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2026.08.19
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カテゴリ: 名作鑑賞


★★★★
製作:1949年 日本 上映時間:177分 監督:今井正

 石坂洋次郎の同名小説を原作とする『青い山脈』は、戦後の青春文学として国民的な人気を博した作品である。主題歌『青い山脈』は昭和生まれなら誰もが口ずさめる名曲であり、映画化も1949年・1957年・1963年・1975年・1988年と計5回に及ぶ。本作はその初作で、正編・続編を合併したため上映時間が長いのである。

 主演は高校教師・島崎雪子を演じた原節子。さらに池部良、小暮実千代、伊豆肇、龍崎一郎、若山セツ子、杉葉子らが脇を固め、戦後の日本映画黄金期らしい豪華な顔ぶれが並ぶ。

 物語の舞台は片田舎の女学校。転校生の寺沢新子(杉葉子)が、偶然金物屋の店番をしていた大学生・金谷六助(池部良)と町を歩いていたところを同級生に見られ、悪意あるラブレターを送りつけられる。
 当時は若い男女が一緒に歩くだけで噂になる時代。本作は、そうした古い価値観を否定し、新しい男女観を提示する青春ドラマでもある。

 そのラブレターを見せられた新任教師・島崎雪子は、度を越した悪意を感じ取り、送り主の同級生を厳しく糾弾する。そして生徒たちの古い男女交際観を正そうと奮闘するが、それは逆に反感を招き、教員仲間からも「民主主義のはき違え」などと批判され、問題は次第に大きくなって理事会での討議にまで発展する。

 この理事会のシーンこそ本作の白眉である。個性的な俳優たちが信念をぶつけ合い、戦後日本の価値観の揺れを見事に描き出す。長尺にもかかわらず退屈することなく、観客は一気にラストへと引き込まれてゆく。

 そして藤山一郎の『青い山脈』が流れ、自転車に乗った教師と生徒たちが爽やかな風景の中を駆け抜ける──あまりにも有名なラストシーンが、戦後青春映画の象徴として胸に刻まれる。

評:蔵研人

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最終更新日  2026.08.19 17:56:50
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