2009年12月21日
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今日のまとめ

1.大統領選挙の年はブラジル株は冴えない
2.誰が大統領になっても経済運営の大方針は変わらない
3.ブラジル経済は好調だが輸出の変調には気をつけたい

大統領選挙の年は鬼門


ブラジルでは来年、大統領選挙があります。ブラジルには「大統領選挙の年は株式市場が冴えない」というジンクスがあります。過去5回の大統領選挙があった年のブラジルの株式市場のパフォーマンスを見ると一回の例外もなく春先に天井をつけています。下のチャートは前回、つまり2006年の大統領選挙の前後のボべスパ指数です。やはり5月2日の週に高値を付けた後、大統領選挙の直前までに8.4%程度調整しています。

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2006年の場合は比較的パフォーマンスが良かった例であり、過去の大統領選挙の年には高値から40%以上急落した年もあります。

なぜブラジルの投資家は大統領選挙を嫌うのでしょうか? そのひとつの理由はブラジル特有の政府風土にあります。

ブラジルではコロネリズモ(coronelismo)と呼ばれる、大地主などの地元有力者が政治の実権を握ることが歴史的に慣習化していました。そこでは農民や労働者から投票してもらうのと引き換えに公共工事を地元に引っ張ってきたり、地方の役職に支持者を優先的に任命するなどということが行なわれてきました。こうした汚職体質はこんにちのブラジルの政界にも根強く残っており、大統領選挙がはじまると 候補者がお互いの汚職を追及する泥仕合が始まる のです。つまり俗に「ヘッドライン・リスク」と呼ばれる、スキャンダル報道が相次ぐことをある程度覚悟しなければいけないのです。

経済運営の大方針には変更なし




なお、ジルマ・ルーセフもホセ・セラもこれまでに大統領選挙を戦ったことはありません。何事においてもイメージが大事なブラジルの選挙に備えて、ジルマ・ルーセフ文官長は髪形を変えたり、服装をお洒落にしたりしてイメージ・アップに努めているそうです。

ブラジル株式のリスクについて


さて、経済に目を転じると、マクロ経済の数値を見るにつけ、現在、ブラジル株式市場にとって悪い材料は極めて少ないと感じます。現在の外貨準備は 2,330億ドルあり、どのような外的なショックにも耐えられるクッションを提供しています。また実質金利は5.3%程度であり、これは過去最低に近い水準です。そのことは国内の消費が好調になることを意味します。公的債務がGDPに占める割合は44%であり、ここ数年でずいぶん低下しました。

銀行の自己資本は極めて充実しているし、ブラジルの金融監督当局は厳格なルールで銀行の活動を規制しています。また証券化やデリバティブなどの業務の監視という面でもブラジルは先進国の中央銀行より時代を先取りした規制・監視体制を敷いています。

資本金のバッファーの補強、コーポレート・ガバナンスの強化、リスク・マネージメント強化、銀行会計の透明性の強化、クロスボーダー取引の監視など、どれを取っても世界の最先端だと言えるでしょう。

するとブラジル株式にとってのリスクは現在絶好調の 輸出、それも鉄鉱石やパルプなどの素材の輸出が変調をきたすシナリオが最も懸念されるべきリスク ということになります。いまのところそれがスローダウンする兆候は見えていません。しかしこれまで絶好調が続いてきただけに警戒を怠らないことが重要だと思います。





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最終更新日  2009年12月28日 19時48分40秒


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