inti-solのブログ

inti-solのブログ

2023.10.31
XML
テーマ: ニュース(96596)
カテゴリ: 戦争と平和
「おもちゃ」で破られたハイテク神話 復讐心高めた抑止力論


2015年春、ガザでハマスの司令官にドローンの利用について聞いた。エジプトに通じる秘密トンネルを使い、イランで売られている小型ドローンやその部品を持ち込んでいるという。
「おもちゃレベルのドローンだが、カメラや爆弾を載せれば十分、偵察や攻撃に使える」。司令官はそう語った。イスラエル軍は当時から、ハマスのそんな試みを認識していたが、「おもちゃ同然」と一笑に付していた。~
そんなイスラエルも、かつては「おもちゃ」で強者の虚を突いたこちがあった。それはイスラエル軍情報担当幹部が米国出張で土産に買った無線操縦機だ。1967年春、エジプトやヨルダンとの緊張が高まる中~改造してカメラを装着し~イスラエル初のドローン探勝秘話である。~
16年春、紛争心理学が専門のテルアビブ大ダニエル・バルタル氏に聞いた。
「イスラエルのユダヤ人は敵対的な人々に囲まれている、という被害者意識を持っている。パレスチナはアラブ諸国の大軍の一部で、小さいとも弱いとも思っていない。自分たちこそがアラブの憎悪の海に浮かぶ孤島だと感じている。」この強い危機感ともいえる感覚は、ホロコーストをはじめ脈々と続て生きた差別の中で「血となり肉となってきた」ものだという。~
イスラエルはテロ組織は意思と実行能力に基づき行動すると考える。ハマスが打倒イスラエルの意思を失うことはないだろうから、テロ実行能力をそぐことで抑止力につなげるのだという。
だが、こうした抑止力論は効果が実証しにくい。
イスラエルで英雄と称えられる軍人イスラエル・タル氏は、抑止手段を使いすぎると敵は屈辱感を強め、復讐心を高め、むしろその軍事能力を高める結果になると指摘。抑止力論は対中国をにらんで沖縄の基地存続の根拠などにも使われるが実証は難しく、その意味ではむしろ「抑止力物語」であり、あいまいな言説にすぎない。(要旨)

---

元記事は、ネット上では有料記事で、登録しないと冒頭部分しか読めませんが、私は紙の新聞で毎日新聞を取っています。かなりの分量の記事なので、一部のみを転記しています。
ユダヤ人が、歴史的に激しい差別と迫害を受け続けてきたことは、歴然たる事実です。その結果、現在のイスラエルの地(2000年前の故郷)を安住の地と考えたこと自体は、やむを得ない側面はあったでしょう。イギリスの二枚舌外交に問題はありましたが、「自分たちの国を持ちたい」というユダヤ人の思いを全面否定はできませんし、その土地がイスラエル以外にには考えにくいことも確かです。
それ以前からイスラエルには少数のユダヤ人が住んでいたし、アラブ人との間で多少の対立や紛争はあったにしろ、何とか両者は共存してきたわけです。しかし、その危うい共存関係はイスラエルの独立と同時に崩れます。
イスラエル独立と同時に勃発した第一次中東戦争においては、イスラエルは明らかに弱い立場にありました。経緯はあるにせよ、アラブ側がイスラエルに対して仕掛けた戦争だし、イスラエルはこの当時は極めて貧弱な武器しか持っていませんでした。しかし、アウシュビッツの虐殺からたいした年月も経っていないこの当時、「負ければ再び民族ごと抹殺が」という恐怖心もあり、イスラエル軍の戦意と戦闘力は凄まじく高く、アラブ側を撃退して多くの土地を占領します。

ここまでの段階であれば、イスラエルは明らかに弱い立場であり、パレスチナに対する弾圧者として指弾されることもなかったでしょう。
しかし、悲しいかな人間は得てして「潮時」というものを見誤ります。勝って一挙に強国となったイスラエルは、このあと第二次第三次中東戦争で、今度は強力な武装を整えて、イスラエル側から攻め込む形でアラブ側に戦争を仕掛け、一方的勝利を重ねます。
が、勝っても勝ってもイスラエルの安全は確保できませんでした。アラブ側が、一方的に負けたままでの幕引きをよしとしなかったからです。敗戦を重ねてもアラブ側は戦意を失わず、第四次中東戦争でイスラエルを攻撃します。そして、4度の戦いの中で初めてアラブ側がイスラエル軍を圧倒しました。最終的にはイスラエルが逆転勝利したものの、一時はイスラエル軍は壊滅寸前の状態に追い込まれました。
アラブ側がイスラエルと互角以上に戦った第四次中東戦争以降、エジプトが親米路線に転換してイスラエルと和解したこともあって、イスラエル対アラブ諸国の戦争は以降起こっていません。

もっとも、エジプトの路線変更を主導したサダト大統領は後にイスラム原理主義の軍人に暗殺されましたが。

こうして国家間の戦争としての中東戦争は終わりましたが、パレスチナを占領し続けるイスラエルとパレスチナ人の軋轢は終わりません。
それでも、一度は両者の和解の可能性が開かれました。1993年のオスロ合意です。しかし、一方の当事者であるイスラエルのラビン首相は極右派のユダヤ人に暗殺され、パレスチナ側でも和解を主導した、アラファト率いるPLO主流派のファアタハの勢力は次第に減衰し、ガザ地区では強硬派のハマスが実権を握る状況となっています。

今回ハマスが行ったテロは言語道断にしても、何もないのにいきなりハマスが言語道断の蛮行を引き起こしたわけではありません。直近では2014年にイスラエル軍はガザに侵攻していますし、それ以前にも何度も侵攻しています。また、ヨルダン川西岸でパレスチナ人を追い払ってのユダヤ人入植地拡大、それに付随してパレスチナ人に対するいわれなき暴力や殺人も続いてきました。
一連の紛争をハマスのテロを起点にそれ以前を無視して考えれば、ハマスが一方的全面的に悪く、イスラエルは純然たる被害者でありハマスへの反撃は正当な自衛権の行使ということになります。しかし、それ以前からの経緯を考えれば、それでもハマスのやっとことは正当化できませんが、イスラエルのやってきたことを正当化することも、到底不可能なのです。

今回のテロでも、イスラエル側の受けた人的被害は空前の人数と言われますが、報復によってパレスチナ側で失われた人命は、すでにイスラエル側を越えています。
目には目を、歯には歯を、というのはハムラビ法典の罰則ですが、イスラエルの場合はもっとすごく、1人殺されたら3人殺す、みたいな3倍返しの法則で報復を行っています。それがイスラエルの考える安全保障策なのでしょうが、現実を見ればパレスチナ側は3倍返しを恐れて矛を収めることはありません。まさしく引用記事が指摘するイスラエル・タル少将(イスラエルの主力戦車メルガバの開発責任者)の言葉どおり、復讐心を高めて脅威を増す状態がずっと続いてきたわけです。そのことに気付いている人は。イスラエルの中にもいる、ということです。
それでもなお、そのような「抑止力」を使うのは、もはや根拠の不明確な抑止力「物語」に過ぎないというのは、まさしく言い得て妙と思います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023.10.31 23:56:09
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: