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2014.04.02
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 ことに隣の古本屋のまあちゃんと、その一軒先にある味噌屋のみっちゃんは、ひろし君より二つお姉さんだったが、二人とも弟が居ないせいか、ひろし君が可愛くてたまらない。銭湯に行くときは、必ずひろし君を誘って女湯に引っ張り込んでいたものである。

 ひろし君の初恋の相手は、幼稚園で同じすみれ組の園児でぽっちゃり顔をした、クリーニング店の高原直子と、隣のさくら組だが、お洒落でおしゃまな酒屋の本川千代子の二人だった。この二人の女の子が住んでいた家は全く方角が逆である。そこでひろし君は、一日おきにこの二人と一緒に帰ることにしたのだ。この頃のひろし君は結構プレイボーイだったんだね。でもこんな両天秤を掛けていたのでは、女の子に好かれるはずがない。結局この初恋は、不完全燃焼で成就しなかった。

 また家の近くの長屋に、羽田かおるという、いつも泥んこ顔をしたお転婆な少女がいて、なぜかひろし君を見るとまとわりついてくる。面食いのひろし君は、どうもこの泥んこ顔が好きになれない。だからいつも邪険に扱っていると、このかおるの兄貴がやってきては、ひろし君の首を絞めて「妹と仲良くしろ!」と命令する。それが怖くて、かおるの姿を見ると逃げ出すことにした。

 さらにひろし君の家と、甲州街道を挟んだ向かい側にある自転車屋には、ちいちゃんという可愛い女の子がいた。このちいちゃんとは気が合って、いつもお互いの家を行き来して、家の中で遊ぶことが多かった。それはそれで良いのだが、目の前の甲州街道を渡るのに、信号のある場所まで行くのが面倒で、いつも信号のない場所から、甲州街道を走り抜けては祖母に叱られていた。
 まあ当時は車と言っても、路線バスとルノーのタクシーとオート三輪車くらいだったし、甲州街道も今のように広くはなかったので、交通事故に遭う確率も少なかったようである。それにしても、これこそ命がけの逢引きだったのかもしれないね。

作:五林寺隆

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最終更新日  2014.04.02 10:42:21
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