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われわれがもとめているものは、健康青汁でも深海鮫肝油でもヒアルロン酸入りせっけんでもない。松井のホームランでも日本選手の金メダルでもない。ましてや中谷彰浩や和田秀樹の数え切れないほどの処世術の本なんかでもない。 われわれが求めているものはただひとつ、己の存在に静かに涙を流させてくれる表現だけなのだ。われわれの魂を導いて、文学の岸辺、音楽の岸辺にたたずんで、彼方の光の中に消え去ることを思うこと、それだけだ。 貧しいチベットの人々の一心不乱に五体倒地をしているさまを見て、僕は彼ら民族の崇高さに心を打たれる。われわれは何のために生まれてきたのか、私たち日本人はそれすらも考える暇もなく朝から晩まで働いて亭主元気で留守がいいとか言われ最後は病気になって死んでゆく。私たちは本当に豊かなのか。 われわれ日本人がかかえる一人当たりの負債は800万円以上にのぼる。国家はカタストロフィに向かって進んでいてもはや制御不能のように見える。国家という共同幻想は同じ歴史を繰り返すだけだ。カタストロフィに陥ってやけくそになった国家がとる行動は戦争か、それができないときは国家破産するしかない。いずれにしても国家に巻き上げられた国民の財産は砂にしみこむ水のように消え去るだろう。 民主主義という概念はもう耐用年数を過ぎていてそれが問題の所在ではなくなっている。本当の真の問題の所在は、共同幻想の制御という概念なのだが、そのことに誰も気づいていない。だから国家はカタストロフィに陥るという歴史を繰り返す。 今必要なのは過去の「共同幻想論」ではなく現代の、そして未来の「共同幻想論」なのだ。
2011.01.06