ぜんちゃんの風に吹かれた日々

ぜんちゃんの風に吹かれた日々

2005年10月29日
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テーマ: 癒しの風景(25)
カテゴリ: 癒しの風景

物事がうまくいかないと時折りひとり拗ねて教会にさえも行きたくなくなる。
つまんねえな。つまんねえな。ってね。
八月から3年ぶりにまたゴスペルを歌い始めた。
先日、二週間ぶりに皆と歌ったら、ぐっときた。
単純に、上から降ってくるものに触れられた思いがした。
ボクはいつも空に向かってグチや、どうしようもない苛立ちを正直に叫んだりする。
「神様、いったいどうなってんだよ!」ってね。

いま、すんごい映画が上映されている。

今年、惜しくも亡くなった唯一無比のミュージシャン高田渡さんの「タカダワタル的」やゴールデン・カップスのヒストリーや再結成のライヴなどを描いた「ザ・ゴールデン・カップス・ワン・モア・タイムス」と独自の道を貫き、様々な影響を与え続けている日本のミュージシャンのドキュメンタリー作品を送り続けるアルタミラ・ピクチャーズ(『スウィングガールズ』、『ウォーターボーイズ』などもここの製作!)の第三弾となる作品だ。
あちこちで話題がメジャーになっているようで嬉しいけれどエンケンファン歴30年のボクにとっては大事な兄貴が取られるような気がしてちょっぴり複雑な思いだ。

ボクはいまでも煮込み続けているあの名曲「カレーライス」を初めてラジオで聴いた時の衝撃と感動を憶えている。
それは映像だった。
エンケンさんが描く3分ちょうどの実に濃密でかつ繊細な短編映画だった。
ボクは直ぐにセカンドアルバム「満足できるかな」を買った。
シンプルなその音と言葉が絡み合う一瞬、何かが揺らぎ立ち上がる。
ときには囁き織りなされる独特の空気感と緊張、その深い余韻に酔いしれた。
ボクは得意になって友だちに聴かせた。
これが意外と受けが良くて「雪見酒」を皆で騒いで歌った記憶がある。

きっとこのアルバム「満足できるかな」を多くの人がエンケンさんの代表作として、日本のロック・フォークの傑作盤として取り挙げるであろう。

これはもう一本の映画なのだ。原石のピュアな感性は今にして実に濃厚だ。
レコードのB面は本当に擦り切れるほど聴いた。

そして、必ず取り上げられる7枚目のアルバム「東京ワッショイ」
非の打ち所が無い完成度の高さ、恐ろしいほどにエンケンさんも演奏者もテンションが高い。
横尾忠則のジャケット・デザインにファンの誰もが「おおっ、すげえ!」と言い、聴き終わってファンの誰もが立ち上がって「やった~!」と叫んだに違いない…。



だけど、自称エンケン評論家、ファン歴30年のボクはあえて91年に出されたエンケン・バンドのライヴ盤「不滅の男」を大推薦したい。
とにかく、ラジカセで録ったんじゃないかと思うくらいに音が悪い。
しかし、このアルバムにはエンケンの真実の「唸り」と「うねり」がある。
リアルなのだ。音の悪さなんか関係ないのだ。

エンケンさんはいつも真っ直ぐで一生懸命だ。
自らエンケンさんは収録されている「輪島の瞳」のなかでこう歌っている。
…いつだって初な気持ちで死ぬほど一生懸命やらなきゃ、他人の気持ちなんてものは、決して打ちはしないよ…。
そして、この25分45秒の名曲の終盤でこうも歌う。
…一生懸命やるからみんな綺麗なんだ…

この4,5日ずっとアルバム「不滅の男」を聴いている。
毎日、いろんなことがうまく行かなくても少しばかり元気になれるのだ。

   「不滅の男」 …日本中の不滅の男女に捧ぐ…
                     作詞・作曲  遠藤賢司
  今まで何度 倒れただろうか
  でも俺はまたこうして 立ち上がる
  そうさ やる時は やるだけさ
  俺は負けないぜ そう男
        「頑張れよ」なんて 言うんじゃないよ
         俺はいつでも最高なのさ
         俺は不滅の男 俺は不滅の男

  まるであいつは 勝ち誇ったように
  ついに この俺に こう言ったぜ
  「おい お前も頑張れよって」って
  冗談じゃないぜ馬鹿野郎
  そうすりゃお前みたいになれるのかい
  お前はお前 俺は俺

  年をとったとか そういうことじゃないぜ
  俺が何を 欲しいか それだけだ
  だから わかるかい 天才なんだ

なんて、真っ直ぐな歌なんだろう。
ボクはエンケンさんから大事なものを気付かされたようだ。
どんなに辛くても「頑張れよ」なんて言わないで欲しいと願う。

力のある人には「頑張れよ」何て絶対に言わないと思うのだ。
力のある人には「その調子!」と声を掛けるに違いない。
たとえば、マラソンかなんかで先頭をぶっちぎりで走っている人に「頑張れよ」というだろうか…。
きっと「そのまま行け!」って言うだろう。
後方からだいぶ遅れて横腹を抱えて走ってくる人にいう言葉が「頑張れよ」なんだ。

でもさ。その「頑張れよ」って言葉ほど残酷なことはないんだ。
その横腹を抱えて足を引きずっている人は一生懸命やっているんだよ。
辛いんだよ。自分でその状況をよく知っているんだよ。

ゴスペルとは「福音=よい知らせ」の意で、イエス・キリストが告げた救いのメッセージのことを言う。
厳密にはそうであっても、もっと広義でとらえると自分にとって「よい知らせ」であるならばエンケンさんの「不滅の男」だってゴスペルだと思う。

ボクは聖歌や賛美歌しか聴かないクリスチャンにはなりたくない。
その人だけの救いのメッセージソングはかならずあると思う。
その人だけの「ゴスペル」が存在したっていいと思うのだ。















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最終更新日  2005年10月30日 02時15分28秒
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