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2008.06.16
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カテゴリ: カオス(混沌)
昨夜から大地を覆っていた霧が、晴れた。

霧が城壁の根元で渦巻き、まるで空中に浮かんでいるように見える。
その城を、4キロぐらいの間を開け、大軍勢が取り巻いていた。
水も漏らさぬと重囲というのは、まさにこの事だろう。
城の胸壁から、1人の男が敵軍を見渡していた。
無精髭を浅く生やし、背中には身の丈ほどもある長剣を、腰にも一振りの剣をつけている。
男は朝の空気を肺にいっぱい吸い込んだ。
「ウォルター」

ウォルターと呼ばれた男が振り返る。
黒いローブをはおり、フードを目深にかぶった若者がいた。
「ファウストか」
ウォルターはそう言うと、再び敵を眺め始めた。
「いよいよだな。昨夜から敵陣では召喚が繰り返されている」
「来るか」
「ああ」
2人はしばらく黙りこくり、敵を眺めた。
「スーザ・・・」
「?」
「スーザでの戦い以降だな。この苦しき戦いは」

「はは」
「さて」
ファウストはそう言うと背伸びした。
「始まるぞ」
見やると、敵のど真ん中で、黒い甲冑に身を固めた男が立っていた。

「戦いの時は来た!」
男の声が、城まで響いた。
「勇気を奮え、皆のもの!我らが神、暗黒神ヴェルサーナのために!!」
男はそう言うと、剣を城に向けた。
「かかれーーーーーっっっっっ!!!!!!!」
とどろくような雄たけびと共に、城を囲んでいた雲霞のような大軍が、一気に迫ってきた。
敵の先頭には、冥界より召喚された魔神(ジン)や火の精(アフリート)、小悪魔(インプ)、ヘル・ドッグがいる。
「アペリテ・ポルティエ(いかずちよ)・・・」
ファウストが古代語で呪文を唱えるのが見えた。
「リュアット・フルメン!!(我に仇なす敵を撃て!)」
次の瞬間、彼の手から雷光がほとばしり、接近してくる大軍勢にぶつかった。
悲鳴と共に、大量のオークやゴブリンが宙に飛ぶ。
城のあちこちから魔法の稲妻や火炎弾が放たれ、召喚された悪魔が飛び出した。
「構えっ!」
白い服をまとった老人が叫んだ。
手には白刃のまぶしい剣が握られている。
胸壁にずらりと居並ぶ兵士達が、一斉に矢をつがえ、弓を絞った。
ギリリ・・・という音が空に響く。
「放て!!」
「撃てええええ!!」
老人と敵の指揮官の怒鳴り声が重なった。
次の瞬間、双方の陣営から矢が嵐のごとく放たれた。
城から放たれた矢が黒い津波に次々に降り注ぐ中、闇の軍勢の後方から、カタパルトや火炎砲が一斉に放たれた。
燃え盛る砲弾や巨大な岩が、城壁や胸壁に激突し、崩した。
岩に押しつぶされた兵士の血飛沫が飛び散る。
「リュアット・フルメン!」
ファウストが再び叫んだ。
彼の手から雷が飛び出し、身長4メートルの巨人と大量のオークを吹っ飛ばした。
敵の陣から放たれた魔法の稲妻が城壁に激突し、岩に穴を穿った。
矢が次々に敵にぶつかり、息の根を止める。
だが、魔物どもはさらなる攻撃を繰り出した。
「ドラゴンだあああああ!!!」
兵士の悲鳴と共に、はるか上空から雲を切り裂き、4頭のドラゴンが姿を現した。
青の鱗が陽光にきらめく。
「しまっ・・・!」
ウォルターが言い終える前に、青竜達は稲妻を吐き出した。
電撃が胸壁の無防備な兵士達に襲い掛かる。
「フィアット!!(現れよ!)」
ファウストは叫んだ。
彼の側で異空間への扉が開き、翼を生やした銀の毛並みを持つ獅子が姿を現した。
獅子が主人の意思を汲み取り、うなり声を上げてドラゴンに飛びかかっていく。
他の魔術師達も次々にグリフォンやキマイラを召喚し、ドラゴンに対抗していた。
「ファウスト」
「なんだ?今忙しいんだ」
「来たぞ」
ウォルターがそう言った瞬間、敵の鎖砲の放った鎖が、胸壁に突っ込んできた。
先が錨のようになっており、胸壁にしっかり食い込んで離そうとしない。
見ると、その鎖をオーク達が伝いながら登っていた。
「へっ」
ウォルターは鼻をこすると、背中の長剣を抜き払った。
白刃が陽光を浴びてギラリと不気味に光る。
「おもしれえ!!」





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最終更新日  2008.06.16 22:46:45
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