2006年01月06日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
2006年1月6日



インドの銀行業界(3)

 今日のポイント

1.原油価格高騰は銀行株にネガティブ
2.FDIの低迷は銀行株にネガティブ
3.民営化の遅れは銀行株にネガティブ
4.モンスーン・シーズンに降雨が少ないと銀行株にネガティブ
5.景気の減速は銀行株にネガティブ

EPSはどのくらい成長しているか?





なお、HDFC銀行の方が成長率が高いのは、規模そのものが小さく、成長余地が大きいのに加えて住宅ローンなど内需・消費への比重が高く、それらのマーケットが今ブームを経験していることによります。同行のPERが高いのはそういう急成長に加えて、焦げ付き比率が低いこと、自己資本比率が高いこと、預金比率が高く、貸出し利鞘が他行より大きいことなどから「当然の評価」と言えるかと思います。

リスク・ファクターの整理
インド経済が順調に成長するシナリオ下では、ただ単純に銀行株を買って、ずっと持ち続ければそれで良いのかも知れません。しかし、外部環境が変化した場合、今後銀行株が乱高下する可能性が無いとは言えません。そこで今後起こりうる変化の可能性を列挙するとともに、それらが銀行株に与えるインパクトを整理してみたいと思います。

1.原油価格が急騰した場合
前述の通り原油価格が急騰するとインド政府は石油製品に対する補助金の負担が増えます。また、インドの経常収支も石油の輸入代金の膨張で悪化するでしょう。また、インド政府のファンディング・ニーズも増えますから銀行と政府との間で「資金の奪い合い」がおこる可能性が強いのです。具体的には預金金利の上昇(それは銀行にとってコスト増、ひいては貸出し利鞘の縮小を意味します)プレッシャーが働くわけです。

さらに細かい議論になりますが、インドのそういう補助金政策を徐々に止める為に現在国際実勢価格よりかなり低く設定されている石油関連製品価格を段階的に引き上げるとインフレ圧力が強まります。このインフレを抑制するためにインドの準備銀行が金利(リザーブ・レポ・レート)を現行の5.25%からさらに引き上げる可能性があります。

2.FDI(海外直接投資)が低迷した場合
インドは中国に比べて海外企業の直接投資の額が小さいです。もしインドが海外企業の誘致に成功しなかった場合は政府自身がインフラの整備や雇用の創出などに乗り出さないといけません。これは政府のファンディング・ニーズの増加につながり、上で議論したのと同じ預金金利上昇プレッシャーを招来するでしょう。

3.民営化プログラムが頓挫した場合
先のFDIと関連してきますが、インド政府は「政府のバランスシート」が悪いですから、政府系企業の民営化を促進する必要があります。しかし、過去にインド政府はずっとポピュリスト的な政策スタンスをとってきたので、突然、「小さな政府」を標榜すると国内的な反発も大きいと思います。民営化プログラムの遅延は国際機関投資家のインドに対するコンフィデンスの低下を招き、銀行株も売られるでしょう。

4.農業部門の家計収入が落ち込んだ場合


5.景気が減速した場合
インド経済は現在絶好調で、銀行各行も今、どんどん融資残高を増やしている最中です。貸出し金利も過去最低水準です。こういう局面では銀行はクレジット・リスクに鈍感になりやすいものです。しかも現在融資残高を構成しているローンの殆どはシーズニングされていない新規のローンです。こういう場合、それらの新規のローンの焦付き率を予想するのは大変むずかしいのです。インドの銀行業界の歴史に言及した際、昔は「箸の上げ下ろし」まで政府が厳しく規制していたことについて書きました。一般にそういう政府の従属機関のような時代が長いとクレジット・リスクに見合った金利を自ら判断し、それに合わせてローン金利を設定する(つまりプライシング・ノウハウ)などのスキルは育ちません。従って思慮に欠ける融資が今どんどん行われていると疑ってかかったほうが安全かも知れません。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年01月31日 13時29分44秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: