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2008.06.22
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カテゴリ: カオス(混沌)
「なんとかしないと………」
彼女はそうつぶやくと、コンピューターをいじった。
大丈夫だ。
まだ生きてる。
だけど、もしかしたら燃料が漏れているかもしれない。
そしたら一瞬で御陀仏だ。
レイナは恐る恐るプロペラを起動した。
プロペラは順調に回りだした。
機体がゆっくりと持ち上がる。

レイナは地上10メートルで機体を止めると、のたうちまわるヘビに向けて、4発のミサイルを放った。
凄まじい爆発が発生し、大きな水柱が立った。
マイクとクロウが薙ぎ倒されるのが見える。
レイナは一瞬ひやりとしたが、彼らがすぐに立ち上がって手を振ったのを見て、安堵のため息をもらした。
レイナは続けてガトリングをアンデッド達に向けて撃ちまくった。
砂煙が砂浜にたちこめる。
その時、通信機が通信を受け取った。
ザーンだ。
『レイナ、よくやった』
「ありがとうございます。ですが、弾はすぐに無くなりますよ?」
『…………燃料は?』

『ブラジルまで飛べるか?』
「それは無理かと」
『…………よし、わかった。とりあえず、この場から逃れよう。このままだと、じきに奴らに押し潰される。〈ドラグーン〉に武器や食糧に出来る限り積み込んで沖に逃れるんだ』
「了解。浅瀬に着水します」
その時、ちょうどガトリングの弾が切れた。




ザーンは銃声の鳴り響く海岸で怒鳴った。
銃閃が閃き、火炎放射機の炎を浴びたゾンビがその場に倒れる。
アーサーがリボルバーを撃ちながらザーンの側に来た。
「どうするつもりだ?」
「〈ドラグーン〉に乗って、一時的に沖に退避する」
ザーンは自動小銃を撃ちまくりながら言った。
ゾンビに次々に弾が当たるが、なかなか倒れる気配がない。
「くそっ!下がれ!」
ザーンはそう怒鳴ると、さらに海へ後退した。
「教授、早く荷物をまとめろ。ただし最低限の荷物だ。〈ドラグーン〉はそんなに広くない」
アーサーはザーンの言葉に頷き、駆け出そうとしたが、その前にザーンに耳打ちした。
「ザーン、奴らの弱点は脊髄、あるいは脊椎、つまり背骨だ。首から下の背骨を狙え」
アーサーはそう言うとテントに駆け込んでいった。
「………?」
ザーンは首を傾げると、言われた通り首の真ん中を撃ってみた。
すると、ゾンビは動きをとめ、バタリと砂浜に倒れた。
ザーンは思わず口笛を吹いた。



「ああ、くそっ!」
ジェイクは痛む脇腹を押さえて立ち上がった。
ベースには既にアンデッドが侵入し、隊員達はゾンビと必死に撃ち合っている。
ジェイクはよろよろと医療テントに向かった。
ナッドを〈ドラグーン〉に運ばなければ。
ドクが彼の目の前を銃を撃ちながら走り過ぎていった。
辺りはゾンビだらけだ。
ジェイクはアンデッドとクロウが取っ組み合い、クロウが敵を背負い投げているのをちらりと見ながら、ようやく医療テントの近くにたどり着いた。
同じくナッドを運びにきたジョージが、テントの入り口を開けている。
その時、ジェイクは恐ろしい事に気がついた。
ジョージの背後にゾンビが迫っていたのだ。
「ジョージ!」
ジェイクは叫び、腰のハンドガンをまさぐった。
無い。
ジェイクは愕然とした。
どこかで落としたらしい。
「うわああああああ!」
ジェイクは声を聞いてハッと顔を上げた。
ジョージにゾンビが覆い被さっている。
「ジョージ!」
ジェイクは叫んだが、この距離ではどうにもならなかった。
ゾンビが口をぐあっと開き、必死に抵抗するジョージの首に―――

ガアン!!

鈍い音が響き渡った。
ゾンビがどさりと倒れる。
そこには、フライパンを握りしめたティアが立っていた。
荒く息を吐いている。
「あ、ありがとう……」
ジョージは生きている事に呆然としながら言った。



「急げ!」
ザーンは怒鳴った。
既に〈ドラグーン〉には出来る限りの食糧や武器が詰め込まれ、あとは乗って沖へ退避するだけである。
ザーンとクロウ、ドク、マイク、そしてクレイジーは、〈ドラグーン〉の側で銃を撃ってゾンビを牽制していた。
アーサーとデイビットは既に〈ドラグーン〉に乗っている。
「ジョージはどうした!ジェイクは?ティアは?それにナッドは!?」
ザーンが銃を装填しながら叫んだ。
返事は無い。
「死んだのか!?」
「いや」
と、クロウ。
「来ました」
クロウはゾンビの群れの中を突っ切ってくるジェイク達を指さした。
先頭にはティアが立ち、フライパンで道を切り開いている。
ジョージとジェイクはナッドを担架に乗せ、走っていた。
「急げ!」
ザーンは再び叫んだ。
既にゾンビの最前線は〈ドラグーン〉から10メートルと離れていない。
ティア達はゾンビの群れを突破すると、〈ドラグーン〉に飛び込んだ。
「よし!乗れ!」
クロウは頷き、〈ドラグーン〉の中に入ろうとした。
その時、彼の足を何かがかすめた。
次の瞬間、〈ドラグーン〉の近くで戦っていた5人の真ん中に、先ほどの怪物ヘビが勢いよく飛び出した。
5人はそれぞれ放射状に吹っ飛ばされた。
ヘビが片側の焦げた顔をめちゃくちゃに振り回しながら、怒りの声をあげ、〈ドラグーン〉の機体に巻きついた。
ティアが悲鳴をあげる。
〈ドラグーン〉がギシギシと音をたてた。
「んの野郎!」
クロウは叫ぶとグルカナイフを抜き、ヘビの体に突き立てた。
ゴムのような皮膚は一瞬ナイフを跳ね返したが、結局貫通し、赤紫の血が噴き出した。
クロウはナイフに力を込め、一気にヘビの体を切り裂いた。
ヘビが凄まじい悲鳴をあげる。
しかし、怪物ヘビの胴の太さは1メートルあるかないかのしろものである。
グルカナイフでは大した傷をつけられない。
「くそっ!」
クロウはつぶやいた。
なんとかしてこのヘビを倒さないと。
その時、クレイジーがクロウを突き飛ばし、グルカナイフによって切り開かれた部分に、何かを突っ込んだ。
「伏せろ!」
クレイジーが叫ぶ。
全員がとっさに伏せた。
次の瞬間、ヘビの腹が爆発した。
肉片が飛び散り、辺りに血を撒き散らす。
「クレイジー!なんて無茶するんだ!」
クロウはなんとか立ち上がりながら言った。
「怪物ヘビの腹に手榴弾を突っ込むなんて、普通じゃありえない!」
「クロウ、ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと乗りなさい!」
コクピットでレイナが怒鳴った。
いまだに足を挟まれているのためか、痛そうな顔をしている。
クロウは頷き、〈ドラグーン〉に飛び乗った。
ヘビは命を失い、機体からずり落ちている。
ザーンが〈ドラグーン〉のすぐ近くまできたゾンビを殴り倒すのが見えた。
ドク、クレイジー、マイクが〈ドラグーン〉に飛び乗る。
機体の中は凄まじく狭くなった。
ザーンは出入口の縁に腰掛け、銃を撃ちまくった。
近くのアンデッドが倒れる。
「レイナ、上げろ!」
ザーンが叫ぶ。
レイナは機体を上げた。
何体かのゾンビは機体に掴まろうとしたが、ザーンに撃ち落とされた。
〈ドラグーン〉は重い荷物に辟易しながらも沖へと機首を向け、ゆっくりと進み始めた。
ザーンが安堵のため息をつく。
「全く」
クロウはそっとつぶやいた。
「最悪だ」





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最終更新日  2008.06.22 17:32:31
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