inti-solのブログ

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2012.04.05
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
イラン攻撃、年内はない?=米国の懸念が背景に-イスラエル

ハーレツ紙も3月29日、イスラエルが12年中のイラン攻撃を断念したとする分析を掲載。オバマ米大統領が再選を目指す11月の大統領選挙前に、米国の同意なしにイラン攻撃に踏み切ることはないと指摘した。
米軍のシミュレーションでは、イスラエルがイランを攻撃すれば、ペルシャ湾に展開する米艦艇がイランの報復攻撃を受ける可能性があると指摘されており、米国内でイラン攻撃への懸念が高まっている。イスラエルの安全保障にとって米国の軍事支援は不可欠で、意向を無視できないのが現状だ。

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純軍事的に見て、イスラエルがイランの各施設を攻撃できるかどうかは、微妙です。イスラエルとイランは国境を接していません。ヨルダン・レバノン・シリア・イラク・トルコ・サウジアラビアのいずれかの国(場合によっては複数)の上空を飛行しなければなりません。しかも、距離から見て空中給油が必須です。
報道によると、イスラエルはイラン攻撃用に旧ソ連のアゼルバイジャンの空軍基地の使用許可を取ったとのことです。アゼルバイジャンからはイランは近いのですが、これはある種のフェイントじゃないかって気がするのです。あるいは攻撃後の帰投先に使うかも知れませんが、往路はイスラエルから直接攻撃を検討するんじゃないかな。
なぜかというと、アゼルバイジャンから攻撃しようとすれば、そのためにまずは航空部隊をアゼルバイジャンに移動しなければならないからです。イスラエルとアゼルバイジャンもまた、直接国境を接してはいません。イスラエルからアゼルバイジャンまで飛行するには、攻撃対象である当のイランか、近年急激にイスラエルとの関係の悪化しているトルコのいずれかの上空を飛ぶ必要があります。どちらにしても、通過すればその事実の発覚は避けられません。その時点で「これからイランを攻撃します」と宣言したに等しいのですから、奇襲ができなくなります。
このような作戦は奇襲でなければとうてい不可能だろうと思うのです。

では、イスラエルから直接出撃した場合はどうなのでしょう。第三国の上空で空中給油する時点で、やっばり事前に発覚する可能性があります。空中給油機は大型で鈍重だから、戦闘機や戦闘攻撃機に比べてずっと発見される可能性が高そうです。そんなこんなを考えると、イスラエルからの直接攻撃でも、失敗の可能性が高そうです。
しかも、イランの空軍力はそれなりのものがあります。米海軍で引退したF14戦闘機が未だ現役で、どれだけの機数が稼働状態かは分かりませんが、少なくとも10機くらいは動くようです。これは、イスラエルの戦闘機にとっても脅威でしょう。戦闘機としての能力もさることながら、強力なレーダーを早期警戒機の代わりに使うこともできます(イラン・イラク戦争ではそのような運用がされていた)。

30年前に、イスラエルはイラクの建設中の原発を空爆するという挙に出たことがあります。しかし、イラクはイランよりイスラエルに近く、空中給油は必要ありませんでした。イランに対する空爆はそれよりはるかに難易度が高い。
加えて、1981年当時のイラクは、イスラエルに報復攻撃を行う能力はありませんでした(湾岸戦争でイスラエルに打ち込まれた「アル・フセイン」ミサイルは1988年の登場で、1981年当時イラクが保有していたスカッドミサイルはイスラエルまでは射程が届かない)が、現在のイランは弾道ミサイルを持っているため、報復攻撃能力があります。


それにしても、私はイランの核兵器保有には懸念をもってはいますけど、イスラエル自身は核兵器を保有していて、どの口でイランの核開発を非難できるんでしょうか。
いずれにしても、イスラエルがイランの空爆に走ってしまえば(成功しても失敗しても)中東情勢はきわめて危険なことになってしまうでしょう。そんな事態だけはなんとしても避けて欲しいものです。





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最終更新日  2012.04.06 00:22:14
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