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姉と妹 @ Re:ともたさんへ こんばんは。コメントいただきありがとう…
2025.09.23
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アニメ『アン・シャーリー』、今週土曜日9月27日が、最終24話の放送です!
最後まで鑑賞した後、総括しての感想はしっかり書きたいですが、今の時点で言いたいことを簡単に書き出します。

アニメ『アン・シャーリー』第23話 感想+
ロイヤル・ガードナー描写の原作『アンの愛情』との比較について


前回の記事 ​でも比較表を書き出して語りましたが、私たちは
新アニメは、原作とは異なる筋道で、説得力を持ってクライマックス『黙示録』の章にたどりつこうと、 脚本家様たちが練りに練って様々な改変を加えているのではないか と受け取っています。

23話は、原作とアニメの違いが一番顕著に見て取れる話 だと思いました。

同じ話筋をたどっているようで、全く描いているものが違っているので、新アニメの脚本家様たちが何をやっているかも本当によく見て取れて…
そうするとまた、比較して原作は何をやっているのかも改めて認識できて、…すごく面白いんです‼


*以下、全部自分たちの勝手な私見による「原作と新アニメの相違点」の話をしており、また今後のネタバレを含むため、原作未読の方はお気をつけください。*​


​​
■アニメ「アン・シャーリー」23話 ​​

22話で、ダイアナの結婚式&彼女が新しい生活に向かう姿を見送り、
その帰り際、ギルバートに 「新しい居場所を見つけるんだよ アン」 と諭されたアンちゃん。

ギルバートの隣には既に新しい恋人・クリスチンが居る状態…
23話ではギルの言葉に則る形で、 小説応募にチャレンジしたり、 新しい居場所となる? ガードナー家との交流を深めながら、 大学生活残りの1年を過ごします。
キラキラで生活感のない王子・ロイも、家族/家が描写され地に足が付いた存在に見え始めつつ… 上流階級の人々との交流の中で、アンちゃんが背伸びして立ち振る舞う・取り繕う姿を絶妙に描写しています。

そして迎える、ロイからのプロポーズ。
「Yesと言うんだ」とアンちゃんは自分に言い聞かせながらその時を迎えますが、
本当の本当に決断を迫られたその時に「出来ない」と悟り…断ってしまいます。

20話ではロイとキスシーン及び「恋人同士になる」と言い交わすシーンもあり、
きちんと「理想から入る恋愛」をして、相手やその背景にも向き合ったうえで、 最終的に「この人の世界」に飛び込んで生きていくことは出来ないことが分かる…

大なり小なり誰もが一度は体験する苦い体験…
「自分を知る瞬間」が丁寧に繊細に描かれていて、とても見ごたえがありました!

​​​23話の面白さは、本当にまるまる本作の脚本家様たちの手腕だと思います。​ ​​


…なぜなら、原作『アンの愛情』には、キスシーン&しっかり恋人同士だと確認し合うシーンがないばかりか、 ロイというキャラクター自体、描写やセリフがほとんど登場しません。

ギルバートの「新しい居場所を見つけるんだよ アン」という言葉からして存在せず、
「新しい居場所に無理して向かおうとするアンちゃん」
​「ロイ&その家族たちと真摯に向き合うアンちゃん」など、 まったく描かれていないから です。​



■改変箇所、原作における描写について
​​

今回、なんで脚本家様たちが力を入れて「ロイの描写&アンちゃんの意識筋」を大きく変えて盛ってきたのかは、すごく分かるんです。

​原作のアンちゃんの意識筋が、あまりにもおかしい  からだと思います。
アンちゃんは、ロイを極論「人間だと認識してない」くらい…彼の気持ちとか考えない。
相手方の親&姉妹まで出て来て、はっきりと結婚がちらついているのに、
全然自身にとっての重大事として向き合わず、結婚後の未来について微塵も思い浮かべない。

ロイからのプロポーズ直前まで「理想のプロポーズをしてもらえれば、私は『イエス』って言うんだろうな」とか軽く考えてるのに、いざその場が来た瞬間に「無理無理無理無理!×100」ってなって、
「結婚できない。好きだと思ってたけど、そうじゃないことが今分かった!」 とあまりにもひどい非人道的な振り方をした挙句、
アンちゃん自身はその後すぐに 「あ~すっきりした!素敵なオールド・ミスの道を歩むぞ♪」 と、晴れやかにアヴォンリーに帰って来る…

​…おかしいんですよ。このくだり。​
だってアンちゃん、普段はこんな娘じゃないですもん。
もっとちゃんと、周囲の人たち皆を肯定的に捉える力があって、もちろん、他の人の気持ちもちゃんと考えられる娘なので。

今回の新アニメでは、脚本家様たちが、
​原作のこの「おかしい・不自然に感じるアンちゃんの意識筋」を極力丁寧に詰めて、改変して、 きちんと 「理想的な恋愛をしてみたけれど、未来にはつながらなかった」筋 として​ 頑張って作りこんで来てる…
本当に真摯な作りで、感動しています。


…でも、じゃあ そもそもなんで原作はこんなおかしな書き方になってるのか? という話なんですが、​
​答えは簡単で、 『アンちゃんのおかしさ』を一番顕著に表現する為のシーンだから​ だと思っています。​

​『アンの愛情』の本筋はトラウマ軸だ!​ という私見は ​ 『アンの愛情』感想記事 ​ でもさんざん語ってきましたが…
要は、 アンちゃん本人は無自覚だけど、深層でものすごく「結婚」を怖がってる。
理想の「恋愛~求婚」は思い描くけど、思考回路がその先・当たり前にあるはずの「結婚~人生」まで絶対行き着かない。その手前でシャットダウンしちゃう。

(結婚というか… 一番怖いのは極論「出産」だよね 、と妹と話してまして…
両親の顛末は、詳細までは明言はされてないけど、おそらく母親が、アンちゃん出産後3カ月…体力が回復し切らない段階で熱病で重症化してしまい、必死に看病してた父親も道連れのような形で2人とも亡くなったんだよね…コレ。
出産と両親の悲劇との因果関係ははっきりとは言えないにしても、そうなんだろうな…と想像はしてしまいます。)

自分自身の出産にまつわる両親の悲劇を抱え、自身も生後3カ月で身寄りも何もないところに放り出され、引き取り先においても一家離散を何度も目の当たりにしてきたアンちゃん…
​「この娘には、『結婚・出産』に対して根深く巨大なトラウマがあるよ」​ って…
可哀そうだけど、しっくりくる話だと思うんですよ。


ロイや家族、その先に本来は当然思い描くべき結婚のビジョンがあるのですが、それらをあまりにも捉えられないアンちゃん。
おそらく「お金持ちの一族に加わると、どんな暮らしになるのかな」という想像すらしなかったのではないかな、と思います。

「鈍いとか、幼い恋愛観とか、ひどい女とかいうレベルではなくて、
この娘のこの部分(結婚)に対する思考回路、『病気』でしょ⁉
って言いたいのが、モンゴメリさんが書いた原作筋:ロイ・ガードナーのくだりのニュアンスが表現してるものだと思っています。

アンちゃんの認知の歪みを表現するためのエピソードなので、 「ロイとか、新アニメでは本当に『へのへのもへじ』で表現してくるんじゃないか?」 と…
アニメが始まった当初は、私と妹内では本気で話していました。



​■表向きの話筋と本筋「トラウマ軸」​

幼い「空想上のロマンス」を経て、「真実の愛」を見出すまでの物語。 ​​
…原作中で明言された言葉だけを拾って、アンの愛情のあらすじを語ろうと思うとこうなると思いますが、私たちはこれを 「表向きの話筋」 、モンゴメリさんが書いている原作の 本筋は「トラウマ軸」 だと認識しています。

(だってアンちゃんは「空想好きな子」ではあるけど、それはつらい現実世界でだって楽しく日々を過ごしていくために幼少期から培った逃避方法であって…決して「夢と理想を追い求めるあまり、目の前にある大事なものを見失う」なんて娘ではなかったので。)

モンゴメリさんの他の作品においても、トラウマ&越えられない心理的ハードルはテーマとして頻繁に登場しますし、作りこんである本筋をあえて隠し、別の視点からの筋を描きながら匂わせていく…という手法もよく使われています。

「アンの愛情」(1915年)は、シリーズ2作目「アンの青春」(1909年)から6年間もの間、熱烈なファンを待たせに待たせて繰り出した、 皆さんお待たせしました!という超渾身のラブストーリー作品 だと思います。
アンちゃんが人生の主軸を何に据えて生きていくかを決定づける重要作 です。

歯に衣着せぬ言い方をすれば、
幼い「空想上のロマンス」を経て、「真実の愛」を見出すまでの物語。
…だけの筋道をたどるような、
そんな… 誰も読みたくないような 馬鹿みたいなテーマの作品を、 心情構成の神・モンゴメリさんがわざわざここで出してくるわけないよね‼⁉
…と思います。

​…思ってました。​

だから今回の アニメ『アン・シャーリー』が、
本当に真摯に、表向きの話筋を繊細に詰めて描いて来て…​

ロイに真摯に向き合うアンちゃんとか、最終回直前の23話まるまるかけて描写されて、​びっくりして 「…おぉおおうっっ!!」 と変な声が出ました。​

​​ …それがちゃんとラブストーリーとして魅力的なんですよ!! ​​

もともと、本作のコミカライズのキャッチコピーに 「​ あの「赤毛のアン」が”恋”をして”愛”を知る、青春時代を描くー と書いてあったので、​ きっとアニメ本編も、アンの愛情パートは表向きの話筋の方をメインで描いてくるんだろうな 、とは思っていました。

想像してた通りのはずなのに、まさかここまで頑張って、 魅力的に見える形まで作り込んで出してくるとは想像していませんでした。
​​
…なんっっって 原作と逆張りのところを渾身で描写して来るアニメなんだ!
だが、これもこれですごく面白い!!!




妹がノリノリで描いたロイ・ガードナーのイラストです。
妹はロイの話をするとき&絵を描くとき、必ず馬モチーフ/馬アイコンをつけて来ます。
※刮目!『当て馬』の元祖がここに居るぞ!という主張

23話を鑑賞して、 「へのへのもへじで描写するのも妥当なキャラクター」とか思ってて悪かったな と、心から思いました。

…まぁ、何がどうあっても、原作と違ってアニメのアンちゃんがどれだけ真摯に向き合おうとも、
​最終的に当て馬であることに変わりはないんですけども。​



​■クライマックスに向けて
​​

アニメ『アン・シャーリー』、土曜日の24話はいよいよ最終回です。


原作の一番面白い所は…「アンちゃんのトラウマ軸が本筋」とかいろいろ書いて来ましたが、
​最終的に、​ 「アンちゃんと結婚できない=アンちゃんを自分が幸せに出来ない」 故に​ 目指すべきビジョンを見失い、心労&勉強へ打ち込み過ぎでバランスを崩し、 感染症に罹患し 「死ぬ」をガチで実践してくる…​
​​脅威の執念系ラブファイター・ギルバート氏が全部持っていくところ。​​

原作のアンちゃんは、ギルバートがちゃんと他の素敵な女性と婚約するまで見届けて(誤認)、自身は予定通り優秀な成績で大学卒業&ロイとも破談して、これからキャリアウーマンとして生きていく…
彼女自身が向かうべき道にちゃんと進んでたんですよ。

そのアンちゃんが… ​もうショック過ぎて…​
ここまで暗に描写してきた彼女の出生にまつわるトラウマとか、こだわりとか、自我とか、プライドとか…何もかもが
​​ 全部パーンッって爆発四散する、 強烈なクライマックスシーン ​『黙示録』​ 。​​

「トラウマを乗り越える」というより、 「トラウマが爆発四散して消えてなくなる」 とか、
「それどころではない、新たなトラウマによって強烈に上書きされる」 とか、そういった類のシーンですね。これはね。

​アンちゃんが、ギルバートに自我の強さで完全敗北する瞬間​ というか、 …毒をもって毒を制す。
本当に、あの壮絶なバックボーンを抱えるアンちゃんより、
​​​ なんでお前の方が病気(重症)なんだ、ギルバート‼⁉
…だが、分かる。​ 帝王だから、仕方ないよな。


アニメの方は、23話までで本当に丁寧にギルバートのいじらしさを描写してて、
アンちゃんも普通にもうギルバートのこと好きだよね? と分かる描き方になってて、彼女が既に後悔しているので…
黙示録~真実の愛の気づき~ハッピーエンディングの流れは、 より素直な話筋に見えるのではないかな、 と想像しています。


いや~…原作との相違点をあれこれ考えるのも含めて、アニメ『アン・シャーリー』、本当に楽しく鑑賞させていただいてます。
​​​… 最終回、しっかり見届けさせていただこうと思います!

by姉、イラストby妹




アニメ『アン・シャーリー』2025年 感想リンク

TVアニメ「アン・シャーリー」待機中!
第1話感想・ふたりのアン・シャーリー
第2話・第3話&OP/ED感想
第4話・第5話・第6話感想まとめ
第7話・第8話・第9話感想+アン&ギルバートイラスト
第10話 感想+イラスト
第11話・第12話・第13話 感想+カスバート家子供たちイラスト
第14話・第15話・第16話・第17話 感想
第18話・第19話・第20話 感想+ルビー・ギリス イラスト
第21話・第22話 感想+原作との相違点について(予想)
第23話 感想+ロイヤル・ガードナー描写について
最終回・第24話 感想+アン&ギルバート before&afterイラスト​
総括:アニメ『アン・シャーリー』と原作『アンの愛情』との相違点について





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最終更新日  2025.10.14 06:18:51
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