ぜんちゃんの風に吹かれた日々

ぜんちゃんの風に吹かれた日々

2005年11月06日
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カテゴリ: ライフスタイル
水道局に水道配管の調査に行った。

「あれ?もしかして○○さんはウタ歌っていませんか?」
ボクはドキリとした。
「Kさんのところで歌ってましたよね?」
どうやら福島アコースティック音楽界のコルレオーネ、ゴッド・ファーザーKさんのファミリー(?)らしい…。
役所特有の味気ない対応とやり取りから俄然、ボクとそのオジサンは和やかな雰囲気になった。
知らずに人に印象を与え、記憶の片隅に置かれているのはうれしいけれど、つくづく悪い事はできないなと苦笑する。
別に悪い事など、つまり公序良俗に反するつもりもないが、例えば「魔が差す」とか「ちょっとした出来心」とか、いつだって振り子が逆に振り切る可能性はあるのだから身を引き締めるというか絶えず自己確認が大切なのだと少しばかり真面目に思ってみる。



市内のW地区を車で回るたびに気に掛ける家がある。
20年前にお世話になった懐かしいお客さんの家だ。
当時そのあたりは寂しすぎるほど住宅はまばらだったが、いまではすっかり新しい住宅が密集していてAさんの家は一番旧い装いだ。

その場所に土地をお世話したとき、大変Aさんに喜んで頂いた。
そしてAさんが直ぐに家を建てると、その完成祝いを兼ねてボクを新築の家に招待してくれた。
美味しく贅沢な家庭料理と少々お酒をだしてくれたように思う。
Aさんは東京の本社から福島に派遣され単独で仕事をされていた。しかし、その特殊なシステムと仕事内容が何度聞いても当時のボクには理解できなかった。
夜半過ぎまでAさんと話し込んだように思う。
本社から連絡を受けて自宅の一室を事務所に使い、まったく単独で仕事をしているAさんに若かったボクは寂しくないですかと聞いた事がある。
「仕事関係以外、親しい人もいないしね…。そりゃ、たしかに寂しいときがありますけどね…ははははっ」

思えばその後いつだったか、夜、繁華街で友だちと遊んでいる時、千鳥足でひとり酔い歩くAさんを見かけたことがある。


あの後、Aさんのお宅に御礼の挨拶に行ったかどうか定かでない。

数日前、そんなAさんの家の前を車で通り過ぎる時、庭の手入れをしている奥さんらしい人を見かけた。
衝動的に車を停めてボクはその人に声を掛けた。
しかし、そのとき、はたと気付いた。
待てよ…。この家にAさんはまだ住んでいるのだろうか?

だいいち、20年の記憶が完全に欠落している。
奥さんの顔をまともに憶えているのだろうか?

「こんにちわ…」
突然、弱気になったボクはトーンの下がった声で言った。
奥さんはボクの顔を見るなり驚いて言った。
「あらあ、どうしたんですか?懐かしいですねえ!」
あの頃、とても若くチャーミングだった奥さんの面影が蘇ってきた。
ボクは心の中で感動した…。
奥さんがボクのことを憶えていてくれたこと以上に、ボクが奥さんの面影を想い出せたことを。

「子供たちも大きくなって、出て行きましたよ。今はうちの人とおばあちゃんと三人、のんびり暮らしていますよ」
ふと、おばあちゃんが顔を出した。
あれえ?あの時のまんまじゃん。おばあちゃんは!
奥さんは言った。
「○○さんが来てくださったこと…うちの人、きっと喜びますよ…」

ひとのつながり、ひとの記憶、ひととの関わりはなんて不思議で深くて楽しいものなのだろう。
そして、単純に思うのだ。
ボクらはみんな生きているんだなって…。

やっぱり、生きているだけで感謝かな。






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最終更新日  2005年11月06日 21時05分26秒
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