inti-solのブログ

inti-solのブログ

PR

カレンダー

コメント新着

じゅら♪@ Re:2024年6月の鳥 その1(06/16) New! 上のコメントでうっかり「お名前」のとこ…
inti-sol @ Re[1]:年金は逃げていく(06/12) New! nordhausenさん どうせ65歳で年金なんか…
inti-sol @ Re[1]:民主主義の劣化(06/18) New! アンドリュー・バルトフェルドさん おっ…
nordhausen@ Re:年金は逃げていく(06/12) New! >年金支給開始の繰り下げ こういう提案…
アンドリュー・バルトフェルド@ Re:民主主義の劣化(06/18) 供託金が高額になったのは、無料(多分で…
2018.12.29
XML
テーマ: ニュース(99394)
カテゴリ: 対中・対韓関係
渋る防衛省、安倍首相が押し切る=日韓対立泥沼化も―映像公開


防衛省は当初、映像公開について「韓国がさらに反発するだけだ」(幹部)との見方が強く、岩屋毅防衛相も否定的だった。複数の政府関係者によると、方針転換は27日、首相の「鶴の一声」で急きょ決まった。
韓国政府は11月、日韓合意に基づく元慰安婦支援財団の解散を決定。元徴用工訴訟をめぐり日本企業への賠償判決も相次ぎ、首相は「韓国に対し相当頭にきていた」(自民党関係者)という。
そこに加わったのが危険な火器管制レーダーの照射。海自機への照射を否定する韓国の姿勢に、首相の不満が爆発したもようだ。(以下略)

---

政権担当者が感情で対外政策を決めるほど恐ろしいことはありません。首相自身がネトウヨである上に、ネトウヨを支持母体にする政権だから、反韓を煽ることで支持率向上みたいな内向きの論理だけで対外政策を定めることは、百害あって一利なしですが、そのような自制は安倍政権にはないのでしょう。もっとも、韓国側についても同じようなことはいえるかもしれませんが。

公開された「証拠映像」自体も、それだけで火器管制レーダー照射の決定的証拠とは言えないようです。が、状況証拠を総合して考えれば、火器管制レーダーが照射されたのは事実だろうとは思います。
しかし、果たして火器管制レーダーの照射が、どこまで「危険な行為」と言えるのか、という点は大いに疑問ありです。
確かに、火器管制レーダーの照射(いわゆるロックオン)は、電波誘導兵器やレーダー照準射撃のための必要な作業のひとつですから、挑発的ではあります。が、火器管制レーダー自体に殺傷力があるわけではありません。それはあくまでも、武器使用の準備段階に過ぎません。しかも、武器使用に必須というわけですらありません。艦砲を目視照準で発射するなら、火器管制レーダーは不要ですから。いくら火器管制レーダーを照射しても、砲口を目標に向けるか、ミサイル発射機の扉を開かない限り、武器は使用できません。そして、今回の件で韓国の駆逐艦は砲口を自衛隊機に向けたり、ミサイル発射機の扉を開いたりはしていないことは明白です。

以前、中国の艦艇からの火器管制レーダーの照射という「事件」が起きたことがあります。

ロックオンされたら攻撃せよ?

このときも指摘したことですが、冷戦時代には米ソ両国が、互いに相手の航空機や艦艇に対して、火器管制レーダーを照射する例が多々あったことは公然の秘密です。その巻き添えで、自衛隊機が旧ソ連の艦艇から火器管制レーダーを照射される、のみならず砲口を向けられる事態すらありました。
それどころか、「同盟国」であるはずの米海軍に至っては、日本の船舶に向けて発砲することすらありました。照準をずらして、「当たらないように」発射するのです。商船や漁船に向かって砲撃している間は、日本政府は米国に対して一切抗議せず、公表もしていません。しかし、1988年11月9日、東京湾で海上保安庁の巡視船「うらが」が米海軍駆逐艦「タワーズ」に砲撃される事件が起きるに至って、さすがに日本政府は米国に抗議し、それ以降はこのような事態はなくなったようです。このとき、米韓は距離約7000mで撃って、もっとも近い着弾は「うらが」からわずか300mだったそうです。。

砲口を相手に向けるのはきわめて危険な行為です。まして、(照準をずらしにせよ)実際に砲撃を行うのは論外です。が、火器管制レーダーを照射するだけの行為が、果たしてどこまで危険なのかは疑問です。火器管制レーダーを互いに照射しあったと言われる米ソは、そのことについて相手の行動を公表したり、公式に非難したことはありません。黙ってやりあっただけです。日本も、砲撃されても(海保の巡視船が標的にされるまでは)だんまりを決め込んでいたことは論外にしても、旧ソ連の艦艇から火器管制レーダーを照射されても、砲口を向けられても、それを公表はしなかったのです。



それ以外に火器管制レーダーの照射なんて事例が世界的に皆無なのでしょうか。米ソが互いにやり合っているのに、それ以外の軍隊がそういうことを一切やっていない、なんてことがあるはずがないのです。それを公表して非難する国がないということは、火器管制レーダーの照射が、日本以外の国では重大な問題とは捉えられていない、ということを意味しているのではないでしょうか?

自衛隊には、世界の軍隊の標準とは異なったしきたりが多数あります。有名なのは射撃訓練の際、使用済の空薬莢を絶対になくしてはいけない、というしきたり。これは、自衛隊のというより旧軍以来の伝統ですが。一方米軍は空薬莢など放置しっ放しであり、在日米軍が日本国内の演習場で訓練を行う場合も同様です。
あるいは、自衛隊においては、実弾の入った弾倉は、本当に射撃をする直前にしか装填しないようです。イラクのサマワ近郊で起こった武装勢力との対峙の際、小銃の引き金に指をかけるくらい緊迫していたにも関わらす、報告書には弾薬の装てんはしなかったとあります。普通は、鉄砲は弾を込めてから引き金に指をかけるはずですが(日本でも警察の持つ拳銃には常時実弾が装填されている)、自衛隊においては実弾は引き金に指をかけてから装填するもののようです。絶対に事故が起こらないためでしょう。

これらの例から想像するに、火器管制レーダーの照射は(本当に実弾を発射するとき以外)絶対にやってはいけない、というのも、自衛隊だけの独自ルールなのではないか、という気がします。
この推測を裏付けるように、かの 田母神俊雄元航空幕僚長がこんな発言をしています

今回の韓国の火器管制レーダーの電波照射について今以上に詳しく話すと自衛隊や日本政府に迷惑をかけることになるかもしれないのでこれ以上は言わない。今回ぐらいのことは世界中の軍が日常的にやっていることであり、電波照射をしてもミサイルが直ちに飛んでいかないような安全装置もかけられている。

田母神は元々地対空ミサイル部隊の指揮官ですから、この分野は彼の専門中の専門でしょう。ネトウヨの親玉である田母神の主張を支持するものではありませんが、彼に韓国を擁護する動機も必然性もあるわけがい。したがって、この発言は事実なのでしょう。とすれば、火器管制レーダーの照射は、挑発的ではあるにしても、そんなに青筋を立てて怒るほど重大な問題ではないのではないかと思います。もちろん、自衛隊が「世界標準」よりも武器の使用や挑発的行動について抑制的であることは望ましいことです。しかし、他国の軍隊が「自衛隊基準」では行動してくれないのは、仕方がないことではないか、と思います。それを要求するなら、ものの順番として、公海上よりもまず、日本の領土領空領海内でそれを要求すべきでしょう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2018.12.29 22:40:34
コメント(6) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: