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2026.04.20
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カテゴリ: エッセイ


 漫画家のつげ義春が逝った。2026年3月3日、誤嚥性肺炎のため、享年八十八。とうとうこの日が来てしまった。

 つげ義春といえば、『沼』『紅い花』『ねじ式』など、雑誌「ガロ」時代の純文学的な香りを放つ短編群が広く知られている。だが私自身は、貸本漫画の末期に描かれた『おばけ煙突』『古本と少女』、あるいは白土三平を模した忍者ものや時代劇に、より強く惹かれてきた。

 つげは怠け者だったのか、それとも欲がなかったのか。五十歳を迎える前に筆を置き、その後は過去作の再刊による印税で暮らしていたようである。ただ、もしかすると「ラーメン屋の屋根の上で見た夢を、締め切りに追われてヤケクソで描いた」と、つげ自身が語った『ねじ式』が、思いがけず“芸術漫画”として祭り上げられたことが、純真でシャイな彼には重荷となり、過大な期待に耐えきれず筆を折ったのではないだろうか……。そんな想像さえしてしまう。

 すでに四十年近く漫画から遠ざかっていた以上、今さら「偉大な漫画家を失い残念だ」と取り繕ってみても、どこか空々しいだろう。
 それでも、私が愛読してきた手塚治虫、白土三平、横山光輝、藤子不二雄、水木しげる、楳図かずお、さいとう・たかを、ジョージ秋山、辰巳ヨシヒロ————その誰もがすでに鬼籍に入り、つげ義春だけが最後の砦として残っていた。
 だからこそ、彼の死は「昭和漫画の終焉」を告げる鐘のように響き、どうしようもなく寂しいのである……。

作:五林寺隆

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最終更新日  2026.04.20 19:52:48
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