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《この人たち〔=脱国家的なエリート的プレイヤー〕は、アメリカ国内で、よく見れば恣意(しい)的なことを、「それがアメリカのためだ」と情報的に動員することによって、生き残ってきた人たちですから、まして日本を相手に同じように「それが日本のためだ」と情報的に動員して活動することなど、お茶の子さいさいです。それがまさに日米構造協議で起きたことでした。たとえば「大規模店舗規制法を緩和ないし撤廃して、アメリカの大資本が入れるようにしなさい、それが日本の消費者のためになるからです」とアメリカは言ったわけですね》(神保哲生・宮台真司他『天皇と日本のナショナリズム』(春秋社)、p. 248)
が、「日米構造協議」はこんな子供騙しのような話ではない。
《「日米構造協議」は、日本の閉鎖的な経済構造を改革するというもので、この元の英語は何かというと、「 Structural Impediments Initiative : SII 」と呼ばれるものです。 Structural =構造的な、 Impediments =障害についての、 Initiative =イニシアティブ、です。
ですから、アメリカの意図ははっきりとしている。日本国内の構造的な障害に関してアメリカ政府がイニシアティブをとって変えてゆくといっている。アメリカがイニシアティブをとり、次に日本政府がそれを受けて構造を変えてゆく、というのです》(佐伯啓思『従属国家論 日米戦後史の欺瞞』(PHP新書)、 pp. 156f )
対日貿易赤字の原因は、日本側の障壁にあると難癖を付け、経済構造を米国が利する形に変えるために設(もう)けられた、対日圧力の公開儀式が「日米構造協議」の正体である。
《イニシアティブという語は先陣を切るというような意味もあり、アメリカではよく使われる言葉ですが、この場合には明らかにアメリカが先頭に立って、積極的に日本の経済構造を変える、という。
それを日本側は「日米構造協議」と訳した。「日米構造協議」だったら両方の代表が、相互に論議してお互いの問題を出し合い、調整する、ということです。お互い対等な立場でやっているように見せているのです。
でも実際はそうじゃない。アメリカ側から見れば、はっきりと、アメリカ主導によって日本の構造的障害を取り除くといっているのです。
全体の構図はアメリカが決めている。その中に日本はすっぽりと入ってしまっている。にもかかわらず、日本の中では、日米の対等な交渉であり、協議だということになっている。こういう非対称的な二重構造になっているのです》(同、 p. 157 )
この場合の initiative は、「〔問題を解決するための〕構想」といったことだろうと思われるけれども、少なくとも「協議」と訳すのは限りなく誤訳に近いと言わざるを得ない。第2次大戦の戦勝国たる「連合国」( United Nations )を「国連」と訳し、日本国民を欺(あざむ)いているのと同じである。
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