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2012年06月01日
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「恋愛」より「記憶とアイデンティティ」の方が興味深いのに

 記憶喪失物のラブストーリーです。
 新婚の奥さんが自己で記憶喪失に。過去の記憶はあるのですが、旦那さんと知り合って以降の記憶がさっぱり。実家に戻りたがる彼女、元の彼氏の出現。果たして二人は再び結びつくのでしょうか(実話に基づいているらしい)。

 正直言って無茶苦茶多いですよね、記憶喪失物、日米共に。
 何なんでしょうか。「記憶喪失出せば安全パイ」なる諺が映画界にはあるのか。しかもプロットまで似たような(大抵恋愛物)。
 後は描写のテクニックの優劣ぐらいか。

 本作品は恋愛物の“甘さ”に重点を置いていて、私の口には少々合いませんでした。ドリュー・バリモアの『50回目のファースト・キス』の方が良かったですね(悲劇なんだけど、バカっぽいユーモアがあって、そこが好き)。
 あるいは渡辺謙主演の『明日の記憶』。こちらは若年性アルツハイマー病で記憶がどんどん消滅していく話ですが、この話の夫婦愛の方が胸に迫ります。

 ドキュメンタリータッチで淡々と描写するか、悲劇をユーモアで包んで描写するか。甘い恋愛物に仕上げちゃうとどっちつかずになるというか。

 そもそも 「記憶とアイデンティティ」というテーマ が充分に興味深いものと思います。もったいない。

 この映画では偶然にも旦那さんと知り合って以降の記憶のみ消滅した訳ですが、もし仮に、もっと以前からの記憶が消滅したら、果たしてどうなるか。

 言うまでもなく、恋愛感情とは、その人の人格に対しての感情の筈ですが、では、人格と記憶の関係は。 自伝的記憶が消えてもそれによって形成されていた人格は変わらないのか、変わるのか

 更に言えば。 
 どの記憶喪失物物映画でも、記憶を何か脳内にある“物体”のように、取り扱っていますが、どうも記憶とはそのようなもの(正確には“事”)ではないようです。自伝的記憶は現在の自分が再構成した“事”なのです。
 米国の心理学者エリザベス・ロフタスが行った興味深い「ショッピングモールの迷子」の記憶実験がありますね。被験者に「家族から聞いた子供時代の真実のエピソード」3つと「ショッピングモールで迷子になったというフィクション」1つを混ぜて話し、どう“思い出すか”という実験。
 すると被験者の約25%は、「ショッピングモールで迷子になった」記憶をありありと詳細に“思い出しちゃった”そうです(「あれは嘘」って実験後教えると、その人たち「えぇ!」と驚いたらしい。そりゃ驚いたろうな。それにしても、この25%というのは、多いと見るべきなのか、少ないと見るべきなのか)。
 さらに、他の実験の例。「小さい頃ピクルスが嫌いだった」という偽の記憶を“思い出しちゃった”被験者が、パーティー会場で、ピクルスに手を伸ばさなくなるという実験。つまりその記憶が正しかろうと間違いだろうと、その後の人の行動を左右しちゃうんですね。



 ならば、恋愛感情だって・・・。
 永続的、固定的な実体を持った自我など存在しない。恋愛だって相手と自分に実体的な自我があると考える無明から起る執着。
 羯諦羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提薩婆訶.....(^人^)。

 過去、自分がどういう人間で、その人とどういう関係であったか、ではなく、どういう人間を目指すのか、その人とどういう関係を築きたいのか、という事なんでしょうね。







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最終更新日  2012年06月18日 23時58分28秒
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