2026.09.17
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カテゴリ: AI小説



今日も腰が痛くて休んでる。
でも昨日よりはよくなってる気がする。

今日は何の日

モノレール開業記念日
キュートな日・キュートナーの日
イタリア料理の日
国産なす消費拡大の日
いなりの日
減塩の日

牧水忌
鬼城忌
歯ヂカラ探究月間

タイトル『終電に餌をやる少女』

王都の冒険者ギルドには、誰も受けたがらない依頼がある。
《地下遺跡・旧モノレール駅売店の管理》
報酬は銅貨六枚。危険手当なし。来客なし。
仕事内容は、崩れかけたホームを掃き、非常灯代わりのランタンをともし、売れ残った食料を持ち帰るだけだった。
十五年前に異世界へ転生したミナにとって、「モノレール」は故郷を思い出させる数少ない言葉だった。
もっとも、森の地下深くに埋もれたそれは、彼女の知る乗り物とは似ても似つかない。
車体は錆び、窓は苔に覆われ、一本だけの軌道は巨大な木の根に呑み込まれている。先頭車両には、古代文字でこう刻まれていた。
《MONORAIL OPENING ANNIVERSARY》

なぜそんなものが地下神殿にあるのかは、誰にも分からなかった。

「今日もお客さん、来ませんね」
ミナはベンチに腰を下ろし、売り物の籠を開いた。
焼いた穀物団子、茸の包み揚げ、トマト、茄子、香草、ニンニク。冒険者向けなので、腹持ちのよい物ばかりだ。
初めのうちは退屈な仕事だった。

朝になると、籠の中のトマトが一つだけ消えているのだ。
鼠だろうと思って罠を置いた。

翌日は茄子が消えた。
その次は茸の包み揚げ。
ところがニンニクだけは、いつも手つかずで残った。
誰かが盗んでいるにしては、妙に好き嫌いがはっきりしていた。
そして食べ物が消えた翌朝には、朽ちた車体の周囲に青い光の粒が増えていた。
ミナは売上帳の余白に記録した。
《トマトを食べた日は、前照灯が一度点滅》
《茄子を食べた日は、車体が少し前へ移動》
《ニンニクは嫌い》
ギルドの受付係に見せると、ひどく同情された。
「地下勤務が長すぎたのね」
以来、ミナは〈終電に餌をやる少女〉と呼ばれるようになった。

そんなある日、聖剣使いガルドの一行が駅へやってきた。
彼らの目的は、車両に使われている星鉄だった。
「動きもしない遺物だ。剥がして武器にしたほうが役に立つ」
ガルドが剣を車体へ突き立てる。
金属板が裂けた。
その傷口から、青く光る液体がにじみ出した。
ミナは立ち上がった。
ガルドたちも黙った。
それは油ではなかった。
暗い洞窟の中で、液体は傷口を避けるように脈打っていた。
やがて車両の奥から、低い音が響いた。
警笛に似ていたが、ミナには苦しそうな鳴き声に聞こえた。
壁を覆っていた木の根が一斉に動き出す。
いや、木の根ではない。
車体の下から伸びた無数の細い管が、石壁の向こうへ続いていたのだ。
天井から石が落ち始めた。
「崩れるぞ!」
ガルドたちは出口へ走った。しかし、来たはずの通路は蠢く管に塞がれていた。
ミナは逃げなかった。
ベンチの上から籠を取り、車両の前へ置いた。
トマトを一つ転がす。
車体の下から細い管が伸び、恐る恐るトマトに触れた。
皮を破る小さな音。
青い光が、車両全体を走った。
「食べてたの、やっぱりあなたね」
ミナは茄子と穀物団子も置いた。
管は次々と食べ物を包み込み、車体の奥へ運んでいく。最後に差し出したニンニクだけは、器用に籠の外へ押し戻された。
「こんな時まで好き嫌いするの?」
返事の代わりに、扉が開いた。

内部には、苔一つない客席が並んでいた。
ミナたちが乗り込むと扉が閉まり、朽ちた車両は一本の軌道を滑り始めた。
車輪の音はしなかった。
代わりに、巨大な生き物が喉を鳴らすような振動が、床から伝わってきた。
車窓の外を、地下都市が流れていく。
崩れた塔。水没した広場。石像のように眠る車両の群れ。
どの車体からも、レールに見える細長い器官が伸びていた。
ミナは、駅の倉庫で見つけた古い路線図を広げた。
これまで路線だと思っていた線は、都市と都市を結んでいなかった。
すべての線が、地下の一点から枝分かれしていた。

やがて車両は、地底の大空洞へ入った。
そこには山ほどもある白い生物が眠っていた。
半透明の胴体から無数の長い骨が伸び、その骨の上を小さな車両たちが這っている。青い光は星のように明滅し、頭部らしき場所には、街一つを映せそうな巨大な眼が閉じていた。
ガルドが震える声で言った。
「外なる神……」
「違います」
ミナは路線図を裏返した。
裏面には、古代人が残した開業時の記録があった。
難しい部分は読めなかったが、挿絵だけは理解できた。
星から落ちてきた巨大生物。
その背から伸びる長い骨。
骨の上を移動する、小さな幼体。
古代人は幼体に餌を与え、背中に客室を取り付けたのだ。
鉄道を造ったのではない。
この生き物たちが移動する道を、鉄道として利用していた。

「この子は機械じゃない。親からはぐれて、空腹で動けなくなっていただけです」
ミナの乗った車両が、甘えるような警笛を鳴らした。
その音に反応し、空洞の巨大な生物がゆっくりと眼を開く。
ガルドたちは武器を構えた。
しかし巨大生物は彼らを襲わなかった。
長い管を一本だけ伸ばし、車両の傷口を優しく塞いだ。
それから別の管を、ミナの籠へ入れた。
残っていたニンニクをつまみ上げる。
しばらく眺めたあと、遠くへ放り投げた。
「親子だねえ」
ミナが笑うと、二匹はよく似た警笛を鳴らした。

数日後、地下駅は営業を再開した。
餌代を払えば、生きたモノレールは大陸のどこへでも客を運んだ。王都から片道三か月かかっていた港町へも、半日で着いた。
ミナは正式な駅長となり、ホームの売店では弁当と一緒に車両用の野菜も売った。
ただし、ニンニクだけは持ち込み禁止になった。

ある朝、ミナが開店準備をしていると、モノレールが大きな籠をくわえて帰ってきた。
籠の中には、青く光る卵が三つ並んでいた。
その後ろでは、石造りのホームが根を引き抜き、ゆっくり起き上がろうとしている。
ミナはようやく気づいた。
餌をやっていた車両が子供なら――長いあいだ子供を抱いていた、この駅は何なのか。

王都で二本目の路線が開業した日、最初に走り出したのは列車ではなかった。
乗客を乗せたまま、駅のほうが歩いてきた。

おわり

なんか少し面白くなった気がする。







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最終更新日  2026.09.17 18:28:29
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