2009年03月23日
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今日のまとめ

1. 米国の量的緩和政策の拡大は将来のインフレの種を蒔く
2. コモディティー価格が底入れすれば新興国通貨は俄然確りしてくる
3. 中欧を除けば新興国の借入れは健全な水準である


■輪転機をフル回転させる連邦準備制度

 先週の米国の連邦公開市場委員会(FOMC)を受けて連邦準備制度(FRB)は3000億ドルにのぼる財務省証券を買い入れると発表しました。加えて住宅ローン証券の購入計画も大幅に拡大されています。

 現在、既に2兆ドルを超えている連邦準備制度のバランスシートは上の発表により、さらに 最大で1.15兆ドル、つまり50%近くも膨張すると見られています。これは実質的に連邦準備制度が輪転機を回してお金を印刷していることに他なりません。

 これだけ大きな金額になるとなかなか実感しにくいのですが、今回発表された「追加分」が若し全て実施されれば 六本木ヒルズ380個分 (総工費2700億円として概算)の建設費用に相当します。

中国の国家予算の1.34倍(*) に相当します。


■バーナンキ議長の懸念

 先々週末にベン・バーナンキFRB議長がCBSの報道番組、『60 minutes』に出演しました。これはよりオープンな対話を目指すバーナンキ議長の姿勢を示していると一般には理解されていますが、あながちそれだけが出演の理由ではありません。

 実際、バーナンキ議長がFRB議長に就任した直後に出演要請をしたときにはCBSは言下に断られているのです。

なぜバーナンキ議長が一度は断った出演要請を今頃になって受け、直接国民に語りかけたのか?これは少し考えてみる価値のある問題です。 インタビューの中で「いま、夜も寝られない気にかかっていることがあるとすれば、それは何ですか?」という質問に対し、バーナンキ議長は沈痛な表情で「それは 銀行の救済に対する政治的な意思統一(political will)が出来上がっていない 点だ」と答えています。

 これはわかりやすい言葉に言い直せば、 財務省が色んな施策を出そうと思っても、議会をはじめ関係各所からの同意がとても得られそうにないムードなので、何も出来ない という意味です。


■孤立無援のバーナンキ議長

 それはとりもなおさずバーナンキ議長が孤立無援で大不況に立ち向かわないといけないことを意味しています。折からのAIGのデリバティブ部門の社員への賞与の問題で 国民の側には救済に対する「厭戦ムード」が蔓延

 一方、金融機関の側では政府の介入を最低限に抑えないと「箸の上げ下ろしにすら文句を付けられる」と警戒感を強めています。つまり金融機関の側では政府と共同して不良債権を買い上げるプランなどからは 心が離れてしまっている わけです。

 これまでなかなかエンジンがかからず、試行錯誤を繰り返してきた 財務省による金融機関救済策の雲行きはいよいよ絶望的に悪くなりました 。これがバーナンキ議長の輪転機フル回転作戦の背景です。


■将来のインフレの種が蒔かれている



 連邦公開市場委員会(FOMC)後、市場が受け止めたメッセージは明快です。それはドルの減価(デバリュエーション)やむなしということです。それはとりもなおさず、いますぐではないにせよ、いずれ インフレのリスクが高まることを意味しています 。

 事実、これまではゴールドだけが上昇していたのですがここへきて 原油(WTI)も心理的な節目である50ドルを回復していますし、銅や大豆なども上昇 し始めています。


■底入れする新興国通貨

 さて、新興国の通貨は去年、先進国の景気後退が鮮明になりはじめたあたりから、こっぴどく売られました。これは世界がリセッションに陥った場合、コモディティーの価格が下落し輸出も不振となり、それらに依存する新興国の景気も悪くなると投資家が判断したからに他なりません。

 殆どの新興国の通貨は未だ底値圏に近い水準にあり、世界的な デフレを織り込んだ水準 にあります。

 しかし 幾つかの要因が新興国通貨にとってプラスに働きはじめています 。

 ひとつは 先進国では景気テコ入れのための財政出動で財政の健全性が損なわれている 点です。

 これと対照的に新興国の国家財政レベルでの借入構造には今回の景気後退局面でも大幅な変化は見られません。 むしろ新興国の財政の方が保守的に映る くらいです。

 別の言い方をすれば 新興国のソブリン(=国の発行する債券)の需給関係は比較感ではたいへん良好に見える わけです。

 さらにブラジル、ロシアをはじめとする、 過去に経済危機を経験済みの各国はその学習効果から今回は景気の悪化に対する準備もよく出来ていました 。

 今後、 インフレに対する懸念が高まり、商品価格が上昇しはじめると新興国の景気は底入れし、国家の税収は回復し、ソブリンの信用は上がることも考えられます。また新興国通貨は強含むことも考えられます 。

 折からの 先進国の超低金利で新興国の高金利はとりわけ魅力ある水準になっている と言えるでしょう。

 これらの事を総合すると新興国の債券、とりわけ国債を組み込んだ投資信託は検討に値する局面にさしかかっていると言えるでしょう。その場合、コモディティーを輸出している資源国を中心に研究されると良いでしょう。ブラジル(鉄鉱石、大豆)、メキシコ(石油)、アルゼンチン(農産物)、ベネズエラ(石油)、ペルー(銅、金)、ロシア(天然ガス、石油)などはいずれも資源国です。これらの国の国債を主に組み入れている投信を探して下さい。

(*)=歳入(revenue)の部





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最終更新日  2009年03月23日 18時31分46秒


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