2007年07月18日
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今日のまとめ

1.素材のセクターはグローバルな視点から分析する必要がある
2.近年の好景気で需給は引き締まっている
3.全ての工業向け金属の価格が高騰している


BRICs経済が需要構造に与える影響

素材の需要と経済の発展段階は密接な関係があります。例えば錫や亜鉛は比較的発展途上国からの需要が高いです。一方、鉛、アルミニューム、ニッケルは先進国からの需要が高いです。

主な素材の地域別需要構成比(%、2005年、コンテクスチュアル・インベストメンツ)

こうした違いはどうして出るのでしょうか。その答えは各々の素材の用途にあります。錫はブリキやハンダに使われます。また亜鉛はトタン板を作るのに使われます。これらの製品はどちらかと言えば発展途上国で多く消費されます。一方、鉛の消費の8割は車のバッテリー向けです。アルミニュームは航空機や自動車などの輸送機器、建設、アルミ缶などに使われます。ニッケルはめっきやニッケル・カドミウム電池、リチウム電池、ステンレス鋼などの製作に使用されます。これらの製品はどちらかと言えば先進国が主な市場です。銅は建設、製造業、輸送機器、カーペットや靴下などの商品と多岐に渡る用途があります。特筆すべき点としては中国における銅の消費の約半分は電線に使われているという点でしょう。

世界銀行によると1980年から2000年にかけての高所得国(アメリカ、EU、日本など)と発展途上国の年間平均GDP成長率はそれぞれ2.9%と3.4%でした。つまり両者の成長のスピードには余り差異は無かったのです。しかし近年は発展途上国が持続的に高所得国の成長率を大きく引き離しています。

高所得国と発展途上国のGDP成長率(%、世銀、コンテクスチュアル・インベストメンツ)
注:発展途上国(*)というのは中国とインドを除いた数字



世界銀行ではこのような発展途上国の高所得国に対するアウトパフォーマンスは今後も長期に渡って続き、結果として発展途上国が世界経済全体に占めるシェアは着実に上昇してゆくと予測しています。

世界経済全体に占めるシェア(%、購買力平価に基づく、世界銀行)

錫や亜鉛は鉱業に携わる業界人の間では「プアーマンズ・メタル」、つまり「貧乏人の金属」という風に形容されることもあり、長年、先進国では需要が低迷していました。それらの金属が今、力強く復活し、活況を呈している背景には上に見たような世界経済の成長の軸足が発展途上国にシフトしていることが深く関係しているのです。BRICsの中でも先頭を走る中国は今どんどん高所得国へ追いつこうとしています。従って中国の場合はむしろアルミニュームのような「リッチマンズ・メタル」に注目しないといけないのかも知れません。



アルミニュームの一人当たり消費量(キログラム、アルキャン)

例えば航空機はアルミニュームがふんだんに使われている製品の典型例ですが下のグラフは世界の航空機発注に占めるBRICsのシェアを示しています。実に世界の需要の37%がBRICsから来ているわけです。

世界の航空機発注に占めるBRICsのシェア(%、エアバス)

このようにBRICsはこれまで主に先進国が中心となって消費してきたメタルに関してもどんどん消費しはじめています。つまり全ての素材の需給関係にインパクトを与えているわけです。これは素材メーカーにとっては新しい操業環境であると言えるでしょう。このような現実に対応するべく各社は買収合併などを繰り返しており、世界の素材業界は今、戦国時代に突入しているのです。





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最終更新日  2007年07月30日 17時16分10秒


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