部てきとう?」先生は少し考えて、桜を見上げた。「てきとうじゃよ」「だが、てきとうに言ったことが、たまたま誰かの役に立つこともある」生徒たちは一瞬黙って、それからまた感心しかけたが、すぐに「いや、またそれっぽいこと言ってる!」と総ツッコミした。その日の帰り道、真希は先生の白紙の本をもう一度見せてもらった。そして最後の空いたページに、こっそりこう書き足した。『案外、大人もノリで生きている』翌年の春。同じ場所、同じ桜、同じ石の腰掛け。また新しい高校生たちが、先生の前に集まっていた。「先生、その本には何が書いてあるんですか?」先生はすました顔で、少し間を置いた。そして静かに答えた。「人生に必要なことが、だいたい書いてある」その横で、去年の卒業生になった真希が通りがかりに吹き出した。「先生、その本ほぼメモ帳じゃん」すると先生はニヤリとして、こう返した。「いや、去年からはちゃんと一行増えた」そう言って開いたページには、大きくこう書かれていた。『JKは意外と鋭い』その瞬間、真希の笑い声が通りいっぱいに響き、先生は初めて、本当に先生らしく見えた。おわり長いね。割と面白いけど、もっと短くまとめてもよかったんじゃないかと思う。
2026.03.18
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昨日の夜からなんかおかしいなとは思ってたんだけど、今朝もなんかおかしい。鼻水とくしゃみ。事務所が寒かったせいだな。ということで、薬を飲んで寝ていようと思ったけど、ついつい作業をしてしまっていた。んで、くしゃみも鼻水もだいぶ良くなってた。鼻をかむときに、鼻の中にできてるできものが地味に痛い。今日は何の日漫画週刊誌の日彼岸聖パトリックの祝日みんなで考えるSDGsの日ミユキ野球教室の日Dr.MICHAELと始めるスローエイジングの日家族と終活を話し合う日国産なす消費拡大の日いなりの日減塩の日薔薇忌月斗忌タイトル:「ファミリーヒストリーと、知らない四番」昼下がりの古い家は、障子越しの光でやわらかく満ちていた。卓上には、年季の入ったアルバムが何冊も重なっている。地球儀、使い込まれたグローブ、そしてなぜか白い彼岸花。部屋の空気は静かで、少しだけ昔の匂いがした。美咲は、そっと一枚の写真をめくった。そこには、見覚えのない男が写っていた。緑のユニフォーム、ぎこちない笑顔、手にはバット。「……この人、誰だろう」向かいの棚の前でアルバムを見ていた息子の蒼太が顔を上げた。緑の帽子をかぶったまま、写真をのぞきこむ。「おじいちゃん?」「いや、おじいちゃんではないかな……顔、全然似てないし」「じゃあ、お母さんの昔の彼氏?」「そんな堂々とアルバムに入れないでしょ」蒼太は妙に納得した顔でうなずいた。「たしかに。じゃあ、隠し子のお父さん?」「どこでそんな言葉覚えたの!」美咲は慌てて次のページをめくる。だが次も、その次も、また同じ男。バットを持っていたり、ベンチに座っていたり、なぜかおにぎりを食べていたりする。「いる……ずっといる……」蒼太もじわじわ怖くなってきた。「この人、うちの親戚会議にもいたりする?」「やめてよ、その可能性ありそうで嫌だから」ふたりは急に真剣になった。家族の古いアルバムに、知らない男が何枚も紛れ込んでいる。これはもしかして、何十年も隠されてきた一族の秘密ではないか。美咲はテーブルの上の「FAMILY HISTORY」と書かれた大きなアルバムを引き寄せた。最初のページには、曾祖父母の結婚式。次は祖父の出征前の写真。その次は、母の七五三。そしてその次に、またあの男。今度はスライディングしていた。「なんでよ!」蒼太がごくりとつばを飲む。「お母さん……もしかして、この家には“野球の守り神”がいるのかも」「守り神、ずいぶん具体的ね」その時だった。奥の廊下から、ガラガラと戸の開く音がした。「何をそんなに騒いでるの」現れたのは、美咲の母、つまり蒼太の祖母・和江だった。買い物袋を提げ、ふたりの前に来ると、問題の写真を見て「あら」と声を漏らした。「まだあったのね、その人」「知ってるの!?」「もちろん知ってるわよ」美咲と蒼太は身を乗り出した。和江はふたりをじらすように麦茶を一口飲み、ゆっくり言った。「昔ね、おじいちゃんがアルバム作りを頼まれてたの。町内会の家族アルバムと、少年野球チームの卒業アルバムを、同じ日に」「うん……」「で、のりで貼ってる途中に、途中で阪神戦の中継が始まっちゃって」「うん……」「興奮して手元が雑になって、何枚か混ざったの」しばし沈黙。「……それだけ?」と美咲。「それだけ」と和江。蒼太が写真を見つめる。「じゃあこの人、うちと何の関係もないの?」「たぶんないわね。知らない四番バッター」美咲は力が抜けて笑い出した。一族の秘密でも、禁断の恋でも、隠された血筋でもない。ただ祖父の“野球を見ながらアルバムを作るな”案件だった。その時、蒼太が別のアルバムを開いて叫んだ。「お母さん! こっちは逆だ!」「え?」そこには、少年野球チームの記念写真の中に、七五三姿の幼い美咲が、ど真ん中で澄ました顔をして写っていた。周りの少年たちは全員ユニフォーム、美咲だけが千歳飴を持っている。和江はしれっと言った。「その年のチーム、なぜか“謎の女児”がセンターだったのよね」美咲は額を押さえた。「じゃあ私、どこかの家で“知らない七五三”として語り継がれてるってこと?」蒼太は腹を抱えて笑った。「よかったね、お母さん。家族の秘密じゃなくて、町内の怪談だったよ」障子の向こうで、午後の光が少し傾く。テーブルの上には、家族の歴史と、関係ない四番と、どこかの野球チームに紛れ込んだ七五三の少女。美咲は写真を見下ろして、ふっと笑った。「まあいいか。こういうのも、家の歴史ってことで」すると蒼太が真顔で言った。「でもお母さん」「なに?」「この四番、打ちそうな顔してる。うちで応援する?」美咲は少し考えてから、アルバムを閉じた。「うん。せっかくだし、親戚ってことにしようか」その日からその家では、毎年夏になると、仏壇にスイカと麦茶とともに、“知らない四番”の写真がそっと供えられるようになった。おわり風邪は関係ないと思うけど、今日はおしっこもちかい。なんかやってるときにトイレ行きたくなるから煩わしい。
2026.03.17
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今日は朝から仕事。でも朝から事件。荷物を持って会社にやってきたクロネコヤマトの配達の人が帰るときに会社の玄関の自動ドアのガラスに突っ込んでガラスをぶち割った。よっぽど急いでたんだろうね。てかさ、自動ドアのガラスっていつ直るんだ?相当日数かかりそうな予感。外扉あるけどまだちょっと寒いんだよ。今日は雪もちらついてたし。今日は何の日国立公園指定記念日十六団子の日財務の日ミドルの日おかでんチャギントンの日赤いサイロの日ステンレス316Lジュエリーの日折りたたみ傘の日ミールオンデマンドの給食サービスの日トロの日十六茶の日いい色髪の日横超忌タイトル:赤い傘の駅前会議雨の朝、ローカル線の小さな駅前市場に、毎週きっちり現れる男がいた。名前は真壁修一、五十二歳。町内会では「段取りの鬼」、駅前商店街では「紙の人」と呼ばれている。なにしろ彼は、どんな集まりでも必ず分厚い書類を抱え、表紙に日付と議題を書き込み、参加者より先に議事録の枠線まで引いて待っているのだ。その日も真壁は、赤い傘を差しながら、駅前の木のテーブルに座っていた。目の前には、みたらし団子。脇には「ミールオンデマンド」と書かれた箱。さらに観光パンフレットと、開きかけの書類。足元にはなぜか、小さな電車のおもちゃ。知らない人が見れば、「出張帰りの会社員が、地方創生の企画会議でもしているのかな」と思うだろう。だが、事情を知る者は眉をひそめる。真壁が今日まとめようとしているのは、“駅前マルシェ雨天時における団子の最適提供方法と、観光客の満足度向上に関する臨時対策会議”だった。議題だけで、すでに団子が冷めそうである。「まず現状分析だな……」真壁は書類をめくりながらつぶやいた。「雨の日は人の滞留時間が短い。すると団子の販売数に影響が出る。一方で、傘を差しながらパンフレットを開くのは難しい。さらに列車待ちの子どもは退屈しやすい……」そこで彼は、団子、観光、列車玩具。この三つを一つのテーブルに並べて、実地検証していたのだ。「団子は三本ずつ小分けがいいかもしれん」彼は真剣な顔で串を一本つまんだ。「パンフレットは、片手で開ける折り方に改善が必要だ」さらに一枚めくる。「子ども向けには、おもちゃの列車をテーブルに置いて足止めを図る……む、これは有効かもしれん」そこへ、商店街の惣菜屋のおばちゃんが通りかかった。「真壁さん、朝からまたやってるの?」「やってるんじゃない。検証です」「団子食べながら?」「食べながらじゃない。食味データの収集です」「おもちゃで遊びながら?」「遊んでない。乗客心理の再現です」おばちゃんは少し黙ってから、「それ、ぜんぶただの寄り道じゃないの」と言った。真壁はぴたりと止まった。寄り道。たしかに、そう見えなくもない。だが彼には譲れない理由があった。去年の秋、町の観光課から「駅前市場をもっと親しみやすくできないか」と相談を受けたとき、真壁は燃えた。若いころ鉄道が好きで、団子も好きで、旅先のパンフレットを集めるのも好きだった彼にとって、それは人生の好物が全部そろったような依頼だったのだ。だから彼は本気だった。本気で、駅前に来た人が「なんかこの町、いいな」と思える仕掛けを作ろうとしていた。ただし、少しだけ本気の方向が細かすぎた。彼が資料に書き込んだ項目はすでに四十三。「団子の照りと雨粒の視覚的相性」「観光パンフレットと湯気の親和性」「赤い傘が安心感に及ぼす心理的効果」「列車玩具の向きによる子どもの注視時間の変化」など、もはや誰も頼んでいない領域に突入していた。そのとき、駅のほうから小さな男の子が走ってきた。母親に手を引かれながらも、おもちゃの列車を見つけて目を輝かせる。「わあ、でんしゃ!」真壁は一瞬、資料から顔を上げた。男の子は列車をちょんと触り、みたらし団子を見て、パンフレットの表紙をのぞきこんだ。「ママ、ここたのしいね」母親は笑って、「ほんとだね。雨だけど、なんかいいね」と言った。その一言に、真壁の胸が少し熱くなった。――これだ。これが欲しかったのだ。数字ではなく、会議でもなく、「なんかいいね」の一言。真壁はそっとペンを置いた。長すぎる議題も、四十三項目の検証表も、少しだけどうでもよくなった。必要なのは、きっともっと単純なことだったのだ。雨の日でも、駅前でちょっと立ち止まりたくなること。大人がふっと気を抜けて、子どもが「たのしい」と言えること。真壁は晴れやかな顔で立ち上がり、惣菜屋のおばちゃんに言った。「わかりました」「何が?」「この町に必要なのは、複雑な分析じゃない」「へえ」「団子と赤い傘と、ちょっとした電車です」おばちゃんは吹き出した。「結局ぜんぶそのまんまじゃないの」真壁は真顔でうなずいた。「はい。検証の結果、全部必要でした」その日の夕方、彼は意気揚々と町内会に企画書を提出した。企画名は、『雨の日おもてなしセット(団子・観光パンフ・ミニ列車展示付き)』ところが一週間後、役場から返ってきた返答は実にあっさりしていた。「大変すばらしい着想ですが、ミニ列車展示は対象年齢の設定が難しく、団子は衛生管理上の都合により屋外常設不可、赤い傘は備品予算外です。なお、パンフレットのみ採用させていただきます。」真壁はしばらく黙って、その紙を見つめた。そして、静かに言った。「……つまり俺は、三週間かけて**“駅前にパンフレットを置こう”**って結論を出したのか」そのつぶやきを聞いた惣菜屋のおばちゃんは、腹を抱えて笑った。「真壁さん、遠回りしすぎだよ!」真壁は苦笑し、机の上のおもちゃの列車を指で走らせた。「まあいいさ」「何が?」「パンフレット置き場の横に、私物の列車をそっと置くくらいはできる」数日後、駅前のパンフレット棚の端には、誰が置いたとも知れない小さな列車のおもちゃがちょこんと飾られていた。そしてその横には、手書きの小さな紙。『ご自由にパンフレットをどうぞ。団子は気分で。』町内会はその貼り紙をすぐ剥がしたが、なぜかその日だけ、パンフレットの減りがいつもの三倍だったという。おわり長い。読む気にならん。
2026.03.16
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WBC終ったわ。まだ終わってないけど、侍ジャパンが負けてもうどうでもよくなっただろ。そう思ったら民放が放映権無理してでもをとらなかったのはまぁ、しょうがなかったのかな。今朝はまた風が強いのかなぁと思って目が覚めたんだけど、風の音じゃなくて隣の家を重機で壊してる音だった。昼頃に起きてのぞいてみたらもう基礎しか残ってなかった。日曜日でも作業するんだね。今日は何の日社日靴の日・靴の記念日世界消費者権利デー万国博デーオリーブの日「会いに、走れ。」記念日サイコの日眉の日ドメインの日最硬の盾の記念日温泉むすめの日SideMサイコーの日ランドセルリメイクの日冠婚葬祭互助会の日ロングセラーブランドの日涅槃会いちごの日中華の日邪神忌タイトル:「辻留宿で、明日を忘れた女」夕暮れの山あいの宿場町に、その女はひとり立っていた。古びた道しるべの横。片手にはスマートフォン。もう片方には、よく磨かれた茶色いランドセル。足元には履いていない編み上げブーツ。肩には大きな帆布のバッグ。そして表情は、旅人というより、何かを迎えにきた人の顔だった。町の名は辻留宿。観光地図にも小さくしか載っていない、昔の町並みがそのまま残る場所だ。この町には、ひとつだけ妙な噂があった。――「ここでは、ときどき“忘れもの”が人を待っている」女の名は真白(ましろ)。東京で働く三十二歳。有給を取って一人旅に来たのだが、本当の目的は観光ではなかった。三日前、亡くなった祖母の遺品整理をしていたとき、一枚の古いメモが出てきたのだ。「辻留宿に、あの子の明日を預けてあります」裏には、それだけ。誰のことかも、何を預けたのかもわからない。だが祖母の字だった。真白は子どものころの記憶が少し曖昧だった。七歳のある夏を境に、なぜかぽっかりと穴が空いている。祖母とどこかへ出かけた気もするし、泣いた気もする。でも何ひとつ思い出せない。それで、来た。宿の女将にメモを見せると、女将は一瞬だけ「ああ」とうなずいた。「では、橋の手前の道しるべのところで、日が落ちるまで待ってください」「誰をですか?」「忘れものをです」説明になっていなかったが、この町ではそういう返答が妙に似合った。真白は待った。風は冷たく、遠くで明かりがぽつぽつ灯り始める。古い木造の家々の窓が琥珀色に光り、町全体が昔話の中みたいになっていく。やがて背後で、小さな声がした。「それ、わたしの」振り返ると、誰もいない。もう一度。「それ、わたしのランドセル」今度ははっきり聞こえた。けれど、やっぱり誰もいない。代わりに、真白の持つランドセルが、かすかに震えた。「えっ」思わず手を離しそうになったとき、金具がぱちんと勝手に開いた。中には、黄色いハンカチ。星のシールが貼られたノート。そして、折りたたまれた作文用紙が一枚。真白は震える手でそれを開いた。『あしたのわたしへ』おとなになったら、わすれないでね。わたしは、しょうらい、ぼうけんにいく。こわくてもいく。それから、ブーツをはいて、ひとりでどこへでもいける人になる。でも、もしこわくてわすれちゃったら、おばあちゃんにあずけます。ましろよりその瞬間、止まっていた記憶が、一気にほどけた。七歳の夏。真白はこの町に祖母と来ていた。新しいブーツを買ってもらって、うれしくて、でも石畳で足が痛くなって、途中で泣いた。「わたし、もう歩けない。おとなにもなれない」と拗ねた。すると祖母は笑って言ったのだ。「じゃあ“明日”をこの町に預けておこう。大きくなったら取りに来ればいい」そのときのランドセル。そのとき履けなかったブーツ。そのとき書いた作文。全部、本物だった。真白はしばらく黙って立っていた。スマホの画面には、東京の上司からの通知が並んでいる。「例の企画、やっぱり君が行って」「来月から岐阜の古民家再生PJ、単身で行ける?」「返事待ってる」真白は、思わず笑ってしまった。子どものころの自分は、ずいぶん先回りしていたらしい。怖くても行く。ブーツを履いて、ひとりでどこへでも行く。そんな約束を、未来の自分に押しつけていたのだ。「ずるいなあ、七歳のわたし」そうつぶやいて、彼女はブーツをその場で履いてみた。もちろん今の足には全然入らない。先っぽが三センチくらいしか入らない。その様子を、後ろから見ていた女将が静かに言った。「思い出せましたか」「はい。たぶん、明日を取りに来たみたいです」「それはようございました」真白は、少し照れながらランドセルを持ち上げた。「でも、これどうしよう。さすがに大人が背負って帰るのは恥ずかしいですよね」女将は首をかしげた。「何をおっしゃいます」「え?」「この町では、“取りに来た人”は、ちゃんと背負って帰る決まりです」「そんな決まりあるんですか!?」「あります」「ほんとに!?」「今つくりました」真白は吹き出した。その拍子にスマホを落としかけ、慌てて拾い、結局そのまま石畳に座り込んで笑った。笑いながら、上司に返事を打つ。『行きます。怖いけど、行きます』送信してから、ふと気づく。自分の肩にかけた大きなトートバッグ。手に持った小さなブーツ。そして、腕に抱えたランドセル。どう見ても、旅慣れた大人ではない。完全に――荷物の多すぎる新一年生だった。そのとき、近くを通りかかった観光客の子どもが母親に小声で言った。「ねえママ、あのおねえちゃん、入学式いくの?」真白は、夕暮れの宿場町に響くくらい大きな声で笑った。そして思った。なるほど、明日を取りに来るっていうのは、たぶんこういうことだ。三十二歳になっても人は、ときどき、人生に入学し直すのだ。ただしその初日は、だいたいちょっと荷物が多い。おわり母が侍ジャパンの話をするときに、井筒監督が~って話をしていて、井筒監督は関係ないだろ。って思って話を聞いてたら井畑監督のことだった。全然全く関係ないし、意味わからんと思ったらそういうことか。ってなった。
2026.03.15
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昨日の夜、隣のおじさんの息子さんがあいさつに来た。隣の家を解体からうるさくなります。とのことだった。やっぱり解体するんだね。今日は寝坊して昼前に起きた。今日も天気はいいけど風が強いね。今日は何の日ホワイトデー円周率の日数学の日パイの日国民融和日美白デー国際結婚の日さーたーあんだぎーの日切腹最中の日ホームインスペクションの日花贈り男子の日ピカジョの日不二家パイの日オキシクリーンの日・オキシ漬けの日採用担当者へありがとうを伝える日銀座ものひと繋ぎ植樹記念日蚕糸の日VSOP運動の日丸大燻製屋・ジューシーの日クラシコ・医師の日元麿忌タイトル:「採用担当者へありがとう」朝の光が、古いカーテンを通って部屋にやわらかく差し込んでいた。美咲は机に向かって座り、胸の前に一冊のノートを抱えていた。表紙には几帳面な字で「Pai / Mathematics」と書いてある。そのノートは、大学時代からの戦友だった。徹夜で解いた数式、何度も書き直した証明、就職試験のために覚えた公式。全部がそこに詰まっていた。机の上には、採用通知をもらった会社の資料と、小さなメッセージカードが置かれている。「採用担当者へ ありがとう」昨日の夜、自分で書いたものだ。ちゃんとお礼を伝えようと思って。だが、その下には妙なものも散らばっていた。白粉の缶。オロナインのような常備薬。指輪。花びら。家のパンフレット。そして、なぜか握りしめている、少しつぶれた唐揚げ。どれも就職祝いらしく見えなくもない。見えなくもないのだが、どうにも統一感がない。「……これで本当に社会人になれるのかな」美咲は窓の外を見ながらつぶやいた。そのとき、台所から母の声が飛んできた。「美咲ー! 写真撮るなら今のうちよー! 唐揚げしんなりするからー!」「祝いの記念写真に、なんで唐揚げ必要なの……」「昨日あんたが“内定もらったら一番に食べたいのは唐揚げ”って言ったからでしょ!」たしかに言った。言ったけれども。記念写真に抱いて写るほどではない。さらに母は続ける。「白粉はおばあちゃんが“社会人は顔色が大事”って持ってきたの。オロナインはお父さんが“会社で靴ずれする”って。指輪はお姉ちゃんが“なんかエモいから”って。花はお隣さん。家のパンフレットは不動産屋さんが間違えて入れてったやつ」「情報量が多いよ!」美咲は思わず叫んだ。だが、机の上の混沌を見ているうちに、少しだけおかしくなってきた。自分の人生もたぶん、こういうものなのだ。数学みたいにきれいに整理された直線ではなく、机の上みたいに脈絡のない物たちが、なんとなく同じ日付に集まっている。採用通知を見たときは、もっとこう、ドラマみたいになると思っていた。泣くとか、叫ぶとか、空を見上げるとか。でも実際は、母が唐揚げを山ほど揚げ、父が常備薬を差し出し、姉がよくわからない演出を始め、おばあちゃんが「就職は顔色」と言い切った。人生の節目とは、案外そういうものかもしれない。美咲はノートをぎゅっと抱きしめた。少し油のついた唐揚げが表紙につきそうになって、慌てて持ち直す。「よし」彼女は立ち上がり、カードを手に取った。せめて今日のうちに、お礼のメールだけは送ろう。写真はそのあとでいい。パソコンを開き、姿勢を正し、件名を打つ。「採用のお礼」本文を考え始めたところで、母がまた入ってきた。「ねえ、そのカードも一緒に写したほうが気持ち伝わるんじゃない?」「カードは採用担当の人に送るんじゃなくて、写真用なの?」「え?」「え?」部屋が静まり返った。美咲はカードを裏返した。すると裏に、母の字で小さくこう書いてあった。“花屋の閉店セールで買ったやつ。用途自由”「……これ、もともとそういう既製品なの?」母は少し気まずそうに笑った。「安かったのよ。『ありがとう』って書いてあれば何にでも使えるかと思って」美咲はしばらく無言だったが、やがて肩を震わせて笑い出した。就職祝いの朝。夢見た感動のワンシーンは訪れなかった。その代わり、用途自由のカードと唐揚げと常備薬に囲まれて、自分はちゃんと笑っていた。そして彼女は採用担当へ送る本当のメールを打ち始めた。丁寧に。誠実に。唐揚げの油がつかないように気をつけながら。その日の午後、返信が届いた。「ご連絡ありがとうございます。ちなみに、入社書類に添付されていた“採用担当者へありがとう”の記念写真、部署内で大変好評でした」美咲は固まった。添付ファイル欄を見た。送信済みメールには、たしかに一枚の画像がついていた。ノートを抱え、唐揚げを握り、妙に真顔で未来を見つめる自分。件名はちゃんと「採用のお礼」。でも添付は、母がさっき撮った“用途自由”な記念写真だった。しかも本文の最後には、変換ミスでこう結ばれていた。「末筆ながら、御社のますますのご健闘と、唐揚げの発展をお祈り申し上げます。」その三日後、美咲は会社から追加の連絡を受けた。「あなたのユニークさを評価し、広報部への配属も検討しています」どうやら彼女は、数学ではなく、唐揚げで就職を決めたらしかった。おわりホワイトデーか。特に何にもないけど。何にも貰ってないし。あ、でも貰ったなあ。何か返さないといけないなぁ。
2026.03.14
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今日は天気はいいけど風が強い日。暖かそうで寒い。今日は何の日新選組の日青函トンネル開業記念日漁業法記念日サンドイッチデー崔さんの日ペヤングソースやきそばの日里見の日一汁三菜の日石井スポーツグループ 登山の日お父さんの日花幻忌虚空蔵の縁日「里見、参る」北海道・函館。漁師町の片隅にある小さな定食屋「青函亭」。壁には漁船の写真、釣り産業のポスター、青函トンネルの絵。そしてひとつだけ、どう見ても場違いなものが貼ってあった。ペヤングやきそばのポスターだ。常連客は誰もそれについて聞かなかった。聞いたら負けな気がして。そこへ、外国人の大男が入ってきた。作業着姿で、なぜか新選組の法被を羽織っている。「いちばん……ホッカイドウらしいもの、ください」崔じいさん(72歳)はにやりと笑い、厨房へ消えた。十五分後、テーブルに置かれたのは、食パン二枚の間に焼きそば弁当が丸ごと挟まった、前代未聞のサンドイッチだった。爪楊枝に「里見」と書かれた小さな旗が刺さっている。「これが北海道らしい、ですか」「……まあな」「でも、あのポスターは」と男は壁を指した。「ペヤング、ですよね」崔じいさんは少し黙ってから言った。「わしは大阪出身でな。ペヤングで育った。北海道に来たら売ってへんかった。しゃあないから焼きそば弁当で作り出したのがこれや」「では、北海道らしくない、ですか」「作っとるのが大阪もんやから、これが青函亭らしい、でええやろ」男は大人しくサンドイッチにかぶりついた。もぐ。もぐ。もぐ。「……おいしい。でも、里見とは?」「二十年前、ペヤングを北海道に売り込もうとした営業マンや。どこにも相手にされんで、最後にうちに飛び込んできた。わしは断った。北海道じゃ売れんて言うてな。そいつ、悔しそうな顔でポスターだけ置いていきよった」「それだけで旗に名前を?」「わしと同じもん背負っとったから。北海道でペヤングを広めたいそいつと、北海道でペヤングが食いたいわし。似た者同士や、方向が逆なだけで」男はしばらく考えてから、おもむろに法被の裏側を見せた。内側にマジックで名前が書いてある。「この法被、函館のリサイクルショップで買いました。前の持ち主の名前、書いてあって」崔じいさんの目が細くなった。「……なんて書いてある」「里見、と」長い沈黙。崔じいさんはゆっくりと立ち上がり、壁のペヤングポスターをしみじみと眺めた。「あいつ、あんなに必死やったのになあ。結局、北海道には広まらんかったな」男はスマートフォンを取り出し、画面を崔じいさんに向けた。Amazonの画面だった。「ペヤング 北海道 翌日配送」と書いてある。崔じいさんは十秒ほど画面を見つめた。「……里見の二十年ってなんやったんや」後ろで猫のミケが、あくびをした。おわり
2026.03.13
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今日は朝から風が強い。曇りの予報だったけど、もしかしたら雪も降ってるかもしれない。そんな天気でした。夕方にコンビニに行ったんだけど、雪もちらついていました。隣の家は今日も静か。庭にはゴミが置かれたままだ。よく見たらトイレの洋式便器らしきものがある。やっぱりリフォームじゃなくて解体するつもりなのか?今日は何の日世界反サイバー検閲デーサンデーホリデーの日・半ドンの日モスの日スイーツの日咲顔(えがお)の日サイズの日サイフの日だがしの日unisizeの日マルサン豆乳の日豆腐の日育児の日パンの日わんにゃんの日菜の花忌「路地の暗号」午後7時43分。田中奈緒は路地の真ん中で、メモと看板を見比べていた。三ヶ月前に死んだ祖父の遺品の中に、一枚の紙が入っていた。「宝はアカタ住宿の前にある」祖父は生前、謎かけが好きだった。奈緒は手がかりを辿ってここまで来た。本当に看板がある。本当に路地がある。そして——自動販売機が一台、ある。祖父のメモにはこう続いていた。「T44-5300に電話しろ。ただし夕暮れ時だけつながる」看板の電話番号:T44-5300。奈緒は震える指で番号を押した。三回、呼び出し音が鳴った。「……お待ちしておりました」低い男の声。「ここ三十年、誰も来なかったので、もう終わりかと思っていました」「あの、祖父が——」「知っています。さあ、自販機を見てください。右から三番目のボタン。長押しです」奈緒は言われた通りにした。ガコン、と音がした。自販機の側面が、扉のように開いた。中は暗い空間だった。奈緒は息を呑んで覗き込んだ。そこには——段ボール箱が一個。中には、祖父の字で書かれた手紙と、通帳が一冊。残高:三百四十二円。手紙にはこう書いてあった。「奈緒へ。じいちゃんの全財産だ。額は小さいが、お前がここまで辿り着いた事実の方が、よっぽど価値がある。ちなみに自販機を開けるギミックは、三十年前に業者のおじさんに頼んで作ってもらった。費用は五万円だった」奈緒は通帳と手紙を胸に抱え、夕暮れの空を見上げた。スマートウォッチが静かに告げた。「消費カロリー:4kcal」おわり今日は画像がいい感じだったので、面白いお話も出てくるかと思ったけど、そうでもなかった。
2026.03.12
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今日もいい天気。朝出かけるとき、もしかしたら上着いらないかも?って思いつつ、外に出たらやっぱりいるわ。ってなった。今日は隣の家は静かだった。今日は3.11ですね。震災の日。あの頃を思い出すね。今日は何の日いのちの日おうえんの日防災意識を育てる日おくる防災の日パンダ発見の日コラムの日ロールちゃんの日めんの日ダブルソフトの日おかあちゃん同盟の日世界おかあちゃん同盟の日モンテール・スイーツの日宋淵忌今日は面白さよりも震災に関わる話がいいかな。ってことで「パンダの言い訳」3月11日。毎年この日に、健二は防災リュックの中身を確認する。水、缶詰、懐中電灯——そして今年も、あった。パンダの写真。去年も入っていた。一昨年も入っていた。健二はついに妻の直子に聞いた。「このパンダ、誰が入れてんの」直子は少し固まってから言った。「……乾パン入れようとしたんだけど、売り切れてて」「だからってパンダ?」「パンは合ってるじゃない」「合ってるのそこだけだから」直子は腕を組んで、真剣な顔で言った。「でも、パンダ見たら元気出るでしょ。避難所でも」健二は何も言えなかった。論破されたわけではない。ただ、完全に間違っているのに、なぜか反論できなかった。今年の乾パンは、ちゃんと入っていた。パンダの隣に。おわり最近、睡眠不足で、今日は昼頃頭が痛くなって。昼に帰ってきて、ちょっと寝てたような気がする。もう覚えてない。頭はすっきりしてる。
2026.03.11
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最近隣の家がうるさい。気になってみてみたら家の中のものを外に出していた。隣の家のおじさんが亡くなって何年もたつ。やっと遺品の整理を始めたのかな?リフォームするのか、解体するのか、それはわからん。今日は何の日東京都平和の日農山漁村女性の日チベット民族蜂起記念日東海道・山陽新幹線全通記念日陸軍記念日砂糖の日佐渡の日横浜三塔の日水戸の日サボテンの日ミントの日ミルトンの日クラシアンの日名古屋コーチンの日たけのこの里の日ミードの日サトウ記念日見合いの日サンドブラスト彫刻の日ミートソースの日水通しの日ゼロミートの日サイマ(310)の日安全安心砂場の日身だしなみを整える日パーソナライズ寝具・スレプトンの日マルヨのほたるいかの日糖化の日パンケーキの日アメリカンフライドポテトの日バイナリーオプションの日コッペパンの日Windows 10 の日スカイプロポーズの日サガミ満天そばの日キャッシュレスの日みすゞ忌金毘羅の縁日ゼロミートの夢田中博士は三年間、研究室に籠もり続けた。完全植物性、完全無害、完全においしい——「ZERO MEAT」の完成である。発表の日、博士はサンプルをテーブルに並べた。スパゲッティ、謎の粉末、琥珀色の液体。記者たちが固唾を飲んで見守るなか、博士は高らかに宣言した。「これで地球上のすべての動物が救われます!」その瞬間、背後でニワトリが大きく羽ばたいた。農家のおばあちゃんが野菜を抱えて微笑んだ。カップルが感動で手を握り合った。チベット僧が旗を掲げた。新幹線が富士山をバックに轟音で通過した。黒猫は寝ていた。完璧な演出だった——と、博士は思った。「では、試食を」博士はフォークを持ち上げ、スパゲッティを一口。目が泳いだ。「……おいしい」会場が沸いた。拍手喝采。人類の夜明けだ。その夜、博士はこっそりコンビニへ向かい、チキンおにぎりを二個買った。ニワトリには内緒である。おわり
2026.03.10
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今日はいい天気。朝から仕事行ってきました。んで、仕事してるようで自分のことをやったりしてました。気になったニュースは高木美帆引退かなぁ。まだやれそうだけどね、本人が納得するレベルを維持できないってことかもしれないね。地元に戻ってこの後に続く選手を育ててほしいな。今日は何の日記念切手記念日関門国道トンネル開通記念日酢酸の日バービー人形の誕生日佐久の日・ケーキ記念日雑穀の日緑の供養日感謝の日3.9デイ(ありがとうを届ける日)ざっくぅの日子宮体がんの日ネットワークの日脈の日試薬の日ザグザグの日ミックスジュースの日さくさくぱんだの日サンクスサポーターズデー西京漬の日松本山賊焼の日感謝状Shopの日3.9サキュレントデーサクナの日さく乳の日QUOカードで「ありがとう」を贈る日さくさくポテトスナックの日SACの日さくらさくみらいの日アライドテレシス・ネットワークの日ビックマーチの日さけるチーズの日ライスペーパーネキみかの日サクレの日D'ステーションの日ミクの日コモンウェルス・デークレープの日パソコン検定の日えのすいクラゲの日タイトル:「トンネル前フリマ村の、最後の通行料」山あいのまっすぐな道路のど真ん中に、ぽつんとベンチが置かれていた。しかも一つではない。木のベンチがいくつか並び、その上にはどう見ても統一感のない品々が整然と並べられている。消毒液。ピンクの人形。なぜかやたら表情のいいパンダ。空き地に建てたいのか建てたくないのか分からない小さな家の模型。計測器。切手シート。観葉植物。謎のジュース。そして、カッピカピの笑顔でこちらを見つめる若い店主。僕は車を降りて、その異様な光景をしばらく眺めた。背後には大きなトンネルが口を開けている。前にも後ろにも車はいない。風だけが吹き、ベンチの上の値札のない商品たちが、まるで品定めされるのを待っているようだった。「いらっしゃいませ」店主はやわらかく笑って言った。「ここ、何の店ですか?」「“通りすがりの人に、ちょうど足りない物を売る店”です」僕は思わず聞き返した。「ちょうど足りない物?」「はい。人はみんな、トンネルに入る前に何かが一つ足りないんです」そう言って彼は、ベンチの上の品々を一つずつ指さした。「清潔さが足りない人には消毒液。華やかさが足りない人には人形。安心感が足りない人にはパンダ。将来設計が足りない人には家。健康意識が足りない人には計測器。旅情が足りない人には切手。潤いが足りない人にはジュース。そして――」彼は僕の手元を見た。そこには、コンビニでもらった使いかけのQUOカードと、さっきサービスエリアで買ったお菓子の袋があった。「あなたには、交換する勇気が足りないみたいですね」「交換?」「この店はお金では買えません。何か一つ、手持ちの物と交換です」なるほど、と僕は思った。山奥で現金の使えないフリマ。いよいよ意味がわからない。だが、なぜか断る気にはなれなかった。僕はベンチの上を見回し、家の模型が気になった。白い壁に青緑の屋根、小さなひさしまでついていて、妙に丁寧な作りだ。「これ、ください」「いいですね。住みたい感じがある」店主は満足げにうなずいた。「では、何を差し出しますか?」僕はQUOカードを見た。残高はたぶん中途半端だ。数百円とかそんなものだろう。それを差し出すと、店主は首を振った。「それでは足りません」「えっ、じゃあお菓子?」「それもちょっと違う」「じゃあ何が要るんです」すると店主は、にっこり笑って言った。「“トンネルに入る前の、どうでもいいこだわり”です」僕は黙った。たしかに僕にはあった。新しいことを始める前に、妙に細かい条件を並べて先延ばしにする癖。引っ越すなら駅近じゃないと。転職するなら年収が。旅に出るなら連休が。告白するなら完璧なタイミングが。それらを全部、僕は持ち歩いていた。「……わかりました」そう言った瞬間、胸の奥の変なつかえが、すっと軽くなった。店主はうれしそうに家の模型を僕に渡した。「これで通れます」「通れますって、何が?」「トンネルです」僕は模型を抱え、なんとなく振り返った。トンネルは静かで、暗く、少しだけ怖い。でもさっきまでより、入り口が近く見えた。「ありがとうございました」そう言って立ち去ろうとすると、ふと気づいた。ベンチの下に、小さな立て札がある。そこにはこう書いてあった。《当店は道路使用許可を取得しておりません》僕はぎょっとして顔を上げた。「ちょっと待ってください、これ違法営業じゃ――」しかし、店主の姿は消えていた。ベンチも、商品も、全部なくなっている。残っていたのは、僕の手の中の家の模型だけ。そして遠くから、パトカーのサイレンが聞こえてきた。慌てて道路脇に避けた僕の前に、二人の警察官が降りてきた。「この辺で“また”見ましたか?」年配の警官が、妙に慣れた口調で聞いた。「また?」「ええ。トンネル前に店を出す男です。昔この先で土産物屋をやってたんですが、道が変わって客が来なくなってね。最後は“通る人に必要なものを売る”とか言い出して……」「じゃあ今の、本物だったんですか?」警官は僕の手元の模型を見て、少し黙った。「……それ、もらっちゃいました?」「はい」若い警官が、吹き出すのをこらえながら言った。「当たりです」「何がです?」年配の警官は真顔で答えた。「その家の模型を持ち帰った人、だいたい三か月以内に引っ越すんですよ」「は?」「しかも妙に話が早く進む」「いやいや、そんなオカルト……」そこまで言って、僕のスマホが鳴った。画面には、不動産屋からの着信。昨日、酔った勢いで資料請求したまま忘れていた中古平屋の件だった。おそるおそる出ると、担当者が明るい声で言った。「ちょうどキャンセルが出まして! 今なら内見なしで押さえられます!」僕は手の中の模型を見た。青緑の屋根。白い壁。ひさしの形まで、電話口の物件資料とそっくりだった。しばらく沈黙したあと、僕は警官に聞いた。「……ちなみに、あの店主は今どこに?」年配の警官は肩をすくめた。「さあ。ただ、次に現れる場所は決まってるそうです」「どこです?」警官はトンネルの奥を指さした。「“まだ踏ん切りのつかない人”の前です」その瞬間、若い警官が僕の手元を見て言った。「あ、でも大丈夫ですよ」「何が?」「通行料、ちゃんと払ってますから」僕は首をかしげた。「僕、何も払ってませんけど」若い警官はにやっと笑った。「払ってますよ。“QUOカードの残高を確認しないまま差し出せるくらいの覚悟”を。」そして僕はその日の夕方、家の模型とお菓子の袋を抱えたまま、人生でいちばん勢いのある引っ越し申込みをした。ちなみにあとでわかったことだが、あのQUOカード、残高は17円だった。どうりで、店主が最初に首を振ったわけである。おわり長いな。読むの面倒かな。
2026.03.09
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今日も眠い。眠いがいつもと同じくらいの時間に起きてマラソン見ていた。昨日の雪は朝のうちはまだ残ってて、朝から隣の家の屋根の雪が落ちる音が聞こえてた。けど、昼過ぎに外を見たら大体なくなっていて、暖かくなったんだなぁ。と。最近、なんかいろいろモチベーションが下がってる。あれもこれもやりたい。って思ってることが何もできない。何もと行っても進捗状況が0ってことでもないが、完成まで行かない、行っても納得の出来ではない。って感じか。今日はちょっとマンガを読んでた。映画はまだ見る気にならない。今日は何の日国際女性デーみつばちの日ギョーザの日エスカレーターの日みやげの日サバの日ビールサーバーの日赤ちゃん&こども「カット」の日さやえんどうの日鯖すしの日雅の日三板(サンバ)の日三矢の日散髪の日サぱの日サワークリームの日町家の日紗の日サンワの日サヴァ缶の日残薬をへらす日miwaの日ザンパの日スリッパを楽しむ日レモンサワーの日日本列島たこせんべいの日プレミアム美肌の日好きに出会えるミーハーの日信州地酒で乾杯の日歯ブラシ交換デーホールケーキの日スッキリ美腸の日果物の日生パスタの日薬師縁日「エコバッグの中の宇宙」田中みずき(32歳)が買い物から帰ると、台所で義母が黙々と餃子を包んでいた。「お義母さん、いつ来たんですか」「鍵持ってるから」と義母は振り返らずに言った。「……そういう問題じゃないです」壁に見覚えのないポスターが貼ってある。「miwa / local band」、手書きのセットリスト、QRコード、日付は先週の土曜日。「これ何ですか」「ライブのポスターよ」「へえ、ライブ……って、うちで!?」「音響がいいって好評だったわ」「うちはライブハウスじゃないです」「でも響くでしょ、このリビング」「響きの問題じゃないです」テーブルの上に見知らぬベビーシューズがある。片方だけ。「これは?」「3組目のお客さんの忘れ物」「3組目……って、何組来てるんですか」「今月は7組」「今月だけで!?」みずきはエコバッグを床に置いた。きゅうり、ツナ缶、スナック菓子——そして大量の割り箸。「お義母さん、私なんで割り箸こんなに買ったんですかね」「ああ、チケットもぎり用に頼んだから、刷り込んでおいたのよ」「人の無意識に仕事させないでください」「来月もmiwaちゃんが来るから助かるわ」「なんでmiwaさんと知り合いなんですか」「最初のお客さんがマネージャーさんでね、気に入ってくれて」「Airbnbのお客さんがマネージャー!?」「いい音響だって」「だからそれは関係な——Airbnb!?」「あら、言ってなかったっけ」「聞いてないです!」そのとき夫からLINEが届いた。「帰り遅くなる。母さんいるから夕飯は餃子ね」みずきは返信した。「お義母さんがうちをAirbnbにしてmiwaさんのライブ会場にしてます」しばらくして返信が来た。「知ってる。レビュー4.8だって」みずきはスマホをエコバッグに戻し、深呼吸をした。そして台所に向かった。「……ツナ缶、餃子に入れますか」「入れるわよ、当然」と義母は振り返らずに言った。こうして田中家名物・ツナ餃子は、その夜も静かに、しかし確実に生産され続けた。〈了〉今日も何度かやり直してます。画像の段階でも小説の段階でも。そして出来はいまいち。という。
2026.03.08
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雪が降ってます。降ってもすぐ消えるかと思ってたけど、予想より降ってる印象。まぁ、それでも2~3日でなくなるとは思う。なので今日はどこにも外出はせず、家でダラダラしてます。WBCはちらっとだけ見た。大谷すげえなぁ。いきなりかましてくるもんな。この大会だけでどれだけ打つのかも気になるね。今日は何の日消防記念日東京消防庁開庁記念日警察制度改正記念日サウナの日(サウナ健康の日)メンチカツの日十歳の祝いの日花粉症記念日すたみな太郎の日さかなの日家計の見直しの日みんなの銀行の日ななつのしあわせミックスナッツの日シンガーソングライター・小林未奈の日生パスタの日Doleバナ活の日「路上の天才」梶原慎二は非番の日、東京タワーを背景にした見慣れぬ光景に足を止めた。歩道に陣取った若い女性がヘッドフォンをつけ、アコースティックギターを弾きながら歌っている。隣にはサンタ帽の少年。テーブルの上にはトンカツ、ナッツ、コインの山。そして背後では消防士が何かに放水中だ。「……なんだこれは」ベテラン刑事の目が状況を分析し始めた。女性の歌声は驚くほど美しかった。通行人が次々と足を止め、コインを投げ入れる。少年は目を閉じて音楽に聴き入っている。なぜ食事をしながら演奏している?なぜ消防車が来ている?なぜここまで大量の食べ物が——「お母さん、もうそろそろやめようよ」少年がぼそりと言った。「もう一曲だけ」女性は笑顔で答えた。梶原は少年に近づいた。「君、ここで何してるんだ?」少年はため息をついた。「お母さん、料理中に新曲のメロディを思いついたら、全部ほっぽり出して歌い始めるんです。今日はカツを揚げてる最中で……」梶原は背後の消防士に目をやった。消防士はホースで、盛大に燃え上がる台所の窓に向かって放水していた。「……三十年の刑事人生で」梶原はつぶやいた。「これほど美しい火災現場は初めてだ。」女性は気づかず、東京タワーに向かって歌い続けた。おわり画像の中にいないはずの梶原慎二を登場させてきたね。この画像なら無理やりいないやつを使わなくても何とでもなりそうだけどなぁ。
2026.03.07
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今日はいつも通り朝から仕事。昼ご飯を食べた後は眠くなるねえ。でも昼寝ができないんだよなぁ。雪はなくなったけど、また明日雪らしいね。でもまたすぐ解けるんでしょ。明日は家でじっとしていよう。今日は何の日世界一周記念日スポーツ新聞の日弟の日スリムの日サロネーゼの日リニモの日エステティックサロンの日日比谷サローの日ダレデモダンスの日ミロの日mil-kinの日THIS IS USの日世界リンパ浮腫の日ミールタイムの日サンロッカーズの日Miru(見る)の日36(サブロク)の日鎌倉作務衣の日ミルクの日のミルクの時間<午前9時・午後9時>鳩サブローの日スマートストックの日手巻きロールケーキの日メロンの日寛忌「サイン」コインロッカーの前で、田中誠二は腕時計を見た。九時ちょうど。列車まであと三分。荷物を取り出したとき、隣に人の気配がした。見上げると、バスケットのユニフォームを着た二メートル近い男が立っていた。NBAか。代表か。そのとき、白衣の女性が男にそっと近づいた。穏やかな声で言った。「シェフ・ジャクソンさんですよね。昨夜の夕食、家族で伺いました。感動しました」男は静かに微笑み、丁寧に頭を下げた。それを見ていたデニムジャケットの女の子が目を輝かせ、すかさず割り込んだ。「え、有名な人なんですか! サインください!」男は苦笑しながらペンを受け取った。その瞬間、田中は目を疑った。あの巨大な手が、ペンを持った途端に別の生き物になった。ゆっくりと、繊細に、まるで砂糖細工を作るように、美しい文字を綴っていく。女の子がサインを受け取り、首をかしげた。「……『Chef Jackson, Michelin ⭐⭐⭐』?」「パリで店をやってます」と男は言った。「じゃあそのユニフォームは」と女の子が聞いた。「今朝、ホテルに着替えを忘れまして」田中は新聞を抱え直し、改札へ向かった。スポーツ欄には目もくれず、グルメ欄を開いた。おわり今日はもうちょっとで面白くなりそうで何回かやり直したけど、思ったような面白いのはできなかった。ちょっと残念。
2026.03.06
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昨日の雪は今日は水たまりになってた。暖かいから降ってもすぐとけるね。と思ったら、また土曜日にも降るらしい。またしばらく汚い車で過ごすことになる。今日は何の日啓蟄サンゴの日ミスコンの日スチュワーデスの日三幸の日安藤百福の日産後ケアの日常陸牛の日産後ママスマイルデースリランカカレーの日Sangoportの日み子ちゃんの日天赦日は開運財布の日みたらしだんごの日長城清心丸の日今日はChatGPTのプロンプトをGeminiに入れて生成した画像です。んで、小説はClaudeです。「サンゴポートの奇跡」三月の潮風が、サンゴポートの屋台をなぎ倒しそうな勢いで吹き抜けた。「いらっしゃい!スリランカカレーと常陸牛の鉄板焼き、どうぞ!」三光フーズの店主・田中は鉄板の前で威勢よく叫んだ。隣ではゆるキャラの「さくらちゃん」が子どもたちに囲まれ、その丸い腹を揺らして踊っている。港には漁船がのんびりと並び、いつものサンゴポートの風景だ。そこへ背後のステージから、アナウンスが響いた。「それでは、サンゴポート・ビューティーコンテスト2024、エントリーナンバー3番!」スカイブルーの制服をまとった女性が、ランウェイをスッと歩き出す。スチュワーデス姿の彼女に、観客がどよめいた。田中も思わず鉄板から目を離し、見とれた。「きれいだなあ……」その瞬間。ジュウウウウウッ!目を離した鉄板の上で、常陸牛が全滅した。煙が上がる。焦げ臭い匂いが港中に広がる。「あ゛あ゛あ゛あ゛!一枚三千円の常陸牛がァァァ!」田中の絶叫が、ビューティーコンテストのBGMをかき消した。ステージの上の女性がちらりとこちらを見て、微笑んだ。その笑顔がまた、とんでもなく美しかった。「……まあ、ええか」田中は真っ黒になった肉を見つめ、静かに呟いた。隣で赤ちゃんを連れた女性がくすくす笑い、さくらちゃんが腹を揺らして激しく同意するように踊っていた。――サンゴポートの春は、今年も少し、甘く焦げた匂いがした。おわり今日も眠い。
2026.03.05
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昨日から降ってた雪は今日は一日降り続けてる。だけど、気温が暖かいからどんどん溶けてそんなに積もった感じではない。そんな天気の中出かけて来た。母を眼科に連れて行ってきた。待ってる間屋根のあるところで休憩でもしようと思って、スタバでコーヒーを買って、メガドンキの駐車場に行ったけど、ここは屋根のあるところじゃなかった。暇だからゲームコーナーでも見に行ってみよう。と、行ってみたら、ゲームってあんまりないんだな。スロット機みたいなやつと、クレーンゲームが多かった。平日の昼間からずっと一人でクレーンゲームやってる女性が気になった。俺は久しぶりにガチャガチャでもやってみようと思ったんだけど、1回、400円とか500円で、小銭がない。500円は500円玉が使えるというわけでもないんだなぁ。と思いつつ、1000円札を両替して2回だけやった。腹立つのが、両替機に1000円札をうまく入れられずに落として拾うことになったのと、その両替した100円玉をガチャガチャに入れるときにまた落として拾うことになったこと。で、そのあと、母を迎えに行き、帰りは寿司を食べて帰ってきた。帰り道は山コースの道を走ってきたけど、滑って怖かった。帰って来てからは眠くてしょうがない。今日は何の日ミシンの日サッシの日三線の日(さんしんの日)円の日雑誌の日酸蝕歯の日バウムクーヘンの日サンヨーの日三姉妹の日オーミケンシ・レーヨンの日差し入れの日スカーフの日現代作法の日真っ白なそば・更科そばの日サジーの日34山陽不動産の日パチンコ・パチスロメーカー「SANYO」の日短鎖脂肪酸の日HMPAの日みたらしだんごの日今日は割と多いのに毎月なん日は○○の日というやつが少ない。珍しいかもしれない。「おじいちゃんの秘密のアトリエ」田中家では、毎週日曜日の午後、子供たちが祖父・田中義雄(72歳)の「アトリエ」に遊びに来るのが恒例だった。義雄のアトリエといえば、古びたミシンと色とりどりの糸が並ぶ、ちょっと狭いけれど温かみのある仕事場だ。孫たちの母・さくら(28歳)もよく弁当を持って顔を出した。「おじいちゃん、今日は何作ってるの?」長女のひなが箸でうどんを持ち上げながら聞く。次女のもえも身を乗り出した。「見てみろ」と義雄は布を広げた。紺色の生地に金色で描かれた、不思議な模様——よく見ると、小さなバンジョーを弾く人物が円の中に刻まれている。「かわいい!」さくらが声を上げた。「でもなんか変なデザインだね」義雄はニヤリと笑った。「これはな、特注品じゃ。お客さんのご要望でな」その時、背後からノリノリの三味線……いや、バンジョーの音色が響いてきた。振り返ると、いつの間にか隣のパチンコ店「SANYO」の常連客・浜田さん(68歳)が麦わら帽子をかぶって演奏していた。「義雄さん、できたかい!?」「もうちょっとじゃ!」さくらは首を傾げた。「浜田さん……なんでここに?」浜田さんはバンジョーを弾きながら誇らしげに言った。「わしのステージ衣装じゃよ!来月、パチンコ店の駐車場でライブをするんじゃ!」一同が固まった。「……パチンコ店の駐車場で?」「そうじゃ!店長が『お客さんが減った』と嘆いてたからな。わしが無料ライブで集客してやろうと思って!」沈黙。そしてひなが言った。「それ……パチンコより負けそうだね」義雄と浜田さんは同時に吹き出し、さくらはうどんを噴き、もえはオレンジジュースを倒した。壁の時計が、のんきに午後3時を告げた。──その翌月、駐車場ライブには300人が集まり、パチンコ店は大繁盛した。義雄の衣装が「レトロでかわいい」とSNSで拡散されたせいである。おわり
2026.03.04
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今日もいい天気だった。これから雪で明日も雪らしい。明日出かける予定なので、請求書は今日発送までやってきた。てか、雪の中でかけるのはちょっと嫌だなぁ。今日は何の日雛祭り・上巳・桃の節句世界野生生物の日耳の日三の日平和の日桃の日結納の日金魚の日ジグソーパズルの日三十三観音の日ポリンキーの日女のゼネストの日サルサの日耳かきの日オーディオブックの日美熊くん誕生日3x3の日春のちらし寿司の日ささみの日三輪車の日みよた壱満開の日mimi no hi(ミミの日)クレーンゲームの日きもので祝う女性の日ドンコの日骨の健康デーgimoの日33ガレージの日三択の日キシリクリスタルの日眠眠打破の日くるみパンの日みたらしだんごの日ビースリーの日立子忌草堂忌今日は色々多いんだけど、久しぶりにGeminiを使ったらすっきりした画像が出たので採用した。「桃の節句、ハナちゃんの大作戦」三月三日。桜並木に「桃の雛祭り」の看板が揺れるこの日、十七歳のハナは着物姿で三輪自転車を走らせていた。前籠にはちらし寿司、後ろ籠にはポリンキーとささみスナックが山盛り。金魚鉢を小脇に抱え、耳にはヘッドフォン。どう見ても普通ではない。「今日こそ、絶対成功させる」ハナの計画はこうだ。まず耳かき屋に立ち寄り、店主のおばちゃんを油断させる。次にクレーンゲームでぬいぐるみを回収。そして「平和」のプラカードを持った女性たちのデモ行進に紛れ込み、目的地――商店街の端にある古い雛人形屋へたどり着く。理由は単純だった。去年の雛祭り、ハナは酔っぱらった勢いで(甘酒で十分酔える体質なのだ)その店のお内裏様人形に向かって叫んだのだ。「あなたが私のお婿さんになってください!」店主の息子、二十歳の渉がちょうど奥から出てきた瞬間に。以来、ハナは一度もその店に近づけていない。でも今日は違う。 金魚鉢は話のきっかけ用。ちらし寿司は謝罪の品。ポリンキーは……まあ、好きなので。ヘッドフォンは緊張を和らげるBGM用だ。万全の装備である。桜吹雪の中、ハナはついに店の前に到着した。深呼吸。ドアを開ける。「いらっしゃ――」渉がレジから顔を上げて、固まった。ハナも固まった。沈黙が五秒続いた。ハナは金魚鉢を差し出しながら、用意していたセリフを叫んだ。「去年のことは忘れてください!でもちらし寿司持ってきました!あとポリンキーも!」渉はしばらく無言だった。それからゆっくり言った。「……金魚、俺の部屋で飼ってるやつと同じ種類だ」「え」「好きなの、出目金」「え」「ポリンキーも好き」長い沈黙の後、渉が照れくさそうに笑った。「去年のこと、俺もずっと気になってたんだけど」ヘッドフォンから流れるBGMは、よりによって**「うれしいひなまつり」**だった。ハナの顔は、桜よりも赤かった。おわり
2026.03.03
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今日も天気いい。暖かかったよ。今日は請求書づくりの準備で銀行回ったりしてた。と言っても今月はあんまりないな。WBCの強化試合やってるけど、全然見てない。世界相手に戦うところが見たいんや。最近の話題はまたトランプだね。イラン?イラク?中東情勢。これって、中国へのけん制だよね。ベネズエラ、つぶしたから、次はイランのルートってことだよね。あとXに流れてたこの画像が気になったすごいな、これ、エヴァみたい。実際に見たらビビるわ。今日は何の日ミニの日ミニぶたの日後楽園開園記念日中国残留孤児の日遠山の金さんの日出会いの日サニの日ミニーマウスの日少額短期保険(ミニ保険)の日ご当地レトルトカレーの日ミニストップの日スーツを仕立てる日meethの日春のサニーレタスの日Life2.0の日亡羊忌中国残留孤児とミニーマウスがポリシーに抵触しそうだね。「見積書侍と豚の参謀たち」第一章 奇妙な依頼夏の盛り、江戸——いや、現代のどこかの公園。梶原慎二(42歳)は溜め息をついた。三十年のキャリアを持つベテラン刑事が、なぜ今日に限って黒紋付き羽織を着ているのか。理由は簡単だ。昨夜の張り込みで全ての私服が醤油まみれになり、署の忘れ物センターに預けられていた唯一の服がこれだったのだ。「まあいい」と慎二は呟いた。「服より事件だ」テーブルの上に広げられた証拠品の数々——カレーライス二皿、謎のレタス、「meeth」と書かれたスキンケアボトル三本、そしてミニチュアのミニストップ。そして、二匹の子豚。麦わら帽子をかぶっている。第二章 参謀会議「状況を整理しよう」慎二が指差すと、左の子豚——通称・ポン太——がカメラを構えた。右の子豚——通称・ブー蔵——は難しい顔でカレーを眺めている。この二匹は、慎二が十五年前に闇市場で救出した元・食品会社のマスコット候補だった。以来、非公式の「捜査協力者」として活躍している。もちろん、署には内緒だ。「被害者は『ご告知カレー』の開発者、山田六蔵(68)。遺体の傍らにはこの見積書が残されていた」慎二が掲げた書類には、謎めいた数字が並んでいる。「金額……二倍?」ブー蔵が鼻をフンフン鳴らした。翻訳すると「そう、誰かが見積もりを二倍に水増しした」だ。慎二には分かる。十五年の付き合いだから。第三章 容疑者たち背後では、スーツ姿の男と黄色いワンピースの女が怪しく囁き合っている。「あの二人、さっきから測量テープで何かを測っている」ポン太がシャッターを切った。容疑者リスト: ∙ スーツの男(名前不明):不動産ブローカー疑惑 ∙ 黄帽子の女(名前不明):カレー評論家を名乗る ∙ ミニストップ(ミニチュア):アリバイ不明慎二は腕を組んだ。夏の日差しが眩しい。空には、なぜかサングラスをかけた太陽が輝いていた。「暑い……いや、待て」第四章 真相慎二は突然、見積書をひっくり返した。裏面に小さく書かれた文字——「ヤブーレタス農園 納品書」「分かった!」ブー蔵が飛び上がった。「犯人は……レタスだ!」一同が沈黙した。公園の池で、鯉が一匹、静かに水面を割った。エピローグ後日、捜査報告書にはこう記された。「被害者・山田六蔵は死んでいなかった。カレーの食べ過ぎで気絶していただけであった。見積書の二倍水増しは、彼が自分でやっていた。理由は『消費税の計算が面倒だったから』。レタスは無実。ミニストップは繁盛中。」梶原慎二は報告書を提出し、着替えを取りに忘れ物センターへ向かった。羽織の背中に、カレーのシミがついていることに、まだ気づいていなかった。ポン太とブー蔵は、今日もカメラを構えている。――了――「この夏いちばんの珍事件は、誰も死んでいないのに、なぜか全員が有罪感を持って帰宅した」おわりあの刑事がまた登場しましたね。
2026.03.02
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昨日の雪はもうすっかりなくなってる。今朝は天気も良くて道も大体乾いていた。今日は昼前から出かけて、昼ご飯を食べて帰ってきた。もう眠い。腰が痛くて肩もこってる。今日は何の日エイズ差別ゼロの日防災の日・防災用品点検の日ビキニ・デーマーチの日・行進曲の日労働組合法施行記念日豚の日デコポンの日未唯mieの日切抜の日未来郵便の日ファミリーファーストの日再石灰化の日マヨネーズの日オリジナルTシャツの日マヨサラダの日「ラブベジ」の日タイガーボードの日Chatworkの日冠元顆粒の日Pontaの日北海道のソウルフードを食べる日えいようかんの日資格チャレンジの日釜飯の日あずきの日省エネルギーの日Myハミガキの日もったいないフルーツの日三汀忌幻花忌今日は多いね。多いと大体カオスってなっちゃうんだよなぁ。カオスな宴会の真実 ~富士山麓で起きた前代未聞の事件~「今年の会社バーベキュー大会は、絶対に成功させなきゃいけない」企画担当の田中係長は、額の汗をぬぐいながら会場を見渡した。富士山を背景に、火山が遠くで煙を上げている。少し不吉な気もするが、今はそんなことを気にしている場合ではない。テーブルには焼肉、野菜、ケーキ。どこから湧いてきたのか、ビールのジョッキが山積みになっている。参加者は総勢三十名――のはずだった。問題は、誰一人として「普通の人間」ではなかったことである。まず到着したのは、ヘルメットをかぶったクマのキャラクターだ。名刺には「工事担当部長・くまきち」とある。「よろしくお願いします! 安全第一!」彼はビールを一口飲むなり、救急箱を取り出して「万が一に備えます」と言った。真面目にもほどがある。次に現れたのは、ラップトップを抱えたオレンジ色のタヌキ。ITエンジニアだという。「Wi-Fiはありますか? リモートで業務があるんですが」バーベキュー会場でリモートワーク。時代である。続いて、白衣を着たパンダが虫眼鏡を持って現れた。「研究所から来ました。このバーベキューの煙の成分を分析したい」と言って、すぐにサンプル採取を始めた。右側のテーブルでは、スーツを着た牛が書類を広げて虫眼鏡で何かを確認している。「この契約書、第三十二条に問題がありますよ」誰も頼んでいない。筋肉ムキムキのオレンジのキャラクターはサングラスをかけて人参を片手に、「俺の野菜ジュースレシピを教えてやる」と言い始め、エプロン姿の豚は「LOVE VEGGIES」と書かれたシャツを着て、ブロッコリーと人参を抱きしめながら泣いていた。「野菜は友達なんです……」食べる気はないらしい。警察の制服を着た人物がトランペットを吹き始めたかと思えば、ピンク髪の歌手がマイクを持って突然ステージを始め、空からはヘリコプターが旋回し始める。家族連れが隅のテーブルで「楽しいね〜」と笑っているのだけが、唯一の正常な光景だった。田中係長は頭を抱えた。「なんでこうなった……」企画書には確かに「多様な人材が集い、交流を深める会」と書いた。まさかここまで「多様」になるとは思っていなかった。そしてテーブルの中央には、なぜか水着姿の美女が堂々と立っていた。人参を持ちながら、涼しい顔をしている。「あの……あなたは誰ですか?」と田中係長は恐る恐る聞いた。「採用担当の山田です」と彼女は答えた。「今日のイベント、私が企画しました」「え? 企画したのは私では?」「田中さん、企画書を書いたのはあなたですが、実際に参加者の招待メールを送ったのは私です。リストを間違えて……コスプレ同好会のメーリングリストに送ってしまいました」沈黙。遠くで火山が一際大きく噴煙を上げた。「では……この人たちは全員」「はい。コスプレイヤーです。バーベキューに来たのは本当に楽しみにしていたみたいで、みんなキャラクターのまま参加してくれました」田中係長は空を見上げた。ヘリコプターがまだ旋回している。パンダが煙のサンプルを瓶に詰めている。牛が「この野菜の産地証明を確認させてください」と言っている。「……まあ、いいか」彼はビールを一口飲んだ。「多様な人材が交流を深める会、大成功だな」その翌年、同社のバーベキュー大会は「コスプレ必須」となり、参加者数は三倍になった。田中係長は「最も革新的な社内イベント企画賞」を受賞した。もちろん、山田さんの誤送信のことは、誰にも言わなかった。**了**眠い。
2026.03.01
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