2007年03月16日
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今日のまとめ

1.サブプライム住宅ローン市場では既に貸し渋りの状況が至現している
2.米国の住宅セクターはGDPの15~20%の貢献度を持つ
3.米国経済は消費依存型であり住宅市場の減速は成長を鈍化させる
4.もはやゴールディー・ロックではない
5.米国への輸出に依存する業種は要注意
6.BRICsの内需型企業を中心に投資すること
7.FEDは早晩利下げに転ずる
8.BRICsの株式市場はマルチプル・エクスパンションを起す


サブプライム住宅ローン市場

米国のサブプライム住宅ローン市場における焦げ付きの急増を嫌気して世界の株式市場が神経質な展開になっています。サブプライムとは信用力が劣る借り手のことで、通常の融資基準では融資がおりないような危ない借り手のことを指します。そこで今日はこの新しい現実を踏まえて我々BRICs株式の投資家がどう投資戦略を変えるべきなのかについて考えてみたいと思います。

米国の住宅ローン全体に占めるサブプライムの比率は残存ローン総額のうちの約12%です。今回、問題を起しているサブプライム業者においては延滞比率はすでに二桁に乗っています。サブプライム住宅ローンは与信審査がきわめて杜撰です。一部のサブプライム業者の倒産でサブプライム・ローンを証券化し転売する流通市場は変調をきたしています。このため新規のサブプライム住宅ローンは組成しにくくなっており、所謂、貸し渋りの状況になりつつあります。サブプライムの借り手の中にはちょうどクレジット・カードを次々に乗り換える感覚で住宅ローンを次々に「はしご」する借り手が居ます。彼らは今後、借り換えが出来なくなり、ローン返済に困る「焦げ付き予備軍」であると考えられます。これらのことから今後焦げ付きローンはさらに増加することが考えられます。これは米国の住宅市況にとって不吉な兆候であるといえるでしょう。

米国経済への影響

一般に米国の住宅セクターは直接・間接にGDPの15~20%の貢献度を持っていると考えられています。近年の米国経済は企業の設備投資意欲が低かったため消費者の積極的な消費行動に依存する構図になっていました。実際、企業のバランスシートは実質ネット・キャッシュ・ポジションになっているのに対して、消費者の負債額はGDPの4%に相当しています。つまり消費者は貯蓄が無いにもかかわらず積極的な消費態度をとってきたわけです。それを可能にしたのが住宅の含み益をローンを借り替えることによりキャッシングする行為だったのです。そのようなキャッシングが困難になってきたということは米国の消費全体が減速する危険が高まったことを意味します。これまで米国の経済は熱すぎもなく、冷めすぎてもいない、所謂、「ゴールディー・ロック」と呼ばれるちょうどいい湯加減の経済が続いてきたわけですが、この均衡が次第に崩れることをそろそろ心配すべきだと思います。

BRICs経済はどうなる?

若し米国の需要が減退するというのであれば加工輸出型経済である中国も或る程度とばっちりを受けることを覚悟する必要があります。ただ、今のBRICs各国は国内経済に勢いがありますし、アメリカを介在しないBRICs間での交易がたいへん盛り上がっています。このためアメリカ経済の鈍化から受ける悪影響は限定的でしょう。それを断った上で今後は用心のため輸出関連株ではなく内需関連株をポートフォリオの中心に据えることが好ましいと思われます。

米国は早晩利下げに転ずる

さて、米国経済が減速した場合、これは悪いニュースばかりではありません。FEDは今後早い時点で利下げに転じてくると思われるからです。FEDは過去の経験では利上げが打ち止め(今回の場合、去年の夏でした)になってから大体7ヶ月後に利下げに入ります。そのスケジュールから考えてそろそろ利下げ局面に入ると考えるのが順当でしょう。また、今回のサブプライム住宅ローンの問題は放置しておくと金融システムに対する不安などを誘発しかねない重要な問題です。FEDはその辺りのことはよく心得ていますから、問題が広がらないうちに断固とした措置を講ずると思われます。幸い、去年までFEDは整然と利上げをしてきました。現在のFFレートは5.25%で、FFレートからインフレ率を差し引いた実質政策金利は約3%です。これは今後の利下げ余地が十分にあることを示唆しており、メリハリの利いたダイナミックな市場誘導が可能であることを意味します。

米国の利下げ環境下でのBRICs株式

FEDが利下げに転じた場合、これはBRICs株式にとって好材料です。なぜなら配当割引モデルなどの投資理論からすると金利下落局面では妥当株価収益率(PER)は拡大するからです。このことをマルチプル・エクスパンション(PERの拡大)と呼びます。中国の株式市場のPEマルチプルはとりわけ拡大しやすいと考えられます。なぜなら投資家は来年に北京オリンピックを控えて今の局面で中国の内需が腰折れになってしまうリスクは殆ど無いと考えているからです。因みに現在のBRICs各市場のPERは以下のグラフの通りです。

株価収益率(PER)の推移

各国の株価収益率はブラジルが8.2倍、ロシアが8.6倍、インドが17.9倍、中国が10.1倍です。これらの数字はインドを除いておのおのの国の過去10年の平均PERと比較してもきわめて妥当な水準です。また、米国のPERの14倍、日本の18倍に比べても決して割高な水準ではありません。特に米国の場合、住宅ローン市場における焦げ付きは多額の引当金計上の必要を生ずると予測されます。この分だけでも米国市場の平均PERを16倍くらいの水準に押し上げる可能性があります。






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最終更新日  2007年03月19日 11時37分14秒


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