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全国学力・学習状況調査(理科)の結果から〜その1
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その他
今年、はじめて理科でも全国学力・学習状況調査が実施された。その結果の考察を初等理科教育で書いたので、ここで紹介する。
「わかったつもり」を超える理科授業へ
1.正答率が低かった三つの問題から
平成24年度全国学力・学習状況調査の結果,「活用」に関する問題の正答率が低く,「観察・実験の結果を整理し考察すること」や「科学的な言葉や概念を使用して考えたり説明したりすること」に課題があることが明らかになった。今回は,その「活用」に関する問題の中でも,特に正答率の低かった次の三つの問題に着目して考察してみたい。
まず一つ目は,設問2(5)である。
この問題は「改善」を枠組みとする問題であり,植物の受粉と結実の関係を調べる実験について,結果をもとに「実験方法」を改善するとともに,その理由を記述することも求められている。正答率は32.3%と低かったのだが,このうち,理由の記述で「受粉には,風や昆虫などが関係していること」と具体的な受粉の仕方まで記述できているものは,3.9%であった。
二つ目に,設問3(5)である。
この問題は,「適用」を枠組みとする問題と位置付けられているが,「湯気」を選択するオの正答率は42.3%と低かった。
なお,誤答には「空気」と考えたものが22.6%,「水蒸気」と考えたものが22.8%であったり,このことから,科学的な言葉を適切に使用することに課題があることが分かる。
この問題は,天気の様子と気温の変化とを関係付けて,気温の変化を表したグラフを選択し,その理由を記述することが求められている。正答率は17.1%と,今回の調査の中で最も低い結果であった。また,誤答には「晴れの日の気温の変化を表したグラフ」と考えたものが21.3%あり,「曇りの日の気温の変化を表したグラフ」と考えたものが18.3%あった。この問題は,「分析」を枠組みとする問題であり,1日の中で晴れていた時間帯と曇りまたは雨の時間帯があることに着目できず,この日の天気の変化について適切に分析できていないことが分かる。
2.「わかったつもり」が原因
この正答率が低い三つの問題を並べてみると,問題点として,「わかったつもり」の状態の子どもたちが教室の中に多く存在し,「わかったつもり」のまま授業が終わってしまっていることを指摘することができるだろう。
西林克彦氏は,この「わかったつもり」について著書の中で次のように述べている。
「わかったつもり」の状態は,当人が「わからない」とは思っていない状態ですから,安定しています。ですから,当人は探索や情報収集の必要性を感じていないのです。このようにして,「わかったつもり」の状態が,認識の順調な進展を阻害することになるのです。
つまり,「わかったつもり」になるということは,思考を停止した状態になるということである。理科においても,この「わかったつもり」が,子どもたちが複雑な条件に応じて深く考えることを阻害しているのではないだろうか。
まず,設問2(5)であるが,授業の中で「実がなった,実がならなかった」という実験結果だけに着目して「受粉すると実がなる,受粉しないと実がならない」と結論を導き出し,「わかったつもり」になっていることが考えられる。雄しべと雌しべが直接触れる以外にも風や虫によって受粉される可能性があることを考慮せず,きちんと条件が制御できているかどうか検討しないまま実験しているのではないか。
また,設問3(5)については,「水が沸騰すると水蒸気になる」と「わかったつもり」になっているのだろう。しかし,実際に沸騰している様子を観察すると,水の入ったビーカーの底から水蒸気が泡となって出て,水面から少し離れたところで湯気になり,その湯気は,しばらくすると水蒸気になって見えなくなる。つまり,水は熱せられると「水→水蒸気→湯気→水蒸気」と複雑に変化するのだが,この現象を「水→水蒸気」と説明してしまい,さらには間違いだと指摘されることもないため,湯気と水蒸気を混同してしまうのである。もしかしたら,この「わかったつもり」は,子どもたちの日常生活の中で得た知識によって生じているとも考えられる。
さらに,設問4(5)でも,「一日中晴れの日」と「一日中曇りの日」の典型的な日が(教師によって)ピックアップされ,その観察結果から「晴れの日は山型のグラフ,曇りの日は平べったいグラフ」になると「わかったつもり」になっているのである。おそらく,授業中で「どうして,そのようなグラフになるのか」ということも問われなかったのだろう。「午前中晴れていても,午後から曇ったらどうなるだろう」という疑問ももたなかったことが想像される。
(続く)
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最終更新日 2012.12.09 03:58:25
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