P-Blog アイデア&インプレッション

2003.11.13
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カテゴリ: 食べものネタ
最近、都内の立ち食いうどんの店で「めんつゆ」を「関西風」にできる店が増えている事をご存知だろうか。関西人の私にとっては、かつて「東京のうどんは、麺がすぐ黒くなるような「めんつゆ」だから、食えたもんやない」なんて思っていた。しかし、東京に住んでみて、関東のうどんのつゆも、関西でバカにしていた程まずくはない。いや、これは、これで美味しいのである。

まず、関東と関西のうどんのつゆの違いだが、一般的に、 関西のうどんは薄口醤油の薄いつゆで(こんぶだし)、関東は濃いつゆのかつお醤油味といわれている。

まず醤油に注目した。
そこで「たべもの語源辞典」(清水桂一編:東京堂出版)のページをめくった。
醤油は、1234年に和歌山県の湯浅で、味噌をつくるときに出てくるときに出てきた液が沈殿したものを、食べ物を煮るときに使うと美味しくなる事が発見され、醤油が発明されたそうだ。
1587年に播州・竜野で醤油を作り始めこれが、今の ヒガシマル醤油 で、これが煮物に色がつかないという美観の理由で関西で人気が出た。そう、醤油の大量生産のルーツは播州竜野にあったのだ。
江戸時代の初期の江戸では、関西から醤油を船で運んできて「下り醤油」として主に用いられていた。そして、1640年に江戸川開削工事が完成して、野田から1隻の高瀬舟で1000樽、しかも丸一日で江戸まで醤油が運べるようになってから、大坂から来る醤油が激減し、幕末には年間数百樽になってしまった。


さて、なぜ、竜野と野田との醤油の味が違うかについてだが、生産立地の問題があると思う。
これも、「たべもの語源辞典」によると。
日本は、湿度が高いので、塩を固形のまま運搬することが難しかったために、食料品とあわせたかたちで保存した。
これが、醤油の「醤」というものである。これは、様々な形態があり、それぞれ、いまの料理や食材の原型となった。
・草醤→漬物に進化
・魚醤→肉醤、塩辛に進化
・穀醤→味噌
#醤油の「醤」の語源は「塩」というより、「醤」から「しお」という言葉が出来たのかもしれない。
つまり、醤油はもともと塩を保存するものなのだ。
醤油発祥の地、紀州の湯浅にしろ、最初の醤油の量産地、播州竜野は、ともに海から遠く離れておらず。特に竜野は、播州赤穂とほど近く、塩の生産地と近かった、そのため塩分が高い醤油を作る事が可能だった。
しかし、関東の醤油の生産地である野田は、内陸部で、海から遠いために、塩をあまり使えなかったのであろう。これが、塩分の少なさに影響している。そして、塩分の少なさを補うために、塩分以外の部分を濃いくした可能性もある。

それは、銚子で醤油が作られていることである。野田から東へ行った、銚子でも醤油の生産が行われるのは、海に近い銚子を生産拠点にし、野田の醤油の欠点を補おうとしたものだと考えられる。
銚子で作った醤油も、一度、野田で舟に積み替えることで、江戸⇔野田という既に確立された流通を使い、江戸に醤油を供給できる。
野田から届く醤油は、塩分の濃い、薄いの2つの味を持てた事になる。これは、野田から江戸に醤油を運ぶ流通として、大きな武器となったと考えられる。
これが、関西からくる醤油を根絶やしにしたものと考えられる。
しかし、なぜ、塩の面では不利な野田が銚子に醤油の生産を追い抜かれなかったかだ。野田は、利根川、江戸川の二つの川が近いため、各地より、大豆が集積されやすいのである。しかも、運びにくいとはいえ、利根川や江戸川を上ってくる。つまり、材料が集まりやすいからこそ、醤油の生産に適していたと考えられる。


あと、東西のうどんのつゆの違いだが、もう一つ原因があると思う。
それは「かけうどん」という食べ方の生まれた時期の問題である。
いまの、かけうどん、かけそば、という形になったのは、江戸時代以降だそうだ。
それまで、うどんやそばは、いわゆる「もり」のスタイルだったそうな。(うどんは煮込みうどんのスタイルは古くからある)
それが、屋台文化によって「かけ」というスタイルが生まれたそうな。
東西で「かけ」うどんが流行り出した頃には、既に東西で醤油の流通が途絶えていた。だから、とうぜん出汁の味も分化し、それぞれに発達した。

余談だが、「もり」そばのめんつゆの味が、関東・関西とで「かけ」のめんつゆに比べ味の差が少ない。それは、蕎麦の老舗である「砂場」という蕎麦屋は、もともと大坂の蕎麦屋で、江戸の町の建設のときに江戸に出てきた。しかし、店の味が伝えられたため、その味が基準になったものだと考えられる。
醤油だけで、かなりの分量になったので、今度は「出汁」の話しを、またいつか書きたい。

さて、関東でも関西風のつゆが選べるようになった、立ち食いうどんのつゆだが、まだ関西風のつゆの作り方に慣れていないせいか、いまひとつである。やはりこなれるまでには少し時間がかかると思う。
関東と関西の味の違いは、もう何百年もかけて作られたものなので、すぐには、関西の味を作ることは難しいであろう。
かといって、関東のうどんつゆも美味しいので、それはそれで、きっちりと残してほしい。そうすると、うどんだけで、2倍楽しく食べられる。これは、実に楽しい。


★参考文献★

たべもの語源辞典

著者:清水桂一|出版社:東京堂出版|発行年月:1980年 07月 |ISBN:4490101287|本体価格:2,800円






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最終更新日  2004.08.12 11:39:39
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