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2013.02.08
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3年前の研究通信の第6号。「対話」を生みためには、話すことより「聴くこと」の指導が重要であると述べるとともに、いわゆる「聞き方」の指導では逆効果であることを書いている。

・・・・・

「学び」のあしあと 2009.6.17 研究部通信No.5「聴く」

1.「対話」のスタートは「聴く」こと

 前回の通信で中島義道氏の「〈対話〉の基本原理」を紹介しましたが、特に多くの項目が「聴く」ことについて書かれていることに気づかれたでしょう。また、その12項目は、昨年まで取り組んできた「聴き合う関係」「『聴く』ー『語る』関係」づくりに大切なことと重なる部分が多いとも感じます。やはり、子どもたちの「ことば」を大切にし、他者との対話によって一人一人の子どもの変容をめざすとき、「聴く」ことを中心に授業づくりに取り組んでいく必要があることは確かなことです。
 ただ、5月28日の教官研で話題になったように、子どもたちが「聴けない」という実態にあるとき、「とにかく『聴く』指導から」と考えることは適当なことなのでしょうか。もちろん、対話のスタートが「聴く」ことであることに異論はないのですが、「対話」と「とにかく『聴く』」(おそらく、このときの「きく」は「聞く」なのですが)ということは正反対の考え方であるように思えて仕方ありません。
 中島氏は対話について、次のようにも述べています。

「〈対話〉は、各個人が抱く意見の『小さな差異』を確認しながらゆっくりと忍耐強く進む。党派的な討論が虚しいのは、各個人がもつ微妙な壁を削りとってしまうからだ。個人が個人の実感にもとづいて発するかけがえのない言葉を、意見Aないし意見Bというふうに暴力的に分類し平均化してしまうからだ。賛成か反対かという結論のみに力点をおいて、各個人がそこに至る独特の過程を大切にしないからだ。」

「もしAが〈対話〉を遂行しようとするのなら、彼(彼女)はBやCの立場を安易に『わかる』と決めつけるのでもなく、『わからない』とつっぱねるのでもなく、『わかろう』と努力する。その場合、自分の状況と相手の状況とを見渡す公平な(第三の)視点を得るのではなく(それは得られない!)、あくまでも自分の状況ににとどまったまま、相手の状況を理解する二重の視点を獲得するのである。」



2.「聴く」ために必要なこと

 先日、3年国語の授業で、「ありの行列」を読み「なぜウイルソンは『地面に何か道しるべになるものをつけておいたのではないか』と考えたのだろう」という課題について話し合う場面がありました。その中で、二人の子どもが次のように発言します。

Hくん「ものはよく見えていないのに行列を作って自分がきた場所から外れていないから。」
Sくん「前のありが通った道すじから外れていないから。」

 Sくんはその後、Hくんの言ったこととは「ちょっと違う」と主張するのですが、他の子どもたちが「Hくんと一緒」だと反論し、最後にはSくんも「ほとんど同じだ」と「説得」されてしまいました。しかしながら、「ありはものがよく見えない」ことを加えるのか加えないのかでは、大きくその主張(意見)の中身は異なります。(「ものがよく見えない」ことを加えることは、「行列をつくる」ことと「はじめのありが通った道すじを外れていない」ことの2つを根拠としてあげることになります。)
 この事例では、子どもたち(Sくんも含めて)は「小さな差異」を確認せず、安易に「分類・平均化」したということでしょう。つまり、子どもたちが「聴く」ためには、技能(技術)が必要であり、その技能を子どもたちに身につけさせるとともに、「聴く」ことのよさを味わわせることが必要なのではないのでしょうか。

※読書案内! 中島義道『〈対話〉のない社会ー思いやりと優しさが圧殺するものー』PHP新書(1997)





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最終更新日  2013.02.08 10:30:45
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